獅子の座
劇場公開日:1953年6月3日

解説
原作は松本たかしの『初神鳴』。「治郎吉格子」の伊藤大輔の大映復帰第一作。伊藤大輔と「愛欲の裁き」の田中澄江の共同脚色で、撮影は「柳生の兄弟」の石本秀雄。「嫁ぐ今宵に」の団伊玖磨が音楽を担当する他、宝生流十七代宗象宝生九郎と宝生英雄が能楽指導にあたる。風俗老証は「新書太闇記」の甲斐荘楠音。「花の講道館」の長谷川一夫、「憲兵」の岸恵子、堀雄二、「新書太閤記 流転日吉丸 流転日吉丸」の田中絹代、新派の大矢市次郎、伊志井寛、俳優座東山千栄子、子役に加藤雅彦(沢村国太郎子息)、若草劇団の水村国臣などが出演する。
1953年製作/124分/日本
劇場公開日:1953年6月3日
あらすじ
宝生流十五代の宗家宝生彌五郎に江戸開府以来第六回という勧進能が聴許され、その日は将軍家慶も上覧される予定で、江戸中は前評判で湧いた。演目の「石橋」には太夫の彌五郎と共に長男石之助も親子の連獅子となって舞うのだが、そのため幼い彼への稽古は厳格をきわめた。とりわけ彌五郎の妻久のしつけは、心を鬼にした峻烈なものである。久の実家--江戸きっての呉服商後藤にはもう年頃の末娘染がいるが、最近絵の練習に凝って縁談など耳もかさない。彌五郎の若い内弟子幾太郎は彼女に慕情を抱いているが、「羽衣」の天女を描く彼女の請を拒みきれず、天女の型をしてみせた。これを知った彌五郎は芸道の掟をやぶったものとして容赦なく幾太郎を破門する。当然染は義兄を恨むが、久から彌五郎の深い心やり--芸のきびしさ、芸道の人に連添うことのつらさをはっきり示そうという志を聴き、ようやく納得する。一方、跡取りゆえのきびしいしつけに、石之助の性来繊細な神経はたえかね、発作などおこしがちとなる。お仕置で土蔵に容れられた日など、急に鳴りだした雷のため失神するしまつである。いよいよ興行当日。将軍上覧の時刻が近ずくや空に黒雲がひろがり、雷鳴がおこる。恐怖で逆上した石之助は忽然姿をけしてしまった。「石橋」の出は迫り彌五郎は切腹を覚悟までする。篠つく雷雨。石之助はお堀端に失神しかかっていた。これを発見、楽屋に連戻ったのは幾太郎である。--父ともども雨中の舞台に進み出た石之助は、歯を食いしばって、しかし見事に舞い納め、宝生流十六代として襲名の儀、めでたく将軍家の許可がおりた。
スタッフ・キャスト
映画レビュー
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