ビリケン
劇場公開日:1996年8月3日
解説
通天閣に祀られた、幸運を呼ぶ神様・ビリケンの活躍を描いた痛快人情ファンタジー。大阪・新世界を舞台に、大阪庶民のバイタリティーをコミカルに見せている。監督は「BOXER JOE」の阪本順治で、「どついたるねん」「王手」に続く“新世界三部作”の締めくくりとなる作品である。脚本は「王手」の豊田利晃と阪本の共同。撮影は「水の中の八月」の笠松則通が担当している。主役のビリケンには、今作のコメディ演技で新境地を開いた「罠(1996)」の杉本哲太。ほかに「極道戦争・武闘派」の雁瀧太郎、「眠る男」の岸部一徳、「罠(1996)」の山口智子らが脇を固めている。二代目通天閣40周年記念映画。96年度キネマ旬報ベストテン第9位。
1996年製作/100分/日本
配給:シネカノン
劇場公開日:1996年8月3日
あらすじ
大阪新世界の一帯は、2008年の大阪オリンピック誘致の候補地として挙げられ、新世界のシンボル・通天閣もそれに伴い撤去される方向で検討が進められていた。誘致に反対する通天閣観光では社長以下、なんとかかつての活気を取り戻して撤去を免れようと、あれこれ策を講じていたが、これといった効果は上がらなかった。ある日、ふとしたきっかけで戦前の初代・通天閣のころからしまい込まれていたビリケン像を見つけた社長は、これを展望台に置いて客寄せしようと考える。像とともに封印から目覚めた神様・ビリケンは通天閣の展望台に居座って、人々の願いを叶えてやろうとするのだが、願かけにやってくるのは指を落としたチンピラや金に困ったホームレスなど、得体の知れぬ者ばかりだった。しかし、ビリケンの御利益は次第に評判を呼び、ついに大勢の人々が通天閣におし寄せてくるようになった。ビリケンは次から次へとやってくる願い事を叶えるためにあちこち奔走し、少しずつ人々に幸せを与えていくが、ビリケンを逆恨みしたホームレスの言動をきっかけに、あっという間に評判を落としてしまう。社長はビリケン像を古道具屋に売り飛ばし、行き場をなくしたビリケンは超能力までも失った。ビリケンの正体を知っている小学生の清太郎に助けられたビリケンは、連れていかれた学童保育で憧れの月乃先生の看病を受けて、像を買い戻すための努力を始める。そのころ、住民立ち退き工作の先兵として生まれ育った新世界に戻っていた江影は、手段を選ばぬやり方で通天閣撤去のための裏工作を進めていたが、その強引さで逆に住民たちの反対運動に火をつけてしまい、組織をクビになっていた。思いつめた江影は清太郎を人質にして通天閣に立て籠もる。なんとか像を取り戻したビリケンは、清太郎の「助けて」という願いを聞いて江影を取り押さえると、月乃に「好きでした」とだけ告げて人込みの中に消えていった。オリンピックの候補地は埋立地に変更になり、再び丁寧に祀られたビリケン像を中心に通天閣には活気が戻った。今日もビリケンは通天閣のてっぺんに仁王立ちになって、新世界の街を見下ろしている。
スタッフ・キャスト
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2017年9月6日
映画レビュー
3.0通天閣愛好家向け
『どついたるねん』『王手』に続く通天閣三部作のオチを飾る本作だが、上記2作に比べるといささかパンチが弱い。好き勝手やっているようで実のところそこまで変なことはしていない。『どついたるねん』のようなヒリついた沈黙もなければ『王手』のような異世界としての「大阪・新世界」もない。ビリケン様というモチーフを軸に捻りのない大阪人情ドラマが淡々と展開されていくだけだ。画面の色調がセピアっぽくなかったら阪本順治の映画であるかどうかもわからない。
ただ、阪本順治が本当に通天閣を愛していて、通天閣近辺に住まう人々もまた阪本順治を愛しているのだという相思相愛の図式を看取することはできた。清々しいくらいのオールロケ撮影。いったい何日間通天閣展望台を貸し切ったのだろう。とはいえ通天閣のInstagram公式(@tsutenkaku_official)を見ればわかるように、通天閣はマジで新世界周辺の一般的な生活に水準を合わせている。セブンの生ハムロースとストロングゼロを「今日の晩酌でーす」という文言とともに投稿する公式アカウントが他にいるとは思えない。とすれば本作の撮影も「ええよええよ、いくらでも好きに使うて!」といった具合にトントン拍子で進んでいったのかもしれない。
俺は生粋の関東文化圏人だが、通天閣に敵う象徴性を持った鉄塔は今の日本には存在しないように思う。東京タワーは小綺麗すぎるし、スカイツリーは歴史が浅い。船堀タワーにいたってはそもそも認知度が低すぎる。浅草凌雲閣なんかが現存していたら話は違っていたかもしれないが。108メートルという高さがちょうどいいのかもしれない。見上げても首が痛くならない高さ。それが大阪の人々に親近感を抱かせている。
こんな面白い鉄塔があるのだからそれを映画に刻印したいという阪本順治の気持ちは痛いほどわかる。本作の「大阪万博の影響で通天閣が取り壊されそうになる」という物語展開には阪本順治の強い愛着ゆえの性急な危機意識が色濃く表れているといえる。ただ、繰り返すが映画として面白いかと言われると首肯しかねる。死ぬほど通天閣が好き!という方以外にとっては特に見る意義のない作品だろう。
1.5二代目通天閣
1.0通天閣に思い入れがあるなら
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