ホワイトハウス・ダウン : 特集
ただ壊すのはもう古い!
“破壊王”エメリッヒが見せた新次元《破壊アクション》奥の手3連発!
「インデペンデンス・デイ」「2012」ほか、大規模破壊ムービーで観客を驚かせてきたローランド・エメリッヒ監督が、8月16日公開の最新作「ホワイトハウス・ダウン」で破壊アクションの新たな領域に突入した。“破壊王”との異名をとる男が踏み込んだ新境地、そして繰り出した“奥の手”とは?

■破壊にこだわり続けた男がたどり着いた極地──
これが、破壊王のネクストステージ《エメリッヒ2.0》の世界だ!


侵略エイリアンによる世界規模の大破壊を描いた「インデペンデンス・デイ」、世界を水没させた後に氷河期の氷で包み込んだ「デイ・アフター・トゥモロー」、そして全世界を飲み込む天変地異を描いた「2012」──ローランド・エメリッヒ監督作といえば、“大規模破壊”を見せつける映像スペクタクルが必見のディザスター・ムービーの信頼ブランド。作品を重ねるごとに破壊の規模はスケールアップし、その描写は激しさを増していく。映画ファンは、エメリッヒの新作の報を聞くたびに「今度は何を、どんな風に壊してくれるのか?」と、期待を膨らまさずにはいられなかったはずだ。
その、いつしか“破壊王”という異名で呼ばれるようになった男が、今回破壊のターゲットにしたのは“ホワイトハウス”。熱心なエメリッヒファンやパニック映画ファンなら、これまでにも「インデペンデンス・デイ」「2012」でこの建物が破壊されてきたさまを思い出すに違いないが、今作では「ホワイトハウス・ダウン」とタイトルにも掲げ、実に3回目となる破壊が描かれる。
だが、その破壊の表現は、“地球規模の破壊のうちのひとつ”“俯瞰(ふかん)映像で破壊の様子をとらえる”というこれまでの描き方とはひと味違って、“なぜ破壊されるのか?”“その中で何が行われているのか?”という、破壊に至るプロセスとそこで繰り広げられるドラマにこだわる、新たな“破壊描写”に挑むもの。まさに、破壊王エメリッヒが新たなステージに突入した新次元の破壊アクション=《エメリッヒ2.0》と命名しても過言ではない作品となっているのだ。
謎の武装集団に乗っ取られたホワイトハウスを舞台に、偶然見学ツアーに来ていた議会警察官が愛する娘と大統領、そして世界の命運をかけて壮絶な戦いに挑む本作は、破壊にこだわり続けた名匠がたどり着いた新たな境地=映画ファンが体験するアクション映画の新次元なのだ。



■エメリッヒはいったい何をやったのか?
《2.0》完成に向けて必要不可欠だった“奥の手”3連発!
破壊に至るプロセスとドラマにこだわり、“破壊”が持つ意味と重要性をさらに際立たせる《2.0》というネクストステージを実現させるために、エメリッヒ監督はいったい何を行ったのか? 「ホワイトハウス・ダウン」の必見ポイントでもあり、本作を完成させるのに必要不可欠だった要素=“奥の手”をここに解説!


これまでは全世界スケールで破壊を描いてきたエメリッヒだが、今回壊すターゲットは“ひとつ”だけ。それだけに、“何を壊すのか”に相当意識を払ったのは間違いないだろう。その標的として選ばれたのは、これまでに2回も自作で壊してきたホワイトハウスだったというのは驚きだが、同所が持つ意味を理解すれば、なぜエメリッヒがこだわってきたかの理由もすんなりと分かるはずだ。言うまでもなく、大統領の住まうホワイトハウスといえば、アメリカ合衆国の政治をつかさどる中枢。そこが破壊され機能停止すれば……アメリカという国家システムが崩壊してしまうのは間違いない。そして、アメリカは世界をつかさどる中心的国家。アメリカの崩壊を描くことは、すなわち全世界の崩壊に繋がる危機を描くことでもあるのだ。


エメリッヒは、危機的状況のなかでこそ際立つ人間ドラマにもこれまでこだわってきたが、今回は舞台がホワイトハウスに限定される分、よりドラマティック物語に感情移入させるため、今アメリカで最も旬な実力派スターを主演に据えた。それは、恋愛ドラマ「親愛なるきみへ」で女性ファンをメロメロにし、「G.I.ジョー」シリーズでアクション映画ファンをも納得させたチャニング・テイタム。本作では、離れて暮らす娘との絆を取り戻そうとする父という等身大のキャラクター設定で、見る者の共感を呼ぶ。しかし、話はそれだけではない。テイタムが組む“相棒”として登場する大統領役に、「ジャンゴ 繋がれざる者」の鮮烈な主演も記憶に新しい、オスカー俳優ジェイミー・フォックスを起用。フォックスは世界平和に奔走する新しいタイプの大統領を演じ、テイタムと絶妙なコンビネーションを見せる。この初顔合せは、とにかく強力だ。


謎の武装集団が立てこもる状況下、偶然居合わせた警官が……と聞くと、誰もがあの傑作アクション「ダイ・ハード」を思い出すに違いない。閉塞された空間で、観客が共感できる等身大の男が“仕方なく”事件に立ち向かうことになるが、“開き直って強い意志で”孤軍奮闘する姿を描いた同作は、まさにアクション映画の金字塔。その遺伝子が、「ホワイトハウス・ダウン」には注入されているのだ。テイタム演じる主人公が「ダイ・ハード」のマクレーンと同じジョンという名前だったり、途中から白いランニング姿になるのも注目だが、ヒーロー然と活躍する背景には「愛する娘を救いたい」という普通の父親の姿を感じ取ることができる。そして、フォックス扮する大統領も、親しみやすい粋な素顔が描かれ、見る者を引き込んでいくのだ。共感できる登場人物たちが、誰もが燃えるあの傑作と共通する状況下で決死の戦いを繰り広げる。“誰もが楽しめるアクション映画”となっているのも当然なのだ。
「世界の危機に直結するホワイトハウスの破壊」「高い人気と実力を誇るチャニング・テイタムとジェイミー・フォックスをダブルで起用」「傑作アクション映画『ダイ・ハード』の遺伝子を注入」という3つの“奥の手”を使い切ったことで、ついに完成したネクストステージ《エメリッヒ2.0》。
“ただ壊すのはもう古い!”と言わんばかりの新次元アクション超大作に、映画ファンが熱く燃えるのは間違いない。
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