うなぎ
劇場公開日:1997年5月24日

解説
妻の浮気によって人間不信に陥り、唯一飼っているうなぎだけに心を開く中年男と、そんな彼をとりまく人たちの交流を描いた人間喜劇。監督は前作「黒い雨」から8年ぶりにメガホンを取った今村昌平。吉村昭の『闇にひらめく』を、冨川元文と「罠」の天願大介、そして今村自身が共同脚色している。撮影は「BAD GUY BEACH」の小松原茂。主演は「失楽園」の役所広司と、「義務と演技」の清水美砂。第50回カンヌ国際映画祭グランプリ(パルム・ドール)受賞作で、今村は83年の「楢山節考」に続く2度目の受賞となった。97年度キネマ旬報ベスト・テン第1位。
1997年製作/117分/日本
配給:松竹=松竹富士
劇場公開日:1997年5月24日
あらすじ
1988年夏、サラリーマンの山下拓郎は妻の浮気を告発する差出人不明の手紙を受け取った。不倫の現場を目の当たりにした彼は、激しい怒りに駆られて妻を刺殺してしまう。それから8年、刑務所を仮出所した山下は、千葉県佐倉市の住職・中島の世話で、利根川の河辺に小さな理髪店を開業した。人間不信に陥っていた彼は、仮釈放中にトラブルを起こしてはならないこともあって近所づきあいもせず、飼っているうなぎを唯一の話し相手に、静かな自戒の日々を送っている。ところがある日、うなぎの餌を採りに行った河原で、山下は多量の睡眠薬を飲んで倒れている女性を発見した。服部桂子というその女性は、山下によって命を救われるが、山下は「東京に帰りたくない」と言う彼女を店で使うよう、中島の妻・美佐子に押し切られてしまう。金融会社の共同経営者で愛人でもある堂島との関係や、精神病の母・フミエとの血のつながりから逃がれたいと思って自殺を図った桂子と関わりを持つことは、彼にとって迷惑でしかなかった。しかし、明るい彼女のお陰で店は繁盛するようになり、また山下の気持ちも次第に解きほぐされていく。だが、そんな山下の前に刑務所で知り合った男・高崎が現れた。出所し、ゴミ回収の仕事に就いていた高崎は、桂子と幸せそうに働いている山下をやっかみ、桂子に山下の前歴をバラしたり、怪文書を店先に張ったり、山下のSEX経験をバカにしたりと執拗な嫌がらせをしてくる。一方その頃、堂島の子を身ごもっていることが判明した桂子が、山下の前から姿を消した。過去を清算するために上京した彼女は、母を秋田の病院に帰し、堂島の会社から預金通帳を取り戻すと再び山下の元へ戻ってくる。しかし、堂島はそれを許さなかった。山下の店へ先回りした彼は、帰ってきた桂子から金を奪い返し、彼女を連れ戻そうとする。ところが、それまで桂子の愛を頑なに拒絶し続けていた山下が、あえてトラブルに巻き込まれると承知しながら、堂島から桂子を守った。山下は堂島とのトラブルで刑務所に戻されることになったが、様々な人たちとの交流を通して人間性を取り戻し、桂子とお腹の子を受け入れて、これからの人生を生きていくことを決心する。
スタッフ・キャスト
受賞歴
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映画レビュー
3.0役所広司映画
4.0清水美砂との濡れ場は夢だった(田口トモロヲ口調で)
監督と脚本は『楢山節考』『女衒』『黒い雨』『カンゾー先生』『赤い橋の下のぬるい水』の今村昌平
脚本は他に『赤い橋の下のぬるい水』『福耳』『出口のない海』の冨川元文と『カンゾー先生』『赤い橋の下のぬるい水』『テンデラ』の天願大介
1997年公開作品
第50回カンヌ国際映画祭パルムドール
20代の時以来2度目の鑑賞
動画配信はされていない作品なので地元のTSUTAYAでレンタル
粗筋
妻の浮気を目撃した会社員山下拓郎は出刃包丁で全裸の妻を滅多刺しにして殺害した
すぐさま自首した山下は8年服役し出所した
保護司の中島次郎の世話になり理髪店を開き理容師として働き始めた山下
山下は刑務所時代に飼い始めたうなぎにしか心を開かなかった
そんな矢先に山下は道端で服毒自殺を謀った女を発見しなんやかんやで警察に届けた
恩人の山下に服部桂子はすっかり惚れ込み押しかけ女房の如く山下の理髪店で働くようになる
舞台は千葉県佐原
佐原は佐原砂漠で何もないと自嘲する近所の船大工役の佐藤允
『台風クラブ』にも登場したが顔力がハンパない
まんが日本昔ばなしの常田市原コンビが共演
一緒のシーンがないのが惜しい
市原演じる桂子の母は秋田から娘の元にやってきた
つまり清水美砂演じる桂子は秋田出身
主人公山下の嫁の役だと記憶違いしていたのだがころされた恵美子役を演じたのは寺田千穂
寺田千穂?誰?
最近は芸能活動してないようだが結婚し子育に専念し俳優業は休業状態
ブログは時々更新しているようで息子は中学生になったという
様々な名脇役がチョイ役で登場する
UFOを待つ青年という設定は必要なかったと感じる
女性俳優2人には悪いが清水美砂や寺田千穂の濡れ場より堂島一味が山下理容店に乗り込み乱闘騒ぎになるクライマックスシーンがこの映画の1番の見せ場
他人事なら乱闘は面白い
自分は清原和博のような漢じゃないけど
妻が浮気したくらいで殺すことはないだろうと感じた
それが愛情の深さの裏返しなのか
飼っていたウナギは川に流しケジメをつけた
桂子は孕ったがおそらく堂島の子供だろう
しかし桂子はそれを認めず2人は山下の子供として育てるつもりのようだ
堂島とのトラブルで仮出所は取り消し再び刑務所に戻る山下
おそらく山下は残り2年の刑期を終えたあと理容店に戻り桂子と再婚するだろう
うなぎとはなんだったのか
恵美子の代役か
カンヌのパルムドールだからというわけではないが少なくとも星4つの評価の価値はある
20代のときに比べるとこの年になった今の方がこの作品を楽しめた
なぜなのかそれはわからない
泥臭い生と性を少しのユーモアを交えて描く今村世界の傑作の一つ
配役
仮出所後理髪店を始めた山下拓郎に役所広司
睡眠薬を飲んで自殺未遂したものの一命をとりとめ山下の元で働き始める服部桂子に清水美砂
隣家の船大工の高田重吉に佐藤允
刑務所仲間で仮出所の身で清掃会社に就職したがすぐに辞め山下にちょくちょく絡んでくる無職の高崎保に柄本明
スポーツカーを運転する山下理容店の馴染客の野沢祐司に哀川翔
UFO青年の斎藤昌樹に小林健
山下の妻の山下恵美子に寺田千穂
刑務官に平泉成
山下の妻の不倫相手に中丸新将
刑事に上田耕一
刑事に光石研
駐在所勤務の警察官の郷誠太郎に河原さぶ
医師に深水三章
監察官に小西博之
医師に小沢昭一
拓郎の保護司を請け負う住職の中島次郎に常田富士男
住職の妻の中島美佐子に倍賞美津子
桂子の愛人で金融会社社長の堂島英次に田口トモロヲ
堂島の部下に森羅万象
桂子の母の服部フミエに市原悦子
5.0●今村昌平監督『うなぎ』(1997) 神保町シアターさんにて特集上...
●今村昌平監督『うなぎ』(1997)
神保町シアターさんにて特集上映「一度はスクリーンで観ておきたい――忘れられない90年代映画たち」2024年6月29日(土)~8月2日(金)にて。
同作品も27年ぶりの鑑賞。
最近『にっぽん昆虫記』(1963)『赤い殺意』(1964)『神々の深き欲望』(1968)『復讐するは我にあり』(1979)と人間の業の深さを描く作品ばかりみてましたが、本作品は監督いわく軽喜劇ならぬ『重喜劇』。
人間不信な中年男性が周りの人々との心の交流で生まれ変わる姿を、ブラックユーモアを交えながら描いており、最初はズンと暗く重く、最後はすべてがハッピーでは無いけどホロリとさせる名作喜劇でしたね。
役所広司さんはもちろんですが、脇を固める清水美沙さん、佐藤允さん、哀川翔さん、常田富士男さん、倍賞美津子さんも良かったですね。
3.0何となくおもしろい
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妻の浮気現場を目撃した役所はその場で即殺害。
自首して服役8年の後、仮釈放となり住職が身元引受人になる。
そして理髪師の資格を取り、店を持って新たな人生を開始。
そんなある日、役所は服毒自殺を図った清水を発見、通報。
これにより清水は助かり、役所の店で働くことになる。
清水の母は精神病で、その貯金3000万円を元恋人に詐取された。
元恋人というのは金貸しの社長で、清水はその会社の副社長だった。
理由はよくわからんが、上記環境を悲観しての自殺未遂?
清水は役所の事を好きになり、役所もそんな清水に好意を持っていたが、
妻を殺した過去の呪縛から精神的に解放されておらず、拒否し続ける。
そんな中、刑務所時代の知り合いの柄本がやって来て、
役所の過去を清水にバラすが、清水はそれでも心変わりしなかった。
やがて清水は3000万円を奪い返し、社長らがそれを取り返しに来る。
警察も来て騒ぎは収まり、3000万円も清水の物と認められる。
清水は社長の子供を身ごもっていておろそうとしていたが、
騒ぎの中の成行で役所はそれを自分の子だと言ってしまい、
清水に産ませて2人で育てて行こうと決心する。
借出所中のトラブルということで役所は刑務所へ戻ることになる。
でも1年余りで出られる予定。
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嫁はこの作品を知ってたらしく、役所コージが世に出た作品らしい。
なるほど、感情移入しやすいいい演技をしてたわ。
まさに映画らしい映画で、そんなにストーリーに起伏もないが、
何となくおもしろくて見てしまう感じかな。
うなぎってタイトルは役所がペットとして飼っているため。
人とのコミュニケーションが下手で、うなぎを可愛がっていた。
うなぎの雌は産卵後、父親が誰かもよくわからずに育てるとか。
役所らも似たような立場になるわけで、これを期にうなぎを川へ帰す。
清水美砂って久しぶりに見たけど、この人は知的なのにどこかエロい。
高校大学の頃だったろうか、そういう不思議な魅力が好きやったなあ。
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