ジャンクフード JUNK FOOD
劇場公開日:1998年4月18日
解説
様々な人間たちが暮らし、すれ違っていく港町・横浜の一日をリアルに活写したストリート・ムービー。監督・脚本は「アトランタ・ブギ」の山本政志。撮影を「てなもんやコネクション」の伊藤寛が担当している。主演は、本物のチーマーである鬼丸、「アトランタ・ブギ」のアリ・アーメッド、ロックンローラーの義幸ら。16ミリからのブローアップ。
1998年製作/84分/日本
配給:スタンス・カンパニー
劇場公開日:1998年4月18日
あらすじ
盲目の老女・敏子が暮らす街に、今日も朝がやってくる。ドラッグ中毒のOL・ミユキが、一夜を共にした行きずりの男を絞殺した。昼、何喰わぬ顔で出勤した彼女であったが、すぐにドラッグがきれ、売人を探して入ったホテルで、二重人格の売人に体中傷だらけにされてしまう。顔を腫らして帰宅するミユキ。そんな彼女を、夫は優しく迎え入れる。夜、京都から友人の遺骨を引き上げにやってきたヒデが、中国人娼婦・ミャンと出会う。意気投合したふたりは、夜の街に繰り出していく。「お金が貯まったら結婚しよう」…日本人の恋人・マミの言葉を信じて、パチンコの景品交換所を襲って大金を手に入れたパキスタン人のカウル。しかし、それは彼の勘違いだった。強盗を働いたカウルを口汚く罵るマミ。そんな彼女に逆上したカウルは、彼女を殺害。更に、助けを求めた同郷のブローカーをも逆ギレして殺してしまうのだった。同じ頃、チーマーのリーダー、リョウは、先輩のサトともめていた。言動のおかしいサトに辟易したリョウは、夜の街角でサトを顔が変形するほど殴りつける。それぞれの一夜を過ごしたヒデ、ミャン、カウル、リョウの4人が、一軒のラテン・クラブに集まってくる。いつしか親しくなった彼らは、ヒデの友人の遺骨を東京湾に流す為に、朝の港へ繰り出し、やがてバラバラに去っていく。一方、彼らとすれ違うことなく日本での興行を終えたメキシコ人プロレスラーのマリアーナは、沢山のお土産を抱えて、子供たちの待つ故郷へ帰っていくのだった。翌朝、盲目の老女・敏子がいつものように目覚める。今日も一日、いい日でありますように…。
スタッフ・キャスト
敏子山本静子
ミユキ飯島みゆき
横山古田新太
ヒデ義幸
リョウ鬼丸
ミャンMIA
カウルアリエレナ・フェイアフメッド
マリアーナエスターエレナ・フェイモレノ
上司山口晃史
殺される男成瀬恵剛
亭主岡村洋一
服飾店店員熊谷美香
服飾店店長鳳ルミ
サト津田寛治
サリームチョドゥリ・イクラム・ウル・ハク
シュウ川村龍俊
キク藤堂雄太
マミ小林陽子
ケンタKENTA.S
彫辰関西彫辰
同僚男塩田一男
チラシ男萩原収
女子高生芳澤美佐子
長谷川都
梶原亜紀子
OL美鈴
永瀬瞳
会議メンバー北村勝利
難波田哲史
森山一郎
刺青男佐藤勝也
彫辰の弟子古田謙一
彫辰の客森本龍二
村上村上幸一
関関一了
金城金城健
ボブBOB
サトを刺す男宮下亮
シンイチ中山真一
白帽男當木亮太
ジュンコ永岡彩
ジュンコの連れ溝口洋
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2.5ワカチコ!ワカチコ!
3.0監督の作品が好きなら楽しめるのでは
1998年公開。舞台は横浜。
オムニバス形式の映画で、登場人物はチーマー、ジャンキーのOL、外国人女性レスラー、出稼ぎのパキスタン人、女好きのチンピラといった少しクセの強い人たちである。
いかにも山本監督らしい映画と言えるが、初めて監督の作品を観るという人には正直あまりオススメできない。
監督のファンなら楽しめると思うが、それぞれのストーリーが短く、また、オチがつかないままエンディングを迎える話もあるので、観終わった後は「これで終わり?」というモヤモヤとした気持ちが残るのは否めない。
オムバス形式ではあるが、それぞれのストーリーがとても興味を惹かれる話だったので、その後どうなったの?という不完全燃焼の感が強く残った。
また、出演者も素人(?)が多いので、人によってはドキュメンタリーを観ているような感覚に陥るかもしれない。
当時のサブカルチャーの一部を垣間見る、もしくはあの時代の雰囲気を楽しむ映画として割りきって観れば悪くないかも。
個人的にはジム・ジャームッシュの一連の映画が思い起こされた。
ちなみに、最初とエンディングに出てくる盲目の老婦人は山本監督の母親である。
4.0地獄の手前のユートピア
目の見えない老婆、シャブ中、風俗嬢、反社の関西人、外人レスラー、パキスタン人、チーマー。真っ当な社会から零落した人々が横浜という特異点で出会ったり出会わなかったり。
横浜の街はある意味でユートピアだ。そこではあらゆる異邦性が解体され、誰もが等しく脆弱な一人の人間として取り扱われる。上に挙げた人々にとってはこの上ない場所だろう。横浜の無差別性は彼らの持つ身分的なしがらみを何もかも無効化してくれる。
しかしユートピアなどというものはしょせん体のいい幻想に過ぎない。老婆は夫に先立たれ、シャブ中は男に暴力を振るわれ、パキスタン人は最愛の女から「国に帰れ」と冷たくあしらわれる。横浜は、言ってしまえば最終最後のセーフティネットである。そして横浜より下にはおそらく死とか絶望とかいったもので溢れた地獄が待ち構えている。
地獄の一歩手前でワチャワチャと人生を送る人々。そこに外国人の姿が多いことは偶然ではない。日本人が精神的な鎖国をやめない限り、こうした状況はこれから先も続いていくことだろう。言わずもがな、弱者を包摂できない社会は私利私欲の追求の果てにやがて滅亡を迎えるだろう。日本はもうとっくに多民族国家なのだ。そのことを我々はもっと真正面から受け入れなければならない。
90年代後半といえば国内の文芸全体がセカイ系だのエヴァンゲリオンだのといった狭隘な自意識へと自閉していった時代だが、そうした状況下でもこのような問題意識に目を向け続けた山本政志の冷静さを評価したい。
4.0日本の
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