座頭市海を渡る
劇場公開日:1966年8月13日
解説
子母沢寛の原作から「酔いどれ博士」の新藤兼人が脚色、「雁(1966)」の池広一夫が監督したシリーズ第十四作目。撮影は「泥棒番付」の武田千吉郎。
1966年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1966年8月13日
あらすじ
これまで斬った人々の菩提をとむらうため、座頭市は四国の札所めぐりを続けていた。船の中で暴力スリをこらしめたりした市だが、ある日、馬に乗って追ってきた栄五郎という男に斬りつけられ、止むなく彼を斬った。止むを得ないとはいえ、また人を斬った市の心は沈んだ。だから、栄五郎の家を訪ね、妹のお吉に腕を斬られた時、お吉の短刀をよけようともしなかったのだ。お吉は、実は優しい娘で、兄が殺されたと悟って咄嗟に市を斬ったのだが、今度はその市をかいがいしく介抱するのだった。お吉の話では、栄五郎が三十両の借金のために、土地の馬喰藤八から命じられて市を襲ったのだった。そして市を弟の仇と狙う新造が藤八にそれを頼んだことが分った。また村の暴力一家の頭でもある藤八は、芹ケ沢の支配権を一手に握ろうと画策してもいた。だが、そこはお吉の土地だったから、藤八は邪魔なお吉に、女房になれと言ってきた。それを知った市はお吉の後見人となり真っ向うから藤八と対立したのだ。そんな二人を、名主の権兵衛は狡猾な計算で見守っていた。先ず市は栄五郎の香奠として、藤八に三十両を要求した。結局競技で藤八の弓に居合で勝った市は三十両をせしめた。しかし、その帰途を藤八の子分が襲ったのだが、所詮市の居合に敵うはずもなかった。市とお吉は栄五郎の墓を建てて、しばらくの間楽しい日々を過ごした。そんなお吉に、恋人の安造が土地を捨てようと誘った。しかし、お吉は市を信じていた。やがて藤八は市に最後通牒をつきつけてきた。そしてその日、市はたった一人で藤八一家と対峙した。孤立無援の市を、村の人は助けようともしなかった。市は闘った、斬った、市は村人がきっと助けにくると信じて危機を切り抜けていた。やがて、安造が刀を手に現われた。そして安造が藤八の用心捧常念の槍に斃れた時、ついに、村人も市に加勢してきた。勇躍した市は一刀の下に藤八を斬った。そして市は、馬上から見送るお吉に別れを告げ夕焼空の彼方へと去って行った。
スタッフ・キャスト
映画レビュー
3.0渡った先は四国
3.0脚本:新藤兼人
船の中、いきなり田中邦衛の猥談。みんな四国八十八か所の巡礼の旅に出るわけじゃないからいいのか・・・とは言っても、暴力スリの男といい、ここだけの出番。
今回の設定はかなりシンプル。百姓の村に山向こうの山賊みたいな奴らが力づくで支配しようとやってくるのだ。それでも新藤兼人の脚本の面白さがある。弱い者は支配されたほうがいいとか、支配者の論理を展開するほど会話が多い。カメラも定点が多く、アクション映画という感じではない。しかも、懺悔の旅ということもあって、市の内面をも見せてくれる。そして、村人たちは自分たちは何もせず、座頭市に頼ってしまうところも脚本の妙。
そんな中、安田道代の美しさだけが光っていた。
3.5市の信じる大博打
シリーズ14作目。1966年の作品。
てっきりタイトルから(それとOPの印象から)海や船を舞台に海賊と闘う、これまでと一線を画した一作かと思ったら、違った。
“海を渡る”とは、船でシリーズ初の四国へ。
これまで斬ってしまった人たちを弔う為に、四国八十八箇所巡りの旅に出た市。
その最中一人の若い男・栄五郎に理由も言われる事も無く襲い掛かられ、またやむなく斬ってしまう。
栄五郎が乗ってた馬に連れられ、とある集落へ。
そこで栄五郎の妹・お吉と出会う。兄を斬った市にお吉は斬り掛かるが、それを避けなかった市にお吉は心を開いていく。
栄五郎が市の命を狙ったのは、あるやむない理由から。
この集落・芹ヶ沢は、藤八というゴロツキ率いる馬賊が支配しており、その逆らえない命令であった…。
市とヒロインの色恋は定番。しかし今回は特に印象深く。お吉役の安田道代(現・大楠道代)が可憐。
いつものやくざは憎々しいが、今回の馬賊は荒々しく。藤八役の山形勲が迫力たっぷりに。
脚本は新藤兼人! 映画は本作は一本だけだが、後のTVシリーズも手掛ける事に。
名脚本家でもあるので、ツボを抑えた娯楽劇。
が、舞台は四国で馬賊と闘う…と一見新味を加えているように感じるが、やっている事は同じ。
せっかく脚本に新藤兼人を迎えながら勿体ない…いや、ドラマ面で深みがあった。
クライマックスは勿論、藤八一味が攻めてくる。
集落の危機。闘える者は闘おうと…しない。
集落の主は、市一人にやって貰う魂胆。勝てばそれで良し。負ければ後から藤八とじっくり時間をかけて話合うだけ。ズル賢い。
孤立無援。市はたった一人で藤八一味と闘う。
いつもならクライマックスは、市の怒りが爆発して、ヒーローのような強さで悪党どもを斬る!
が、今回は多勢に無勢、弓矢で大苦戦…。いつになく疲労、傷付き…。
闘う前、市はお吉に話す。
市は集落主の魂胆を見抜いていた。
この集落は、ゴロツキのワルと“イイ顔”したズル賢い奴がせめぎ合っている。
それでも人を信じたい。
人は変われるか。
市の大博打。
映画.com注目特集
3月19日更新
【衝撃の問題作】なぜ世界は「ガンニバル」に熱狂するのか? “絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ
【あまりにオススメされるので、シリーズ未見だけど観てみた】結果は…ハマるまでのリアルドキュメント
提供:ツインエンジン【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI【感想投稿で豪華賞品が当たる】ちょっとでも観たことある人、今すぐ参加して!(提供:ディズニー)
注目作品ランキング
1
ウィキッド ふたりの魔女劇場公開日 2025年3月7日
2
35年目のラブレター劇場公開日 2025年3月7日
3
ファーストキス 1ST KISS劇場公開日 2025年2月7日
4
映画ドラえもん のび太の絵世界物語劇場公開日 2025年3月7日
5
ロングレッグス劇場公開日 2025年3月14日
映画ニュースアクセスランキング
- 昨日
- 先週
1
女優で歌手で潜入工作員…さらに射撃の名手! ガイ・リッチー新作「アンジェントルメン」本編映像2025年3月19日 08:00
2
アンディ・ラウ主演、香港映画史上最大級のディザスター大作「カウントダウン」緊急公開が決定【特報公開】2025年3月19日 08:00
3
【本日配信!】「ガンニバル」完結編、新宿にリアル出現した“人が喰われている村”に行ってきた2025年3月19日 15:00
4
橋本環奈が“赤い人”になった!? 「カラダ探し THE LAST NIGHT」9月公開、衝撃のビジュアル披露2025年3月19日 07:00
5
「47RONIN」監督がNetflixに対する詐欺容疑で起訴 16億円を不正流用2025年3月19日 14:00
1
ニコラス・ケイジの変貌ぶりがヤバすぎて主演女優の心拍数が「76→170」に跳ね上がる「一生忘れない」2025年3月11日 18:00
2
櫻井翔×北川景子「映画 謎解きはディナーのあとで」3月29日に放送2025年3月14日 16:00
3
「日曜アニメ劇場」3月16、23日に「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場版2作を放送 30日は「ルパン三世VSキャッツ・アイ」2025年3月14日 18:00
4
【閲覧注意】台湾ホラー「ガラ」5月9日公開決定! 衝撃の日本版ビジュアル&予告編&場面写真を一挙公開2025年3月10日 08:00
5
【第48回日本アカデミー賞】最優秀作品賞は「侍タイムスリッパー」 安田淳一監督&山口馬木也が涙2025年3月14日 22:55
「座頭市」シリーズ関連作品
座頭市 THE LAST
2010年ICHI
2008年座頭市
2003年座頭市(1989)
1989年新座頭市物語 笠間の血祭り
1973年新座頭市物語 折れた杖
1972年座頭市御用旅
1972年新座頭市・破れ!唐人剣
1971年座頭市あばれ火祭り
1970年座頭市と用心棒
1970年座頭市喧嘩太鼓
1968年座頭市果し状
1968年座頭市血煙り街道
1967年座頭市牢破り
1967年座頭市鉄火旅
1967年座頭市海を渡る
1966年座頭市の歌が聞える
1966年座頭市地獄旅
1965年座頭市逆手斬り
1965年座頭市二段斬り
1965年座頭市関所破り
1964年座頭市血笑旅
1964年座頭市あばれ凧
1964年座頭市千両首
1964年座頭市喧嘩旅
1963年座頭市兇状旅
1963年新・座頭市物語
1963年続・座頭市物語
1962年座頭市物語
1962年