薔薇のスタビスキー
劇場公開日:2022年9月9日
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解説・あらすじ
名匠アラン・レネがジャン=ポール・ベルモンドを主演に迎え、1930年代にフランス政財界を揺るがした「スタビスキー事件」を映画化した実録サスペンス。
1930年代初頭。ウクライナ出身のユダヤ人実業家アレクサンドル・スタビスキーは、支援者のラオール男爵らと組んでビジネスで成功を収め、妻アルレットとともにパリで華やかな暮らしを送っていた。しかしスタビスキーのビジネスは、そのほとんどが彼の軽快な口車と政財界の有力者への賄賂で得た利権を用いた詐欺まがいのものだった。やがて明らかになりはじめた彼の犯罪は、国家を揺るがすほどの一大スキャンダルにまで発展する。
「ガス燈」などの名優シャルル・ボワイエがラオール男爵を演じ、1974年・第27回カンヌ国際映画祭で特別表彰を受けた。2022年、ベルモンド主演作をリマスター版で上映する「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」(22年9月2日~、東京・新宿武蔵野館ほか)で47年ぶりに劇場公開。
1974年製作/117分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Stavisky
配給:エデン
劇場公開日:2022年9月9日
その他の公開日:1975年5月3日(日本初公開)
原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。
スタッフ・キャスト
受賞歴
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フォトギャラリー
映画レビュー
3.5シャロンの薔薇
ウクライナ生まれでユダヤ人だったトロツキーが出てくるんですよ。なぜか唐突に。つまりは、資本主義に取り入って財を成したスタビスキーとの対比が、裏テーマなんだろうなぁ、と思う訳で。スタビスキーはシャモニーの山荘で死をとげる。トロツキーは逃走先のメキシコシティで、スターリンが派遣した刺客によって暗殺される。
ブルー・チームもレッド・チームも、やるこたぁ一緒って事で。
妻に送り続けた薔薇は、中世ヨーロッパで、その香りと美しさが人々を惑わすとして、キリスト教会がタブーとされた花。一方、ユダヤ教の解釈は異なります。旧約聖書に登場する、ソロモンの歌の「シャロンの薔薇」は、キリスト教では別の花と解釈されますが、ユダヤ教では「薔薇」であり、美しく若い女性と彼女への愛情を表すとの解釈。
ユダヤ人であるスタビスキーですから、妻への贈り物となる花は、薔薇以外には考えられなかったんでしょうね。
映画としては、時系列の分かり難さ、ってのが一番の難点でした。特に、トロツキーの登場場面は、完全に時系列を見失ってしまいましたw
4.0香りのない薔薇🌹
沢山の素晴らしい台詞に劇場と、ベルモンドの「舞台俳優」が全開!愛嬌あって女たらしでアクションバリバリのベルモンド、20代の演劇俳優のベルモンド、そしてこの映画のように円熟の舞台俳優。ベルモンドの色んな側面を知ることができました。
時間軸ずらして、彼の近くに居た人達の証言、包帯の彼?と思ったらシャモニーの山小屋にいるベルモンドとワクワクする構成でした。ベルモンド映画常連の2名も確認!これも嬉しかった。
あれだけ沢山の薔薇があっても香りが感じられなかった。妻のためと沢山の白い薔薇で車を飾ったがまるで葬送車だった。薔薇の使い方をあえて表面的にしていることでスタビスキーの嘘っぽさがよく表われていた。でもベルモンドの顔見ると憎めない。
4.0幽霊
スタビスキー事件が起きた時の内閣は
左翼同盟内閣なのだが
1933年12月末にバイヨンヌ市立銀行が倒産し
スタビスキーが疑惑を招く自殺をしたあと
次の内閣も世論を落ち着かせられず
1934年2月6日の暴動で倒れ
このあと右翼政権が続く
ドレフュス事件以来
ユダヤ人問題もくすぶっていたようなのだが
ウクライナ出身のユダヤ人である彼の詐欺事件を機に
フランスは分裂状態が続く
彼の豪勢な生活ぶりと共に
亡命ロシア人(ユダヤ人)トロツキーや
ドイツからのユダヤ難民女性の人生が交錯する
美しきアルレットはシャネルのモデルで
映画ではサンローランが考えるシャネル風衣装を披露
シャネルは模造宝石のアクセサリーも流行らせたが
質屋でもあった彼はその目利きの信用を悪用して
宝石詐欺を思いついたのだろうか
ビシー政権を非難してしまうが
それに繋がってしまう地下水脈のようなものも感じられた
スタビスキーはアルレットにしがみついていたが
本当に愛していたかはわからない
劇場も所有したが詐欺師の彼は総てが演技なのだろうか
彼の人生みたいなちょっと謎めいた映画でしたが
ベルモンドには皆を引きずり込んでしまう
詐欺師の魅力のようなものを感じました
彼の共犯だった人々はその存在を記憶からも抹殺しようとする
語り部となる男爵(ボワイエ)とあの政商にもモデルはいるのかな
3.5ベルモンドの政界スキャンダル年代記
1930年代フランスの政財界を揺るがしたスキャンダの実録もので、監督は、なんと難解映画の代名詞『去年マリエンバートで』のアラン・レネだけど、今回はストレートなドラマです。なんと言っても、1930年代のフランスの上流階級のゴージャスな雰囲気が素晴らしく、そこに食い込む山師的なベルモンドのアクの強さとの対比がうまく表現されています。とは言え、登場人物が入り乱れ、お話も前後するので、ストーリーを追うのがしんどく、本筋とは関係ないトロツキーの亡命エピソードにも尺を取っているので、さらに分かりにくい感じなのは残念。役者では、ベルモンドが、スタビスキーの明暗のある複雑な内面を見事に演じています。アニー・デュプレは、サンローランデザインのドレスを着こなし、艶やかでした。
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