REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に
劇場公開日:1998年3月7日
解説・あらすじ
1997年の春と夏にそれぞれ公開された「新世紀エヴァンゲリヲン劇場版 シト新生」と「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」から、TV版1~24話の総集編になる「DEATH」編と、完全新作の最終2話「Air」「まごころを、君に」をまとめて1本にしたエヴァ劇場版の最終バージョン。「DEATH」編は97年公開版にさらなる編集や修正が加えられた「DEATH(TURE)2」版になっている。
1998年製作/160分/日本
配給:東映
劇場公開日:1998年3月7日
スタッフ・キャスト
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2020年12月5日劇場版3作がHDリマスター化 「エヴァ」ブルーレイボックス来夏発売予定
2014年12月6日
映画レビュー
4.0ちょっとどうかしてる「キモチワルイ…」トラウマ映画。そして私の原風景。
夕暮れに砂山を踏み潰す
なんか自由律俳句みたい(笑)
私ね、ずーっと昔の物心ついた時ころから、それと同じ景色を、たびたび見てきたんですよね。
何かのスイッチが入った時(切れた時?)に肝心なところで拗ねちゃって、それまで一生懸命作ってきた人間関係を全部、自分でぶち壊しにしちゃうの。
だから、この作品の夕暮れの公園でのシンジ君のシーンで胸を抉られたの。自分の中のヤなとこ見せられたよなぁ…と思って。
幸い今のところ、こちらのアカウントではそのような気配はないのですけれど。それがいつまた来るのかと思うとビクビク、ヒヤヒヤするの。
この作品って庵野さんが一番病んでいらっしゃった時の作品じゃないですか。
予告編とポスターには「だから、みんな死んでしまえばいいのに…」なんて物騒の極みみたいなことがエヴァ明朝で、でかでかと書かれてるんですよね。
だいたい予告編からして、かなり狂ってたじゃないですか。最後のカットには“この作品はアニメーションです”って断り書きまで添えられているし。
「えっなんですかこのホラー映画は?ガク((( ;゚Д゚)))ブル」みたいだったじゃないですか。あの予告編。
ある意味それ正解。旧劇エバーって完全にホラーでしたもん。
病むのは勝手だけれど、道連れにしないでくれる?って後に思って。
この作品観た当時は、まさか私まで病んで人生転落するなんて思ってもみなかったの。
奇妙なことに、鬱って伝染するんですよね。この作品がトリガーじゃなかったのは勿論なんですが。
公開当時に観に行って「なんかすげぇヤなもん観ちゃったよ…」のインパクトが強すぎて。後にDVDでも鑑賞して。2021年に再上映があった際も劇場に観に行ったんですね。だから決して嫌いな作品ではないの。
何故か?定期的に観たくなる中毒性あるんですよ。ヤな画面なのに。
書いていなかったレビュー書くにあたって、再度DVDで鑑賞です。おゝこわいこわい。
オープニングロゴが長いの長くないのなんの。
①KADOKAWA→②TV TOKYO→③SEGA→④PRODUCTION I.G→⑤MOVIC→⑥STAR CHILD→⑦東映→⑧GINAX→⑨映倫 の9連発ですよ。その間、実に1分ちょっともあるんですよ。
これ、きっと「おまえら心の準備しておけよ」というメッセージにも思えて。映倫のR指定は特になかったんですね。内容はともかく、描写的には+18指定でもよかった気がしますが。(例のアレとか)
心の準備ができていなかったヲタクさんへのビックリドッキリカット?もあったじゃないですか。
どこかの劇場の大勢の観客を映し出していたアレ。からの、トドメの「キモチワルイ…」でしたもん。
アンタ!どんだけ他人が嫌いやねん!どんだけ世界が憎いねん!って思うラストだったわけです。
病み絶頂期の作品だけあって、まさに狂人の作品って思ってるの。庵野さん、ごめんなさい。
なんであんなの見せるかなぁ…の、シンジ君の“例のアレ”。(*´Д`)ハァハァ→「最低だ…俺って…」って!リアル現実どころか(当たり前)、作り事の映像でもあんなの見たことないよ!そんなの見たくないよ!やっぱり狂ってるよ!アタオカだよ庵野さん!あんた狂ってるよ!最低だよ!←ひでぇ言いざま…
あんな絵コンテ渡されたスタッフの狼狽っぷりは、どれほどのものがあったでしょうか。「カワイソウ…」
絵面でも弐号機の活躍からの、捕食解体シーンの作画。穏やかじゃなかったでしょ。アスカの表情…完全に狂ってるよ!マジキチだよ!あれ作画監督誰だよ!
臓物とか描かせるなし!少年たちのゲーム世界では、一応、憧れのスパロボ扱いなんやし!
ラストで主人公がヒロインの首絞めて終わるって、なんやねんなそれ!
頭悪いから、いくら考えてもわけわかんないのが「人類補完計画」
「人類が幸福になるための一大プロジェクト」という認識でいいの?なら、幸せなラストの『シン・エヴァ』に着地させた庵野さんご本人は補完されたって思うけれど。投げっぱなしにされたこっちは、なーんも補完されてないよ!責任とってよ!
そんな感じだから、お話に突っ込んだことに関しては語れることが何もないの。「アタマワルイ…」
そんなこんなで、この映画って評価に大変悩むです。
好きか嫌いかの二択で言うとしても、境界線が非常に曖昧なんですよ。
「ヤなもん見せられちゃったなぁ…」って不快感が本当にイヤだったかというと、中毒性を認めるくらいだから、そうとも言い切れなくて。
かと言って、お話から得たものって、その不快感しかなくて。観念的すぎるから、バカ頭フルに回しても、伝えたいことがわかんないの。
「面白いから見て!」なんて他人にお勧めなんて絶対にできなくて。
できることなら、触れたこと一切を忘れたくなるような、そんな禁断の作品。
同様のものを映画で挙げるなら『バリゾーゴン』かな?コミックなら、山野一の『四丁目の夕日』みたいな感じかな?これらもたいがい中毒性あるんですけれどね。
う~ん…結論は…ヤなもん見たさで、結構私のツボだったかなぁ。
あつ!そうだ!きっとアレだ!不快感が裏返って、そのまんまが点数に反映されてるんだ!そんな感じ。
この映画、自分自身の中でさえ、こんな評価なので、他の方の評価が大変気になるんですよね。
後ほど、興味深く読みに伺いたいと思います。予想では賛否の落差が大きいと思うです。
毎度毎度「ロクデモナイ…」レビューだなぁ…
3.5わからないという答えが正解だと思うよ。考えるのを諦めるのではなくて...
5.0旧劇の新しさ
新劇場版を観た後で、TV版を改めてみてみると、絵が古いというのもあるが、内容的にも古いだけでなく、かなりの部分で薄っぺらさを感じる。
だが旧劇となるとこれが逆転する。旧劇の怒涛の表現の前では、新劇のほうが古く、薄いと感じる。
内容も凄まじいが、その凄まじい表現を通して伝わってくるものがまた凄まじい。
現実の厳しさと、その厳しさの前にあまりにも愚かで、なす術のない人生。それをこんなに赤裸々にぶちまけられて、突き付けられて、嘲笑われる。生きることへのおびえや諦めを誤魔化している醜さを暴き出されて不快でないはずもない。
でも人間のしてきたことを見ないで、簡単にきれいごとや優しさを歌う映画とか表現というのは好きになれない気持ちというのはよくわかる。そういう刹那の癒しに慣れてくると、汚いもの、厄介なもの、醜いもの、弱い者から目を背けることが当たり前になる。
コロナウイルスが蔓延する現実が暴き出したのは、結局そういう人間たちの姿。
ほとんど何にも言わないのに、こんなにも暴露的ですさまじく冷たいのに、
それでも何より強く、この映画から滲み、あふれ出しているものは温かい。
悩みや苦しみ、虚しさや怒りから逃れられない、目を背けない人ならそれを感じるだろうと思う。そんな人達の心をいくばくかこの映画は慰めることだろうと思う。
仏教に大慈、大悲という言葉があってこの二つは同じだという。関わりの無い他者の悲しみからも目を背けず、鏡のように直視するその心だけが慈しみなのだ、というのだろう。
私たちは仏様ではないから、その厳しくて暖かい心は共有できない。だがこの映画から溢れだしているものを見ていると、その気持ちを感じることくらいは、できるのだなと強く思う。
4.5【孤独、夢、破壊、現実…カノン、反復記号】
「劇場版DEATH(TRUE2)/Air/まごころを、君に」は、リリスやアダム、使徒と人間、そして、綾波レイ、碇ユイと、エヴァンゲリオン初号機の関係をよく伝えている他、新劇場版では語られなくなったのか、変更されたのか、ミサトやリツコの生い立ちなども語られ、今では懐かしさも感じられる。
90年代、新世紀エヴァンゲリオンが製作された時、日本も世界も、思いもよらない岐路に立たされることになった。
米ソ冷戦が終結し、平和な時代が訪れると期待していたが、日本ではバブルがはじけ、阪神淡路大震災、オウムの地下鉄テロ、90年代後半には新興国を通貨危機が襲い、日本の大手金融機関の破綻、世界の知識を集結したような世界最大のヘッジファンドも例外ではなく、この世界から消えた。
そんな不安の中、ミレニアムを迎える終末思想に憧れを抱く若者が多くいて、エヴァンゲリオンを支持していたとしても不思議ではなかった。
新世紀エヴァンゲリオンは、この「劇場版DEATH(TRUE2)/Air/まごころを、君に」も含めて、そんな時代の空気をよく伝えているように思うのだ。
多くの人が最も恐れるのは何だろうか。
もしかしたら、孤独はその最たるものではないのか。
時代の変化の荒波に飲み込まれ、自分の努力で何かを成し遂げられるような状況では、もはや無くなってしまっていた。
人々に手を差し伸べるような余裕などなく、自分のことで手がいっぱいで、実は皆、孤独に苛まれていたのではないのか。
シンジが子供の頃、ひとりぼっちで、砂場でピラミッドのような山を築き、自ら破壊する。
僕も、子供の頃、ブロックや積み木で街を作り、自分が怪獣になって、街を破壊するという遊びを、たった一人で繰り返しやっていたことを思い出す。
エヴァンゲリオンの物語は、当初は、旧約聖書の人間の創造と、善悪二元論を組み合わせたようなストーリーだった。
だが、そんな二元論で語れるほど、僕達の世界は簡単ではなかった。
米ソ冷戦が終結しても、米国一強の時代は幻想のように終わり、2001年3月11日、アルカイダの操縦する航空機がニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだ。
世界は混沌とした時代に突入した。
これが現実なのだ。
「僕の現実は何か?」と、シンジがレイに問う。
レイは「夢の終わりよ」と告げる。
人間の儚い平和の夢は醒め、そして、いくつかの地域での紛争、大小のテロリズム、中国など新たな大国が台頭する時代に入り、世界は混沌とした色彩をさらに強めていく。
この「劇場版DEATH(TRUE2)/Air/まごころを、君に」の物語は、人間が最終兵器となるエヴァンゲリオンを手にして、最後は、使徒とではなく、人間同士で争うという、新しい世紀の世界の惨状を予想してたかのような内容だった。
そして、環境破壊、人間活動の自然の侵食によって現れたコロナウイルス、温暖化による激しい気候変動。
考えてみたら、神は、地上に増えすぎた人間の堕落を嫌い、ノアの方舟を用意し、洪水を起こした。
僕達の世界の洪水のような惨禍は始まったばかりなのかもしれない。
繰り返しになるが、
米ソが争って、仲間となる国を増やそうとしていた時代、西東に分かれて相互が対峙していた。
ソ連が敗れたが、理想的な自由主義が生まれたのではなく、人々の願いとは裏腹に、アニマルスピリットの自由資本主義が広がり、人々の心は荒び、搾取が当たり前の人間同士が富を求めて争い、怨恨は攻撃の大きな動機付けとなった。
やはり、「劇場版DEATH(TRUE2)/Air/まごころを、君に」が啓示していたかのようだ。
そして、この啓示のような物語は、2000年代に入り、新劇場版の異なる物語に発展した。
日本の伝統芸能の重要な様式美を伝える「序破急」を思わせる「序破Q」と続いたシリーズ。
TVのシリーズと「劇場版DEATH(TRUE2)/Air/まごころを、君に」では、西洋音楽の弦楽パッヘルベルのカノンが印象的だ。
パッヘルベルのカノンは、もともとはもっと速いテンポだったと聞いたことがあるが、旧劇場版にあった物語の中での切迫感や苛立ちに似た感覚は、それだったのだろうか。
確かに、新劇場版は、戦いや展開に追い立てられるような切迫感はなく、幕間で区切られた、それぞれ異なる物語の連作のようだ。
しかし、コロナ禍による二度目の緊急事態宣言で上映が延期になったエヴァンゲリオンのタイトルの末尾には西洋楽譜の反復記号が付記され、非常に興味を掻き立てられる。
何度学んでも、人は繰り返すのだと言うのだろうか、それとも、人は繰り返し繰り返し、未来永劫考え続けなければならないと言うのだろうか。
世界は更に混沌とした時代に入っていく。
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