戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河
劇場公開日:1971年6月12日
解説
昭和七年の満州事変から一二年蘆溝橋事件までを背景に、全面的戦火の時代に突入してゆこうという動乱期に、愛と正義を至上のものとして生きようとする伍代家の次男俊介と不幸な結婚に縛られながら俊介と運命をともにしようとする人妻狩野温子の悲劇的な恋愛を中心にさまざまな人間模様を描いていく。原作は五味川純平の大河小説「戦争と人間」。脚本は「内海の輪」の山田信夫と「沖縄(1970)」の武田敦。監督は「戦争と人間」の山本薩夫。撮影は「女子学園 悪い遊び」の姫田真佐久がそれぞれ担当。
1971年製作/181分/日本
配給:日活
劇場公開日:1971年6月12日
あらすじ
伍代俊介は、自由で民主主義的なものが日々失なわれてゆく時代に対しても、長男英介のイニシアチブで軍に接近をはかる伍代家そのものに対しても、いらだちと怒りをつのらせていた。その上、彼は英介のもとの婚約者で、狩野という男と味気ない結婚生活を送っている人妻温子に恋をしていた。若者らしいひたむきさで愛を告白する俊介に対して、温子の心はともすれば動揺しがちだったが、人妻である温子にとって、俊介以上に辛く切ないものだった。俊介の親友である標耕平は、すでにその頃から、将来どのような危険に身をさらそうとも、反戦活動に生きようと決心していた。俊介の妹順子の耕平に対する愛もよくわかっていたが、耕平は順子を危検に捲き込むことを恐れた。事実、耕平に影響を与えた画家の灰山や小説家の陣内はすでに捕えられ、特高刑事の凄惨な拷問を受けていた。活動そのものではなく思想傾向が逮捕の対象になる時代になっていた。一方、満州大陸では、さまざまの人が、さまざまの理想、欲望に向って戦い、暗躍していた。満州国建設は関東軍の手で強引に作り上げられたものだけに、内外に多くの矛盾をはらみ、治安もまた安定していなかった。大財閥に先がけて大陸進出を画策する伍代由介とその弟ですでに満州で商社を経営する喬介は現地の富豪趙大福に接近、合資会社設立を持ちかけていた。実業一点ばりの由介にくらべて、喬介のやり方はもっと荒っぽく、軍の上層部と通じて大規模な阿片密売を行っていたが日本軍の特務機関としてそれを摘発したのは、皮肉にも満州へ転属になっていた柘植進太郎だった。柘植は、伍代家の謀略的なやり方に反対したため左遷されて再び東京に配転されたが伍代家の長女由紀子と再会をはかる間もなく、相沢中佐による永田鉄山軍務局長斬殺事件が起こった。統制派と皇道派という軍内部での主導権争いによる事件だったが、それは皇道派青年将校たちのクーデターにまでエスカレートした。二・二六事件である。深刻な不況と軍部権力の増大は、日本を巨大な戦争に向けて走らせる強力なバネになった。俊介は、息苦しい国内を脱出して、新しい生活を求めて満州に渡った。学業もやめ、自分ひとりの力を試すつもりだった。だが、その前に現われた温子の夫狩野の卑劣な人間性に対する怒りから、一度は断念した温子への愛が再び燃え上った。俊介は、温子を満州によび寄せる電報を打った。大連港のホテルの一室で、俊介は温子のふるえる肩を抱いた。せきを切ったように二人は激しい愛の歓喜に身をゆだねた。しかし、狩野は二人の前に立ちふさがり、陰険な方法で俊介をゆすった。俊介には自由に出来る金はなく、結局喬介に頼むしかなかったが、温子は自分のために俊介が傷つくことに耐えられず、結局、狩野のもとに帰っていくしかなかった。同じ頃、耕平と順子にも、やはり別離の時がやってきた。耕平は反戦運動のために捕えられ、灰山と同じように特高の拷問と戦っていた。ファシズムに対する戦いは、大陸でも執拗に続けられていた。朝鮮人徐在林、満人白永祥は、抗日パルチザンの指導者として武器をとり、趙大福の娘瑞芳も抗日運動に積極的に身を投じた。日本人医師服部は、危検の追った瑞芳を上海に亡命させるために、彼女を鴻珊子に托した。昭和一一年一二月、大陸の抗日運動は歴史的な転換を見せた。張学良の努力で、内戦を続けていた国民党の蒋介石と共産党の周恩来の間に内戦停戦が結成されたのである(西安事件)。のっぴきならぬ力の対立はもはやとどめようもなく全面的戦争に向って突っ走っていった。それは、多くの愛を引き裂き、多くの人々の運命を捲き込んで加速度を増した。昭和一二年七月。蘆溝橋での銃声を合図に、日本は中国に対する長い侵略戦争に踏み込んでいった。
スタッフ・キャスト

伍代由介滝沢修

伍代英介高橋悦史

伍代由紀子浅丘ルリ子

伍代俊介北大路欣也

伍代順子吉永小百合

伍代喬介芦田伸介

お滝水戸光子

武居弘道波多野憲

標耕平山本圭

灰山浩一江原真二郎

陣内志郎南原宏治

柘植進太郎高橋英樹

鴫田駒次郎三國連太郎

高畠正典高橋幸治

服部達夫加藤剛

大塩雷太辻萬長

梅谷庄吉山田禅二

梅谷邦和泉雅子

白永祥山本學

徐在林地井武男

李坂口芳貞

全明福木村夏江

鴻珊子岸田今日子

戸越ユキ吉永倫子

趙大福龍岡晋

趙延年岩崎信忠

趙瑞芳栗原小巻

狩野市郎西村晃

狩野温子佐久間良子

梁思生米倉斉加年

島津斉藤真

朴井川比佐志

イワーノフ大月ウルフ

防人会の男後藤陽吉

防人会の男久遠利三

伍代本社総務部長弘松三郎

甘栗売り石津康彦

車夫高原駿雄

特高刑事草薙幸二郎

特高刑事内田稔

特高刑事玉村駿太郎

特高刑事高城淳一

看守牧野義介

佐官将校深江章喜

石原莞爾山内明

ナレーター鈴木瑞穂
戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河 の関連作を観る
フォトギャラリー
映画レビュー
4.5歴史の勉強のつもりで
この映画は歴史背景を知らないとなかなか理解出来ない内容だと思う。
表向きは恋愛物語と言っているが、実は満洲国で行われてきた日本人の愚行、悪行を描き一部の人間の利益の為の戦争へ突入していく様を明確に描いている。
軍事大国日本であったが経済的には貧しい日本。そんな日本は表向きアヘン取引は禁止としていたが、裏ではアヘン取引は日本の最大の収入となっていた。等々の事を知らないとフィクションにしか映らなくくだらなく見えてしまうだろう。
資源の無い日本が軍事大国になる為に外貨を手に入れるにはアヘンと絹しか無かったという事も知っておく必要がある。
日本の当時の時代背景を知らないと面白く無い映画になるだろう。しかし、反面最高に興味深い史実に基づいた映画でもあると思う。
日本の本当の歴史を知る上で大切な映画だと思う。
1.5メロドラマ
4.0戦争に絡めて多様な人間を描くスケールの大きさに驚き
関東軍、新興財閥、陸軍参謀本部、左翼活動家、満洲邦人といった日本人の視点のみならず、国共合作を中核とし中国側の視点も取り込んでいるのが新鮮で驚かされた。
若者の無鉄砲ぶりを見せると共に、単純な善悪論に与せず、例えば理知的に国益から非拡大を唱える財閥系当主(滝沢修演ずる)や参謀本部の思考、言わば大人の論理をも提示しているのに関心させられた。
オールスターキャストで、特に女優陣は皆、印象的。吉永小百合も浅丘ルリ子も栗原小巻も頑張っている感が大で、特に佐久間良子の滲み出る色気と満洲の得体のしれなさを象徴する様な岸田今日子が圧巻。
監督が山本薩夫、脚本が山田伸夫ら、さらに大物というか、撮影が姫田真佐久で、音楽が佐藤勝で、成る程、質が高いのも納得とは思う。
無知ということだが、日活という会社がこんな凄い映画を作っていたことに、自分的には大きな驚き。
3.0これは21世紀の現代の香港と中国だ 80年の時を超えて、戦前の帝国主義の亡霊が現代の中国に乗り移っている
中国共産党と国際的共産主義運動が全て正しい
日本国は全て悪である
そのような共産党史観のみで構成されています
ここを踏まえて本作を観ないと危険です
山本薩夫監督の圧倒的な演出力にたちまち洗脳されます
緻密にリアリズムを積み上げているように見えるのはその洗脳の効果を高めるためです
自分の頭で考えないと全てが事実であると信じ込まされ、本作で描かれた歴史解釈を正しいと洗脳されます
知らぬ間に、この共産党史観が上書きされそれが全てであると思いこまされます
なのに、そうと分かっていても引き込まれてしまいます
危険です
しかし、本作を観ていて思うことは、これは21世紀の現代の香港と中国だ!ということです
80年の時を超えて、戦前の帝国主義の亡霊が現代の中国に乗り移っていると
全てが相似形をなしています
さらに酷く巨大に帝国主義、軍国主義の恐るべき妖怪に、中国共産党がなり果てたのだと気づかされるのです
映画.com注目特集
2月16日更新
美しき“こじらせ男女”の【激重恋愛】!!激しく狂気的な愛に震える、なのに共感が止まらないのはなぜ?
提供:東和ピクチャーズ、東宝
【ブチギレ代行】織田裕二×反町隆史が、あなたの怒りを代行します――!?“課金してでも”観たい超大作
提供:WOWOW、Lemino
【超おすすめ極上ミステリーを“発見”】いい意味で「予想と違う」!沁みる、泣ける、そして“逆転”する
提供:東映
めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃ楽しかった
提供:東和ピクチャーズ
世界中がさまざまな出来事に揺れ動く今、公開される――あなたにはこの作品が、どう映る?
提供:イオンエンターテイメント【業界の“常識”を破って語り合う異常事態】これはヤバいエグいの類の言葉じゃ“追いつかない”…!
提供:ギャガ【映画.com編集長が観に行ったら】心の底からドハマりでした…規格外の“物語”と“死闘”に唸った
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント注目作品ランキング
1
ほどなく、お別れです劇場公開日 2026年2月6日

2
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女劇場公開日 2026年1月30日

3
ブゴニア劇場公開日 2026年2月13日

4
クライム101劇場公開日 2026年2月13日

5
教場 Reunion配信開始日 2026年1月1日

映画ニュースアクセスランキング
- 昨日
- 先週
1
道枝駿佑単独主演で人気漫画「うるわしの宵の月」実写化決定 ヒロイン役に安斉星来を迎え“王子×王子”の恋模様を描く2026年2月16日 05:00

2
黒島結菜主演「未来」予告&ポスター公開 湊かなえ史上「最も過酷」な物語――鍵を握る「未来のわたし」の声は西野七瀬2026年2月16日 06:00

3
北村匠海が声を失った青年演じる内山拓也監督作「しびれ」 若い観客集う大会場から拍手沸き起こる【第76回ベルリン国際映画祭】2026年2月16日 13:00

4
SFパニック超大作「デイ・アフター・トゥモロー」NHKBSで本日午後に放送 あらすじ&キャストまとめ2026年2月16日 10:00

5
「トップガン」続編が一歩先行 「パイレーツ・オブ・カリビアン」次回作も前進2026年2月16日 12:30

1
北村匠海が顔面タトゥー、真っ赤なルージュの宮沢りえと寄り添う「しびれ」新ポスター2026年2月11日 18:00

2
波瑠×麻生久美子主演の痛快文学ロードミステリー「月夜行路」4月スタート 異色バディが人生を取り戻す旅へ2026年2月11日 05:00

3
Netflixで初配信! 大ヒット作「小学校 それは小さな社会」&「甲子園 フィールド・オブ・ドリームス」2月19日から2026年2月13日 12:00

4
独裁者ヒトラーの脅威、蛇使いヌードダンサー、売春防止法の強制取締――日本のニュースをまとめたドキュメンタリー映画、4月17日公開決定2026年2月9日 11:00

5
「ほどなく、お別れです」観た人は何を感じた? 感想・レビューまとめ「全エピソードで泣ける秀作」「大切な人たちのことを思い出した」2026年2月10日 21:00






戦争と人間 第一部
戦争と人間 完結編
白い巨塔
ジョーカー
ラ・ラ・ランド
天気の子
万引き家族
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
この世界の片隅に
セッション










