ほえる犬は噛まない
劇場公開日:2003年10月18日
解説・あらすじ
「殺人の追憶」が大ヒットを記録し、一躍注目を集めたポン・ジュノの劇場長編初監督作。とあるマンションを舞台に、連続小犬失踪事件をめぐる騒動を描いた異色コメディ。中流家庭の住むマンションに暮らすユンジュは、うだつの上がらない大学の非常勤講師で、出産間近の妻ウンシルに養われながら教授を目指している。近頃マンションでは飼うことが禁止されているはずの犬の鳴き声が頻繁に響き、イラついていたユンジュは、たまたま見かけた犬を地下室に閉じ込めてしまう。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナムは、団地に住む少女の愛犬がいなくなったことを知り、迷い犬のビラ貼りを手伝うことに。その犬は手術をしているため吠えないというのが特徴で……。正義感の強いヒョンナムを、本作をきっかけにブレイクしたペ・ドゥナを演じた。
2000年製作/110分/韓国
原題または英題:Barking Dogs Never Bite
配給:ファイヤークラッカー
劇場公開日:2003年10月18日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
4.0やっぱり、ポン・ジュノ長編デビュー作は何度も見ても面白い!
ポン・ジュノの初長編にあたる本作は日本公開を迎えるまでに3年もの歳月を要した。つまるところ、彼の真の凄さが咀嚼されるまでにはそれだけの熟成、発酵期間が必要だったということになる。なるほど、それもそのはず。この映画はこちらが追いついたと思ったら瞬時に手のひらからすり抜けていく。犬泥棒の追跡劇、女同士の友情、大学講師の悲哀、夫婦間に吹きすさぶ冷たい風など、描かれるエピソードはとにかくジャンルレス。日常生活から浸み出したリアルな描写の一部始終がとにかく効果的に炸裂するのも見どころだ。あと何と言ってもヒロイン役のぺ・ドゥナの「私はここにいます!」と主張するかのようなまっすぐな存在感にはまらずにいられない。彼女が勇気を振り絞る場面に登場する「黄色」もまた鮮烈だ。あれほどの心理描写をアナログで、しかも手応えたっぷりに描けるところも、ポン・ジュノという男が全くもって只者ではないことの証左と言えるだろう。
3.5戦時中は日本も犬を食べてた?
韓国では、昔から犬肉を食べる習慣があり、スタミナ料理として食されてきたが韓国の国会で2024年1月、食用の犬肉を販売することを禁止する法案を可決した。
つまりこの映画が作られたときは韓国では普通に犬の肉を食べていたようだ。
ただ、日本人には肉を食べる習慣がないのである意味、この映画は冒頭からショッキングな映像が流れる。
だから犬に対する考え方から察すると犬を屋上から放り投げて殺すのは平気だったのかも知れない。
ホラーの要素もあるこの映画の中で光っていたのがペ・ドゥナ。
この映画が初主演と言うことだが最初から存在感のある女優さんである。
ドラマや映画をいくつか見たがどの作品でもひきつけられたようにこの作品でもそうである。
管理事務所を解雇されたとき、犬殺しの犯人を追うとき、犬を探す手伝いをしているとき、なによりも犬が食べられそうになったときに助けるときなどどのシーンも心に残るシーンだった。
犬を中心に其れを取り巻く人間模様がたくさん詰められていて凹凸あるストーリーも最後は差し引きゼロの平凡な終わりの印象だった。
それでもつまらなかったと思わせないのは韓国人の犬に対する接し方とペ・ドゥナの演技ではないか?
むかし、新世界で串カツ屋の屋台を引いているおじさんがいてその屋台には犬がつながれていた。
今度、その屋台に行くと犬がいなかったので「おっちゃん、犬、どっか行ったん?」と聞いたら「あんた、今、食べてるやろ」というブラックジョークがあったのを思い出した。
4.5どっちが幸せか?
この映画を見終わってから、監督がポン•ジュノだということを知りました。
のちに「パラサイト」で、アカデミー賞作品賞(2020年)を受賞するポン•ジュ
ノ監督の才能と実力は、「ほえる犬は噛まない」(2000年初長編デビュー)の
時点で、すでに芽吹いていますね。
鼻血や切り干し大根は笑う。笑う。わろーた。\(^^)/
憧れの教授になったものの、人の良いユンジュの気持ちは晴れない。
教授のポストは、2匹の犬の死や飼い主(老婆)の死、ヒョンナムの失職、
浮浪者の逮捕、妻の退職金を使った賄賂など、罪のないものを踏み台に
して得たものだから、心から悦べるはずがない。
権威職についたけれど、秋深まる樹々を寂しく見つめるユンジュ。
一方、当てはないけど、無垢な心のまま木漏れ日の中を歩く仲良し2人。
どっちが幸せか?
こういう、いい映画を見ると
日本映画はもっと勉強しないとダメだな、ということを痛感、ため息。
3.0本当の正義は報われない韓国社会の闇を軽やかに描く
舞台は韓国の巨大なマンションです。そのマンションには管理人オフィスがあり、そこには何人もの管理人たちが仕事をしています。また警備員のおじさんがいるし、小さな売店もある様子です。警備員のおじさんは物置になっている地下室でこっそり鍋料理を作って楽しんでいます。日本のマンションとは随分趣が異なります。
パク・ヒョンナムさんは管理人オフィスで経理や雑用をこなす若い女の子。実家暮らしで、親友は売店の売り子の女の子。悪いやつを捕まえて市民ヒーローになるのに憧れています。
彼女はマンションで発生した連続飼い犬失踪事件に首を突っ込み、1匹の犬の救助には成功しますが、管理人室をクビになってしまいます。管理人室長には彼女の活躍は伝わりません。本当の正義は報われないようです。
本作はパク・ヒョンナムを演じたペ・ドゥナさんのファニーな魅力とポン・ジュノ監督のカラフルな色やモブを使った演出が楽しめます。
マンション住民の若い女性。身重でありながら外で仕事をしています。夫のユンジュは家でゴロゴロしており、無職なのか稼ぎが少ないのか。クルミが好きで晩飯代わりに食べています。殻は夫に割らせます。
彼女は妊娠したというだけの理由で会社をクビになってしまいます。退職金で小さな犬を買い、残りは夫の昇進のために差し出します。
マンションの地下に住み着いた浮浪者の男。捕まえた犬を犬鍋にしようとしたところをパク・ヒョンナムさんに見つかり、暴行を受けた挙げ句、警察に逮捕されてしまいます。おそらく、他の2件の犬失踪事件の罪も被らされるのでしょう。最底辺を生きる者に有無を言わさずすべての罪を被せてしまう構図です。
若い女性や無力な男は浮かばれない、嫌な社会です。
いつも家でゴロゴロしているユンジュは文系大学院卒のエリートです。大学の教授を目指していますが、世渡り下手でなかなかうまくことが運びません。彼は他の住民の飼い犬を2匹殺します。理由は明示されませんが、このマンションは表面上飼い犬禁止になっており、彼なりの正義の執行なのでしょうか。
彼はキレやすい男で、妻とケンカになると手に持っていたハンマーを妻の方へ投げつけたりします。先に教授になったライバルの男が事故死したことを先輩と一緒に笑ったりします。先輩の助言に従い、妻の退職金を大学学長への賄賂にして、無事に後釜の教授に収まります。学長が無理強いしてくる酒も素直に飲み干します。失踪した妻の犬もパク・ヒョンナムさんが見つけてくれ、妻との関係も修復されます。彼の偽物の正義は罰せられません。
弱くズルくキレやすい男には、大学教授としての輝かしい未来が待っています。
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