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劇場公開日:2007年2月24日

解説
“赤い服”を着た死体の発見に端を発する連続殺人事件。捜査を進める刑事(役所広司)の前にはやがて、耳を劈くような“叫び”とともに“赤い服”を着た幽霊が出現し、執拗に憑きまとい始める。廃墟のような湾岸地帯を舞台に複雑怪奇な世界を描くゴースト・ストーリー。監督・脚本は黒沢清。プロデューサーは「リング」「呪怨」シリーズを手掛けた一瀬隆重。
2006年製作/104分/日本
配給:ザナドゥー/エイベックスエンタテインメント/ファントムフィルム
劇場公開日:2007年2月24日
あらすじ
東京湾岸地帯で“赤い服”を着た女の殺人死体が発見され、捜査に当たる事になったベテラン刑事・吉岡(役所広司)は同僚の宮路(伊原剛志)とともに犯人を追いはじめた。同様の手口による殺人事件が相次ぎ、連続殺人事件として捜査が進められる中、吉岡はそれぞれの事件被害者の周辺に“自分の痕跡”を見つけ、「自分が犯人ではないか…」という思いに苛まれ始める。自分の身の潔白を自分自身に示す為に単独行動をはじめ、発端である最初の事件現場を訪れる吉岡。その目の前に突然、赤い服の女の幽霊が現れた。怨めしく彼を見つめる女の幽霊(葉月里緒菜)。いくら記憶を探っても吉岡には恨みを受けるような覚えがなかったが、幽霊はその後も断続的に出現しては吉岡をおびやかす。引き続き繰り返される同一手口による殺人事件。やがて捜査は進展し、最初の殺人の犯人である男が逮捕される。しかしこの男は他の殺人には関係が無かった。次々と逮捕される一連の事件の犯人たち。彼らには相互に関連は認められない。同一手口の殺人が互いに無関係に犯されたというこの偶然。しかし彼らの内の数人が、吉岡に向かって「全部なしにしようと思った」という言葉をそれぞれに口にする。殺人捜査をそっちのけで彼らの共通点を探る吉岡。同僚の宮路は心配と疑惑を織り交ぜつつもそんな吉岡の身辺を探りはじめる。やがて吉岡は犯人たちの共通点に行き当たった。彼らは皆、今は運行停止になった湾岸フェリーの利用者だったのだ。そして吉岡自身もまた、かつてそのフェリーの利用者だった。作業船に乗ってフェリーの運行ルートを探索する吉岡。開発の進んだ湾岸一帯の片隅に取り残された様に立っている廃墟を発見し、彼の記憶が不意に蘇る。かつてその建物の一つの窓辺に、赤い服を着た女の姿があったはずだ…。今は廃墟になっているその建物に侵入し、女が居たとおぼしき部屋を探し当てた吉岡。そこには壁に焼き付いた女の影と、白骨があった。女はここで死んだのだった、誰にも顧みられる事も無く。女の幽霊は再び吉岡の目の前に現れ、「あなただけ許します」と言って消え失せた。幽霊の呪縛から解かれたかに思われた吉岡だが……。
スタッフ・キャスト
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映画評論
見捨てたことさえも忘れ去った「過去」の象徴こそが幽霊である
図らずも涙腺が緩んでしまった。あの、心の琴線よりも脳の回路を刺激されることの多かった黒沢清作品に、である。これまでの彼の映画が、不穏な出来事を引き画で見つめる観察者のクールな視点だったとすれば、「叫」は明らかに、幽霊の執拗な出現に翻弄される役所広司のエモ...
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映画レビュー
3.0「スーパーマンだ!」「いや、Gガールだ!」「きゃー、葉月里緒菜よっ!」
黒沢ファンだったら評価を辛くするのではないかと思えるのですが、さすがTBSがついてるだけあって、とてもわかりやすい黒沢映画に仕上がってた。「連続事件発生!犯人は、俺?」というコミカルな役所広司にも期待が高まるうえに、サイコ・サスペンスのような怪談のような絶妙にミスリードさせる手法によって万人に受けるホラー・プロット。役所広司がドッペルゲンガーして、とんでもないことをやるような気がしてヒヤヒヤしながらのめり込んでしまいました。
一般受けする作りになっているとは言え、それでも黒沢清らしいのは舞台設定ではないでしょうか。埋め立てによる乱開発によって湾岸の寂れた雰囲気が重くのしかかり、警察署の中も暗さが際立っているほどです。主人公吉岡刑事(役所)の住むアパートにしたっていかにも取り壊し直前といった古さだし、旧フェリー航路にある謎の黒い建物も異様な妖気を漂わせている。急速な都市開発によって忘れ去られてしまう残骸そのものが幽霊の源になっていると思わせるのです。
連続殺人を解明するうちに、それぞれの犯人が何者かに怯えていることがわかり、その正体は自分が悩まされている同じ赤い服の女(葉月里緒菜)ではないかと疑う吉岡。カウンセラー役のオダギリジョーもお手上げ状態となるほど霊的な話となってくる。そして、吉岡は次第に赤い服の女はかつて利用していたフェリー航路から見える建物の女ではなかったか、と疑念が膨れ上がるのだ。個々の事件は心の闇の部分で繋がっていく・・・
ムンクの叫びを彷彿させる葉月里緒菜の表情や彼女の飛行シーン。中村育二の飛び降りシーン。そしてラストの伊原剛志のショッキングなシーン。映像としての見所はいっぱいですが、それよりも「全部なしにしよう」というメッセージが心に残ります。都合の悪いものは全て闇の中に押し込んで、表面的な平和を装おうとしている世の中そのものへの痛烈なメッセージ。許しを得られるのはそれを暴いた者のみ。折りしも従軍慰安婦問題が米国議会でも論議されてる中、確たる証拠がないと言い張って闇に葬り去ろうとしている政府動きを思い出してしまうのは飛躍しすぎかもしれないが・・・
【2007年3月映画館にて】
1.0ただただ
2.0ホラ-よりもコメディ
怖いかなと思ってみましたが、葉月里緒奈が色々と爆笑させてくれるので、ホラー映画よりもこれはコメディ映画じゃないのか?と思わせてくれるぐらいでした。
空飛んだり、笑わせてくれます。
ホラー映画として見るならば見ないほうがいいと思います。
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