劇場公開日:2004年3月27日
解説・あらすじ
「ほえる犬は噛まない」のポン・ジュノ監督の長編第2作で、1980年代後半から6年間で10人の犠牲者を出した実在の未解決連続殺人事件を題材にした社会派サスペンス。軍事政権下にあった当時の韓国の社会状況を背景に、事件を追う2人の刑事の葛藤と行き場のない怒りをリアルかつ緊張感たっぷりに描き、韓国で大ヒットを記録した。
1986年、ソウル近郊の農村で若い女性が何者かに殺害される事件が発生。その後も同様の手口の殺人事件が相次いで発生し、地元警察の刑事パク・トゥマンとソウル市警から派遣された若手刑事ソ・テユンが捜査に乗り出す。性格も捜査方法も正反対の2人は衝突を繰り返しながらも執念で捜査を続け、ついに有力な容疑者が浮かび上がるが……。
パク刑事をソン・ガンホ、ソ刑事をキム・サンギョンが演じた。2003年・第40回大鐘賞で作品賞・監督賞・主演男優賞(ソン・ガンホ)を受賞。
2003年製作/130分/PG12/韓国
原題または英題:Memories of Murder
配給:シネカノン
劇場公開日:2004年3月27日
スタッフ・キャスト
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映画評論
「見えない犯人」はあなたであり私である
昨年ようやく公開された「ほえる犬は噛まない」を00年の映画祭で観て以来、筆者の中では「次の動きが気になる監督ランキング世界一」となったポン・ジュノ。韓国社会のローカル性に執着したミクロな視点を、汎世界的でマクロな人間描写・歴史認識へと繋げる稀有な才能は、...
この映画評論・批評を読むフォトギャラリー
映画レビュー
4.0愛の嘲笑
グエムルも母なる証明もそうなんだけど、執念を持って突き進む主人公に対し、最悪の結果を与えるんだよな。なんて楽しい監督だこと。
本作は母なる証明とは違い、執着、執念を最後の最後まで嘲る。ただ、ひたすら愛すべきキャラクターとして描いており、話は大して面白くないが、ソンさんほか登場人物が面白すぎて、ゆるーいシーンがホントはとても楽しい映画になっているわ。こりゃホント批評家さんの言う通り、目の離せない映画だぜ!
居眠り大好きな俺にとってはDVDサマサマ。やっぱり一部国民性ご都合主義みたいなのをところどころ感じるが、それでもこの映画は面白いと思うよ。
4.0人間の抱える闇をじっと凝視した傑作
長編二作目にしてポン・ジュノの名前を広く知らしめるきっかけとなった本作は、韓国で記録的大ヒット。80年代の未解決事件の顛末が気になって劇場に足を運んだ人もいるだろうが、それ以上に二人の全く異なる性格の刑事が織り成す人間ドラマとして完成させたところに意味がある。未解決ゆえにこういうミステリーに伴う真相解明のカタルシスは得られないものの、むしろ本作が描き出そうとするのは、ちょうど真っ暗闇のトンネルの先に何が見えるのかを、刑事たちがじっと凝視するイメージ。それを観客にも体感させて背中のあたりをゾゾッとさせる。それはある意味、人間の姿をした悪魔と対峙する人々のあまりに無力で無防備な姿でもあるかのよう。このイメージは本作中に何度も現れ、冒頭の排水溝に始まり、釘が刺さって空いた脚の丸い穴、絆創膏で塞いだ女子生徒の傷へと受け継がれるのも興味深い。ダイナミックな映像と岩代太郎の音楽の融合ぶりも素晴らしい。
1.0【被害者は3度殺される】
本作は、1986年10月から1991年4月の間に韓国の農村、華城地域で10件以上発生した連続女性殺人事件(華城連続殺人事件)を題材にしているそうであり、2003年(事件発生より17年後)の本作公開時には未解決のままだったようです。
地元警察の中年刑事、パク・トゥマン(ソン・ガンホ)、その相棒で若手の暴力担当、チョ・ヨング(キム・レハ)、二人の上司、ク・ヒボン課長(ピョン・ヒボン)。そこにソウルから応援として若手刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)が赴任してきます。この映画はこの4人の警察官の無能っぷりを延々と描き続けます。4人は次々にもたらされる何の確証もない情報に翻弄され続け、最後まで真犯人にたどり着くことはできません。当初は理性代表のように見えた都会派ソ・テユンまで、最後は闇落ちし、無実の容疑者に向けて拳銃を発射します。この刑事たちがあまりにも無能すぎて、だんだん滑稽にすら見えてきます。
一方、被害者である若い女性たちの遺体の描写はリアルで生々しさを感じさせます。身体にたかっている蟻、下着で縛られた手足、陰部から取り出される桃のかけら…。この遺体の見せ方が、実に絶妙です。観客の怖いもの見たさと下衆な好奇心を満足させつつ、不快感を催さないギリギリのラインを攻めています。
正義感あふれる無能な刑事たちの「危険さ」、暴行され殺された若い女性の遺体の「残酷さ」、見えない真犯人の「不気味さ」、この3点でこの映画は観るものを引き付けます。
Wikipediaの記載によれば、ポン・ジュノ監督は「映画を作ったとき、とても興味深かったし、犯人についてもたくさん考えていた。」と述べているそうです。監督の目論見は当たり、実際の連続婦女暴行殺人事件を題材とした娯楽映画である本作は2003年に韓国で最も多くの観客を動員した映画となり、数々の映画賞を受賞しました。
フィクションと断れば、いくら実際の事件を参考にしていたとしても、なにを描こうが自由です。ですが、事件には被害者遺族や実際に事件を担当した刑事たち、当事者が存在しています。その当事者たちは、この映画を観てどんな感想を抱いたのか聞いてみたいものです。
物語としては何の解決もない脚本ですが、この映画は観客が「見たいもの」を見せてくれます。その意味でポン・ジュノ監督は韓国の大衆心理を熟知している監督と言えます。本作に出てくる、普段は真面目で家族を愛しているのに殺人現場で自慰をして捕まる男。あれがポン・ジュノ監督の考えるわれわれ「観客像」なのではないでしょうか。猟奇的な殺人を扱った映画を喜んで観に来る観客の心理と自慰男の心理と真犯人の心理はある部分で同じだと、監督は考えているのでは。もしかしたらこの監督は警察も観客も全く信用していないのかも知れません。
被害者の女性たちは、まず犯人に殺され、遺体発見現場に群がるマスコミや見物人に殺され、その後映画となり監督とわれわれ観客に殺され、3度殺されたことになります。
4.0ソン・ガンホが上手すぎる
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