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東風

劇場公開日:

    東風

    解説

    西部劇のよそおいをかりながら、揺れ動く世界の現実に真向から対決しようとするゴダール映画で〈映画は何をなすべきか〉〈映画とは何か〉の自問が呪誼のごとく画像にぬりこめられている。製作はジャンニ・バルチェッローニ、監督・編集は「カラビニエ」のジャン・リュック・ゴダール、脚本はゴダールと仏五月革命の立役者ダニエル・コーン・バンディ、撮影マリオ・ヴルピアーニが各々担当。出演は「バルタザールどこへ行く」のアンヌ・ヴィアゼムスキー、「仁義」のジャン・マリア・ヴォロンテ、「アントニオ・ダス・モルテス」の監督のグラウベル・ローシャなど。

    1969年製作/フランス・ドイツ・イタリア合作
    原題または英題:Vento-dell Est
    配給:フィルムアート社
    劇場公開日:1970年7月7日

    あらすじ

    ファースト・シーンは一組の男女が草むらで鉄に結ばれている。女性ナレーターの声がかぶり、ドッジシティの鉱山労働者のストライキの話を伝える。社民と修正主義者と極左少数派についてだ。そして戦闘的映画人は〈何をなすべきか〉を自問する。まず革命映画について歴史を紐解いてみよう。いかに革命映画は堕落したのか?〔東風〕タイトル。青年(囚人)とヴィアゼムスキー、八ミリ・カメラの女、カウボーイ・ハットの代表、ライフル銃の実行者(G・M・ボロンテ)とインディアン青年等登場。労働者についての討論。そして代表の闘争形態の欺瞞性が暴露される。彼は労働者の階級闘争を日和見闘争に収斂し、自分は労働貴族たらんとする修正主義者である。〔極左少数派〕はこの犯罪行為に対し〔何をなすべきか〕〔ストライキ〕の挿入。また〔統一〕とは?野外討論会場。(前からタイトルやナレーターの声と前後し六名のアクションがモンタージュ)また(スターリン、毛沢東のカットもこの辺で頻繁に挿入--まるで西部劇のお尋ね者の様に)68年の五月に我々は何を経験したのか?帝国主義と現代修正主義が互に協立するこの時代に……〔これは正しい映像ではない、単なるひとつの映像だ〕パリの労働者と学生の争議の話。〔ストライキ、代表、大会、弾圧、少数派煽動、等のタイトル〕(青年の拷問のカットバック)(交互に鎖の青年とインディアン、騎兵士官のアクション)紛争挑発と失敗の繰り返しは世界の帝国主義者と反動派の論理だ。〔闘争、失敗、再び闘争……かくて勝利の日までこれが人民の論理である〕搾取階級と被搾取階級との闘争におき、共通な真実は存在しない。68年から69年のイタリアで映画を撮ったが、どうやって作ったか?いま批判し、変革する。どんな個人でも錯誤を避ける事は難しい。その錯誤の訂正がマルクス主義教育にとっての一般的活動なのだ。これらを考え、あなたの大衆からの離間を批判しよう。(農場、工事現場、貧民街、住宅地のショット)だがこのブルジョア社会学分析によるシネマ=ベリテは悲惨な人民がいるが、戦う人民がいない。修正主義者、支配者の映像だ。彼等の階級の映像と音でないものを作るには、いかな映画的方法で何をなすべきか?ブレジネフ=モスフィルムやニクンン=パラマウントのものでないもの。〔理論〕ハリウッドの〈夢〉を粉砕せよ!(インディアンと馬と騎兵隊のカットバック)モスクワ映画祭、ハリウッド進歩派を粉砕!(V字型の道の分れ目にグラウベル・ローシャが両手を拡げ立っている。一人の妊婦が第三世界の政治映画の道はどっちと聞き、教えられた道を行くが途中で戻る。それは闘争の複雑さを分析する手段がないから)ブルジョア的上映概念と闘う事、支配者のイデオロギーから生産用具を奪い取れ。〔教育〕〔闘争〕(ライフル銃の男のエピソードと中国の医療制度と文化大革命の話)ブルジョア文化の同盟者たる修正主義知識人を撃て!〔教育〕大学でブルジョア奉仕を学ぶ者たちには我々の社会の席はないし、あるのはブルジョアの所有地内の鎖のついた犬小屋のみ。(真紅の画面のフラッシュ)〈自主管理〉(画面にスリ傷)理論は一度、大衆の中に浸透するや物質的な力となる。〔理論〕〔武力闘争詳細〕バズーカ砲の構造その他。闘士への忠告。〔市民の暴力〕マルキシズム原則は、最終的分析により、次の一句に帰結する〈造反有理〉ブルジョアの永遠の欺瞞と闘い断固、造反すべし!〔世界には現在東風と西風がある。情勢は東風が西風を圧倒している。つまり、社会主義勢力は帝国主義勢力に対し絶対優位……〕(後は読めない)

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    (C)1969 Gaumont – Polifilm – C.C.C. Filmkunst

    映画レビュー

    2.5映画の授業を見ているようだった…。

    2024年1月2日
    PCから投稿
    鑑賞方法:VOD

    知的

    難しい

    寝られる

    挑戦してみてください。でも「時間の無駄だ」と思っても責任取れません。

    大学生が頭でっかちで作った学園祭用の自分達の為の映画のようなんだけど、ギリギリ「ただの学生映画」と切り捨てるには惜しい出来。なんとか最後まで鑑賞できる、否、見方を変えるとひきつけられる出来に仕上がっているのはさすがとしか言いようがない。

    無知で、五月革命も、映画の歴史も知らないでの鑑賞。

    映像と言葉の関係、
    設定と画面の関係
    演出と言葉の関係等をいろいろな角度から何度も再現してみせてくれる。
    そういう点では、表現の可能性を探っているようにも見える。
    と同時に、何を撮るのか、何故撮るのか、どう撮るのかを自問自答している。
    言葉の定義にもこだわっていて、きわめて哲学的。

    「革命」「革命」
    ブルジョア階級と労働者階級との闘争に大変影響を受けているようだがこの点に関しては、ちょっとついていけない。
     (「経営陣が、労働者から搾取して」って、今の日本の現状だと、過労死や過労自死しているのは、労働者より中間管理職や経営陣の方が多いから、「何言ってんだい」と思ってしまう。
     一方でワーキングプアは問題だけど、倒産とかで失職した人も多いから、ブルジョアと労働者のニ者対立構造なんて、今の日本ではそんなに単純じゃないよとしらけてしまった。
     主義主張は時代と共に変化するんですね)

    でも、
    自分の意識を変えて今までにない映画を撮ろう、
    本当に自分が撮りたい映画って?と模索している、
    映画を生み出す意義って?
    と、そのもがきに、次はどうなるのだろうとひき込まれてしまう。

    字幕に流れる言葉と画面が、通常考えるようには一致していないから、そこで思考を止めてしまうと極めて退屈。
     何故このナレーションでこの映像?と思考しだすと、とても面白い。繰り返し、繰り返し観て、感性を磨く映画かな?つい解釈・説明を求めたくなるけど、監督に質問したら、もっとわけわからない論理の羅列をまくしたてられそうだから、それは遠慮しておこうと思う。

    繰り返し、繰り返し観てと書いたが、普通の感覚ではニ度見はする気になれない。
    よっぽどガチガチに煮詰まった時に鑑賞すると、異世界に連れて行かれたような戸惑い(パニック)に出会えて、思考を徹底的に揺さぶってくれる。そんな映画です。

    とみいじょん

    2.0ゴダールと政治7️⃣

    2016年6月7日
    iPhoneアプリから投稿
    鑑賞方法:映画館

    笑える

    知的

    難しい

    マルクス、レーニンを称えよと。

    スターリンと毛沢東は死刑。

    ブルジョワ、イデオロギーに修正主義。

    挙句にはハリウッド否定。

    洗脳映画か?

    2016年、変わったのか?変わらないのか?良くなったのか?悪くなる一方か?

    東風と西風。

    今の勢いはドッチだ。

    万年 東一

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