俺は田舎のプレスリー
劇場公開日:1978年8月12日

解説
吉幾三の唄「俺はぜったい!プレスリー」をヒントに、青森県五所川原の平和な村での恋と騒動を描く。脚本は、「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」の朝間義隆、「〈分校日記〉 イーハトーブの赤い屋根」の梶浦政男、植村信吉、三人の共同執筆、撮影は「坊っちゃん(1977)」の竹村博がそれぞれ担当。
1978年製作/85分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1978年8月12日
あらすじ
保は高校卒業後、大学を20数校受けたがすべて失敗して、今では親のリンゴ園を手伝っている。そんな保は、農協に勤める百合子にひそかに思いを寄せていた。しかし皮肉なことに、彼女は兄、真美男のフィアンセであった。東大を優秀な成績で卒業し、ソルボンヌ大学に留学しているその兄が帰ってくることになった。村の誉、希望の星を鼓笛隊まで編成して出迎えた。しかし、駅に降りた真美男は何と女装姿であった。かっての村の誉は、パリで女に性転換して帰ってきたのである。百合子はショックで気を失ってしまった。真美男に対する村の態度は冷く、彼女は再びパリに帰る決心をするのである。真美男は百合子にわびを言い、保が彼女に熱い思いを抱いていることを告げて日本を去っていった。数日後、保は思いのたけを百合子にぶつけたが、彼女は保は可愛い弟のようだと言って、東京に向かうのである。しかし保はくじけなかった。--はんかくさいと人は言う、--病院入れと人は言う、--しかし俺はプレスリー、田舎のプレスリー。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.5詩情あふるる逸品
のどかなリンゴ農園に巻き起こる不協和音のしらべ。
それぞれの純粋な想いが奏でる。
ゆえに、せつなくて、胸が痛くなるくらい。
美しい自然描写、ロングショットにため息が出た。
馬やクルマの絶妙な撮り方がなんともダイナミック。
性が異なるふたりのヒロインの美麗さ。
思想が違うふたりの青年の素朴さ、複雑さ。
包容力の父性としてのハナ肇の苦悩。
時とともに人も社会も変異していく。
変わらないのはだれかを想う気持ち。
40年経っても変わらない普遍。
駅での別れのキスシーンが、日本映画でも見事に成立してしまう。なんとも粋な感じ。
バタ臭い西部劇名画をやりながら、
アナログローカルな日本の田舎、
二律背反する要素が、見事に魅力的に活かされている。
笑いどころ満載ながら、
胸がいっぱいになる、気持ちの良い余韻に酔いしれた。
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3月21日更新
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