ツイスター
劇場公開日:1996年7月6日
解説
巨大なトルネード(竜巻)の脅威と、それに立ち向かう人々の姿を描いたパニック・スペクタクル超大作。「ジュラシック・パーク」「フォレスト・ガンプ 一期一会」などの世界最高のSFX工房I.L.M.がCGIを駆使して手掛けた、竜巻の映像と音響の迫力が圧巻。監督は「スピード」のヤン・デ・ボン。脚本は「ジュラシック・パーク」「コンゴ」などの原作者でもある作家のマイケル・クライトンが妻のアン=マリー・マーティンと共同で執筆。製作は「マディソン郡の橋」のキャスリーン・ケネディ、イアン・ブライス、クライトンの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは、アンブリン・エンターテインメントの総帥スティーヴン・スピルバーグ、ウォルター・パークス、ローリー・マクドナルド、ジェラルド・R・モーレン。撮影は「マディソン郡の橋」のジャック・N・グリーン、音楽は「マネートレイン」のマーク・マンチーナ、美術は「パトリオット・ゲーム」のジョゼフ・ネメック3世、編集は「太陽の帝国」などスピルバーク作品の常連マイケル・カーンが担当。出演は「死の接吻」のヘレン・ハント、「アポロ13」の、「マージョリーの告白」のジャミー・ガーツ、「ジャングル・ブック」のケーリー・エルウェスほか。
1996年製作/113分/アメリカ
原題または英題:Twister
配給:UIP
劇場公開日:1996年7月6日
あらすじ
竜巻を追う観測チームを率いる女性、ジョー・ハーディング(ヘレン・ハント)は、幼い頃に父親をすさまじい竜巻によって亡くしていた。その彼女を夫のビル(ビル・パクストン)が恋人のメリッサ(ジャミー・ガーツ)を連れ、離婚届けにサインを貰うために訪ねて来た。だが、ジョーに「ドロシー」と名付けられた竜巻観測機を見せられると、ビルの心は騒いだ。それはかつて、彼がジョーたちと同じ竜巻観測者だった頃に考案した機械で、軽い金属球を竜巻の中心に放出し、いまだ知られていない竜巻の内部の動きを調べるものだった。彼が研究半ばでうっちゃったものを、ジョーたちが完成させたのだ。ビルは成り行きからジョーたちのチームに同行することに。竜巻を追うのは彼らだけではなく、彼らの昔の仲間だったジョーナス(ケーリー・エルウェス)も豊富な資金にものを言わせ、ビルのアイディアを盗用した観測機を持って追っていた。自慢げに観測機をマスコミに披露する彼に、ビルは闘志を燃やした。2つのチームは激しい競り合いを演じたが、竜巻の追跡には天性の才能を持つビルたちが一歩先んじていた。小道を走るジョーとビルを、進路を変えた竜巻が襲う。2人は小さな橋の下に身をかがめて難を避けたが、「ドロシー」は車とも竜巻の餌食に。残りは3台。ジョーとビルはメリッサの車に移り、なおも竜巻を追う。湖水の水を吸い上げ、牛をも巻き込む竜巻は、合体してさらに巨大化していく。一行はワキタの町のジョーの叔母メグ(ロイス・スミス)を訪ねてしばしの憩いをとった。ビルは既に本来の目的を忘れ、竜巻チェイスに熱中していた。彼らの追跡はさらに続く。だが、その必死の努力をあざ笑うかのように、竜巻は「ドロシー」を叩き壊していく。氷雨の中、絶望に囚われそうになるジョーを励ますビル。その夜、ジョーは離婚届けにサインすることを決意した。だが一行が泊まった街にも竜巻は襲いかかってきた。ドライブイン・シアターのガレージで難を避けたジョーたちに、さらに恐ろしい報せが届いた。ワキタが竜巻に襲われたというのだ。メグの救出に向かおうとするビルに、メリッサはこれ以上ついていけない、と別れを告げる。ワキタの街は廃墟と化し、メグの家は崩壊寸前だった。ジョーとビルは、間一髪のところで中からメグを救出した。苦しい息の下からメグはジョーに、激励の言葉を送った。ジョーは、メグの家にあった風車の羽をヒントに、「ドロシー」に対する有効なアイディアを思いつく。アルミ缶を切って加工した羽を観測球に付けるのだ。一行は、今や最大級に成長した竜巻に挑んでいった。ジョーナスも後を追うが、ビルたちの助言も聞かずに突っ込み、犠牲となった。ビルとジョーは竜巻の進路に先回りし、「ドロシー」が中心部に来るように設置した。ジョーのアイディアは成功し、データが次々と送られてきた。だが、逃げ遅れた2人を竜巻が襲う。彼らは暴風の中、農家の小屋に体を縛りつけて竜巻が通過するのを待ち、九死に一生を得た。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第69回 アカデミー賞(1997年)
ノミネート
視覚効果賞 | |
---|---|
音響賞 |
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フォトギャラリー
映画レビュー
4.5竜巻の映像が凄い迫力で、竜巻研究に取り憑かれた人達が魅力的
製作総指揮スティーブン・スピルバーグ、ヤン・デ・ボン 監督による1996年製作(113分)アメリカ映画。原題または英題:Twister、配給:UIP劇場公開日:1996年7月6日。
オクラホマ州立大学の研究所にストーム・チェイサーとよばれるチームがあり、レーダー搭載の車で竜巻に接近し、竜巻予知精度向上のため、竜巻発生と移動メカニズムの研究を行っていて、これが本映画のモデルとなっているとか。
何と入っても主役は、竜巻そのものと、その研究に取り憑かれた人達ということで、ユニークであると共に、個人的にとても好きなタイプの映画である。特殊撮影の技術も有ってか、竜巻の映像が凄い迫力で、驚かされると共にその怖さがかなり実感出来た。
その反面、お話はいいかげんというか、極めて予定調和的で、やっぱり主人公Bill(ビル・パクストン)は離婚するつもりだったのに、相変わらず竜巻研究に執念を燃やしている妻Jo(ヘレン・ハント: 1997年に『恋愛小説家』でアカデミー主演女優賞)のところに結局戻る。連れてきたフィアンセ精神科医のMelissa(ジェイミー・ガーツ)が可哀想ジャンと思ってしまった。
観測球が舞い上がらずにガックリきていた主人公たちだが、叔母の家にあった風車の羽をヒントに、アルミ缶を切って加工した羽を観測球に付けることを思い付き、それが竜巻で見事に美しく舞う様は、絵的に鮮やかで、映画的ふぇお見事と唸らされた。
監督ヤン・デ・ボン、脚本マイケル・クライトン 、アン=マリー・マーティン、製作総指揮
スティーブン・スピルバーグ、 ウォルター・F・パークス 、ローリー・マクドナルド、 ジェラルド・R・モーレン、製作キャスリーン・ケネディ、 イアン・ブライス 、マイケル・クライトン、撮影ジャック・N・グリーン、美術ジョゼフ・ネメック3世、音楽マーク・マンシーナ、編集マイケル・カーン、特殊効果インダストリアル・ライト・アンド・マジック、字幕
岡枝慎二。
出演
Joヘレン・ハント、Billビル・パクストン、Melissaジェイミー・ガーツ、Jonasケイリー・エルウェス、Aunt Megロイス・スミス、Rabbitアラン・ラック、Dustyフィリップ・シーモア・ホフマン。
3.5面白かった
『スピード』で名を挙げたヤン・デ・ボン監督の次作ということで大いに期待して見に行った記憶がある。期待しすぎて『スピード』ほどじゃなく、それにしてもなんで竜巻の映画なんだ?と思った。今回は続編の『ツイスターズ』が面白くて、せっかくの機会なので見返した。
観測端末を竜巻に吸い込ませるドロシーの操作性がめちゃくちゃ悪い。ボタンが多すぎるし、遠隔操作もできない。あんなの命がけじゃないと使えないし結局、車をオートクルーズにして1台犠牲にしている。コスト掛かりすぎだ。
若いフィリップ・シーモア・ホフマンが出ている。不細工なナイスガイ役で切ない気持ちになる。また、主人公の婚約者の女の子が、竜巻なんかに無関係なのに死にそうな目に合うし、当然常に後ろ向きで印象もよくないし、本当さっさと帰ればいいのに最終的に恋が破れるし気の毒だ。何一ついいことがなかった。
CGや合成にまだ違和感がある時代だけど、迫力はすごい。
4.0空を飛ぶ 牛が飛ぶ 雲を突きぬけ 渦になる。 これが本場のオクラホマ・ミキサーじゃ!!🍃🌪️
巨大な竜巻を追う”ストーム・チェイサー”たちの活躍を描くディザスター・パニック映画『ツイスター』シリーズの第1作。
オクラホマ州で発生する竜巻を追跡/研究する調査員ジョーと彼女が率いるストーム・チェイサーたちは、新型の観測装置「ドロシー」を携え、新たな竜巻の発生を今か今かと待ち望んでいた。
そこにドロシーの発案者であるジョーの夫ビルが、彼女との離婚を成立させる為にフィアンセと共に現れる。ジョーに離婚届へサインをするよう迫るビル。しかし、そんなタイミングで竜巻発生の知らせがチェイサーたちの下に届く。颯爽と出動する彼らに、ビルとそのフィアンセは渋々同行するのだが…。
ストーム・チェイサーのメンバーである陽気な男、ダスティ・デイヴィスを演じるのは『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』『ハードエイト』の、後のオスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマン。
製作総指揮を務めるのは『インディ・ジョーンズ』シリーズや『ジュラシック・パーク』の、巨匠スティーヴン・スピルバーグ。
2024年8月現在、強い台風第10号は日本の南に位置し、西北西へ向かって毎時30㎞のスピードで進行中。中心気圧は980hpa、中心付近の風速は35m/sとされており、28日には本州に上陸するものとみられています。
そんな台風接近中の今!観る映画はこれしかねぇ!!そうそれは『ツイスター』ッ!!!🌪️🌪️🌪️🌪️🌪️
ストーム・チェイサーたちの命知らずな研究…というか蛮行を描いた本作は世界中で大ヒット。5億ドル近い興行収入を叩き出し、見事1996年の興行収入ランキングでローランド・エメリッヒ監督作品『インデペンデンス・デイ』に次ぐ第2位を記録した。
さらに、本作の影響により気象学を専攻する学生の数は大きく増加。実際にストーム・チェイサーとして活動するものまで現れた。
ロケ地となったオクラホマ州ワキタには「ツイスター映画博物館」が作られ、さらに現在に至るまで数多のパチモンB級ツイスター映画が世に生み出され続けている。まさに”ツイスター特需”とでも言うべき社会現象を巻き起こした世紀末の怪物である。
本作の目玉である秘密兵器「ドロシー」。これは1979年にアメリカ海洋大気庁とオクラホマ大学により共同開発された竜巻計測機器「TOTO」をモデルにしている。現実ではあまり効果を発揮することがなかった装置なのだが、映画の中ではその問題点を上手くカバーし、見事にミッションを達成してみせた。
ちなみに「TOTO」とは「オズの魔法使い」(1900)に登場する飼い犬の名前にちなんで名付けられた。「ドロシー」ももちろん「オズの魔法使い」からの引用である。ちなみに本作の冒頭に登場するジョーの飼い犬は、映画『オズの魔法使』(1939)に登場するトトとおんなじ犬種を用いている。竜巻業界というのは「オズの魔法使い」オマージュに溢れているのだ。
不遇のマシーン「TOTO」から着想を受け、本作の脚本を書き上げたのはご存じベストセラー作家のマイケル・クライトンと、その当時の妻アン・マリー・マーティン。
この映画がおもしろいのは、ただのディザスター・パニックの枠に収まっていないから。制御不能な大災害を前に、なす術もなく戸惑い逃げる人間たちの姿を描くのがディザスター映画の定型だが、本作の主人公たちはあえてその災害の渦中に飛び込み、それを制する方法を探し出す。この構造はディザスター映画というよりもむしろ怪獣映画。竜巻の巨大なシルエットと、全てを薙ぎ払うその破壊力はゴジラも顔負けといったところ。実際、竜巻の唸り声は動物の鳴き声をミックスして作り上げたものらしく、制作陣の間でもこれは怪獣映画だという認識があったのだろう。うーん「ジュラシック・パーク」の原作者が脚本を書くと、やっぱりなんでもモンスターものになっちゃうのね。
ちなみに、本作の監督ヤン・デ・ボンは『スピード』(1994)の後、ハリウッド版『ゴジラ』を手がける為に色々と準備を進めていたのだが予算の折り合いがつかず、あえなく監督から降板させられてしまう。実質『ゴジラ』な本作を監督した事で、彼の無念も晴れた事だろう。…そういえば、結局このハリウッド版『GODZILLA』(1998)を監督したのはローランド・エメリッヒ。ここでもエメリッヒがヤン・デ・ボンの油揚げを掻っ攫っていってるやん!
大怪獣ツイスターを作り上げたのは、史上最強の視覚効果制作会社「ILM」。『ジュラシック・パーク』(1993)でのリアルすぎるCGで世界中の度肝を抜いた彼らが新たに挑んだのは”形なきもの”の映像化。明確な実線で囲まれている恐竜に対し、竜巻とはただの上昇気流な訳でそれ自体は目には見えない。我々が目視しているのは風に舞う塵や砂の集合体なのだ。
このように、明確な線を持たないものをCGで描き出すというのは、当時の技術から考えれば途方もなく困難な事であったはず。にも拘らず、本作のCGのクオリティは驚愕すべきものであり、今鑑賞してみてもなんら違和感はない。ILMの技術力の高さには毎度度肝を抜かされる。
竜巻のクオリティは素晴らしい。だが、本当に褒めるべきなのは空。どんよりと淀む曇り空の違和感のなさである。
カラッと晴れ上がった青空が一変、前触れもなく空の色がセピアに歪む。この竜巻発生時の空のCG描写は凄まじく、どこまでがロケで撮影した本物で、どこからがCGで作り上げた偽物なのか全く判別不可能。空のクオリティが高いからこそ、そこから発生する竜巻の真実味がより増すのである。
これほどまでに素晴らしいCG。これならアカデミー賞受賞間違いなしだろう。…と思っていたのだが、まさかのオスカー像ゲットならず。えっ!じゃあ何が…?まさかヤツが…。
そうです。この年の視覚効果賞を受賞したのはあの『インデペンデンス・デイ』。2度ならず3度までもエメリッヒにしてやられたヤン・デ・ボン。もう掛ける言葉も見つかりませぬ…。
CGのクオリティの高さが本作の面白さに直結しているのは言うまでもないが、実はこの映画がかなりのリアリティ志向で作られている事も忘れてはならない。爆発、氷、風、大破壊と、実物で再現可能なものに関しては出来る限り本物を使用しているのだ。
例えば冒頭でジョーの父親が吹っ飛ばされるのだって、あれ本当にワイヤーを引いて役者さんをぶっ飛ばしているし、クライマックスでのジョーとビルが竜巻に呑まれるシーンでは巨大な車輪のようなものに役者2人を入れ、徐々に回転させる事で宙吊り状態を作り出し、それを逆転させることにより空へと巻き上げれる2人を表現してみせた。
ワキタ大破壊に関してはセット&現地の空き家を本当にぶっ壊すという荒技を披露し、車が竜巻に巻き上げられる描写では宙に舞うのはCG、落下して爆発するのは実車と場面場面で技術を使い分けている。
お気に入りは車が転がってきた家を突っ切るシーン。家の転がりをCGで描いておいて、車が突っ込むところからは実写に切り替え家の中を実際に爆走させる。あの緊迫した状況なのにクスリと笑える面白シーンはこうして生み出されているのである。
このように力技とアイデアを駆使し、実写とCGを最適なバランスで使い分ける。これにより生まれるリアリティこそが本作のキモなのである。
ま、流石に空を舞う牛さんに関しては全CGなんだけどモー🐮
竜巻やCGだけでなく、ご機嫌なストーム・チェイサー軍団にも着目したい。このチェイサーたち、一応は竜巻研究のために危険を冒しているという体裁をとっているのだが、ぶっちゃけただのアドレナリン・ジャンキーたちである。話し声はデカいしカーステレオは爆音だし、とにかく喧しい迷惑集団。
ただ、竜巻の起こるところがあれば場所も時間も関係なく車をぶっ飛ばす彼らの生き方のなんと楽しそうな事か。ジョークを言い合いながらたらふくメシを掻っ込む。こんなん完全に『天空の城ラピュタ』(1986)のドーラ一味の実写化ですやん。そりゃ男の子ならみんなコイツらに憧れますやん。そりゃストーム・チェイサー目指しますやん。
竜巻の迫力はもちろんだが、魅力的な登場人物の数々が本作を名作たらしめているのは間違いないだろう。
まぁぶっちゃけ、ジョーとビル、そしてそのフィアンセであるメリッサの三角関係の描き方については噴飯物の酷さ。視聴者の目線としてメリッサという竜巻素人をメンバーに加えたかったというのはわかるのだが、あまりにも彼女の描かれ方がおざなりで、この3人の恋愛には1ミリも心が動かされなかった。ラジー賞で「興行収入1億ドル以上作品限定最低脚本賞」受賞という不名誉を得たのも納得である。
が、そんなもんはこの映画においては枝葉にすぎない。豪快なキャラクターと壮絶なディザスター、圧巻の映像に大いに楽しませていただきました♪一昔前の大味エンタメ映画ってやっぱ最高やな✨
なお、ジョーダン・ピール監督作品『NOPE/ノープ』(2022)はほとんどこの映画のリメイク。この映画を「意味わからん」とか言ってる人は本作を一度観てみると良い。モンスター版『ツイスター』、それ以上でも以下でもないんだから難しく考えてはいけない💦
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