A2
劇場公開日:2002年3月23日

解説
オウム真理教の広報・荒木浩に密着して撮ったドキュメンタリー「A」で、邦画界のみならずマスコミ界に強い衝撃を与えた森達也。あれから3年。「続編はありえない」との自らの言葉を翻して、再び森がオウム・ドキュメンタリーを製作。マスメディアが伝えないオウム排斥運動を通して、この病んだ日本を直視する。
2001年製作/131分/日本
配給:「A」上映委員会
劇場公開日:2002年3月23日
あらすじ
2000年10月。オウム改名“宗教団体アレフ”の広報部長に就任した荒木浩は、『A』以降の心境をカメラに語る。それは、地下鉄サリン事件直後よりも、むしろこの1年のほうが社会からの憎悪や排除を痛感して辛かったとの告白だった。1999年10月、群馬県藤岡市のとある廃工場に多くの信者が移住した。県警は施設前に常駐し、住民たちは近くに監視小屋を建てる。信者の乗る車を襲撃したり、施設へ投石する“過激派住民”もいる。施設退去の準備をする信者に協力する人々もいる。一緒に撤去作業をする住民と信者たち。その周りにいるテレビクルーや新聞記者ら。しかしこの光景が報道されたことは、これまでに1度もない。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
2.5烙印を押された教団に対する怨嗟の出どころ。笑顔
内容は、前作「A」の続編になる。あれから3年の教団名変更から、上祐史浩氏元教団広報部長の釈放、教団の分裂から全国各所に支部移転。警察・住民・右翼・教団内部など様々な角度から投げ掛けられる憎悪の声がある種滑稽な呪いに思える。その中で近隣住民との親和性が確立されたらする多角的な見方が出来る作品。印象的な台詞は『最終的に精神的な意味で融和出来ないと思うんです・・』最後のモリタツの意見に黙り考え込んでしまう広報副部長の顔が考えを辞めてしまった様に見えて怖かった。印象的な状態は、やはり教団関係者内部から撮影した貴重な映像は面白い。実際に記者会見や本でしか知らない人間にとっては新鮮だった。各種マスコミの偏向報道や更に拍車を掛けられる住民との不協和と共存。そんな内側からの取材は、音声が聞き取りづらいのが残念ですが、臨場感があって楽しめました。現在2023年では事件を知らない年代も増え風化している様に感じます。そして信仰の自由の義務と責任を背負い今尚活動をしているアレフ関係者には、凄いとすら感じます。正に内部の人間は清廉潔白で修行に没頭する普通の市民ですが、あまりに印象深い事件を起こした一部教団関係者の烙印により弾圧の対象となっている様は、群集心理に起因するものだと感じました。印象的な情景は、最後の移転先教団の鉄の門扉を閉める場面を内側から写した映像で締めくくられていて、それが現世との隔絶を表してら様に思える場面です。一般社会との見えない壁の具現化として拒絶の様に思え折り合いのつかない平行線が空しさを感じました。今回の作品は教団に対する批判や称賛を色々な角度から映していて面白かったです。特に面白かったのが右翼団体の新年行事で、全員がヤクザっぽいコスプレ感が違和感を覚えました。中々一般の人が入らない所への取材はコミュニケーション能力の高さが必要なので、話術もさることながら感情に訴える事の上手い二人組だなと感心します。特にドキュメンタリー映画『ゆきゆきて神軍』は、当時の自分の度肝を抜いた作品で熱量を感じたのを覚えています。今回の作品で当時の自分自身の背景を思い出したり、懐かしんだり一体全体オウム真理教とは何だったのか?新興宗教の自由と義務にと権利について考えるきっかけになる作品だと思う。作者の意図として自分は『A』『A2』を通じて様々な角度から組織や個人の笑顔に重点が置かれ、コミュニケーションツールの笑顔ですらも各々の関係性が融和出来ない軋轢を撮りたかったのかもと感じた。
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