男はつらいよ 寅次郎の青春
劇場公開日:1992年12月26日
解説
宮崎を舞台に、寅次郎と甥の満男のそれぞれの恋の行方を描く「男はつらいよ」シリーズ第45作。スタッフ、キャストは前作「男はつらいよ 寅次郎の告白」とほぼ同じメンバーで、監督・原作・脚本は山田洋次、共同脚本は朝間義隆、撮影は高羽哲夫と花田三史が担当。
1992年製作/日本
配給:松竹
劇場公開日:1992年12月26日
あらすじ
秋風の漂う頃、旅から旅のフーテンの寅こと車寅次郎は九州・宮崎のある港町で、“髪結いの亭主”よろしく理髪店の女店主・蝶子のもとに居候することになった。一方、寅の故郷、葛飾・柴又では、東京のレコード店に就職した泉が、休み前になると満男の家に遊びに行き、さながら家族のように過ごしていた。そんな泉は高校時代の親友の結婚式で宮崎に出かけ、偶然、寅に出会う。久しぶりの再会に喜ぶ2人だったが、そこへ蝶子がやって来て、大あわてした寅は足をくじいてしまう。泉から電話でそのことを聞いた満男は、大急ぎで宮崎へ。その慌てようにさくらたちは大騒ぎとなるが、満男が急いだのはもっぱら泉に会いたいからだった。宮崎に着いた彼を迎えに来たのは泉だけでなく、蝶子の弟で漁師の竜介も一緒だった。泉が竜介と仲良くしている様子に満男はふくれるが、竜介にはちゃんと許婚がいることが分かると、とたんに元気を取り戻す。こうして彼らはしばしの楽しい日々を過ごすが、いざ満男と泉が帰るという日、寅も一緒に帰ると言い出し、蝶子は怒ってしまう。蝶子も寅のことが好きになっていたのだった。久しぶりに柴又に戻ってきた寅が相変わらず社長と喧嘩したりしている頃、名古屋で働く泉の母親・礼子が入院することになり、泉は東京の勤め先をやめ、名古屋に向かうことを決心する。新幹線のホームまで見送りにいった満男は、離れたくない思いをかみしめ、泉を励まして別れる。そんな満男の成長を見届けながら、寅はまた旅に出るのだった。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
1.0バブル弾けし大日本帝國の夕暮れ時。
なんとまぁ、初見であった。
いやいや、見たかなぁ?
山下達郎さんの『クリスマス・イブ』へのリスペクトかなぁ?
幸せは勿論『結婚』ではない。
幸せは 『金である』
イズミが宮崎空港へ降りる時に遠くに見えるのは、高千穂峰で手前にDr.ノーの秘密基地の韓国岳。真ん中は1991年に噴火したばかりの新燃岳だ。この映画が上演される数年前に韓国岳から高千穂峰まで縦走したことがある。高千穂峰の山小屋で大晦日宿泊し、レコード大賞の新人賞(?)に岡田有希子さんが選ばれた年だ。
本当は北原ミレイさんの
石狩挽歌の似合うはずなのだろうが、たぶん『日南』と言う場所を昭和的な概念でアイロニーしたのだと思う。けどね。一歩遅いと思うよ。
あの大災害まであと二年。
4.5【寅さんシリーズを第45作まで観て来て思う事、幾つかを記す。】
■宮崎県にやってきた寅次郎は、美容院を切り盛りする蝶子(風吹ジュン)と出会い、親切な彼女の家に泊めてもらう事になる。
そんな時、友達の結婚式にやってきた泉(後藤久美子)は寅次郎と偶然城で出会うが、転んで足を怪我してしまう。
それを知った満男は、泉に会う事も含め宮崎へ向かうが、そこには蝶子の弟で船乗りの竜介(永瀬正敏)と泉の仲の良い姿があり、満男は焦るのである。
◆感想
・数カ月前から、寅さんシリーズを少しづつ観て来て、早くも、45作目である。少し前から一気に観てしまうのが、何だか勿体なくも寂しくて暫く観ていなかった。
だが、久方ぶりに観ると、矢張りとても面白いのである。
・寅さんシリーズの魅力を書き出すときりが無いが、一言で言えば山田洋次監督の根本思想である人間性全面肯定姿勢をベースにした、類稀なるクオリティの高いヒューマンドラマだという事であろう。
・登場人物達は、会えば頻繁に喧嘩をしつつも、お互いに相手を心のどこかで常に気にかけ、喧嘩が終われば人間として相手に対して、控えめながら優しく接するのである。
・数作前から、渥美清さんの健康状態の事もあり、満男と泉の恋を中心にした物語にシフトしていたが、今作では再び寅さんを慕う風吹ジュンさんが演じる情の深い蝶子が登場する。嬉しい限りである。
それで、今作のタイトルなのだろう。寅さんの生き方は幾つになっても青春なのだから。
・それにしても、寅さんは今作でも粋である。”釣りは要らねえよ。””そちらの分も・・。”
こんな台詞をサラリと言って嫌味に感じないのは、寅さんくらいではないだろうか。
■45作目にもなると、主要キャストも老いてくる。人間なのだから当たり前である。だが、矢張り寂しいモノである。今作が最期の出演になられた名優もいらっしゃる。タコ社長も痩せたなあ。
一方、満男はドンドンと寅さんに似て来て、泉を演じた後藤久美子さんがドンドン美しくなって行く様は驚異的である。
又、当時、若手俳優のホープであった永瀬正敏さんの格好良い事と言ったら・・。
<寅さんシリーズは、山田洋次監督やスタッフの上記の様なバランスを取った、キャスティングの妙により、世界でも稀なる名シリーズになった事が良く分かるのである。
寅さんシリーズが、如何に素晴らしく、如何に当時その時々に作品を観た多くの人達に笑いと涙を与え、勇気づけたのだろうかという事を改めて感じた作品である。>
3.5満男が主役になって来た
3.0ビシバシ純情!
恥ずかしながら『男はつらいよ』シリーズ初鑑賞になる本作は単に永瀬正敏が出演しているからの理由で、山田洋次の『息子』に引き続き岩手訛りから宮崎の方言が素でもあり永瀬に好きな格好をさせているように思える山田洋次監督、ギターを弾き語りで「夢見る頃を過ぎても」を祭りのステージでもHILLBILLY BOPSを熱唱する姿、終盤の寅さんでもある渥美清と永瀬正敏のツーショットが渋い!!
意識した事もなかったけれど後藤久美子が可愛くて釣り合うわけがない満男なんか、周囲から甘やかされている虎さんはある意味で才能かと、満男は恵まれた環境下で甘ったれているだけの優男で性格もあまり良くはない、ナゼに寅さんは旅をしなければならないのか、送り出して向かい入れるの繰り返しを毎度シリーズ毎に、今の自分じゃぁまだまだ寅さんの生き様や渋みがわからないペーペーな男でしかないなぁ、と。
寅さんの世界観で生きて行けたら楽しいだろう、葛飾柴又の住人でも良い。。。
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