男はつらいよ 奮闘篇
劇場公開日:1971年4月28日
解説
「男はつらいよ」シリーズ第七作目。脚本は朝間義隆と、監督の山田洋次。撮影は前作「男はつらいよ 純情篇」の高羽哲夫がそれぞれ担当。
1971年製作/92分/日本
原題または英題:Tora-san The good Samaritan
配給:松竹
劇場公開日:1971年4月28日
あらすじ
春三月。残雪の越後を旅する車寅次郎は、集団就職のために別れを惜しむ少年とその家族を見て故郷を想い出してしまった。一方、柴又には、寅の生みの親菊が三十年振りで「とら屋」を訪れた。しばらくして菊は帰ったが、そこに寅が帰って来た。そして、さくらと一緒に菊を訪ね、再会した嬉びも束の間、寅の結婚話が元で喧嘩になってしまった。菊は、そんな寅に終始気を使うさくらに感謝しつつ京都へ帰った。寅もこのことが原因でまた柴又を去った。その旅で、寅は、津軽から紡績工場へ出かせぎに来ている、頭は弱いが純真で可愛い少女花子と知りあった。彼女は工場になじめず、故郷に帰りたいと寅に相談した。寅はなけなしの金をはたき、柴又を訪ねるよう住所を教えた。数日後、柴又に戻った寅は、津軽に帰らずおいちゃんの店で働いている花子を見てびっくりした。ある日、突然花子が寅さんのお嫁になりたいと言う。その気になった寅は、早速さくらに相談した。さくらは、おにいちゃんが幸せになれるならと賛成したが、おいちゃん、おばちゃんは、生れてくる子供のことを考えて猛反対である。そんな時、花子の身許引受人と名乗る福田先生が、突然紡績工場から行方不明になった花子を引き取りに来た。寅の不在中、花子は福田先生と共に津軽へ帰っていった。それから数日後、失意の寅は置手紙を残して柴又から消えた。さくらは、直感で津軽にとんだ。さくらの勘は当り、バスの中で偶然に寅と出会った。二人の目には涙が浮んでいた。窓の外には、まだうっすらと雪を残す津軽山脈の向こうに真赤な夕陽が沈もうとしていた。
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.5心の故郷
4.0お人好しの錯覚恋
0.5幼児◯愛者ではない。だから、マドンナではない。
『フェイクでも、エンターテイメント』でも良いのだが、描くストーリーは当時の最底辺に位置する人々である。
そして、決定的な誤りは、『なぜその地方の人々が集団就職しなければならないのか?』その問題点の解釈である。
その問題点をあらわにせぬまま、満身創痍で都会に出なければならなくなった人々の『血のにじむ様な苦労』をただ単に『哀愁』や『笑い』に変えてしまっている。
そして、この地方の多くはは過疎地と呼ばれる様になり、誰も居なくなったその跡地には、都市に送る為のエネルギーを生み出す建物が立ち、かろうじて村祭が営める数の人々が住む場所になっている。
まぁ、今が幸せならそれでも良いが、そこへ天災が及ぶと『かしこみ!かしこみ!』と唱えなければならなくなる。
さて、
その問題点とは減反政策である。国は1971年からそれを始める。富国強兵を考える上でもやってはいけない事に僕は感じるが。
さてさて、現在の大和民族の現状は?
何度も申すが、絶滅危惧種そのものになって、食料自給率は激減して、今更、少子高齢化問題とかのたまっている。問題は1970年代に始まっているのに。
追記 東京のおもちゃ工場で思い出した。その前の歯医者に8月19日に予約入れていたのをスッカリ忘れていた。
どうしよう?
3.5榊原るみは可憐だが、コメディ映画の役割とは思えなくて。。。
1974年4月公開。シリーズ7作目。
GW、盆と正月、親に連れられ寅さんを観ていた。
懐かしい。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
音楽:山本直純
本作から朝間義隆が脚本にクレジットされ、最終作まで続く。
朝間義隆と言えば、『幸福の黄色いハンカチ』が余りにも有名だ。高倉健を新たなステージに導いた名脚本だ。
「男の悲哀」「弱さ」「潔さ」「逡巡」
をセリフや仕草で表現するのが抜群に上手い。
お世辞にも二枚目とは言えない渥美清に、
国民が感情移入できた理由は、
朝間義隆と山田洋次が作品にかけた魔法にある。
渥美清、倍賞千恵子、前田吟に加え、
ゲストは、
【寅さんの実母・菊】:ミヤコ蝶々
【太田花子】:榊原るみ
【冬子(御前様の娘・初代マドンナ)】:光本幸子
【福士先生】:田中邦衛
ほかに、林家小さん、犬塚弘など。
◆寅さんの実母が、関西弁バリバリのミヤコ蝶々という変化球
◆さくらが異母妹であることをサラリと紹介
◆集団就職(地方と都会の格差拡大)
◆障がいを持つ女性をヒロイン役に設定
◆さくらのお出掛けモードファッション
(倍賞千恵子さん、素敵ですね)
障がいを持つ人をメインキャストに設定するのはなかなか難しいと思う。
演じた榊原るみは当時23歳、とても可憐で無垢な演技を無難にこなしている。
山田太一の『男たちの旅路』シリーズ『車輪の一歩』が正面からぶつかった代表作とするなら、
本作も、地方との格差と併せ、ひとつの問題提起をしたと思える。
山田洋次と朝間義隆の意欲を感じる。
だが、『男はつらいよ』はコメディに徹してほしい気がする。
腹を抱えて笑いたいからだ。
社会性のあるメッセージが含まれると、心から笑えない。
迷ったが、☆3.5としたい。
※ここからは余談
音楽を担当し、主題歌を作曲した山本直純は、
昭和の時代、クラシック音楽を身近に感じさせた功労者だ。
「大きいことは良いことだ〜」のCMは有名。
その昔、山本直純さんの死後、
山本直純さんが設立した音楽事務所であるオズミュージックと仕事することがあった。
みなさん、クラシック畑なのだが、
カラオケに行くと必ず、
「〽お〜れ〜がいたんじゃあ、お嫁に行けぬ」
が始まったのが、涙が出るほど懐かしい。
本シリーズを観るたびに思い出す。
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