沈黙(1971)
劇場公開日:1971年11月13日
解説
一九六六年に出版されて谷崎賞を受賞した遠藤周作の同名小説の映画化。脚本は遠藤周作。監督は脚本も執筆している「無頼漢」の篠田正浩。撮影は「座頭市あばれ火祭り」の宮川一夫がそれぞれ担当
1971年製作/129分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1971年11月13日
あらすじ
十七世紀中頃の日本、過酷な弾圧が切支丹に加えられ、阿鼻叫喚の声がここかしこに渦巻いていた頃、闇夜の中を九州肥前の地に、日本人キチジローに案内されてひそかに渡来した二人のポルトガル人司祭ガルペとロドリゴには、布教の最後の布石たらんとする気概と、同時に二十年前に渡来し、捕えられた恩師フェレイラの消息を探りたいという願いがあった。隠れ切支丹の村人たちは、彼らの到来に感動の嗚咽をもらし、二人を匿まうが、フェレイラについては一様に黙して語ろうとしない。布教に忙殺されていた二人に、役人の手がのび、信徒に犠牲者がでる。役人の詮索が厳しくなる中で、ロドリゴはキチジローに銀数粒で役人に売り渡される。幾度も背教と告悔とを繰り返しているキチジローは、「俺は弱かもんじゃ、ゆるしてつかわさい」と泣きさけぶ。捕えられたロドリゴの前に、切支丹たちから鬼と恐れられている長崎奉行、井上筑後守が現われ宣教者は罪なき百姓たちの血を流す加害者だと極つける。そして、信徒としての前歴をもつ筑後守とロドリゴの間に、日本に於ける基督伝道の是非を問う緊迫した論争が繰り広げられる。筑後守は、温和な外貌に似合わぬ残酷な詮議を、信徒や神父に加える。彼は、神父を転宗させることが切支丹根絶の根本的方策と考えているのだ。ロドリゴは、牢の中で若い夫妻の拷問を見た。岡田三右衛門と名のる、その侍の妻菊は夫の命を救うために思わず踏絵をしてしまう。菊の真情と、そのための棄教はロドリゴにショックを与えた。一方、ガルペは己れが転宗を誓わぬばかりに、水刑に処された信徒の後を追い、自ら命を絶った。数日後、信徒の処刑を見せつけられてやつれ果てたロドリゴを、意外にも侍装束に身を包んだフェレイラが訪ねてくる。フェレイラは、日本に基督教は育たない、とロドリゴに転宗を促し、如何に祈ろうとも基督は現われない、何も言ってはくれないと苦渋に満ちた表情で言い切る。逆さづりにされた信徒のうめき声、フェレイラの「お前が転べばあの者たちは救われるのだ」という声が牢内に響きわたり、ロドリゴは己が信仰を貫くか、日本人信徒たちを救うために棄教するか、殉教と背教の二者択一を迫られる。そして、フェレイラの「もし基督がここにおられたら彼等のために転んだだろう、愛のために」という冷たい声に、遂にロドリゴは屈する黎明のほのかな光の中でロドリゴは踏絵の基督像を踏み長い幽閉生活に入った。ある日、彼の部屋に一人の女が投げ込まれた。それは、夫の命を救うために転宗した女菊だった。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第25回 カンヌ国際映画祭(1972年)
出品
出品作品 | 篠田正浩 |
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映画レビュー
4.5スコッセシ版よりもえげつないが故に、よりヘヴィーな作品でした。
結論から述べるとスコッセシ版よりもヘヴィーな作品だと思いました。
お話の内容はほぼ同じだったのですが。
まず驚いたのは、丹波哲郎さんがご出演だということで、てっきりイノウエお奉行役だと思っていたのに、そうじゃなかったのね。
めっちゃ意外な形でのご登場でした。
フェレイラ神父の丹波哲郎さん、血色めっちゃ悪いし。どうかするならゾンビみたいな顔してるし。
そして本作は邦画ということもあって、ロドリゴの方が異国語に堪能な設定でした。
主人公の台詞の大半をカタコトとはいえ日本語で聴けたので観やすかったです。
スコッセシ版での、お奉行・イッセー尾形さんの流暢な英語って、バリバリの違和感感じましたもん。
“神の沈黙”というものがテーマで合っているなら、スコッセシ版よりも、残酷なまでに、より明確に表現されていました。
テーマについて、深く考え込まなくても、わかりやすかったかな。
フェレイラ神父から神の沈黙と、教えを信じたが故の結末について、どストレートな言及がありましたから。
そりゃそうだわな…と思いますって。常人は。
でね、頑なに棄教を拒み犠牲者を増やすロドリゴよりも、幕府側の役人たちがことごとく善人に見えちゃうの。
そりゃぁそうだわな…と思いますって。常人は。
そして“転んだ”ロドリゴの豹変っぷりを「あンた完全に堕ちましたやん、転びましたやん」てな感じで撮ってるのな。
えげつない悪趣味にも程があるって感じです。
スコッセシ版に比べ、残酷描写が少ない本作ですが、最後の最後に本当にえげつないカットを用意していましたね。
転んだまんまのロドリゴの余生を描かず、ぷつり…と終わらせた手法は、本作の救いのない絶望感を本当に際立たせていました。
観た順序としては、スコッセシ版→篠田版で正解だったと思います。
ある意味スコッセシ版は『沈黙』に慣れておくためのラノベ版みたいな?予行演習みたいな?←失礼なっ!
テーマ音楽の琴(?)の音色の不協和音がまるで黒板を爪でひっかいた音の如く不快で不気味なのもよかったです。
スコッセシ版の乾いた画面よりも、本作の邦画特有のジメジメ感が、重苦しく描く作風では効果的でした。
まるでATGの青春残酷系の映画を一本観終えたかのような感じ。
ATGの映画には全く詳しくないのですけれど…(^_^; ←レビューに責任持てよ!
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