また逢う日まで
劇場公開日:1950年3月21日
解説
東宝製作再開第二回目の作品で、製作は坂上静翁。脚本は「女の一生(1949)」の水木洋子と八住利雄(八住利雄の近作に「白雪先生と子供たち」あり)の協同で「青い山脈(1949)」「女の顔」につぐ今井正が演出する。カメラは「地獄の貴婦人」の中尾駿一郎担当。主演は「女の顔」「東京無宿(1950)」の岡田英次と「続不良少女」の久我美子で、それに「暴力の街」の滝沢修、河野秋武、「銀座三四郎」の風見章子、「妻の部屋」の杉村春子が出演する。
1950年製作/111分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1950年3月21日
あらすじ
昭和十八年。日本に住むすべての人々は、狂気に似た戦争のるつぼの中へ巻き込まれた。三郎と螢子が、はじめて逢ったのは空襲警報の鳴り渡る街の地下鉄のホームであった。もみ合う人、人、その中で押し倒された若い二人の指がふとふれあった。盲目にされている戦争の最中で、人間としての青春の、愛情の喜びを得たいと願う、それは美しい心のふれ合いだった。燃え上がる愛情は日に増した。だが、時は一刻の猶予もなく、戦争の遂行のために進んでいた。三郎は母のない冷厳な法務官の息子である。兄二郎は、かつて夢多い青年であった。だが今は陸軍中尉の軍服がぴったりと身についた青年将校で、三郎にとっては悲しい存在であった。長兄の一郎は戦争で死に、その妻の正子は、三郎の家ではあわれな奴隷であった。父も兄二郎もそれはあたり前だと思っていた。この家庭、この雰囲気、三郎はたまらなかった。それに反して、螢子の家庭は、母と二人、螢子の先生のアトリエに留守番として住んでおり、螢子は小さな画家の卵として、貧しい生活のために、似顔を画いていたし、母は工場に勤め、この母と子はあふれるほどの愛情に満ちていた。三郎は明るい螢子と逢っているときだけが、幸福を身に感じるときだった。だが二人は、目に見えない戦の大きな黒い手の中で、やはり身動きできない二人だったのだ。三郎の友人は次々と召集された。二人は追われる様な日々を過ごした。そしてついに三郎に赤紙が来た。あと二日、螢子の描いたつたない三郎の肖像画が、ただ一つの思い出として残る運命の日がくる。最後に逢う日、三郎の姉正子は防空訓練で倒れ、亡き一郎の子を流産した。三郎は螢子との約束の場所へ行けなかった。その頃その場所、爆弾によってふきとばされ、螢子の若い命はあっという間に散ってしまった。三郎の征く日は更に一日早まった。螢子の見送りもなく、征く三郎、人間としての限りない平和と希望を求めた三郎は、軍用列車で運ばれる。--昭和二十年。今は亡き三郎の肖像画は黒い布でつつまれて、戦いの終わりは告げられていた。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
2.0めんどくさい映画
4.5久我美子さん、また逢う日まで・・・‼️
先日逝去された久我美子さんを偲んで・・・‼️
空襲下の防空壕で知り合った若い男女が、互いに深く愛し合いながらも、戦争によって無惨に引き裂かれていく・・・‼️戦争が普通の人間の幸せを引き裂くことを描いていて、戦争の残酷さ、悲しさが良く出てると思います‼️反戦映画としても優れているし、愛の強さ、美しさを高らかに賛美した恋愛映画としてもホントに名作ですね‼️我が敬愛する今井正監督としても「青い山脈」と並ぶ最高傑作ではないかと‼️映画史上に残る名場面と言われるガラス窓を挟んだキスシーンも、この名作にふさわしい清純な恋のイメージを強調した名場面‼️雪の降る中、帰る岡田英次さんをガラス越しに見送る久我美子さん‼️窓開ければいいじゃんと思ってしまいますが、久我美子さんの美しさとその感動的な純愛ぶりが、そんな屁理屈をノックアウトしてくれます‼️そして全編を通して主演の岡田英次さんのナレーションが流れるんですが、その棒読みに近いナレーションと久我美子さんが描いた岡田英次さんの悲しげな肖像画が印象的で、この反戦映画の、いや恋愛映画の悲劇性を高めることに貢献しています‼️
5.0窓越しのキスシーン
裁判官の父と軍隊にいる兄。田島三郎(岡田)はいつかは召集されるのだろうが、のんきに学生生活を楽しんでいた。軍国主義には疑問を持ち、人を殺して平和を勝ち取ることに意味がないと言う。
再三出会った三郎と螢子は出版社の前で初めて声を交わす。螢子は画家志望だが、挿絵を中心とした戦争画を描かされているのだ。芸術ではなく、生活のためと自嘲する螢子。彼らは何度もデートを重ねる。画家のアトリエを借りている螢子と母親(杉村春子)。そのアトリエの窓越しのキスが日本映画史上最も美しいとされているキスシーンだ。その後のデートでは普通にキスシーンがあるのだが・・・
兄の二郎が事故で亡くなり悲しみに暮れる日。学生の仲間たちに次々と召集令状が来ていたのだが、ついに三郎にも赤紙が来た。出発の二日前、アトリエで将来について語る二人。螢子に描いてもらった肖像画を形見になるかもしれないから預かってくれと告げるところが衝撃的だった螢子。最後の日、ようやく母親の了解も得られ、約束の場所へ逢いに行こうとする螢子だったが・・・そこで冒頭のシーンに戻り、亡き長男の嫁が防空訓練で倒れた。医者も来ないので看病しなければならない三郎。空襲警報が鳴り響く中、1時間以上も駅で待っている螢子。そこへ爆弾が・・・三郎は螢子の死を知らぬまま軍用列車で運ばれる。やがて終戦を迎えたが、アトリエには今は亡き三郎の肖像画が黒い布でつつまれていた・・・
ほぼ全編にわたって岡田英次のモノローグで構成されているのだが、螢子の死の直前までは彼女のモノローグがはさまれ、最後にはモノローグが全くない、残された者たちのシーン。これが妙に悲しさを誘う。
戦争を背景にした恋愛映画は数多くあれど、これだけ反戦メッセージを残す作品は珍しい。時代がそうさせたのだろうけど、客観的に若い二人を見守るように観る者を引きずり込む手法には恐れ入った。
3.0第一回ブルーリボン作品賞 昭和25年作品
だいぶ前Amazonで購入
久しぶりに観た
地元や近隣の市のTSUTAYAには置いていないのはとても残念だ
渋谷TSUTAYAならきっと置いているだろう
大東亜戦争東京空襲のなか地下鉄で2人の若い男女は出会う
会った瞬間から両思い
再び出会い愛を深める
変顔で戯けたり
プラトニックラブ
窓から間接キッス
直接キッス
当時はとても刺激的だっただろう
結局2人は戦争で引き裂かれ結ばれることはない
悲しいラブストーリー
三郎の兄二郎が荷崩れで下敷きになり死ぬことなるがなんか不自然だった
ヒロインが爆撃で死ぬことになるがこれも描写が不自然だ
昭和25年の作品とはいえそれがとても残念
三郎の心の声がやたら多い
この作品の特徴だ
古めかしい日本語が美しい
醜いネット用語に毎日晒されていると逆にこういう文章に対して気分が良くなる
主人公も最後に死ぬが戦地で死ぬ描写はなくああいう形で観てる側に知らせる表現はわりと好き
主人公三郎を演じた岡田英次がイケメンすぎる
杉村春子さんの若い頃はそれほど不細工ではなかった
当時はGHQの方針で時代劇を作ることできず現代劇しか作れなかったがそのなかで当時これほどのクオリティーの作品を制作したのは称賛したい
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