ジョー・ブラックをよろしく
劇場公開日:1998年12月19日
解説
死神と人間の女性が紡ぎ出すファンタスティックなラヴストーリー。監督・製作は「セント・オブ・ウーマン夢の香り」のマーティン・ブレスト。脚本は「フリントストーン」のロン・オズボーンとジェフ・レノ、「ジュニア」のケビン・ウェイド、「訣別の街」のボー・ゴールドマン。撮影は「大いなる遺産」のエマニュエル・ルベズキ。音楽は「モンタナの風に抱かれて」のトーマス・ニューマン。美術は「カジノ」のダンテ・フェレッティ。編集はジョー・ハッシングとマイケル・トロニック。衣裳は「フェイク」のオード=ブロンソン・ハワードとデイヴィッド・ロビンソン。出演は「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のブラッド・ピット、「バスキア」のクレア・フォラーニ、「マスク・オブ・ゾロ」のアンソニー・ホプキンス他。
1998年製作/181分/アメリカ
原題または英題:Meet Joe Black
配給:UIP
劇場公開日:1998年12月19日
あらすじ
大富豪パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)のもとに突如客がやって来た。ジョー・ブラック(ブラッド・ピット)と名乗る彼、実はパリッシュを迎えに来た死神で、ついでにパリッシュを案内人にして人間の世界を見に来たのだった。娘のスーザン(クレア・フォラーニ)は彼の姿を一目見るなり驚く。ジョーは街で意気投合した青年にそっくりだったからだ。それもそのはずジョーは死んだその青年の肉体を借りてこの世界に降りてきたのだ。その後二人は徐々に愛を深めていく。人間の恋愛を知ったジョーは彼女をあの世に連れて行きたいと葛藤する。苦悩の末ジョーはパリッシュとこの世を後にする。そして彼らと入れ替わりにスーザンと意気投合した青年が彼女の前に姿を現すのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マーティン・ブレスト
- 脚本
- ロン・オズボーン
- ジェフ・レノ
- ケビン・ウェイド
- ボー・ゴールドマン
- エグゼクティブプロデューサー
- ロナルド・L・シュワリー
- 製作
- マーティン・ブレスト
- 撮影
- エマニュエル・ルベツキ
- 美術
- ダンテ・フェレッティ
- 音楽
- トーマス・ニューマン
- 衣装デザイン
- オード・ブロンソン=ハワード
- デビッド・C・ロビンソン
- 字幕
- 戸田奈津子
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フォトギャラリー
映画レビュー
5.0今観ても感慨深い
5.0擬人化された死と一緒に暮らす怖さと 面白み
美しい盛り。若きブラッド・ピット。
涼しい目鼻立ちのクレア・フォーラニ。
そしてやはり重鎮はアンソニー・ホプキンス。
出だしから、登場する俳優たちの硬軟の表情と、その表情のハッとする変化を 絶妙に、そしてコマ送りのごとくに撮る監督。
これは誰だと驚いていたら、あのアル・パチーノの「セント・オブ・ウーマン」を撮ったマーティン・ブレストの作品でした。
ピーナツバターを舐めなめ、ネクタイの結び目には悪戦苦闘し、地球にやってきたばかりの宇宙人のように、慣れない人間社会で不器用な冒険をする死神ジョー。
しかし、まとわりつく迷惑な彼をビル=アンソニー・ホプキンスは突き放せない。ジョーの正体を知っているが故にだ。
人類を絶対的に支配する冥王であるはずのジョーが、体を拝借させてもらっただけのはずの好青年ブラピの人の良さ(=滲み出てきてしまうブラピの好ましい性格) に
こんなはずでは無かったー!と狼狽える=その死神の様子が、それを観る僕たちの微笑みを生むのだが、
さて、結果はいかに。
・・・・・・・・・・・・・
【死は、いつもそばにいた】
10代。初めて同級生が事故や病に没したときには衝撃だった。人は歳を取ってから死ぬものだと思っていたからだ。まさかの同年代の人間の死去が起こるとは思ってもみなかった。
自分の寿命についても考える事の初めてとなった。
20代。いろいろな理由で人は死ぬことを知った。
中年に差し掛かると周囲の知人も親戚たちも次々と鬼籍に入り、
自分も親を看取る年頃になって、自身の老いにも愕然とする。
体も、精神力も、終幕に向かって坂道を転がり落ちるように衰えていることを毎朝・毎夕、実感するようになる。
【棺桶に入らないものは片付けておくべき】
その準備に、僕も入っているのだ。
もう毎日が同僚や仲間たちとのお別れの一瞬一瞬であり、口から出るすべての言葉のかけらが遺言の域に入っている。
その事を、僕はこの年代になってひしひしと感じているのだ。
ビルは、理由を言い出せないままに、昨夜も、今夜も、家族を呼んで夕食を取る。名残惜しさの極みだ。
本作製作時のアンソニー・ホプキンスは、年齢の設定は僕と同年。さすがの名優だ。大会社を運転するように、システム手帳には予定表として「自分の死ぬ日」をスケジューリングしなければならないって事だ。
映画は、
誕生パーティーでのスーザンとの別れで幕でも良かったかも知れない。でも監督はエンターテイメントとして、新社長の追放というオマケを付けてある。これを蛇足と取るか、必須と取るか。
ちょっぴり安っぽいオチのシーンをわざと付け加えるのがマーティン・ブレストのやり方。照れ隠しと、観客の肩の力を抜かせてくれるオマケの部分だろう。
あれが有っても無かったとしても、本編の重厚さと品格は一分たりとも損なわれはしない。
死神は、仕事は完遂するからだ。
そしてこれは言葉のやり取りに輝きを見せる“男映画”の最たるものだ。
本物の豪邸と、邸内の名画と、NYCの街並み。そして各人のステータスごとに誂えられたスーツの、その絶品の仕立ての良さにも目が奪われる。
これこそが細部に手を抜かない監督マーティン・ブレストの真骨頂だ。
スーザン役のクレア・フォーラニは、切れ上がった細い目と肉感的な唇。そして少しエラの張った顔立ち。
ブラピが後日結婚するアンジーを予感させるね。
・・・・・・・・・・・・・
擬人化された死は、不思議クンだった。
映画を見ながら、僕はアパートのベッドに腰かけ、モニターに映る本作を観ながら、「僕の隣に僕の死が、一緒に並んでこの映画を観ている」気分になる。
・・・・・・・・・・・・・
従兄弟をふたり、1週間違いで失った2025年春に観賞。
·
4.0ジョー
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