わたし出すわ : インタビュー
森田芳光監督が13年ぶりにオリジナル脚本で手がけた最新作「わたし出すわ」。東京で成功した女性・山吹摩耶が、大金を手にして故郷の函館に戻ってきた。摩耶は質素な生活を送りながら、高校時代の同級生たちと再会し、彼らの夢や希望を叶えるために大金を差し出していく。そのお金を受け取った友人たちの行く末は、そして無償でお金を出し続ける摩耶の意図とは? 主演を務めた小雪に話を聞いた。(取材・文:編集部/撮影:堀弥生)
小雪 インタビュー
「自分が豊かになることにお金を使うのは、すごくいいことだと思う」

今年は「ラスト・ブラッド」「カムイ外伝」と出演作が立て続けに公開されている小雪。意外にも初めての単独主演作となる「わたし出すわ」を選んだ理由は、「内容に関して興味深かったというのと、お金がテーマでどういう画作りをするんだろうというところに興味を惹かれた」と語る。「出演作を決める理由は、やってみたい監督との出会いもありますし、脚本に対してどう表現できるかという興味もあります。動機はその時その時で、いろいろありますよ」
■悩んだ役作り

今回は脚本を読み、「とても森田さんらしい作品だなと思った」という小雪。「完成した作品よりも、最初の台本ではさらに説明が少なかったんです。これで本当に(観客に)伝わるのかという疑問もありましたし、正直不安もありましたが、作品の持つテーマや見る人の感じ方とかを、あまり説明しすぎず、うまく表現できていると思いました」
摩耶は非常にミステリアスな存在だ。東京に出ていたが、莫大な財産を築いて故郷に帰ってきた。そして、その財産を高校時代の同級生に与えていく。そもそもどのようにお金を稼いだのか? なぜ人に与えるのか? なぜ与える相手は高校の同級生だけなのか? そのひとつひとつに対して明確な解答があるわけではない。断片的な情報から想像していくしかなく、小雪自身も当初はこの役に「悩んでいた」と告白する。
「撮影に入ってからしばらく、役作りはこれで成立しているのか、どのように感情の流れを出したらいいのかと、悩みながら演じていました。監督はストレートに『こう演じてください』というよりも、ニュアンスで伝えてくるので、そこをうまく私がつなげていく作業が、最初の10日間くらいだったと思います。その間は悩んでいましたね」
■ロケ地函館が果たした役割

しかし、そんな状況を救ったのが、ロケ地函館の存在だった。小雪は、「函館でずっと撮影していたら、ある時、(役を)つかめる瞬間みたいなのがあったんです」と振り返る。
「なぜ摩耶は函館という町に執着しているのか、函館の高校時代の友人だけにフォーカスしているのかとか考えたとき、函館特有の空気感、土地柄、そこに住む人たちの人柄みたいなものが彼女を惹きつけているんだということが、肌で感じられるようになった。人間って、感情と行動がそんなにすぐには結びつかないものですよね。大人はそれを結び付けようと考えがちですが、そうじゃなく行動している人間も結構多くて、そういうことのほうが意味があるんじゃないかなと思い始めた。そうしたら、摩耶というキャラクターにあまり気負いがなくなり、楽になったんです」
撮影中はずっと函館に滞在し、その土地での暮らしを楽しんだという小雪。森田監督からも、「函館を楽しんでくれていて、それは役作りしてくれていることなのでうれしい」と言われたそうだ。「ただそこにいて、四六時中時間を過ごすことで、すごく摩耶に近づけた気がしました。撮影の場所ということも、役作りですごく大事だなと思いました」
■お金との付き合い方
また、本作で大きな存在を占めているのは、もちろん「お金」だ。劇中、摩耶からお金をもらった同級生たちの末路はさまざま。お金は時に人を幸せにもするし、不幸にもする。小雪自身が心がけている「お金との付き合い方」とは?
「自分が豊かになることにお金を使うのは、すごくいいことだと思います。たとえば、世界のどこか行きたいところに行って、そこで何かが見たいとかでも、なんでもいいです。そういうことにはお金を使いますよ。あるいは、もし大事な人や家族が大病になったら、お金を持っていてよかったと思うでしょうし、自分が納得できる使い方であれば、どう使ってもいいと思うんです。お金って、セーブするだけが付き合い方じゃない。基本的に自分が満足できれば、それでモチベーションも上がるわけですし。ただ、たまにそれが必要だったかを振り返ってみることも大事だとは思います。振り返ってみて、本当に必要でなければ一掃する。私も、20代の時は何が自分にあっているかとか、何がいいものかとか、見定めるためにいろいろモノを買っていた時期もありましたが、いまは買わなくなって在庫一掃の時期です(笑)。友だちにあげたり、売ったりしてます。人はモノを持てば持つほど、いろんなものを受け入れられなくなるんですよね」
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