渚のシンドバッド
劇場公開日:1995年12月16日
解説
同性の同級生に恋心を抱く青年、そんな彼に接近してくる風変わりな少女。同級の六人の17歳の男女が織り成す、ひと夏の青春群像劇。監督・脚本は「二十才の微熱」の橋口亮輔。音楽を元“男闘呼組”の高橋和也が担当し、主題歌も歌っている。主演はテレビ・ドラマ『正義は勝つ』の岡田義徳、『走らんか!』の草野康太、「麗霆”子!! 総長最後の日」の浜崎あゆみ。ぴあフィルムフェスティバルを背景に、東宝とぴあが提携するニューレーベル“YES”(Young Entertainment Square)の第一弾として製作された。第8回東京国際映画祭ヤングシネマ・コンペティション参加作品。95年度キネマ旬報ベストテン第10位。
1995年製作/129分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1995年12月16日
あらすじ
高校二年生の伊藤修司は、同級生で同じブラスバンド部に属する吉田浩之にひそかな恋心を抱いていた。吉田はそんな思いには気づくはずもなく、修司に優しく接するのだが、それがかえって修司の気持ちを苦しめている。ある日、修司が音楽室で部活の準備をしているところへ、3カ月前に転校してきた果沙音が顔を覗かせた。何をするにもマイペースで周囲に媚びることをしない彼女は、クラスの鼻つまみ者的存在だった。果沙音は、清水と奸原がいる前で、修司が吉田のことが好きなのではないかと探りを入れてきた。鋭い洞察力に驚かされた修司は、以後果沙音とかかわりを持たないようにするが、彼女の方が次々と接近してくる。修司は、そんな彼女に「頭おかしいんじゃないの」と言い捨てた。興味本意で出したホモ雑誌の交際欄の返事が父親にバレて、精神科へ通うことになった修司は、そこで果沙音と出会う。彼女もまた強姦の経験から立ち直るようにと、親に半ば強制的に病院へ通わされていたのだ。一方その頃、リカへの気持ちを修司にだけ告白していた奸原は、リカに嫌われてしまった腹いせに、修司がホモで吉田に気があるとの噂をクラスに流していた。そのことでクラス中からからかわれた修司は、それをきっかけにして吉田に自分の気持ちを告白する。平静を装おうとしながらも動揺する吉田に、はっきり返事をしてくれと修司はキスまで迫るが、結果やんわりと断られた。ある日、教室で“カンパのため”と称して遊びの資金を集めていたリカのきんちゃくがなくなる事件が起きた。果沙音を犯人だと疑うリカは彼女に詰め寄るが、吉田がそれをかばう。結局、きんちゃくはリカの友人が持っていたことが分かって、果沙音は深く傷ついた。その夜、事件の後に吉田からいわれのない金を貰った果沙音がその金を返しにやって来る。果沙音に対して恋愛感情を抱き始めていた吉田は思わず彼女を抱きしめるが、忌まわしい記憶が蘇った果沙音は吉田を突き飛ばして逃げて行く。夏休み、昔の友人から果沙音の強姦事件のことを聞かされた吉田は、自己嫌悪に陥る。そこで吉田は疎遠になっていた修司をくどいて果沙音の田舎へ向かい、果沙音を見つけて謝るが、彼女は素っ気ない態度を示すばかりだった。夜、海で泳ぐ果沙音の洋服をふざけて着た修司が浜辺に座っていると、暗がりでその後ろ姿を勘違いした吉田が、彼女への気持ちを告白する。それに気づいた果沙音は岩場から、「私が男でも、私を好きになった?」と吉田に問いかける。答えあぐねる吉田に果沙音は、「あんたは私とヤリたいだけだよ。だったらやれば」と正体を明かして草むらに横になるのだった。しかし、それを目の当たりにした修司が海に飛び込み、スカートの裾が脚に絡まって溺れてしまう。吉田は修司を助けて人工呼吸するが、その途端、修司は目を覚まし、「やれば出来るじゃん」と悪戯っぽく笑った。翌日、修司と吉田は町に帰る電車に揺られていた。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
4.5邦画の真骨頂
こんないい作品知らなかったなんて!なんてこと、、
というのが観賞後の最初の感想
桐島、部活辞めるってよ
が影響を受けているような気がする
日本で育った日本人ではの心情、行間、ざわつき
邦画ならではの楽しみ方が出来る作品
登場人物みんなの気持ちが痛いし脆いし切ないし辛い
自然に生まれた優しさや自分のための作った優しさ
からかったり、からかわれたり、度がすぎてたり
格好つけたり、それが間違った表現だったり
自分がつまらなく感じて、別の人を憧れたり
心に傷を負ったもの、体に傷を負ったもの
傷への向き合い方、自分との向き合い方
異性への興味、同性への思い
何が正解なのか分からない
何もかもが未熟だから
青春は間違える
伊藤も吉田も相原も清水も、学校にいる奴ら全員
傷つけた人も傷つけられた人もみんなそれでいい
大人になって後で分かる事の方が多い
色んなやつがいて過ごすから成長する
あとで反省できたらいい
みんな家庭に少し訳もあって
それがリアルだった
会話の間もリアル
若かりし頃の岡田さん、草間さんの演技力に脱帽
素晴らしかった
3.0なんと浜崎あゆみだったとは・・・
今では珍しくもなくなったBL作品。高校2年の伊藤と吉田がクラスメートからホモカップルと冷やかされるが、吉田は優等生の女子・清水と付き合ってるので、嫌がらせやいじめの対象にはなってない。そんな関係にレイプされた経験のある転校生・相原が近づいてくる。と、三角関係から四角関係(対角線あり)になってしまうストーリー。
繊細な心を持つ男子たちに、奸原というチャラ男も絡みつつ、後半には活躍しなかったのが残念だった。吉田と清水の関係も映画を見に行く程度の付き合いだったし、すぐ壊れてしまいそうな雰囲気がリアルだった。そんな中に相原(浜崎)が彼らの心をかき乱すかのような小悪魔的な存在となり、吉田はどんどん惹かれていく展開。
留守宅に不法侵入して我が物顔で振る舞う相原。勝手知ったる他人の寝室で、大人のおもちゃやコンドームを伊藤に見せつける行為も、彼を試していたのだろうけど、不思議少女ぶりを発揮する。それにしても、浜崎あゆみがこんなことを・・・
純粋な高校生の心理ドラマとしても面白いし、相原や清水の突拍子もない行動には呆れても、そのユニークなキャラが興味深い。自分の高校時代を思い出しても・・・そんな子はいないわい!となること必至。
3.0アンチ学園恋愛ドラマ
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