モンスター(2003)のレビュー・感想・評価
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4.0【哀しき出自と人生を送って来た”女”が、初めて愛した少女のような”女”の為に、”普通の生活を求めて”次々に起こした事を描く。今作は、シャーリーズ・セロンの女優根性が迸る哀しき逸品である。】
■娼婦のリー:アイリーン・ウォーノス(シャーリーズ・セロン)はとある町のバーでセルビー(クリスティナ・リッチ)と出会い、やがて愛しあう関係になる。
リーは2人で過ごすホテル代やセルビーの願いを叶えるために金を稼ぐためにある客を取るが、男から暴行を受けたはずみに殺してしまう。
他の職にも就けず自分が生きる道は売春だけだと思ったリーは、売春相手を殺し車を奪い、セルビーと逃走する負のサイクルに陥っていった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・何とも切ない物語である。哀しき出自と人生を送って来たリーの強がる姿にである。友と呼べるのは行きつけのバーの常連、トーマス(ブルース・ダーン)のみ。
そんな彼女が、ある日出会った少女の様な、両親が厳しい普通の女セルビーに惹かれるのは、分かる気がする。
・リーは実在した殺人者だそうであるが、今作でシャーリーズ・セロンが演じたリーは、別物であると思う。
それは、彼女には暴力性の裏に、善性があるからである。但し、その善性が全てセルビーの為に使われた所が切ないのである。
・今作のシャーリーズ・セロンは、今作前の姿とは全く違う。資料によると大増量と特殊メイクをしたそうだが、彼女は今作から15年後の「タリーと私の秘密の時間」でも、子育てに疲れた中年女を演じた際に、大増量している。
又、「マッドマックス 怒りのデスロード」でも坊主刈りにしてフュリオサを演じているのは、万民が知る事であろう。
彼女は、その美貌を封印してでも役をこなす正にプロフェッショナルな女優なのである事を、この作品を観て再確認した。(と言うか、この作品がきっかけであろう。)
<この作品の結末は、実に切ない。セルビーが運転を誤ったために、彼女自身の人相書きが出回った時点で、セルビーは保身に走りリーは警察に捕まる。多分、セルビーは司法取引に応じたのであろう。だが、リーはそれを知らずに警察が盗聴している事も知らずに、セルビーからの電話で”全て、私がしたんだよ。”と答えてしまうシーンと、その後の裁判のシーンでセルビーが冷たい目でリーを見、指さすシーンは切ない。
リーは確かに、極悪非道な殺人者であるが、全てセルビーの為に行ったのであるから。今作は、シャーリーズ・セロンの女優根性が迸る哀しき逸品であると思う。>
4.0衝撃的な作品
実話をもとに作られた衝撃的な作品です。
売春婦アイリーンは夢見がちな少女だったが夢かなわぬままに年を取り(30歳くらい?)、人生に失望して自殺を考え、最後に残った5ドルを使うために酒場に入る。
そこで出会った若い女性セルビーと親しくなり、恋に落ちて逃避行を始める。
アイリーンは売春で生活費を稼ぐが、異常な男に暴行され、殺してしまう。
以後も同様にして相手の男を殺して金や車を奪う。
ついには刑事を殺してしまい、逃げ切れないと悟ったアイリーンはセルビーを実家に帰し、そして一人逮捕される。
やがて刑務所にセルビーから電話がかかるが、セルビーは警察と司法取引をしており、これは自白を誘導するための電話だった。アイリーンは自分だけが罪を被る道を選び、12年後死刑となる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アイリーンの生き方は滅茶苦茶そのものだった。
しかし映画の中にあった台詞のように「そうするしかないからそうしている」、「選択肢が少ししか与えられない中で自分に取って最良の選択肢を選んでいる」のはある種正論ではある。
子供の頃不遇だったこともあり、仕方がないと言うか、一方的に批判する気にはなれなかった。
ヌクヌクと生活する一般人等より遥かに純情で遥かに必死に生きたように思う。
共に行動しアイリーンの金で生活しながら自分は手を汚さず、最後は裏切ったセルビーの方がよほど人間として恥ずべきところがあるだろう。
自分ならどちらになるのか?アイリーンに共感した人間もほとんどはセルビーの方だろう。
幼少時代を普通に過ごし平凡ながら普通に生活できている人は・・・。考えさせられる話である。
2.0シャリーズ・セロンが出演していなかったら何の話題にもならなかった映画ではないか?
シャリーズ・セロンが出演していなかったら何の話題にもならなかった映画ではないか?彼女のこの役にかけた努力は尊重するが、別に彼女でなくてはいけない役であるとも思えない。実話に基づくとのことだが、とにかく主人公の人生が酷すぎる(そして彼女は自分のせいではなく世の中が悪いと思っていた)ので、感情移入出来る所が欠片もない。もう直ぐ孫が生まれる老人を殺してしまったのは余りに酷い。救いようのないクズ。そして、セルビーの生き方にも共感出来る所はない(おまけに最後にはリーを売った)しかし、あれだけの数の計画性のない殺人を犯して物的証拠も有り余るほどあっただろうに、何故セルビーとの電話での会話を証拠として必要としたのだろうか?ゲイ、という言葉にはこういう使い道もあるのだということを知った。
4.0タイトルも考えさせられる
まずは主演のセロンのすごさに一票!
まったく美貌の欠片もない状態で体当たりの演技に脱帽。
同一人物と思えないもの。
何も持っていない主人公が純愛を知って、彼女のためだけに犯罪を繰り返してしまう。
再起をはかろうとしても、それを許さない世間への怒りもあるのかもしれない。
決して許される犯罪ではないのですが同情を覚えてしまうのです。
せめて、恋人の愛だけでも手に入れたと胸を張っていえたなら幸せだったのかも。
短い時間でもそう感じていられたからそれでいいのか?
どういう意味合いでもって、このタイトルなのか考えさせられます。
4.0シャーリーズセロンが演じる事に意味がある。85点
人は育った環境によってモンスターにもなるし、シャーリーズセロンにもなりうるという事か。
少女が求めていたのはただ依存できる相手で、最初から愛など、救いなどなく、全ては幻想だったというあまりに救いのないラストが強烈。
3.0タイトルなし(ネタバレ)
お、重い…
ひたすら悪い方向に進んでいくのが見てて辛い。
批評にはモンスターとは主人公のアイリーンではなくアメリカ社会そのものだって書いてるけど、その通りだと途中から気づいた
殺人を繰り返してお金を手に入れ同性愛者の恋人とタバコすぱすぱ吸いながら周りに怒鳴り散らしてる姿のアイリーンは「なんやこいつ…最悪や…」ってなる笑
でもアイリーンの過去は悲惨なものでお父さんの友達に8歳の時にレイプされ続け13歳で娼婦になった人生だったと聞くと環境が彼女をそうさせ、社会が彼女を生き辛くさせたんじゃないかと
学がなくても人生をやり直せるチャンスを設ける機会がもっとあればいいなと思った
そしたら、アイリーンももしかしたら厚生できたのかもしれない
タラレバの話だからあれだけど…
4.5凄い・・・
セロンがアカデミー主演女優賞を取った作品。実在の娼婦連続殺人犯の人生。父親の友人に8歳の時にレイプされ、親からは虐待を受け、娼婦になった主人公は、絶望の淵で一人のレズビアンに会う。初めてできた信頼し、愛することができる相手のために、娼婦狙いの男達を殺し続けていく。最後は親友を親元に戻し、刑期を経て死刑となる。セロンが迫真の演技。
4.0彼女を狂わせたのは、境遇か、性(さが)か、愛か…
シャーリズ・セロンがアカデミー主演女優賞に輝いた衝撃のドラマ。2003年の作品。
シャーリズが演じるのは、アイリーン・ウォーノス。
7人の男を殺害し、2002年に死刑が執行された実在の連続殺人犯。
それだけ聞くと悪名高いが、彼女とて最初は違った。
幸せな生活や女優を夢見る女の子だった。
しかし、現実は甘くなかった。
最低最悪の環境で、体を売って生きるしかなかった。
そんな絶望的な状況の中、同性愛の少女セルビーと出会う。
強く惹かれ合い、激しく求め合い、人生に初めて光が差す。
セルビーの為に堅気になる事を決意し、就職活動をするが、体を売って生きてきた彼女に社会は冷たかった。
再び、体を売るしかなかった。
一人の客を捕まえるが、暴力的な客で、身を守る為に殺してしまう…。
映画はアイリーンとセルビーの関係を軸に進む。
同性愛の少女と愛し合うアイリーンだが、彼女も最初から同性愛者ではなかったハズ。これまで彼女の周りに居た男共はクズゲスばかりで、唯一、セルビーだけしか信じる事が出来なかったのだろう。
恵まれぬ境遇は同じ。共に抜け出し、幸せを掴もうとする。
が、もがけばもがくほど堕ちていく。
セルビーとの生活を続ける為に、アイリーンは殺人を重ねる。
ここから彼女は狂っていく。それは、追い詰められていく精神のせいか、それとも純粋過ぎる愛のせいか…。
無論、アイリーンの大罪は絶対に許されない。厳しいが、死刑も妥当だろう。
ただ、アイリーンの生き様は胸が痛い。そう堕ちて生きるしか術が無く、たった一つの愛にすがるしかなかったのが、哀しい。
美人女優の代名詞であるシャーリズが、体重を増やし、ブスメイクを施し、嫌悪感すら感じさせる壮絶演技は圧倒的。
シャーリズも素晴らしいが、相手役クリスティナ・リッチも素晴らしい。(シャーリズはオスカー穫ったのに、クリスティナはノミネートすらされなかったのが信じられない)
二人の女優の熱演と、愛と哀しみの衝撃の実話にKOされる。
3.0観て気持ちが悪くなる映画・・・
シャーリーズ・セロンが主演女優賞をとった映画だということと、迫真の演技(13キロ太ったり)という予備知識で観たのですが、ある意味主人公のやること、セリフ、考え方全てが気持ちが悪く、観た後で気持ち悪さいっぱいの映画です。そう思わせることを狙ったのならこの監督120点満点です。演技としても素晴らしいのですがひょっとして素晴らしすぎるかも??最期にクリスティーナ・リッチ太りすぎ。役作りで13キロ太ったシャーリーズ・セロンに付きあったのかってくらい太ってました(笑)
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