金田一耕助の冒険
劇場公開日:1979年7月14日
解説
盗まれた石膏像の首をめぐって起こる連続殺人事件を解決する金田一耕助の活躍を描く。横溝正史の原作『瞳の中の女』の映画化で、脚本は「渚の白い家」の斎藤耕一と「修道女 濡れ縄ざんげ」の中野顕彰の共同執筆、監督は「ふりむけば愛」の大林宜彦、撮影は「ブルークリスマス」の木村大作がそれぞれ担当。
1979年製作/113分/日本
配給:東映
劇場公開日:1979年7月14日
あらすじ
すっかり有名になった金田一耕肋、最近は、等々力警部と一緒にCFに出演したりしている。その頃、街では、マリアを中心にした「ポパイ」という美術品専門の盗族団が暴れまくっていた。そのマリアが、十年前、金田一が真犯人をつきとめることができなかった「瞳の中の女」事件の鍵を握る石膏像、不二子像の首を、金田一のところへ持ち込んできた。不二子像とは、灰田勝彦が作ったもので、現在は、美術評論家の古垣和哉が保管している。さっそく、事件の渦に飛び込んだ金田一だが、その首が何者かに盗まれてしまい、それは古美術店々主明智小十郎の手に渡っていた。マリアたちの手引きで明智邸を訪れた金田一は、そこで、明智の妻文江に会う。彼女こそ不二子像のモデルであったのだ。金田一の行く先々で殺人事件が起こる。やがて金田一は、文江がしばしば老人ホームに見舞いに行っていることを調べ出した。そこには、盗まれた首と同じものを作っている森友吉という老人がいた。そして金田一は、古垣、森、それに老人ホームの経営者・今泉の三人の関係をつきとめた。三人は、灰田の弟子で、文江は灰田の妻であったが、やがて森と駆け落ちする。しかし、自分の才能に限界を感じた森は文江を捨てて逃げ去ってしまった。数十年後、すっかり老けこんでしまった森を老人ホームで発見した文江は、捨てられた復讐に、決して越えることの出来ない師匠の作った不二子像の首を作り続けさせていたのである。そして、何とか逃れようとした森が、その首を盗み、事件の発覚を恐れて次々と殺人を犯していたのだ。金田一は見事に事件を解決した。そして、今日も、等々力警部とCFの撮影に出かけるのだった。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
2.5明るく綺麗な見た目のピーマンの中
録画したものを視聴しました。
「話がピーマン」…二度台詞が有ります。当時はピーマンが空っぽというイメージがあったのでしょう。今ならピーマンの中のワタこそ栄養があり捨てるべきではないことは、知る人ぞ知る事実です。
不二子さん他、女性陣の魅力が引き出されていました。
横溝正史さんご本人の出演シーンも愉快でした。
ドタバタコメディテイストで明るい雰囲気の中に、しっかり大事なメッセージを入れているのですが、残念ながら大事な部分は不要なものであるという間違った常識によって捨てられていたピーマンのような作品…と、言っている自分でも意味がわかってません。
映像が古いだけでなく、演出的にチープさが目立つものの、金田一耕助が存在する世界観にリアリティを感じました。
3.5底抜けなパロディーパーティー!
DVDで鑑賞。
原作(瞳の中の女)は未読です。
古谷一行さんの訃報に触れ、思い出しレビューします。
金田一耕助シリーズだけでなく、当時話題となっていた映画やCM、果ては角川映画まで、途方も無い数のパロディー(悪ふざけ)が仕込まれていて(気づいたところの方が少ないかもしれませんが)、かなり笑わせてくれた作品でした。
テレビドラマでも金田一耕助を演じていた古谷一行さんでしたが、本作のそれは剽軽さが5割増しくらいな印象で、全体的にセルフパロディーの趣きがありました。
古谷一行さん…
名優がまたひとり、天に召されてしまいました…
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
2.0パーティーは終わった! これから打ち上げの二次会だ
70年代の金田一耕助シリーズは、どれも角川映画というイメージがあるが、実際には角川が製作しとして出資したのは、1976年の「犬神家の一族」と、1979年の本作の2作品だけだ
1978年の「悪魔が来たりて笛を吹く」は東映の全額出資で、角川春樹氏は雇われプロデューサーとして参加している
なぜ角川は本作を製作したのか?
その疑問がまず鑑賞前から頭をもたげる
大林宣彦監督は当時まだ商業映画3作目の新人監督
1 作目の「House 」で異才ぶりが注目された
それでどのような作風であるのかは、良く知れ渡っていたはずだ
横溝正史作品の世界とは対極にあるということは誰もが分かっていたはず
内容を観ればやはり予想通りだ
角川はそれでも大林宣彦監督を選び、自ら出資して、金田一耕助の映画を撮らせた
それは一体なぜなのだろうか?
そればかりが頭の中でぐるぐる駆け巡った
単にお友達だから?
そんな訳はない
横溝正史の原作の大ヒット
映画化したらそれも大ヒット
相乗効果でさらに文庫本が売れる
それで味をしめて他の小説家でも試してみたら、これもまた大成功
角川としては金田一耕助シリーズには大恩がある
その金田一耕助シリーズもあまりにもヒットし過ぎで、映画もテレビも沢山作られて流石に飽きがでてきた
そろそろ幕引きの頃合いだった
それが1979年の状況
あの市川崑監督が「病院坂の首縊りの家」で宣伝コピーの通りのこれが最後じゃ!というレベルの残念な映画を撮ってしまうほど
出演者勢揃いのカーテンコールは「女王蜂」で済んでいる
「病院坂の首縊りの家」は完全に蛇足だった
ダラダラといつまでも終わらないパーティーは最低だ
早く誰か中締めしてくれ!
誰がするのか?
それはパーティーの主催者に決まっているじゃないか
何をもって金田一耕助シリーズを本当に締めくくるのか?
その答えが本作だ
つまりパーティーの中締、二次会で打ち上げ、そして関係者の集合記念写真の撮影
これが本作のテーマだ
大林宣彦監督はその意味を良く理解して本作を撮っていると思う
そこは流石だ
本作をもって、70年代の金田一耕助シリーズの大ブームは完全に終わった
パーティーの中締めがなされたのだ
たまたま西田敏行が他の仕事で主演できず、古谷一行が主演したのは嬉しい誤算だった
彼が主演の金田一耕助のテレビ版が一番好きだった
一番原作のイメージに近いのは彼だ
その姿が映画となっているのは本作だけだ
今ではテレビ版もネット配信で何時でも鑑賞できる時代になった
金田一耕助シリーズの嵐のような大ブームは、もう40年以上昔のこと
21世紀の今、本作の役割は何が残っているのか?
パロディをどこまで読みとれるかのクイズ番組みたいな価値しか残っていないのかも知れない
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