ヒア アフター
劇場公開日:2011年2月19日
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解説・あらすじ
巨匠クリント・イーストウッドが、死後の世界にとらわれてしまった3人の人間の苦悩と解放を描いたヒューマン・ドラマ。サンフランシスコに住む元霊能者で肉体労働者のジョージ、臨死体験をしたパリ在住のジャーナリスト・マリー、兄を亡くしたロンドン在住の小学生マーカスの3人が、互いの問いかけに導かれるようにめぐり会い、生きる喜びを見出していく姿を描く。脚本は「クイーン」「フロスト×ニクソン」のピーター・モーガン。出演はマット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス。
2010年製作/129分/G/アメリカ
原題または英題:Hereafter
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2011年2月19日
スタッフ・キャスト
受賞歴
第83回 アカデミー賞(2011年)
ノミネート
視覚効果賞 |
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2021年11月23日
映画評論
抑えた色調と抑えた語り口がリンクし、独楽が静まるような求心力を生んでいる
なんと趣味のよい映画なのだろう。「ヒア アフター」を見て、私は反射的にそう思った。紺やグレーや茶色が、実にきめ細かく使い分けられている。どれも地味な色だ。赤や黄色といった強い差し色は用いられない。いいかえれば、これは一種のミニマリズムだ。衣裳も装置も、い...
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映画レビュー
4.0ひとりとひとりが、出会うとき
人は、ひとり(孤独)とどう向き合うか。人と人は、どのように向き合うか。私にとっての「ヒアアフター」は、死者や死後の世界の映画ではなく、そんなシンプルで普遍的なテーマを丁寧に描いた作品だ。(イーストウッド監督らしく)いつもながら、控えめながら深い余韻を醸し出すギターの音色とともに、静かに・ダイナミックに動いていく物語が心にしみた。
津波に遭い生死をさ迷い生還したニュースキャスターは、生の証であったはずのキャリアと恋人を失う。母に省みられず兄を慕ってきた弟は、家族とのわずかな幸運の光が見えた矢先に、支えであった兄を事故で失う。人に触れると知りすぎてしまう男は、他者との深いかかわりを求めつつも、うまく距離を縮められない。…彼らはそれぞれに、孤独を受け入れかね、もてあまし、さ迷う。
そんな彼らが出会いを果たせたのは、もがき苦しみながらも「一歩」を踏み出せたからだ。行き違い・すれ違いから始まった出会いが、彼らの傷ついた心をじわじわと満たしていく。
人は、ひとりだ。だからこそ、他者を必要とする。そんなことを、素直に感じ入ることができる、豊かな作品だ。
追記
2011年3月11日午後2時46分、なだれを打って倒れる自転車にしがみつきながら、思い出したのは「ヒアアフター」のことだった。「ああ、私はもう、あの素晴らしい映画を素直に観ることができなくなるかもしれない。」そう思った。
けれども、今こうやって地震以前の走り書きを読み返していても、むなしさはない。うん、確かにそうだった・確かにそうだ、その通りだ…と強く思うし、わずかな揺れに波打つ心はむしろ穏やかになっていく。よいときに、よい映画に出会えた。改めてそう思う。
4.0格調高い映画
5.0大好きな映画
公開当時、映画館に観に行った。静かに心に残る映画だった。
その年に3.11の地震があり、映画はまもなく上映が終了となった。あの地震がなければ、もっと沢山の人が観ていたかもしれない。
映画館での津波のシーンは、リアルで引き込まれた。
今日久しぶりに3回目を観た。
2度目をめったに観ない自分だが、また観たいなと思わせてくれる。
マット・デイモンを含む三人が、死後の世界を通じて交わる。
寂しい気持ちになる事もあるけれど、最後は幸せを予感させるのがいい。
音数の少ないギターの音色と、少し落ち着いたトーンの映像が、静かに映画に浸らせてくれる。
マットデイモンもさることながら、少し暗い無表情な男の子役の双子がとても良かった。
3.0見る前にいくつか
これは見る前にいくつかのハードルを越える必要のある映画ですね。
・津波のシーンがある(トラウマを抱える人には辛いかもしれません)
・死者と交信できる(死後の世界を肯定している)
考えたら、宇宙人が出てくるは、人の金を盗むは、結婚式で花嫁を奪って逃げるは、、、名作と言われる映画にはとんでもないウソが一つや二つは入っているもので、この作品も「そんなこと言ってたら、映画になんないよ」と、なりますね。
面白いのは、パラレルに展開する主人公たちの人生が、あるきっかけで交わり心が温まるようなケミストリーを生み出すこと。
人気キャスターだった女性が津波の被害に遭い、臨死体験をしたことを本に書くが周囲から冷たい目で見られ辛い思いをする。
常に一緒に行動する双子が交通事故に遭い、独りになった弟が、死んだ兄に会いたくてインチキ霊能者にだまされ続ける。
手に触れるだけでその人に深い影響を与えた死者のイメージを見ることが出来るが、それが辛すぎて隠れて暮らしている元霊能力者。そのせいでガールフレンドすらも去っていく。
この人たちが出逢ったら、何が起きるんだろう?という興味が、最後までワクワクしながらストーリーに惹きつけられます。
クリント・イーストウッドの死生観と、さりげなく心に沁みる上質の音楽、いつもよりちょっぴり苦みをおさえた味付けの演出と、見どころは多岐にわたります。
2017.4.28
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