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茶の味

劇場公開日:

解説

「鮫肌男と桃尻女」で鮮烈なデビューを飾り、「PARTY7」で邦画の新時代を切り開いた石井克人監督、4年ぶりの作品。それぞれ心にモヤモヤを抱えた家族が繰り広げるユニークなエピソードの数々を、美しい田園風景を背景に優しく綴る。出演は、浅野忠信、我修院達也、手塚理美、三浦友和など。2004年カンヌ国際映画祭監督週間のオープニング作品として、正式出品された。

2003年製作/143分/日本
配給:クロックワークス、レントラックジャパン
劇場公開日:2004年7月17日

あらすじ

山間の小さな町に住む春野家の人々は、それぞれモヤモヤとした小さな何かを心に抱えている。長男の一(佐藤貴広)は、片思いの女の子が転校してしまったショックに打ちひしがれていた。後悔の念を乗せ、一の妄想なのか電車が走り去っていく。告白どころか、一度も声を交わしたことすらなかったのだ。もっとも声をかける勇気なんて初めからなかったのだが、そう思うとなおさら自分のふがいなさを後悔する日々・・・。一方、小学校に入学したばかりの妹、春野幸子(坂野真弥)の悩みは、ときどき巨大な自分の分身が勝手に出現し、家の庭先や、学校の校庭で自分のことをじっと見下ろしていることだった。「一体いつになったら、あの大きな自分が目の前から消えてくれるのだろう。」誰にも言えない小さな葛藤が、幸子を憂鬱にさせる。子育ても一段落した母の美子(手塚理美)は再開したアニメータの仕事に没頭し、他のことは上の空。引退したアニメーターであり春野家の祖父、アキラおじい(我修院達也)の指導のもと、日夜アニメ『スーパーBIG』のキャラクターポーズ研究に余念がない。催眠治療士である父のノブオ(三浦友和)は、アキラおじいと美子が自分に分からない世界で仲良くしているのが面白くなく、夫婦間に微妙なミゾを感じている。ある風の強い日、美子の弟、アヤノ(浅野忠信)が実家である春野家に帰省する。東京でスタジオミキサーをやっているアヤノは、今度こそ自分を振った元恋人、寺子アキラ(中嶋朋子)のところに行って、「結婚おめでとう」と一言、伝えたいのだ。長い橋の向こう岸に彼女が夫の実家を手伝っている八百屋があるのだが、どうしても橋を渡ることが出来ない。すごすごと春野家に戻るアヤノ。同じ日、一には女神が舞い降りた。美しい転校生・鈴石アオイ(土屋アンナ)が同じクラスに編入してきたのだ。一目ぼれの一。囲碁部にアオイが入部したことを知った一は、えもいわれぬ恋の衝動に突き動かされ、自転車を飛ばし、囲碁部の部室で碁を打つアオイを植え込みからそっと覗き込む。一方、幸子はアヤノ叔父さんが前に言っていた「呪いの森」の話を思い出していた。叔父さんは子供の頃、血だらけでうんこを頭に乗せている刺青男(寺島進)の幽霊につきまとわれていたという。鉄棒で逆上がりが出来たら消えちゃったと言っていたけれど、自分も逆上がりが出来たらあの大きな分身が消えてくれるのかも、と考える。ある朝、幸子は作りかけたまま放置された山の中の公園に行って、鉄棒をやってみようと決意する。茂みをかきわけながらたどり着いた公園には、幸子のために用意されたかのように錆びた鉄棒がポツンと立っていた。同じ朝、アヤノは勇気を奮ってとうとう橋を渡りきる。アキラと久しぶりに会えたものの、二人の間にはぎこちなく、気まずい空気が漂う。しかし、やっとのことで「おめでとう。」と言えたアヤノの気持ちは、久しぶりに晴れ晴れとしていた。東京では、ノブオの弟、漫画家の轟木一騎(轟木一騎)が悶々としていた。本業に身が入らず、アシスタントにちょっかいを出すが逆にボコボコにされる。日々の満たされないキモチを何かで埋めようと、自分への誕生日プレゼントとして自主制作CDを作ることに。アヤノとアキラおじいと担当編集者を巻き込み、『山よ』という踊り付きの歌をレコーディングする。やがて春が過ぎ、初夏の始まりを告げる暖かな雨が降る。囲碁部に入部した一は、放課後アオイと偶然二人きりになる。二人で打つ碁。それは一の夢見た風景だった。雨の中、相合傘で帰る通学路。そして、アオイが乗ったバスを一は傘もささずに追いかける・・・。美子は『スーパーBIG』で担当したパートのララッシュ試写を迎えていた。カウントが始まり、自分の画が命を吹き込まれたように動いていく。達成感と仕事に復帰できた安堵感で、スタッフの祝福の中涙ぐむ。その報告を電話で受けたノブオは、家庭から仕事へシフトする美子の気持ちに少し複雑な感情を持つのだが、反面誇らしくも思った。また、自分の担当患者(和久井映見)も快方に向かいほっとする。幸子は縁側でうとうとしていた。なかなか逆上がりは出来ない。そのせいか巨大な分身は消えてくれなかった。そして、巨大な分身が庭から出てきた。夢うつつの中で、ふと目がさめるとオジイの離れの窓が開いている。いつもは私が見ると絶対オジイは窓を閉めるのに・・・。背伸びして覗いた部屋で、オジイは静かに倒れていた。それぞれの部屋の小さな葛藤が穏やかに収束していく中で、家族をやさしく見守っていたのはアキラおじいであった。葬式が終わり、オジイの居た離れの間で家族が発見したものは……。

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映画レビュー

4.5最後にガツンとやられちゃった

2024年2月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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山と畑しかないような田舎に暮らす春野家の人たちの一時ととらえたハートフルシュールコメディ。

自分好みで面白かったんだけど、何が良いって、春野家の人たちが、嘆いたり文句を言ったり、ましてや怒鳴ったりしないのが良いよね。
だけど、ちょっとした悩みはあって、それを克服すべく一歩踏み出すストーリー。
悩み自体は誰にでもあるような些細な、悩みともいえないようなことで、そこに特別さがないのも良いよね。

映画でよくあるパターンだと、現状を打破するためのトラブルやきっかけがあって、それがドラマとなり前に進むものだが、「茶の味」に関してはそれがないのがまた良いよね。
誰にでもあるような悩みは特別なことなどなくても前に進む。つまり、すごくシンプルな人間の成長の物語なんだな。

全体的にまったりとしたストーリーを刺激的にし、ドラマチックさや瞬間的な楽しさを出すために、奇抜な映像表現とやけに豪華なキャストがある。ただの自然の風景も美しかったけどね。
全身刺青で血まみれの男役の寺島進さんは特に最高だったな。
一言も発さない寺島進さん。ただ立っているだけの寺島進さん。じっと見つめてくる寺島進さん。頭にウンコのせた寺島進さん。もう爆笑だった。
映像の方では、何度か出る、真っ暗闇の中を走る電車の場面が幻想的で良かったね。窓から漏れる明かりだけが浮かび上がって夜空を飛ぶ銀河鉄道みたいだったよね。

そして、ただのファンキーなコメディ担当の老人だと思っていたお爺の残したアニメーションは感動的だった。
家族が成長し喜ぶ瞬間がお爺の喜びだったんだな。
山に見守られる中で僅かな成長をみせる春野家の人々。家族の成長をただ見守るお爺が山だったんだ。
幸子はお爺に少しだけ背中を押されて逆上がりができるようになった。
電車の中でハジメを見守る父は新たなお爺を予感させる。
毎日当然のように訪れる夕日を見るように、特別ではない成長を見守る山がある。

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つとみ

5.0どくとくだね~感覚で観る⁉️

2024年1月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

幸せ

何ともまぁ~ハチャメチャなバラバラな各シークエンスながら筋の通った展開❗️
シークエンス中には変な(可笑しな
)演出が有る。
そんなそんな、ヘンテコな作品なのに何とも心地よい、(私の場合)ストレスが溜まりまくっている時等、無性に観たくなる作品の1つ
松山ケンイチさん、土屋アンナさんのべらぼうに若い時が見られる。
廣野秀明さんも出ています。
今年この作品で初笑い❗️
PS :我衆院達也さんが、強力です。🎵何で貴方は三角定規なの🎵

too-ku-o

3.0自然豊かな駄話

2023年3月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

楽しい

幸せ

萌える

宮崎駿の『となりのトトロ』みたいな雰囲気がする田舎町に『火垂るの墓』での清太と節子のような兄と妹、まぁそれと関係はないけれど監督の前二作より地味に思えながらも石井克人の集大成的、監督の世界観が前面に常連俳優を散りばめながらプロパーな三浦友和と手塚理美はTVドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」でも夫婦役、贅沢な樹木希林にSMAP時代の草彅剛と武田真治に和久井映見はチョイ役で、相武紗季と立派になった高橋一生や松山ケンイチ、尾野真知子に菊地凛子と贅沢で豪華な出演陣、この頃の土屋アンナはクリスティーナ・リッチみたいで可愛かった、家族の物語を中心にそれぞれの群像劇としては御粗末な纏りの付かない短編集のようで、監督の得意に思える身内ノリが微妙に笑えないのが相変わらずな石井克人かと。

子役の二人と我修院達也、そして浅野忠信がいるからこそ映画としてギリギリに保たれている、逆上がりの練習と達成には少しの感動が!?

公開当時にフォーラム仙台にて鑑賞。

万年 東一

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