スーパーの女
劇場公開日:1996年6月15日

解説
激安店の出現により営業危機に追いやられたスーパーの専務が、幼なじみのスーパー好きの主婦の協力を得て経営を立て直すまでを描いたコメディ。監督・脚本は「静かな生活」の伊丹十三。撮影も「静かな生活」の前田米造。主演は「お葬式」以来、伊丹映画には欠かせない伊丹夫人の宮本信子と、同じく常連の津川雅彦。
1996年製作/127分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1996年6月15日
あらすじ
スーパー“正直屋”の専務・小林五郎は、ライバルの“安売り大魔王”が価格破壊の激安キャンペーンを開始したと知って早速調査に出向いたが、そこで偶然、幼なじみの井上花子と再会する。五郎は、スーパーの内情にやたらと詳しい花子が次々に安売り大魔王の激安トリックを見破ったことから、正直屋を立て直すために彼女にレジ主任として働いてもらうことにした。「いいスーパーには主婦を興奮させるドラマがある」と、花子は正直屋の改善に乗り出したが、現実は厳しかった。問題は次から次へと持ち上がり、特に花子を悩ませたのは、精肉部・鮮魚部・青果部の職人たちとの意思の疎通がはかれないことだった。職人というプライドから彼らはなかなか花子に心を開いてくれない。やがて副店長に抜擢された花子は、正直屋を「日本一お客様の立場に立ったスーパー」にするために、客の意見を直接聞くキャンペーンを実施する。その結果、食品の新鮮さを何より重視すべきだと考えた花子は、惣菜にも新鮮な素材を使用することと、肉や魚のリパックをやめることを提案する。パートの主婦たちの支持も得て花子の提案は五郎にも承諾されたが、職人たちは面白くなかった。そんな折、正直屋を買収しようと動いていた安売り大魔王の社長は、店長をはじめ職人たちをゴッソリ引き抜こうと画策する。しかし、花子の懸命の説得にスーパーの働き手としての自覚、誇りに目覚めた従業員たちは前にも増して結束を固め、結局、正直屋を離れたのは店長と精肉部のチーフのほか数名だけであった。以前から出入りの屑肉業者と結託して上等の肉を盗み出し、私腹を肥やしていた精肉部のチーフは、店長とともに安売り大魔王への手土産として正直屋の冷蔵庫から肉を盗み出していた。知らせを受けて現場へ駆けつけた花子は、手違いから冷凍車の荷台に閉じ込められてしまう。五郎はデコトラの運転手の協力を得て、とある漁港で花子を救出した。ここで偶然知り合った漁師の好意で、1月1日の初荷を全部仕入れる契約を結んだ花子たちは、お正月商戦においても、閑古鳥の鳴く安売り大魔王に見事勝利を納めた。
スタッフ・キャスト
井上花子宮本信子
小林五郎津川雅彦
正直屋店長矢野宣
精肉部チーフ六平直政
鮮魚部チーフ高橋長英
青果部チーフ三宅裕司
惣菜部チーフあき竹城
安売り大魔王社長伊東四朗
レジ松本明子
レジ山田純世
五郎の兄・一郎金田龍之介
販促部員小堺一機
精肉部助手柳沢慎吾
精肉部助手金萬福
鮮魚部助手伊集院光
青果部助手津久井啓太
パートさん原日出子
パートさん絵沢萠子
お客さま野際陽子
お客さま迫文代
お客さま田嶋陽子
お客さま阿知波悟美
お客さま柴田理恵
お客さま川俣しのぶ
お客さま柳谷寛
安売り大魔王店長ヨネスケ
店員渡辺正行
用人棒忍竜
おにぎり屋の社長岡本信人
屑肉業者不破万作
駐車場係里木佐甫良
運転手佐藤蛾次郎
漁港の医者緒方昇
看護婦清水よし子
漁港のおじさん奥村公延
おばさん石井トミコ
青果部あご勇
受賞歴
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フォトギャラリー
映画レビュー
4.5スーパーは毎日の食事の材料を売る店よ‼️
「マルサの女」と同じく、伊丹十三監督の取材力が爆発した傑作‼️売れないスーパーマーケットの専務・五郎は、幼馴染みでスーパーオタクの花子と再会。協力してスーパーの立て直しに乗り出す・・・‼️スーパーにまつわるウンチクが実に面白いですね‼️良いスーパー、悪いスーパー、そしてダメなスーパーの見分け方‼️赤い蛍光灯で肉の鮮度をゴマかしたり、伝票を張り替えるリパック、賞味期限の切れた惣菜を翌日の弁当に使用したりといった、スーパーの悪知恵も暴露され、スーパーを利用する主婦の方や、スーパーの経営者や働く人にまで必見の内容になってます‼️五郎と花子の熟年ロマンスがあったり、冷凍車とトラックによるカーチェイスもあったりして、映画の楽しさにあふれた第一級のエンターテイメントですね‼️ホントに大好きな映画‼️ありがとう、伊丹監督‼️
5.0これ、主婦の知恵♪
日本映画専門チャンネルで鑑賞(4Kデジタルリマスター版,録画)。
参考文献(小説スーパーマーケット)は未読です。
スーパーの裏側を綿密な取材に基づいているのであろう鋭い視点で、コミカルに描いていて面白かったです。花子の奮闘を通して、仕事への向き合い方も考えさせられました。
ライバル店との競争や人間模様、終盤にかなり凝ったカーチェイスを盛り込むなど、社会派なだけの内容に留まらず見事なエンターテインメントに昇華した傑作だと思いました。
5.0痛快過ぎ。
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津川が専務をつとめるスーパーの近くに激安スーパーが出店する。
津川が偵察に行ったところ、偶然客として来ていた幼馴染の宮本に出くわす。
元主婦の視点から、なかなか鋭い指摘をするので、自社に採用した。
宮本はとにかく主婦視点で、客を第一に考えたスーパーを目指す。
例えばリパックを廃止し、新鮮な物しか売らない事にする等。
その行動力は凄まじく、レジ係やパートのオバちゃんから高い支持を得る。
しかしはっきり物を言い過ぎるために、職人達とは不和になった。
肉職人・魚職人らは、やり方が古くプライドが高いので、もはや害だった。
専務の津川も彼らにはなかなかはっきり物が言えなかったのだが、
ついに決断して改革を実行する形となった。
魚職人の方は頑固だが、人間としてはまともだったので、
熱心な説得を繰り返すと、最終的にはスーパー側の要求を受け入れてくれた。
一方肉職人は最低で、高級肉の横流しまでしていたので歩み寄れなかった。
雇われ店長も最悪で、最終的には肉職人と共に激安店に寝返る。
激安店は、宮本の奮闘でいつまでも客を奪えないため焦り、
大金でこの2人を釣ったのだった。部下達も一緒に多数引き抜くつもりだった。
しかし宮本の頑張りを間近に見てきたスーパーの店員らは裏切らなかった。
本当にいい物を、誠意を持って売ることに誇りを持ち始めたのだった。
結局ほとんどの店員は津川のスーパーに残る事を決意する。
ここまではリアルにいい話。しかしこっからラストはコメディ的になる。
店長と肉職人が、店の肉を全部盗む。普通に犯罪やん。
ほんで輸送用の冷凍車に宮本が入ってもて、津川と警察が追跡。
結局2人は逮捕されるが宮本が瀕死になってしまった。
でも生きててハッピーエンド。
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いやあ、楽しかったわ。
ここんとこ伊丹映画を続けざまに見てるが、最高やね。
シュールな部分も多いんやけど、とにかく痛快の一言に尽きる。
宮本も津川も商売の基本である誠意と熱さに満ちた人間である。
そういう人達だからこそ、素直に応援できる。
そして食品偽装等の内部の問題を1つ1つ改善して行く。
最終的には、店員からも客からも大きな支持を受けるスーパーとなる。
まさに痛快以外の言葉がないわ。こんなスーパーなら行って見たい。
あと宮本と津川の、何とも言えない信頼関係も良かった。
一時は肉体関係を持ちそうな所まで行くが、二人とも大人であって、
恋愛感情ってものでもないんで、重苦しさがない。
そして何度喧嘩をしても、目指すものが同じなのですぐ仲直る。
男っぽい宮本とやや女々しい津川がうまくバランスが取れていた感じ。
しかしこの映画に出て来る食品偽装や混ぜ物の話、
実際にほとんどのスーパーでやっていたって事は今や公然の秘密。
この映画の時代からそういう描かれ方をしていたのには驚いた。
当時の消費者は、これを映画の中だけの話と思っていたのだろうか。
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