赤穂城断絶
劇場公開日:1978年10月28日
解説
日本人にとって民族の大ロマンとして語り継がれ、小説、演劇、映画など多くのジャンルで数々の名作を生んできた“忠臣蔵”の25回目の映画化。原作・脚本は「野性の証明」の高田宏治、監督は「宇宙からのメッセージ MESSAGE_from_SPACE」の深作欣二、撮影監督は宮島義勇、撮影は仲沢半次郎がそれぞれを担当している。
1978年製作/159分/日本
配給:東映
劇場公開日:1978年10月28日
あらすじ
元禄十四年三月十四日早駕篭が“浅野内匠頭長矩は、吉良上野介に対し、場所がらもわきまえず、刃傷に及び不届につき、即刻切腹なり”の報を持って赤穂に向かった。三月十九日、赤穂に入ったお家断絶、ご領地お召し上げの報に、即刻城中で大評定が行なわれ、篭城、殉死、仇討、解散と話は続いた。そして大石内蔵助は、お家最後の評定に集まった家臣の者から覚悟の上の誓紙血判を集め、時節到来まで隠忍自重することを約し、ひとまず開城のむねを発表する。六月二十四日、亡君百ケ日の法要を営んだ大石は翌二十五日、一介の素浪人として山科へ立った。表向きは遊興三昧に明け暮れつつも、大石の画策は続いていた。また江戸へ散った浪士たちは、それぞれ吉良の動きをさぐろうと、飛び廻った。元禄十五年二月中旬、亡君一周忌を済ませた大石は、妻子と別れ、十六歳の長男のみを元服させ主税とし、手元に置く。そして同年十月七日、大石は江戸へ発ち、仇討決行への第一歩を踏み出した。十月二十三日には鎌倉に、十月二十六日には川崎平間村に、そして十一月五日、日本橋石町三丁目、小山屋弥衛方に大石父子は偽名を使って討入当日まで滞在した。同年十二月十四日、赤穂浪士四十七名は、敵吉良邸へ討入る。一同は、上野介を炭小屋で発見、ただちに首を打ち落し、吉良邸を引き上げた。一同は泉岳寺に入り、浅野内匠頭長矩の墓前で礼拝した後、細川、毛利、久松、水野家のそれぞれ大名家へ、お預けの身となった。元禄十六年二月四日、一同それぞれお預け大名邸にて切腹。尚吉良家一統このたびの仕方不届につき、領地召し上げ、お家断絶。この知らせを聞いた一同の顔に感動の涙が伝わり落ちた。そして浪士全員作法通り立派に死んでいった。
スタッフ・キャスト
大石内蔵助萬屋錦之介
大石主税島英津夫
大野九郎兵衛藤岡琢也
堀部安兵衛峰岸徹
不破数右衛門千葉真一
橋本平左衛門近藤正臣
間十次郎森田健作
吉田忠左衛門遠藤太津朗
堀部弥兵衛加藤嘉
片岡源五右衛門和崎俊哉
大高源五寺田農
原惣右衛門安井昌二
岡島八十右衛門藤巻潤
岡野金右衛門成瀬正孝
間新六下塚誠
杉野十平次藤沢徹夫
武林唯七畑中猛重
近松勘六野口貴史
神崎与五郎高月忠
赤埴源蔵志茂山高也
矢頭右衛門七佐藤佑介
三村次郎左衛門寺内文夫
萓野三平宮内洋
早水藤左衛門峰蘭太郎
大石瀬左衛門唐沢民賢
勝田新左衛門森山秀幸
奥田孫太夫秋山勝俊
間喜兵衛永井秀明
大野郡右衛門司裕介
奥野将監河合絃司
岡林杢之助田島義文
島喜兵衛汐路章
井関徳兵衛織本順吉
岡野又右衛門有川正治
中村弥太之丞高並功
浅野大学西田健
浅野内匠頭西郷輝彦
柳沢吉保丹波哲郎
吉良上野介金子信雄
将軍綱吉茂山千五郎
上杉綱憲田村亮
色部図書芦田伸介
小林平八郎渡瀬恒彦
鳥居理右衛門曽根晴美
清水一学壬生新太郎
大須賀治郎右衛門原田君事
天野定之丞波多野博
小堀源次郎平河正雄
牧野春斉勝野賢三
密偵(一)細川純一
密偵(二)橋本清三
山吉新八郎白川浩二郎
吉良家仲間大矢敬典
三崎道億岩尾正隆
矢村一真笹木俊志
徳田政右衛門木谷邦臣
山田宗[彳扁]大滝秀治
目付五味龍太郎
上田主水青木義朗
戸田源五兵衛内田稔
伊達左京亮中村光輝
梶川与惣兵衛天津敏
関久和島田秀雄
土屋相模守御木本伸介
稲葉丹後守林三郎
秋元但馬守中栄数夫
加藤越中守成田三樹夫
井上大和守林彰太郎
近藤平八郎西山清孝
久留十左衛門大木晤郎
大久保権右衛門和田昌也
荒木十左衛門若林豪
久永内記那須伸太朗
侍(A)白井滋郎
侍(B)矢部義章
庄田下総守中村錦司
安場一平国一太郎
平吾福井啓介
土屋家用人森源太郎
柳沢家用人疋田泰盛
田村家用人丘路千
田村家々臣宮城幸生
戸山源五兵衛渥美國泰
内田孫右衛門阿波地大輔
遊び人(1)西田良
遊び人(2)蓑和田良太
四方庵の客伊沢一郎
宝井其角梅津栄
瑶泉院(阿久里)三田佳子
戸田局中原早苗
大石りく岡田茉莉子
大石くう浅川かがり
大石吉千代鵜川貴範
橋本はつ原田美枝子
大高しの橘麻紀
大高貞大江光
大高源一郎小南文孝
浮橋江波杏子
間喜兵衛老妻岡島艶子
大野佐和星野美恵子
大野郡右衛門妻西田治子
線香屋老婆和歌林三津江
お仙夏樹陽子
吉良家奥女中(1)丸平峰子
吉良家奥女中(2)桂登志子
浮橋の部屋子(1)島田歌穂
浮橋の部屋子(2)長谷川容子
多門伝八郎松方弘樹
土屋主税三船敏郎
受賞歴
第2回 日本アカデミー賞(1979年)
ノミネート
技術賞 | 宮島義勇 |
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関連ニュース
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2012年11月30日
映画レビュー
3.0殿中でござる
3.5深作欣二が撮った「仁義ある戦い」
時代劇大好きなのだけれど忠臣蔵にはそんなに詳しくない。
元となった赤穂事件が詳細不明の部分が多い上に後世の創作がたくさん入っているのでどうも物語に没入しづらいのだ。
実際Wikipediaで「赤穂事件」や「忠臣蔵」の項目を読むと、我々が現在知っている忠臣蔵のドラマチックな場面のかなりの部分が後世の創作だと指摘されている。
もちろん時代劇なんて所詮は作り話だというのは百も承知なのだけれど、史実を元にしていると言われるとやっぱり心のどこかで「多少は脚色しているにしてもだいたい本当に起こったことなんだろうな」と思ってしまうのが人情というものであり、あの場面は全くの創作でそんな事実は一切なかった、とか言われるとちょっとがっかりしてしまう。
とは言え、四十七人のサムライたちが一時の激情ではなく一年以上も潜伏した上で討ち入りをやり遂げたというのは紛れもない事実である。
それぞれに様々な思惑があったにせよ、よしんば成功したとしても十中八九死罪になることを覚悟した上での決行であり、事実、寺坂吉右衛門以外の四十六人は切腹して果てた。
この巨大な事実がある限り、これから先も忠臣蔵は様々な創作を懐深く抱え込みながら日本人に愛されていくのだろう。
さて、深作版忠臣蔵『赤穂城断絶』である。
『仁義なき戦い』シリーズを大ヒットさせて脂の乗り切った時期の深作監督だけに演出もキレが良く、物語はスピーディーに進んでいく。
忠臣蔵はとにかく登場人物が多くてゴチャゴチャと長ったらしいのであるが、そこは『仁義なき戦い』で広島ヤクザの群像劇を見事にまとめ上げた深作欣二である。
一癖も二癖もありそうな登場人物たちに焦点を絞ったドキュメンタリータッチの粗っぽい演出で159分の長尺ながら緊迫感はほとんど途切れることはない。
山守組長そっくりの憎めない小物感が漂う吉良上野介(金子信雄)、小心者で計算高くてこれまた憎めない関西弁の赤穂藩末席家老大野九郎兵衛(藤岡琢也)、アイパッチ以外は柳生十兵衛と見分けがつかない剣の達人不破数右衛門(千葉真一)、討ち入りしたくてウズウズしてる熱血漢の堀部安兵衛(峰岸徹)、美しい妻(原田美枝子)に身売りをさせて堕落していく橋本平左衛門(近藤正臣)、討ち入りの乱闘の中で赤穂浪士よりも大立ち回りをして目立ってしまう吉良方の剣客小林平八郎(渡瀬恒彦)、コンピュータのように冷徹極まりない幕府の用人柳沢吉保(丹波哲郎)など、いずれもアクの強いキャラクターが深作群像劇を盛り上げている。
たが惜しむらくは主役の大石内蔵助を演じる萬屋錦之介だけが正統派歌舞伎調の芝居がかった古めかしい演技をして実録調の深作演出から浮いてしまったことである。
『柳生一族の陰謀』のときはその歌舞伎調の演技が幕府の中枢で暗躍する老獪な陰謀家にふさわしい重厚感を出していたのだが、今回はその古めかしさが裏目に出て、ドキュメンタリータッチのざらついた映画の中に一人だけ美談のお芝居の登場人物が混じっているようなチグハグな感じになってしまった。
考えてみれば『柳生一族の陰謀』はまさに時代劇版『仁義なき戦い』だった。
社会の裏側で暗闘する男たちを描かせたら右に出るものはない深作欣二も、忠臣蔵という正々堂々とした「仁義ある戦い」はいささか持て余したようだ。
Wikipediaによれば本作の撮影中、深作欣二と萬屋錦之介は忠臣蔵に対する見解の相違でずっと対立してたそうである。
興行収入も『柳生一族の陰謀』の半分にも満たなかったそうだが、だからと言ってこの映画が駄作というわけではない。
ここには正統派美談調の忠臣蔵ではあまり描かれない、汗と血の匂いが漂ってくるような泥臭く血腥い男たちのドラマがある。
時代劇研究家の春日太一氏は「時代劇入門」という著書の中で忠臣蔵映画の入門編として1956年に東映が作った『赤穂浪士 天の巻・地の巻』と、1985年に日本テレビが里見浩太朗主演で作った年末時代劇スペシャル『忠臣蔵』を必見の2本として挙げているが、自分は異色作としてこの『赤穂城断絶』もその中に加えていいのではと思っている。
好き嫌いが分かれる作品ではあるが、忠臣蔵が好き、あるいは忠臣蔵に興味があるという人は観ておいて損は無い力作である。
あくまでも「忠臣蔵が好き、あるいは忠臣蔵に興味がある人」に限るけれど(笑)。
3.5鬼籍の俳優陣
3.0忠臣蔵を知りたいなら…
「忠臣蔵」の作品です。
ずっと以前から「忠臣蔵」の話って、一番最初に刀を抜いてはいけない場所で、
抜いて人を切った奴が、悪いんじゃねぇの?…と思っていたが、この作品で
全編を観るに当たり、より一層その考え方に拍車が掛かった。
「忠臣蔵」の話を部分的にしか知らず、全編通して再確認するには、観る価値は
あるかもしれません…
逆に言えば、その作品に特に興味が無ければ、観る必要性が無い映画です。
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