ホワイトナイツ 白夜
劇場公開日:1986年4月26日
解説
芸術の自由を求めて祖国を捨てたソ連の青年と、自国の政策に抵抗してソ連に亡命したアメリカの青年の友情を描く。製作はテイラー・ハックフォードとウィリアム・S・ギルモア、監督は「カリブの熱い夜」のテイラー・ハックフォード、脚本はジェームズ・ゴールドマンとエリック・ヒューズ。撮影はデイヴィッド・ワトキン、音楽はミシェル・コロンビエ、美術はフィリップ・ハリソンが担当。なお、ライオネル・リッチーが歌った主題歌「セイ・ユー・セイ・ミー」がアカデミー賞主題歌賞を受賞した。出演はミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ、イザベラ・ロッセリーニなど。
1985年製作/アメリカ
原題または英題:White Night
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1986年4月26日
あらすじ
ロンドンから東京に向う国際線が、白夜のシベリアのとある空港に不時着した。乗客の世界的なダンサー、ニコライ(ミハイル・バリシニコフ)は負傷しながらも、身元のわかるパスポートやクレジットカードをちぎってトイレに流した。彼は8年前、人生と芸術の自由を求めてアメリカに亡命し、祖国ソ連では犯罪者となっているのだ。病院のベッドで意識を取り戻したニコライに、KGBのチャイコ大佐(イエジー・スコリモフスキー)が笑みを浮かべていた。「おかえり、ニコライ」。ニコライは重傷者として拘留され、マネージャーのアン(ジェラルディン・ペイジ)は、他の搭乗者と一緒に西側に移されることになった。チャイコはニコライを新装されるキロフ劇場に再び登場させようと考え、その説得役として黒人のレイモンド(グレゴリー・ハインズ)とン連人妻ダーリヤ(イザベラ・ロッセリーニ)の夫婦に彼を預けた。レイモンドは、かつてアメリカの国策に反対し、ニコライとは逆にソ連に亡命したタップダンサーである。だが、亡命当時は優遇された彼も、今ではシベリア公演のみが与えられた「自由」だった。監禁状態同様のあつかいにニコライは、レイモンドとダーリャをKGBの手先だと批難した。芸術の自由を得るために母国を捨てたロシア人と、自国の政治に反発して芸の桧舞台を捨てたアメリカ人。反目しあった2人だが、やがて互いの立場を理解し、ニコライはダンスをすることを了解。公けには意識不明とされたまま、彼はレイモンド夫妻とともにレニングラードヘ移された。一方アンは、ニコライの身柄引渡しをアメリカ大使館に求めたが、交渉は難航していた。レニングラードでニコライは、かつての恋人ガリナ(ヘレン・ミレン)と再会、8年間の時間を2人は感慨深くふり返るのだった。ニコライが脱走を企てたとしてチャイコはダーリャを連れ去った。ニコライはリハーサルを開始した。2人は見事なダンスを繰り広げる。そして彼はダーリャに想いを寄せているように装い、彼女を取り戻した。そのころガリナはニコライのソ連脱出の決心に負け、秘かにアメリカ大使館と接触、脱出工作を手助けした。綿密な計画通りに3人はKGBの目を盗んで脱出を開始。だが、レイモンドはチャイコの日をそらすため、自らオトリとなり、ニコライとダーリャはアメリカ大使館に駆け込んだ…。何日か経ったある日。深夜、レイモンドはチャイコに車で連れ出された。処刑か?不安に襲われるレイモンド。だが、国境にはニコライとダーリャが彼を待っていた。捕虜交換が成立したのだ。レイモンドはダーリャと、そしてニコライと固く抱きあった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- テイラー・ハックフォード
- 脚本
- ジェームズ・ゴールドマン
- エリック・ヒューズ
- 原案
- ジェームズ・ゴールドマン
- 製作
- テイラー・ハックフォード
- ウィリアム・S・ギルモア
- 撮影
- デビッド・ワトキン
- 美術
- フィリップ・ハリソン
- 音楽
- ミシェル・コロンビエ
- 音楽監修
- フィル・ラモン
- 衣装デザイン
- エヴァンジェリン・ハリソン
- アソシエイト・プロデューサー
- ビル・ボーデン
- 振り付け
- トゥイラ・サープ
- 字幕
- 戸田奈津子
受賞歴
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映画レビュー
3.5Say You, Say Me を満喫
正直、踊りには興味ないけど、ライオネル・リッチー / Say You, Say Me から来ました。
前半の飛行機事故~連れ去られるまでの流れはスリルあって引き込まれた。
しかし、よりによって退屈に見ていた「興味ない踊りのシーン」の中に、鍵となる行動があって見過ごしそうになった。一部を言ってしまうと、主人公が状況を打破しようと窓から抜け手紙を渡そうとした部分なんか「まだ踊ってるの?」と軽視してしまいました。。
厳しいKGBの監視に嫌気がした二人に徐々に友情が生まれていくシーンでも踊りが入る。
ミュージカルではないんだけど二人の俳優から「当たり前の役でしょ」と自分に突っ込みを入れながら鑑賞していた。どうしても80年代ということで、亡命というテーマがあるのに「フットルース」や「フラッシュダンス」等と似たノリに感じてしまう部分もある。
後半になると、再びスリルあるシーンが街の美しい情景を挟みながら続くので、私的には踊りが多い中盤が最も退屈でしたけど、トータル的には情のあるいい映画でした。ひたむきに思えたグレゴリー・ハインズの演技、そしてKGB役の人、ニヒルで鋭い役が似合っていた。
個人的に思った。エンディングで流れたSay You, Say Meも、よく考えると途中いきなりダンサブルになる。映画と同じように踊ってるシーンだからって疎かにしちゃいかんぞ!いいフックがあって楽しめただろ?--- 反省。
こうなるとサントラも聴きたくなりますね。
4.5冷戦時代の傑作
3.0ロシアはこの時代のソ連に戻ってしまったか…
ロシアのウクライナ侵攻の現状においては
興味深い作品となった。
先ずは冒頭のバリシニコフの
見事なダンスに心を奪われ、
ダンスに門外漢の私でも、
ハインズのタップと共に魅了される。
しかし、皮肉にもこのダンスシーンが
この作品の欠点にもなってしまった印象だ。
ストーリー展開上は
冗長な構成要素になってしまい、
ラストの脱出シーンの
リアリティを欠いた描写にも
繋がってしまったように思える。
私的には、脱出のアクション面では無く、
例えば、観客披露の最中に乗じて行った
「サウンド・オブ・ミュージック」の
脱出劇のような、
三人の心理面を中心に描いていたら
感動も高まったような気がする。
そして、この作品には、東側の自由の欠如
等、西側のプロパガンダ的要素が
色濃く感じられる。
そもそもが旧ソ連での物語なので、
KGB大佐の暗躍等が描かれるが、それが
現在のロシアをも想起させてしまう。
ロシアは1991年に民主主義を獲得した国の
はずなのだが、まるでこの映画のソ連と
重なって見えてしまい、
ウクライナ侵攻でロシアの自由の欠如を
露見してしまった観点で、
この作品が現代にも意味を持つように
なってしまったのは
プーチンの誤算の一つだったかも知れない。
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