生きものの記録
劇場公開日:1955年11月22日
解説・あらすじ
一貫して反戦を訴え続けた黒澤明監督が、原水爆の恐怖を真正面から取り上げた異色のヒューマン・ドラマ。町工場を経営する中島喜一は原水爆の実験に脅威を感じ、地球上で安全な場所は南米しかないと考え、家族にも相談しないで南米への移住を計画。しかし息子たちは父の計画に猛反対し、中島を裁判にかける。次第に孤独に追い込まれていく中島がとった行動は・・・。当時35才の三船敏郎が、メイクによりみごとに70過ぎの老人を熱演。
1955年製作/113分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1955年11月22日
スタッフ・キャスト
受賞歴
第9回 カンヌ国際映画祭(1956年)
出品
出品作品 | 黒澤明 |
---|
関連ニュース
永瀬正敏原案・主演「いきもののきろく」3月7日公開 原発事故後の世界で生きる男と女の“喪失と再生の物語”
2024年12月13日黒澤明監督×作曲家・早坂文雄の打ち合わせ音声が残っていた! 12月に世界初CD化
2023年10月9日大島渚監督次男・新氏メガホン!園子温に密着したドキュメンタリー作、5月14日公開
2016年2月16日文化庁映画週間が開催 記録映画部門大賞「先祖になる」などが無料上映
2013年10月8日椎名桔平、内容も撮影もハードな「RETURN」のアクションに自信
2013年8月24日原田眞人監督が若者に提示する“映画の明るい未来”
2013年3月16日
映画レビュー
3.0核の恐怖
「七人の侍」(54)の翌年の作品なんですね。庶民の暮しを脅かす脅威を題材にしているところは似ていますが、かなり違った趣の作品でした。原爆を極度に恐れる主人公・中島喜一(三船敏郎)が滑稽に描かれていますが、これを滑稽と笑ってよいのか、という問題提起なのかなと思いました。1954年、ビキニ環礁で第五福竜丸が被爆した事故が元で作られたそうですが、結果的に世界はその後も核兵器を増産し続け、すでに地球を10回破壊する量だという話もあります。核を極端に恐れる喜一を小馬鹿にする一方、財産の分け前に目の色を変える家族模様は痛烈な風刺になっていますが、「七人の侍」にみられるような痛快な面白さはなかったように思いました。
4.0【”狂っているのは、彼か原爆の恐ろしさを知りつつ、何もしない我々か。”今作は、原爆の恐ろしさをテーマに描いた故、黒澤明監督による、社会派ドラマの逸品である。】
■家庭裁判所の調停委員を務める原田(志村喬)が担当することとなった、家族から出された工場を経営する資産家、中島喜一(三船敏郎)への準禁治産者申し立て裁判。
原水爆に恐怖するあまり、全財産を投じてブラジルに移住しようという喜一と、反対する家族。
原水爆の脅威にますます喜一の心は病んでしまい、彼は家族が当てにしていた自分の工場を燃やしてしまう。
◆感想
・ご存じの通り、今や世界の原爆が仮に全てが爆発したとすると、理論上では、地球は一瞬で崩壊する。この映画作品が制作公開されたのは、1955年という事だが、作品のテーマを考えると黒澤明監督の先見性及び発信したメッセージの重要性が、良く分かる。
・三船敏郎演じる中島喜一が、原爆の恐ろしさを知りブラジル移住を計画するという突拍子もないストーリー展開であるが、その中にはシリアス要素が幾つも散りばめられている。
例えば、本来であれば中島の考えに賛同しつつも現実的な路線を提案するべき家族が、彼の思考、行動をほぼ全否定しようとする姿や、工場の従業員から”自分達だけ助かろうとするのか”と問いただされるシーンである。
<今作のラストも、異様にシニカルで恐ろしい。狂人と化した中島を見舞った原田に対し、中島は”ここに来れば大丈夫・・。ところで、地球にはまだどれくらいの人が居るのか”と問い、答えに窮する原田の前で、中島は太陽を見て”地球が燃えている。”と口にするのである。
正に”狂っているのは、彼か原爆の恐ろしさを知りつつ、何もしない我々か。”・・なのである。>
4.0力強過ぎ
5.0目に見えない脅威は…
水爆実験による第五福竜丸の船員の被爆によって、広島・長崎に続く、またも日本人の
被爆者が出てしまった…
先に、旧ソビエト連邦が核開発を成功した事により、かつて「1国だけが核を持つ」から
「複数国が核を持つ核戦争」への脅威に変わった。
人類を何十回も滅ぼせる核を世界が持つ恐怖に、主人公はおののき、その核の脅威を
周りに伝えるが、伝わらない… 現代で、未曽有の原発事故を起こしたのに、日本人は
続けて原発依存の生活を再開しようとするのも、そうだろう。
10年以上経っても、日本の科学者は「再生可能エネルギー」という物を開発できず
「脱・原発」を実行できない…
この「生きものの記録」は、あまり知られていない作品だが、目に見えない「核に対する
恐怖」よりも、目に見える「核が産んだ原子力怪獣」のいうモンスター「ゴジラ」は
大ヒットし、その後、長きにわたるシリーズとなった。
民衆は「目に見えない脅威」より「目に見える怪獣」という、分かり易い物を
選んだようだ…
映画.com注目特集
3月19日更新
【衝撃の問題作】なぜ世界は「ガンニバル」に熱狂するのか? “絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ
【あまりにオススメされるので、シリーズ未見だけど観てみた】結果は…ハマるまでのリアルドキュメント
提供:ツインエンジン【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI注目作品ランキング
1
ウィキッド ふたりの魔女劇場公開日 2025年3月7日
2
35年目のラブレター劇場公開日 2025年3月7日
3
映画ドラえもん のび太の絵世界物語劇場公開日 2025年3月7日
4
お嬢と番犬くん劇場公開日 2025年3月14日
5
ロングレッグス劇場公開日 2025年3月14日
映画ニュースアクセスランキング
- 昨日
- 先週
1
養女に迎えた7歳の少女の“正体”は、本当に成人女性なのか? 全米を騒がせた実話を基にした衝撃作、配信開始2025年3月20日 09:00
2
実写「白雪姫」“7人のこびと”おとぼけ役は風間俊介「願いが叶いました」2025年3月20日 07:00
3
WEST.主演映画「裏社員。スパイやらせてもろてます」に恒松祐里が出演! 全編関西弁でヒロイン役に挑戦2025年3月20日 12:00
4
【インタビュー】柳楽優弥×笠松将「ガンニバル」完結編を“3つのキーワード”で語り尽くす2025年3月20日 11:00
5
高橋文哉&西野七瀬にもたらした、瀬々敬久監督からの大きな財産【「少年と犬」インタビュー】2025年3月20日 12:00
1
ニコラス・ケイジの変貌ぶりがヤバすぎて主演女優の心拍数が「76→170」に跳ね上がる「一生忘れない」2025年3月11日 18:00
2
櫻井翔×北川景子「映画 謎解きはディナーのあとで」3月29日に放送2025年3月14日 16:00
3
「日曜アニメ劇場」3月16、23日に「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場版2作を放送 30日は「ルパン三世VSキャッツ・アイ」2025年3月14日 18:00
4
【閲覧注意】台湾ホラー「ガラ」5月9日公開決定! 衝撃の日本版ビジュアル&予告編&場面写真を一挙公開2025年3月10日 08:00
5
【第48回日本アカデミー賞】最優秀作品賞は「侍タイムスリッパー」 安田淳一監督&山口馬木也が涙2025年3月14日 22:55