荒野の用心棒のレビュー・感想・評価
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4.0筋書は同じでも…
〇作品全体
黒澤明監督作『用心棒』を参考…というかほぼパクったようなストーリーだけど、画面から受ける印象は相当違う。それは画面からあふれ出る「ギラつき」が大きな役割を担っているからだと感じた。
『用心棒』は黒澤明の名前が既に売れたころの作品で、物語としても時代劇としても、腰の座ったような映像の面白さがある。一方でアクションはド派手、というケレン味もあって、そのコントラストが印象に残る作品だ。
一方で本作。主人公・名無しの男の性格は腰が据わっているけれど、西部開拓時代という北米の黎明期といえる時代で、名無しの男が訪れる街全体から「これから」のギラつきを感じるのが魅力だ。銃撃戦も常にド派手で、名無しの男が捕まってからの急展開するストーリーを含めて、そのギラつき感はあふれ続けている。
そして特に「ギラつき」を感じるのは、登場人物たちの瞳のアップショットだ。クリントイーストウッド演じる名無しの男の鋭い瞳、そして対立する二つの勢力が相手を睨むときの眼光。風によって舞う砂埃や日差しを受けて小麦色に光る肌と汗。『用心棒』とも違う画面からの熱気が、既視感のあるストーリーがあっても強く惹きつける力となっていた。
『用心棒』に限らずリメイク作品は大量に作られているけど、新鮮に感じられるのは単に俳優や特殊効果の目新しさだけではない。画面から溢れる作り手の熱量にも注目したいところだ。
〇カメラワークとか
・画面が暗いシーンが多い。途中まで見づらいなあと思ってたけど、女を助け出した名無しの男が敵に見つからないように早駆けするシーンとかは、その暗さが見つからない理由になってるなと思ったりした。捕まった後に逃げ出すシーンとかもそう。
・ラストの決闘はこだわりをたくさん感じるシーンだった。煙からの登場やそれぞれの表情を短く映していくときの緊張感。5人を撃ったあと、名無しの男が持つ銃の銃身だけが見え画面外へ捌けていくカメラワークも素晴らしい。剣術でいう「残心」みたいな静けさ。
〇その他
・リメイク作品に別の熱量があれば良いけど、大体ないよなあと思ったりした。
・劇伴が良い。冒頭の有名な曲もそうだし、それ以外も。
・爆発とか炎とかの容赦なさがすごい。これちゃんとコントロールできてるの…みたいな迫力がある。画面が暗くて全体像が見えないからってのもあるかもしれないけど。
4.5ここからすべては始まった。黒澤明の『用心棒』を元にしたマカロニ・ウェスタンの嚆矢!
ロードショーのときに観損ねて、
早稲田松竹のときも時間がとれず、
ようやく池袋文芸坐で『荒野の用心棒』を観ることができた。
これまで、何度もVHSやDVDでは観直してきた大好きな映画だが、やはり大画面で観る迫力は段違いに違う(特に文芸坐は画面が大きいからね)。
しかも4Kリマスター。なんていい色! なんていい音!
これで、早稲田松竹で観た『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』と合わせて、ドル三部作はすべて劇場のスクリーンで観たことになる。
ある意味、長年の宿願がようやく叶ったわけだ。
観客席には、それなりに若い子たちもいて、映画が終わったあとで劇場内を見まわしたら、皆さん充足感に満ち溢れた「キラキラ」した顔をしておられた。実にいいことだ。
きっと、出川の電動バイク番組や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の元ネタを観られて、さぞすっきりしたことだろうと思う。
それと、観終わったあとのオジサンたちの挙動が違う。立ち上がるときの立ち方とか歩いていく表情とかが、微妙にカッコつけてるわけ(笑)。
きっと頭のなかでは、モリコーネ・ミュージックが鳴り響いているに違いない。
レオーネを観て不満に思う客なんてそうそういないはず。人生で30年近くにわたって布教に努めてきたが、観て「退屈した」という人間に出会ったことがない。
逆に言えば、レオーネを体験せずに、娯楽映画を語るなんてありえない。
そう思うくらいに、僕はレオーネの映画が好きだ。
― ― ― ―
『荒野の用心棒』は、セルジオ・レオーネの西部劇第一作であると同時に、マカロニ・ウェスタンの最初期の一本でもある。実際には数本の先例やドイツ製ウェスタンもあるのだが、実質、本作の世界的ヒットを受けてマカロニ・ウェスタンの大量生産が始まったわけで、これがなければ、その後のマカロニ旋風も生じなかった。まさに歴史の画期となった一本である。このあと、レオーネは立て続けに2本、クリント・イーストウッド主演で同じフォーマットの西部劇を撮ることになる。人呼んで「ドル三部作」。
その魅力については、『夕陽のガンマン』と『続・夕陽のガンマン』の感想でもうさんざん書いたので、ここであまり書き加えるべきことがない。
(ご興味のある向きはぜひ、そちらをご参照ください。)
まあ『荒野の用心棒』は、まだ新人だった監督のお試し企画であり、イタリアという国のお国柄もあって、やってることはいろいろといい加減だ(笑)。
俳優は、当時はまだテレビ俳優だったクリント・イーストウッドと、あとは多国籍軍の寄せ集め。クレジットで流す氏名は、アメリカ人俳優以外はだいたい偽名。録音は、全員が適当に母国語でしゃべりながら撮って、あとから各国用に吹き替えている。
なにより、ネタとストーリー自体、ほぼ黒澤明の『用心棒』からそのまんまいただいている。
日本の東宝には使用許可申請を出していたらしいが、返事もないまま握りつぶされたので、無許可のままつくったら、後から黒澤らに訴えられて敗訴した(そりゃそうだ、笑)。
一応、これで東宝および黒澤は、本作のアジア興行権と10万ドルと全世界興収の15%を手に入れたので、決して損はしていないどころか、結果的に大儲けしている(『用心棒』より儲かったらしい。今やってるリヴァイヴァル上映でも、ちゃんと東宝とか黒澤家にここで決められたお金って入ってきてるんだろうか??)
でもね、本当に面白いのだ。この映画。
なんなら言いにくいけど、本家の『用心棒』より面白い。
(逆のことを言う人も多いけど、個人的にはそう思ってる。)
なんたって、筋は一緒でも、こちらはバリバリの娯楽ウェスタン。
ネタ感満載のガンファイトと、手に汗握る拷問シーンがあるからね!!
そして、なんといってもクリント・イーストウッドがとにかくかっこいい!!!
重要なのは、ドル三部作は『荒野の用心棒』の段階で、様式美としてはすでにほぼ「完成の域」に達していたことだ。
すなわち、『荒野の用心棒』は単体として、『夕陽のガンマン』や『続・夕陽のガンマン』に劣る作品ではない。これはこれで、完璧な娯楽作品である。
有体に言うと、『夕陽のガンマン』は『荒野の用心棒』のヒーロー・サイドを1号ライダー&2号ライダーに増員して物語を多層化させたものであり、『続・夕陽のガンマン』はヒーローを三つ巴にしたうえ、さらにそこに「戦争」という要素を加味して、善と悪、個と全の境界を複雑化させたものだ。
むしろ『荒野の用心棒』には、シンプルなプロトタイプとして、「レオーネが目指したかった西部劇」の粋の部分が、最も如実に表れているといってもいい。
一番重要なのは、アメリカ西部劇の「娯楽映画としての魅力」をイタリア人(異邦人)の視線から抽出し、ジャンルの「かっこよさ」を純化させた、その手腕だと思う。
極端なクローズアップと、雄大なロングショットの対比。
(峡谷を駆け上がって先回りするジョーの血沸き肉躍るショット!)
ぎらぎらとした汗と誇りと血で汚れた顔(さすがはネオ・リアリズモの国!)。
マッチの擦り方や立ち方、撃ち方、すべてにわたる所作への異様なこだわり。
神がかり的にかっこいい音楽の用い方(さすがはオペラの国!)。
これらは、すべて「もともとアメリカの西部劇にあったもの」だが、それをレオーネが「新たに見出して、極端に拡張/肥大/純化させたものだ。
この作業は、まさに日本人が本格ミステリを受容する際に行った営為にも似ている。
アメリカのエドガー・アラン・ポーによって創始された「謎解きミステリ」は、19世紀末~20世紀初頭にかけてのイギリスで、コナン・ドイルやオースティン・フリーマンを通じて発展を見せ、アガサ・クリスティやF・W・クロフツの登場で最盛期を迎えた。
これを賞賛と羨望の眼差しをもって受容し、「パズラーとしてさらに純化させた」のがアメリカのS・S・ヴァン・ダインとエラリイ・クイーン、そしてアメリカからイギリスに渡ったジョン・ディクスン・カーだ。
で、それらの海外本格ミステリに憧れ、嫉妬し、自分たちでも日本らしい本格ミステリを作らなければ、と情熱を燃やしたのが、江戸川乱歩、横溝正史、高木彬光、鮎川哲也といった世代のミステリ作家たちだった。彼らは、本格ミステリのなかの「トリック」「ロジック」「フーダニット」といったパズラー的要素に集中して、独自の美意識をもって日本人なりの本格ミステリを練り上げていった。
ここで脱線してまで何を言いたかったかというと、
「とあるジャンルの真の面白さは、国をまたがって受容されてこそ純化される」
という真理を言いたかったわけだ。
本格ミステリで起きたキャッチボールによる「パズラーの純化」と同じことが、ここでは、アメリカ、日本、イタリアのあいだで起きている。
とある国の「お家芸」を、別の国の「異邦人の視点」で分析・解釈・再構築するからこそ、魅力の核心が浮き彫りとなり、特性の本質が抽出される。
あたかも、どぶろくが精製されて蒸留酒になるように、そのジャンルのもつ世界共通のスピリットが引き出され、各国の伝統的な映画や文芸に接ぎ木されてゆく。
これこそが、アメリカ西部劇と、黒澤時代劇と、マカロニ・ウェスタンのあいだで起きた「ケミストリー」だ。
日本人は、特にこの「舶来物の異化作業」が得意な国民だといえる。
ラーメン、カレー、洋食、ソフト系パンといった食文化、半導体や家電、洋式トイレといったテクノロジー、交通網や学校教育といった制度設営、あるいは遡れば中国由来の水墨やら仏教まで、ありとあらゆる「舶来物」の本質をきわめて、純化させ、独自の技術へと進化させてきた。本格ミステリもまた然り。
僕は20世紀半ばのイタリア映画にも、似たような「再構築」の能力を強く感じる。
ジョン・フォード、黒澤明、セルジオ・レオーネといった巨匠が、お互いに影響を与え合って、「マカロニ・ウェスタン」という「娯楽西部劇の濃縮液」のような過激なエンタメを誕生させ、さらにはそれが今度は日本の「必殺」シリーズや「荒野の素浪人」へとまるっと還元されてゆく……。なんて美しい話だろうか。
以下、雑感。
●この映画って、主演に最初、ヘンリー・フォンダを招聘しようとして失敗し、そのあとチャールズ・ブロンソンにも、ジェームズ・コバーンにも断られてるんだよね。彼らが断ってくれなかったら、クリント・イーストウッドは今のようなスターダムにはのし上がれなかったし、あの「名無し」のキャラクターも生まれなかったわけで、逆に断ってくれて良かったくらいのものだ(ポンチョや帽子もイーストウッドが自分で買って行ったものらしいので、彼でなければあの恰好にもなっていなかった可能性がある)。
ちなみにこの3人はいずれも、のちにセルジオ・レオーネの映画で主演級の役を得ることになる。あとあと、逃した魚は大きかったと思ったんだろうなあ、きっと(笑)。
●三部作のなかでは一番最初ということもあって、クリント・イーストウッドに『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』ほどの「無敵感」がないのが、逆に本作の「見どころ」のひとつと言っていいかもしれない。
上から見下ろすような感じでいろいろと策謀を練って、街の悪玉一家×2を抗争へと仕向けていくのだが、今回のイーストウッドは結果的にそこそこ失敗もするし、どちゃくそ拷問されるし、仲間にも相応の負担をかける。
彼としては、保安官一家の凄絶な鏖殺劇(皆殺し)も、望んだ結果ではなかっただろう。
イーストウッド側が痛手を受けるぶん、ラストでロホ一味を一網打尽にするカタルシスも、それだけ大きいということになる。
●ひたすらろくでなしで、残忍極まりないジャン・マリア・ヴォロンテのラモン・ロホ(『用心棒』における仲代達矢ですね)は、三部作のなかでは、いちばん「悪役らしい悪役」の役割を果たしているといえる。
周辺をグロテスクな面相のスペイン系俳優で固めるやり口も、マカロニ・ウェスタンの個性としてその後の作品に引き継がれた。僕は、この「奇顔の収集」がイタリアにおいてレオナルド・ダ・ヴィンチにまでさかのぼり得る「グロテスクな面相研究」の美術史的系譜に連なっていると、半ば本気で信じている。
とくにドン・ミゲル・ロホを演じたアントニオ・プリエト・プエルトの顔面インパクトは強烈だ。ちなみにWikiでは、チリ人の歌手アントニオ・プリエートに紐づけられていて、かつそちらに「ドン・ミゲル役を演じた」とわざわざ書かれているが大嘘で、同姓同名のまったくの別人である。
●クリント・イーストウッドの拷問シーンと、その後の傷跡の特殊メイクは、さながらルチオ・フルチ映画でも観ているかのよう。あと、弟のエステバンが、拷問や人殺しのあいだずっと哄笑しているのも結構不気味で印象に残る。
こういう「やりすぎ」の要素(青緑色をしているメキシコ兵の死体とか、脱出するシーンでなぜか爆裂する酒樽のあり得なさとか、自分で煙幕張って出てくる戦隊ヒーローみたいなラストの登場シーンとか)を「クッソ面白い」と思えるか、「くだらない」と思ってしまうかで、マカロニの評価は大きく変わって来るだろう。もちろん、僕はすべてが大好きだ。
●ピストルとライフルに関する性能差に関する会話がラストで生かされたり、途中でバクスター夫人がラモンにかけた「血を吐いて死ね」という呪いがラストで結実したりと、意外に細かいところまで気を遣って作られている。
毎回「ママ~」と泣きわめきながら出てくる子供が猛烈にうざいとか、酒場のオヤジのセリフが説明的すぎるとか、ラストで一度でもヘッドショットされたらどうするんだとか、文句もないことはないが、総じてよく出来た話だと思う。
●でも、発表された当時、何が観客にいちばん巨大なインパクトを与えたかというと、それは撮影技術でも、ストーリーでもなく、エンニオ・モリコーネの音楽だったのではないか。
それくらい、この映画における音楽の魅力と、場面場面での支配力は際立っている。
ここから、モリコーネの神話もまた始まったのだ。
4.0オリジナルがあまりにも偉大すぎた‼️
この作品は今でこそマカロニ・ウエスタンの最初の傑作、または「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」と続くイーストウッド扮する "名無しの男" を主人公とした「ドル箱三部作」の記念すべき第一作として名高いですが、公開当時は黒澤明監督の超傑作「用心棒」のパクリ西部劇として登場したんですよね‼️本編を観るとそのパクリ具合はあからさまで、ストーリーはもちろん、エピソードの一つ一つや、「棺桶二つ、いや多分三つだ」みたいなセリフまでパクッてる‼️棺桶は一台多いですけど‼️エンニオ・モリコーネの口笛のような音楽や、刀対拳銃を拳銃対ライフルに置き換え、ポンチョの下に鉄板を隠した防弾チョッキのアイデア、凄惨なリンチや虐殺シーンなど、娯楽映画としてヒジョーに面白いです‼️ただ不幸なことにオリジナルがあまりにも偉大すぎた‼️黒澤の演出とレオーネの演出、三船さんとイーストウッド、仲代達矢とジャン・マリア・ボロンテ、佐藤勝さんの音楽とモリコーネの音楽、すべてにおいて「用心棒」が勝ってる‼️そして映画史を考えた場合、黒澤明監督の「用心棒」をパクッた「荒野の用心棒」が大ヒットし、マカロニ・ウエスタンが映画ジャンルの一つとして確立して一時代を築き、今作よりセルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッドのキャリアも始まったわけで、やはり黒澤明は世界最高の映画人ですね‼️
4.0西部劇は避けがちなのだが、なんと、期待以上に良かった!オープニング...
2.5映画そのものより映画のエピソードのほうが面白い
5.0出ました🚗 ³₃
3.5山田康雄の声の懐かしさ
3.5タイトルなし(ネタバレ)
19世紀のニュー・メキシコ。
米国流れ者ジョー(クリント・イーストウッド)が立ち寄った町は銃を扱うロホ一家と酒を扱うバクスター一家が対立していた。
この両者対立を手玉にとってひとつ銭を稼ごうとジョーは思いつく・・・
といったところからはじまる物語は、黒澤明監督『用心棒』の翻案。
で、本家の映画もそうなのだが、どうにもこうにも陰惨な感じが否めない物語で、主人公ジョーがイイモンかワルモンか当初はっきりしない。
輪をかけて悪いのは、対立する両家のどちらに肩入れしていいのかが観ていてわからない。
なので、前半はあまり面白くない。
面白くなるのは中盤からで、ロホ家の弟ラモンがかこっている人妻マリソルを助け出そうとジョーが乗り出してからで、イイモンの面が前面に出てくる。
映画の画面が派手になって来るのは、ロホ一家がバクスター一家に夜襲をかけてから。
映画も、ジョーvs.ロホ一家と構図がはっきりして面白くなる。
映画的に面白いのは、酒場のオヤジで、最後の決闘のきっかけになるが、決着をつけるのもこの男。
このあたりの役どころをキッチリ書いてあるのが、いい脚本といえます。
3.5ザ・西部劇
イタリア産の西部劇マカロニ・ウエスタン、ドル3部作の1作目。
イタリア産ですが、世間一般の西部劇のイメージはマカロニ・ウエスタンが作り上げたモノなんじゃないでしょうか。
西部劇といえばコレな音楽、カッコつけたイキな銃さばき、拍車の付いたウエスタンブーツ、ウエスタン扉、いかにも西部劇に出てくるようなバーや町並みも、
本国アメリカ産よりウエスタンが強調されてるような、ウエスタンへのフェチズムを感じます。
『夕陽のガンマン』2作目
『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』3作目
『荒野の用心棒』1作目
の順で観たけど、つながっていないので全く問題なかった。
ドル3部作の中で1番好きです。
ストーリーが分かりずらくて、どっちの味方?あっち側?こっち側?と混乱して、おおまかに理解したまま観てて、あまり脚本的には楽しめなかった…
でも、カッコ良かった。
まだ観てない方に、オススメです。
黒澤明『用心棒』のリメイクらしいけど『用心棒』は観てない僕のレビューでした。
4.0ボコボコにされてからが勝負!
大変な目にあってから、手負いの虎?熊?のように怪我を治し体を休め一人リハビリをして準備万端!
冒頭は、日本の時代劇だったら(黒澤明の「用心棒」見てません・・・)こんなキャラクターでこんな衣装でこんなセットでこんな脚かな~と思い浮かべながら見たので二倍に二重に楽しめました。それから(私も)少し眠って休憩をとって後半戦に向かいました。クール!口数少なく言われたことはちゃんと覚えているイーストウッド、撃たれても撃たれても立ち上がる!仕掛けはあってもびっくり!
カメラが素晴らしかった。暑さの中ふらふらする側からの視界ってこんな感じだろうというのがリアルだった。モリコーネの音楽にはイタリアのカンツォーネが基にあるんだろうなあと思いながら聞きました。棺桶おじさんが、倒れた沢山の死体の身長を紐でひたすら計って満足げに仕事していた風景は笑えた。誰が棺桶代金払ってくれるのかなあ?
この映画と全然関係ない「続・荒野の用心棒」でも棺桶が重要な役目を担っていた。フランコ・ネロがずるずる引きずる棺桶。その意味も役割も異なりネロ=ジャンゴもかっこいい!
3.0いかに元ネタ
4.5面白かった
5.050年近く再三観てきた筈なのに、面白さに衝撃
元が「黒澤監督作品の『用心棒』の(無許諾)翻案作品」として認識された経緯と、亜流西部劇といういかがわしさ漂う印象から、格下のB級的扱いに甘んじた作品というイメージがある。
それが、今回テクニスコープのワイドスクリーンでの、半世紀以上ぶりの公開実現を知り、身震いした。
上記の事情により、権利元である黒澤プロの許可なくして劇場公開は不可能なため、今回は極めて異例と言える。
念願の劇場初鑑賞を果たした今回は、ストーリーラインこそ原案「用心棒」に添ってのモノではあるもののテンポの良い演出と、洗練された映像は飽きさせる事なく、まるで初鑑賞作品の如く引き込まれた事に、自身驚きを覚えるとともに感嘆させられた。
TV初放送以降、再放送、ビデオ、LD、DVDと形を変えて何度となく繰り返し鑑賞している作品である事を忘れる。
初期LDまではトリミングのスタンダードサイズ状態でしか観られなかったのが、後期にワイド版でも発売され、テクニスコープの画角を生かしての構図や演出の全貌が初めて分かった気がした事が記憶に残っている。
その後、イタリア旅行の機会に現地でマカロニ関連モノが手に入るのでは無いかと考えて期待していたが、向こうでは何かを見つけることは出来なかった。
更にその後、初期イタリア発売版のオリジナル伊版DVDにて、ガンマン三部作とワンスアポンナの2作品目までを個人輸入で手に入れる事が叶った事で、「これで念願を果たして一区切り」と考えていた、筈だった….
正直、今回はどちらかと言えば先行上映されたうちの「夕陽の..」の方にウエイトを置いての鑑賞のつもりだったのに、蓋を開けてみたら「荒野の用心棒」にグイグイ引き込まれてしまった。
まるで、初鑑賞作品の如く(暫く観ないでおくようにしてはいるので)、修復された画像の綺麗さも手伝い、新鮮さを覚える程。
そういえば、数年前に超絶的な修復を遂げた『続荒野の用心棒』を劇場鑑賞した際にも、同様の感覚を覚えた事を思い出す。
あと、タイトルの方は“we can fight”で、
劇中のは“with the wind”だったりとかも再認識した。
蛇足ながら、
“無許諾制作”の件については、制作サイドから「事前の打診」の文書が東宝宛に送られていたにも関わらず、東宝がこれを黙殺して黒澤サイドに伝えられないままだったという事が後に発覚している。。
イタリア側はダメ出しの返事がなかった事で、勝手に可と解釈して制作に踏み切ったというのが真相。
この件から、黒澤サイドは東宝に不信感を抱く結果となり、長年のパートナー関係の解消へと発展していく切っ掛けとなったとされている。
5.0マカロニの原点
4.0黒澤明の用心棒と比べると・・・
2024年劇場鑑賞66本目。
パンフレットないかもと思いましたが三作まとめてあったので良かったです。
西部劇は好きなのですが自分からこれ観ようと思って見ないので結構名作でも観てないのはたくさんあり、今回のドル箱三部作はどれも多分未見なので鑑賞することに。
用心棒のリメイクではなくオマージュということで、完全に一緒というわけではないし、なんなら東宝から訴訟されてるのでやっぱり黒澤明の用心棒に比べると主人公の立ち回りの雑なところや、動機もあやふやなところがあります。三船の侍には正義を感じられたのですが、この主人公は金なのか?と思う所もありました。多分酒場の親父いなかったら殺されてた人いそうだし、酒場の親父が主人公かばってるのに感謝してなさそうな感じだし・・・。
後西部劇特有のお腹撃たれて即死の雑な当たり判定と侍の達人具合を比べるとカタルシスが違うなぁというのはあります。
それでもエンリオ・モリコーネのあの曲は家に帰っても口笛吹いちゃいますね。
4.5口笛
さすらいの口笛を聴いたとたん鳥肌が立った。
クリント・イーストウッドの鋭い眼光が
渋くて格好いい。ピストル裁きも。
ベッカムを彷彿させる。
監督のセルジオ・レオーネの演出も上手い。
下から録るアングル。空の色、影、ブーツ等々。
用心棒のリメイクで西部劇に置き換えるとは。
銃声、爆発、煙、馬の走らせ方、ハッタリのセリフ、画面に釘付けになる。
臨場感も感じさせる顔半分の照明の当て方。
マカロニウエスタンの金字塔。
そこにエンニオ・モリコーネの音楽。
大音量で聴けて浴びれる喜び。贅沢である。
もしモリコーネでは無かったら、別物になって
いただろう。
この3人が揃ったから成し得た映画。
とても60年前の映像と音響とは思えない。
復元に死力を尽くして細かい作業をして頂いた方々に感謝。
主役、悪役、脇役、音楽、何処を観ても
素晴らしく愛おしい。
傑作とはこういう映画である。
映画館で観賞出来る有り難さを改めて
感じる作品でした。
5.0ガンマンがそこに立っている
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映画.com注目特集
3月21日更新
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