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醜聞 スキャンダル

劇場公開日:

解説・あらすじ

黒澤明が初めて松竹に招かれメガホンを取った作品。脚本は「野良犬(49)」と同じく菊島隆三との共著である。新進気鋭の画家(三船)と美しい声楽家(山口)が偶然出遭ったところを雑誌記者に盗撮される。まったくの醜聞(スキャンダル)に巻き込まれていく二人。物語の舞台はやがて裁判へ……。いたずらに醜聞を追うジャーナリズムを糾弾する一方で、後半は志村喬演じる弁護士の心情・行動が焦点となっていく。

1950年製作/104分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1950年4月30日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい

2023年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

楽しい

ネタバレ!クリックして本文を読む

「僕たちは今、お星様が生まれるのを見たんだ」

過去数回鑑賞
監督と脚本は『姿三四郎』『野良犬』『羅生門』『生きる』『七人の侍』『隠し砦の三悪人』『椿三十郎』『赤ひげ』『デルス・ウザーラ』『乱』の黒澤明
脚本は他に『男ありて』『日本誕生』『兵隊ヤクザ』『あゝ海軍』『竹取物語』の菊島隆之
菊島はこの他に黒澤明と共同執筆多数

昭和25年公開作品
黒澤明39歳
まだチャンバラ映画はGHQによって禁じられている時代だったかもしれない
黒澤映画といえば時代劇だが黒澤明監督がメガホンをとった現代劇としてはベスト5には入れたい佳作
裁判はグズグズしてるが映画のテンポが良い

伊豆で山の絵を描いていた画家の青江は偶然出会った声楽家の美也子をオートバイで彼女の目的地の温泉宿まで送った
別々の部屋に泊まったがたまたま美也子の部屋にお邪魔して景色を眺めながら雑談をしているところを東京のマスコミに写真を撮られた
写真はアムール社の雑誌アムールの記事として使用され「恋はオートバイに乗って」という見出しで2人は恋人認定されてしまう
雑誌は飛ぶように売れ捏造記事に腹を立てた青江は抗議をするためアムール社に出向いたが編集長の堀を殴ってしまい騒ぎはさらに大きくなった
そんな青江の元に売り込みに来た弁護士の蛭田は青江担当の弁護をすることになった
蛭田は和解の仲介として謝礼を貰おうとしたのかアムール社に出向いたものの相手弁護士は法曹界の大物である片岡博士だと知りあまりの格上に怖気付いてしまう
おまけにアムール社の堀編集長に買収されてしまう始末
「犬だ 蛆虫だ 悪党だ」と己を詰り項垂れる蛭田弁護士
いざ裁判になっても青江の弁護をまともにできなくなった蛭田だが娘の死で一念発起し法廷の場で買収されたことをぶちまけてしまう
片岡弁護士は負けを認め青江の勝訴は確定した

蛭田は弁護士のくせに貧乏だ
戦後間もないころで国民全体が貧しく名家の顧問にもならないと弁護士といっても貧しさに喘ぐのだろうか
「あぶない あぶない」という口癖のあたりの台詞の数々も「不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい」も黒澤監督の本音といえる
「くさい じつにくさい 南京虫」などと青江の前でアムール社をなにかと罵倒するがそういった数々の辛口マスコミ批評にしたってやはり黒澤監督の本音で間違いない
蛭田弁護士は黒澤監督の思いを投影した代弁者だ
病床の娘に愚痴をこぼす蛭田弁護士を演じた志村喬の芝居にまた今回も泣けてきた
さすがハリウッドスターのスティーブン・セガールが大絶賛した日本の俳優である

戦中は軍部によって表現の自由ないし言論の自由が徹底的に弾圧された
朝日新聞でさえ軍国主義のプロパガンダを担ったくらいだ(戦後は反省?し左翼のプロパガンダを担っているが)
戦後はその反動で何もかも自由になり人々は解放され自由を謳歌した
しかしその自由すぎる自由に眉を細める教養人は少なからずいたようだ
作家でいえば石川達三であり映画監督には黒澤明だ

千石規子が若かった頃の代表作
時折可愛く見える
彼女演じるすみえもまたずけずけとモノを言うがそれが良い

ナイトクラブで酔っ払いを演じる左卜全の演説に笑ってしまう
「来年こそは」

ちなみに劇中で歌われてる『蛍の光』は4番まであり全体を聞いてしまうと印象がまったく変わってしまう作品である

『醜聞 スキャンダル』はマスコミが好きか嫌いかで評価が分かれそう
自分はマスコミという職業の者をとことん軽蔑してる
いや軽蔑どころか敵視してる
新聞社テレビ局出版社ネットニュース例外なく全て
ネット民は彼らをゴミとかカスとかクソと表現するがそんなもんは生ぬるい
どいつこいつも炎上商法で誠実さのかけらもない
悔しかったら肥やし買ったら?と言ってやりたい
どうやら黒澤明監督も似たような思いでこの作品を作り上げたようだ
だから星5の評価になる
マスコミ関係者の皆さん文句あっか!
文句あるなら記事で俺を批判しろ!

画家の青江一郎に三船敏郎
声楽家の西条美也子に山口淑子
弁護士の蛭田乙吉に志村喬
結核を患う乙吉の娘の蛭田正子に桂木洋子
乙吉の妻で正子の母の蛭田やすに北林谷栄
青江の専属モデルのすみえに千石規子
美也子の母に岡村文子
ゴシップ雑誌アムールの編集長の堀に小沢栄
堀の部下の朝井に日守新一
アムール社の弁護をすることになった法曹界の大物の片岡に青山杉作
裁判長に清水将夫
酔っ払いの男に左卜全
青江の友人に殿山泰司
青江の友人に千秋實

野川新栄

3.5黒澤明監督作品には珍しい法廷劇でした。

2022年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1950年。監督:黒澤明。主演:三船敏朗。
黒澤明の10番目に監督した映画。黒澤明が40歳。三船敏朗が30歳です。
黒澤作品としては、余り秀作とは言えず目立たない作品。

メロドラマになりそうな素材を、法廷劇に変えた意図は如何に!!
オートバイ乗りの三船敏朗。
ソプラノ歌唱する山口淑子。
クズ弁護士の志村喬。

オートバイ。ソプラノ歌手。クズ弁護士。病床の美少女(桂木洋子)
絵のモデル(千石規子)
全ての出演者が図式的で凡庸・・・という珍しい黒澤作品。

三船敏朗が幼く見える。
山口淑子が詰まらない大根に見える。
屑を演じる志村喬がやや珍しい役柄。
モデル役の千石規子がひとり生き生きしている。

伊豆の山で写生中の画家(三船敏朗)が偶然ソプラノ歌手(山口淑子)を、
オートバイの後ろに乗せて伊豆旅館まで送る。
入浴後、ベランダで談笑している場面を月刊アムールにパパラッチされる。
アムールはバカ売れ!
怒った三船敏朗はアムールを名誉毀損で訴える。
後半は法廷劇となる。
買収された弁護士・志村喬のせいで弁護は迷走する。

ここで黒澤と三船のファンなら、ソプラノ歌手との愛が芽生え、ことを複雑にするのを期待してしまいます。
ところがそれは全くなし。
肩透かしです。
バイク野郎・三船敏朗が画家・・・そんな、らしくない中途半端な社会派作品でした。
三船敏朗が美男子だと確認して、良いとしますか・・・。

しかしスターを激写するパパラッチと、
珍しい法廷場面に好奇心旺盛な黒澤明の柔軟性を感じもしました。

琥珀糖

4.0黒澤明会心の一作

2022年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

GHQ占領下の戦後5年間、日本人の精神性大改造計画の下、忠臣蔵以外の映画製作がやっと認められ、まだ世の中は貧しかったものの、娯楽に飢えていた庶民は、当然、映画館に殺到した。映画産業界にあっては、作れば売れる、まさに古き良き時代であった。敗戦国故の不十分な機材しかない中で玉石混交の作品が発表される中、35歳新進気鋭の黒澤明は、敗戦後の晴れ晴れとした空気の中で、わが青春に悔なし(1946年)、素晴らしき日曜日(1947年)、醉いどれ天使(1948年)、静かなる決闘(1949年)、野良犬(1949年)と、作りたい作品を品質を下げることなく次々と発表していく。そして39歳で放ったのがこの醜聞(1950年)である。おそらく映画作りが楽しくて楽しくてたまらなかったせいであろう、映画は溌溂としており、物語は飽きることなくコメディタッチで最後までテンポよく進む。三船敏郎も若くてきれいだし、山口淑子も沢口靖子に似ていて大変美しい。小沢栄太郎は根性悪の役をいつも通り見事に演じているし、千石規子がびっくりするくらい若くて後年脇に回った婆さんの役しか見ていなかったから実に新鮮だ。もちろん主役は志村喬で、最後にお約束通り娘が死んで制約から解き放たれ正気を取り戻して正義が勝ったところで話は終わるのだが、作品全体のトーンが少し書生っぽいところが気になるものの、黒澤明が最も好む素朴な人間賛歌映画となっている。このテーマは、わが青春に悔なし(1946年)、素晴らしき日曜日(1947年)、醉いどれ天使(1948年)、羅生門(1950年)、生きる(1952年)、どん底(1957年)、赤ひげ(1965年)、どですかでん(1970年)と繰り返し描かれるが、黒澤明の永遠のテーマなのであろう。志村喬の、「あぶない、あぶない」というセリフが、11年後に作られる用心棒(1961年)の三船敏郎のセリフで使われていたり、12年後に作られる椿三十郎(1962年)の加山雄三のセリフで使われていたり、「不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい」というセリフが13年後に作られる天国と地獄(1963年)で山崎努が三船敏郎に拘置所で吐くセリフに使われていたりで、これらは黒澤明の本音なのかもしれない。公開当時のこの作品を見た観客は、素朴に、三船敏郎に、山口淑子に、志村喬に、千石規子に、桂木洋子に、場末の飲み屋で蛍の光を歌った人々に、それぞれ自己を投影し未来に希望を持ったであろうことは想像に難くない。それほどうまくこの作品は作られている。後にコストや製作計画から解放された故に七人の侍(1954年)は別格としても必ずしも面白い作品は少なくなっていく黒澤明だが、この頃はまだ黒澤明の主張と興行をうまく両立させており、この作品は黒澤明会心の一作であることは間違いない。当時の美しい日本語が聞けるのも今となっては価値がある。

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hjktkuj

2.0主役は志村喬だ。歯並びを変えたのかと思うほど、他作品と表情所作が違...

2020年5月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

主役は志村喬だ。歯並びを変えたのかと思うほど、他作品と表情所作が違う。とんでもない役者。しかし話は勿体ない。最後に何かあれば(歌手が本当に絵描きを好きになるとか)傑作の部類だったが。ところで黒澤明は広場の沼が好きだね。

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kazuyuki

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