タロットカード殺人事件
劇場公開日:2007年10月27日
解説・あらすじ
ウッディ・アレンが「マッチポイント」に続き、スカーレット・ヨハンソンをヒロインに据えて製作したミステリー・コメディ。ジャーナリスト志望の女子大生サンドラは、友人と訪れたマジックショーの最中に、新聞記者の幽霊からあるスクープを耳打ちされる。それは、現在ロンドンを騒がせている連続殺人鬼に関するものだった。サンドラは幽霊出現のきっかけをつくったマジシャンのスプレンディーニと共に、事件を調べ始めるが……。
2006年製作/95分/イギリス
原題または英題:Scoop
配給:ワイズポリシー
劇場公開日:2007年10月27日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.5眼福〜
3.5観たかった度○鑑賞後の満足度◎
①ヨーロッパに拠点を移してウディ・アレンはすっかり調子を取り戻したようだ。
前作『マッチポイント』はややシリアスなピカレスクロマン風なドラマだったが、今回は肩の力を抜いたクライム・コメディと緩急自在。
②前作は階級社会であるイギリスの上流社会に入り込んでしまったアメリカ娘に起こった悲劇という形を取っていたが、本作はいかにもイギリス製ミステリーのステレオタイプみたいな上流階級+娼婦連続殺人事件を、即席探偵のアメリカ人二人が、イギリス上流社会の中で思いっきり浮きながら謎を解いていくというミステリー・コメディ。
③アメリカ人をその中に放り込むことでイギリス上流社会の持つ無自覚な傲慢さを浮き彫りにする、皮肉な視点は健在。
2.5イマイチ盛り上がらない
シリアスになりすぎないように無理にコメディを捻じ込んだような印象を受けました。
所々面白く見せようとした結果テンポが悪いと感じるシーンが多く、いまひとつ盛り上がりに欠けます。
自分はウディ・アレン監督の中なら『マッチ・ポイント』が天才的な出来だったと思うのですが、ああいうシリアス全振りの作品が合ってるのかな?
こちらの作品は『マッチ・ポイント』のような丁寧な脚本・撮り方を全く感じられませんでした。
適当にミステリの台本を書いて、シリアスだけじゃつまらないから合間にコメディシーンを後から差し挟んでみました!って感じの雑な作り。
撮影の技術というか、映像の魅せ方で映画としてギリギリ成り立ってるなという感じです。
とはいえ、ミステリパートの謎の展開の仕方は王道でしっかりしており、ミステリファンではない自分の感想ではありますが、設定や話の展開に雑さは感じませんでした。
俳優の演技は、正直コメディ映画(のわざとらしい演技)があまり好きでないため評価に困るのですが、勿論見ていられないという程ではありません。
しかし、スカーレット・ヨハンソンは『マッチ・ポイント』であの演技力を見せつけた後の作品とはとても思えませんでした。ウディ・アレンのあのちょっとウザい感じも…演技?なのかな?(^^;
演技じゃなかったら申し訳なさしかないけど(笑)、あれが演技なら絶妙なウザさの表現上手すぎます。ただ個人的には、アレンの出てくるシーンがほぼコメディ=間延びしてるなと感じるシーンばかりのため、もしかして監督が自分が出たいがために無理やりシーン増やした??と疑ってしまいました。んなわけないか。
ヒュー・ジャックマンは好きでも嫌いでもない俳優ですが、良い味出してました。格好良い!イケメン!と言われれば、そうだね!と素直に思える流石の演技。本当に「こういうヤツ」に見えます。自分はほとんどウルヴァリンくらいしか彼の主演作を知らなくて(気付かずにどっかで見てるかもしれないけど…)、ヒーロー役やってるからキャーキャー言われてるのもあるのかな?とかちょっとだけ思っていましたが(ごめんね!)、やっぱり演技上手いんですね。今更ですね。ハイ。
アレンのショボオーラと、ジャックマンのバリバリのイケメンオーラの対比が面白すぎるので、アレンの演技を初めて見た自分はそれだけでも楽しめましたが、アレンの演技を見たことある人は「いつものアレね」って感じかもしれません。
舞台がイギリスだからか?イギリスらしい皮肉っぽい会話も結構あり、これはなかなか。皮肉っぽい会話が好きな人には、会話の端々でニヤリとできるかも。
ただ、自分にはアレンの演技と合わせてちょっとクドく感じる部分もあり、スプレンディーニの設定が殆どアレンそのままなので、映画の中でアレンの自己紹介を延々と聞いているような感じがして、余計にアレンが出しゃばってる雰囲気になっている気がしました。
「この言い回し面白いだろ?」「このシーン面白いだろ?」という押しつけがましさも感じてしまい…
先日、他の方のブログで「ウディ・アレンの映画は昔はそこそこ見てたが、何作も見ると『弱いボクを守ってくれる天使みたいな女性』というテーマの映画ばかりで最近は食傷気味」と書いている人がいて、ちょっと納得でした。過剰に自分を「被害者」として際立たせようとしている雰囲気は、この作品からも感じられます。特にアレンの事情に詳しくなくとも「自分は弱者なんだから!可哀想な被害者なんだから!」という圧力にも似た卑屈な態度が見て取れます。
調べたらウディ・アレンはユダヤ人とのことで、なるほどね。ユダヤ人の古くからの精神(ニーチェが言うにはルサンチマン)は調べればわかるとして、自分にはそのガンガン入れてくる皮肉がストーリーの中で浮いているものも沢山あり、そのせいでちょいちょいテンポが悪くなり苛々することが多かったです。その話、必要だったかな?と。
ヒュー・ジャックマンの気取った金持ち演技を見たい人にはお勧めしますが、映画としては特にお勧めできないかな。
何となく『アナと雪の女王』を思い浮かべたのは私だけかな?(^^;
あらすじ:
イギリス・ロンドン。タロットカード殺人事件と呼ばれる、ブルネットショートヘアの娼婦だけが殺される連続殺人が起きて話題になっている時、記者志望のアメリカの女子大生サンドラは、ロンドンに住む富豪の友人の家に遊びに来る。友人とスプレンディーニのマジックショーへ出かけた際、偶然選ばれた「中身が消える箱」マジックで箱に入ったサンドラは、敏腕記者ジョーの霊にタロットカード殺人事件のスクープを耳打ちされる。イケメン富豪で有名なピーター・ライマンが殺人鬼だ、証拠を集めて記事を書けと言われ、サンドラはスプレンディーニを巻き込みピーターの殺人の証拠を集めるためピーターに近付くが…
あらすじを読んでわかる通り、話のベースは一応サスペンス?ミステリ?です。ただ、殆どがコメディシーンで、犯人に関しては二転三転して「おや?」と思わせる部分は多少ありますが、コメディメインでミステリは二番手扱いな気がします。
見る前に少し調べただけでコメディ色が強いことはわかってはいたのですが、それでもここまでコメディに傾いているとは思っておらず、「あぁ~こういうのか…」とちょっと苦笑い気味に見ていました。
自分にはウディ・アレンの演技が合わなかったのもあり、次は前作みたいなもっと繊細な映画を期待します。
3.5I wanna stay a Masician. 掛け合いが面白い
1人で勝手に「スカヨハ強化月間」の第五回は「タロットカード殺人事件」です。この頃はウッディ・アレンのお気に入りだったスカヨハ。二人の掛け合いがなんとも面白かったです。
ウッディ・アレンって昔の作品を撮ってた監督なイメージで、今観ると古くってキツイ印象だったのですが、本作は軽く楽しめました。でも、ウッディ・アレンちょっと出過ぎではなかろうか?とは思いますが。最後に事故って死んでしまうのは米英の車線が反対になってる事にきっとウッディ・アレン自身戸惑った経験があるんだろうなっと思われます。
やっぱり本作を牽引しているのはスカヨハの魅力ですね。スゴくムチムチしているのでアメリカ人ウケは良いのではないでしょうか?ヒュー・ジャックマンはナチュラルな感じでしたね。オーストラリア人なのでブリティッシュ・イングリッシュはきっと得意なはず。
話としては全てが予想の範囲内で進められるので特筆するべき所もなかったりするのですが、スカヨハとウッディ・アレンのやり取りとか軽~いコメディ作品を観たい時にはうってつけだと思います。
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