愛の流刑地
劇場公開日:2007年1月13日
解説・あらすじ
日本経済新聞で連載され、社会現象まで巻き起こした渡辺淳一原作の同名ベストセラー小説を、豊川悦司&寺島しのぶ共演で映画化。かつての人気恋愛小説家・村尾菊治は、ある朝、情事の果てに相手の女性・入江冬香を絞殺し逮捕される。事件を担当する女性検事は、「愛しているから殺した」という菊治の言葉に困惑しながらも2人の過去を探っていく……。監督は本作で長編映画監督デビューを飾ったベテランTV演出家の鶴橋康夫。
2006年製作/125分/R15+/日本
配給:東宝
劇場公開日:2007年1月13日
スタッフ・キャスト
受賞歴
第31回 日本アカデミー賞(2008年)
ノミネート
主演女優賞 | 寺島しのぶ |
---|
愛の流刑地 の関連作を観る
関連ニュース
井上荒野原作「あちらにいる鬼」 寺島しのぶ&豊川悦司主演、妻役に広末涼子 廣木隆一監督、荒井晴彦脚本で11月公開
2022年4月21日阿部寛×鶴橋康夫監督、抱腹絶倒の時代劇「のみとり侍」で10年ぶりタッグ!
2017年9月12日大竹しのぶ&豊川悦司があぶり出した、洗練された“大人の寓話”
2016年8月28日大竹しのぶ&豊川悦司「後妻業」で最強タッグ再び 鶴橋康夫監督が問題作を映画化
2015年8月4日長谷川博己、渡辺淳一原作「雲の階段」ドラマ化に主演!
2013年2月27日田中麗奈“生霊”六条御息所役を生々しく熱演
2011年10月15日
映画評論
原作以上に「文学」を感じさせる演出
TVドラマ界で長年活躍してきた演出家・鶴橋康夫(67歳)の映画監督デビュー作品。冒頭からいきなり、朝やけの風景を主人公の性交っぷりにオーバーラップさせ、風景と情事の融合を試みるような描写がつづく。世間の営みから浮きあがったような感極まったセリフの数々もそ...
この映画評論・批評を読むフォトギャラリー
映画レビュー
2.0木下ほうか出演
いろんなシーンで動機が不明瞭。
冬花が菊治に紹介される経緯とか、
担当検事が長谷川京子になるところとか、
そーいえば佐藤浩市はすぐ消えたなあ、とか。
たまに意味のないワンシーンがあったりと、
演出がどーなの?って感じ。
長谷川の大根演技だけじゃなく、
仲村トオルも何か変な演技だったし、
トヨエツが裁判中叫ぶところも浮いてる気がするし、
「安定の余貴美子」が目立たなすぎ。
全体の流れは、完全なる「男の願望」でしかなく、
その挙句殺した事を正当化するクソみたいな内容。
ほぼ二人の絡みばかりの半AV。
寺島さんもっとメリハリのあるお身体かと思ったら、
割とフツー、そこだけリアリティなの?
経産婦でナイスバディーなんかいないぞ、と。
でも昼間からやりまくりというだけで充分エロいが。
3.0過失致死と嘱託殺人
越中おわら節で有名なおわら風の盆は未だ見たことがない。富山県に住んでいたにも拘らず!である。この映画でも数人が踊っていましたが、本物はこんなものじゃないはず。もっともっと壮大で、艶やかで、勇壮で、哀愁に満ちているはずなのです。その女性の踊りに見られる手の動きから、小説家村尾菊治(トヨエツ)は入江冬香(寺島しのぶ)を富山県出身だと見破ってしまう。ここがこの作品で一番素敵なところでしたが、北陸出身などと言わずに「富山か徳島では?」と聞かなかったところがミソです(そうかな?)。
渡辺淳一の映画化作品といえばほとんどがポルノだと思うのですが、今まで見てきた『化身』『失楽園』『メトレス』などよりはストーリーがあるのでずっと良かったです。何しろ不倫相手冬香は冒頭で死んでしまうのですから、裁判や冬香の真意などミステリアスな部分もあり、普通に楽しめる内容となっていました。その反面、濡れ場の激しさは黒木瞳なんかには負けていたかもしれません。
俳優で良かったのは貫地谷しほりと富司純子で、彼女たちの泣きの演技は真に迫るものがありました。しかし、弁護士役の陣内孝則と検事役の長谷川京子がダメ。まるで笑いながら尋問するかのような陣内さん。弁護して嘱託殺人の罪を勝ち取る意気込みが全く感じられないのです。そして、長谷川京子の台詞棒読み陳述は全く迫力のない検事・・・まぁ法廷シーンがメインじゃないと言われればそれまでですが・・・
なぜだか長谷川京子検事がTEACのオープンリールデッキで情事の様子を聞いていたシーンが印象に残りますちゃ。小型カセットテープレコーダーにオープンリールの対比にどのような意味があるのかわからんけど、このオープンリールデッキは一体どこから仕入れたがやろか?
3.5エクスタシー
3.0本当の不倫は心中するしかない。迷惑だ。
『愛の流刑地』(2007)
dTVにて、配信があと2日ほどとの事で、今回の視聴に選んだ。R15指定。『うなぎ』もそうだったと思うが、この映画も濃厚なセックスシーンから始まる。映画という芸術にセックスシーンは一体どう考えるべきかという問題もあるが、セックス中に女がこのまま殺してと言い、男は女の首を絞めつける。そして女が死に、男は警察に電話をかけて逮捕される。男(演:豊川悦司)は小説家。離婚した妻が近々再婚するところ。ドライな事務的な印象を持たせているのか、そうした刑事に佐藤浩市が扮している。刑事は女が戯れに殺してと言ったのだろうと詰め寄るが、男は戯れではなくて真剣なものだったと刑事に反抗する。どうみても殺人犯の加害者だが、刑事の詰め寄りが怒ったり、暴力的な印象を持たせている様子だ。その事件に検事としてかかわる女検事(演:長谷川京子)も何かしら意味を持って関わってくる様子。加害者と被害者が初めに会うシーンがあるが、美しい映像でみせる。被害者は加害者の小説の大ファンだった。当時、小説家はスランプだったか、それを励ますために編集者の女性が隣家の被害者を、こんなに大ファンもいるんだから頑張ってとの意味で会わせたと女検事に言う。そして、被害者には夫と子供があり、不倫関係に陥ってしまう。編集者(演:浅田美代子)は小説家の意志が小説に強まるならばと見てその不倫を見ぬふりをした。時間軸が前後して、不倫に陥っていく過程が描かれる。再会は雨のシーン。これも森の中の緑と雨の中の薄明かりで美しい背景である。原作が渡辺淳一で日本経済新聞朝刊にこうした複雑で決して良くはない話が連載されたのが、2004年から2006年。テレビドラマにもなっていたとの事。リアルタイムには私はどれも接しなかった。以前に渡辺淳一は『失楽園』で話題になり、その以前にも『化身』というのを日経新聞に続けていったが、それ以前に毎日新聞に『ひろひらの雪』という、さまざまな不倫ものを書いたらしい。毎日新聞は当時とっていたから、拾い読みしたかも知れないが、記憶が薄っすらである。映画では、それぞれの子供たち。被害者のほうは幼い子供たちをみる複雑な女の心境や、加害者のほうは、高校生かその上くらいの娘(演:貫地谷しほり)が、留置場で、お父さんは自殺願望がある女性に利用されただけなんだよと泣きながら父親に
詰め寄るシーンがある。不倫が不幸な結果になるという面では、渡辺淳一は倫理観を残していたと言える。それさえないサイコパスの映画やドラマや漫画やアダルトビデオやそれを実際にしている人達がさらにいる。俳優女優でさえ、セックスシーンは恥かしいのが正常な感覚で、堅気の人達ではないわけである。それがスターとされるところにこの範疇の複雑さがあるのだが。疑似的なセックスシーンで名監督は誤魔化すのだろうが、露骨な記録者は犯罪もどきなだけである。性行為は美しいのは美しい。だから人類が続けてきて、続く原因ではあるが、それを露骨に映像記録にするのは、単純に容認するところには何らかの減退しかないだろう。子供たちへの詫びのような面が、罪を知っている二人ではあっただろう。共謀でどちらも悪いが、男のほうが悪いのだろう。そして女は殺されていなくなってしまうのだから。不倫は死ぬことが罪滅ぼしであり、本当の恋愛である。実際には獣の遊びしかないのだ。生命を育む副産物であるはずの性行為で死にもたらすのだから不倫は変態行為であり、変態行為の中でしか恋愛はないものだ。悲劇にならない不倫は遊び以下である。具体的にはベッキーとゲスなんかはまさしくゲスだったのだ。不倫された夫は仲村トオルが演じていた。やたら断片的にセックスシーンが繰り返されるが、アダルトビデオの存在なども日本社会は検討しなおす余地があるはずだろう。医師であった渡辺淳一がこうした変態エロスを書き続けたのはどういうわけだったかも考えなおす必要もあろう。監督の鶴橋康夫は、日テレのテレビディレクター出身で、『後妻業の女』も監督したが、これも変態的な内容の映画だった。
日テレのサスペンスなどはこうした人が作ってきて、渡辺にしろ鶴橋にしろ変態的な人がドラマを作ってきた意味はなんだろうかというのもあろう。被害者がいう。「私いつ死んでもいいわ。幸せ。あなたは私のために死ねますか?」不倫が本気になると罪悪なのだから死を選ぶのが本当である。生き残ったほうが遊びだったことになる。不倫でなければ正式な配偶者の看取りである。その違いがある。ほとんどの不倫は遊び以下の堕落なのである。女はセックスのたびに殺してと言い続けることになる。この変態性に、迷走を繰り返した作家たちは、なにかの意味を持たせたのだろうか。
渡辺にしても鶴橋にしても実際の人物は長寿を全うする病死であろう。女が死んでもいいくらい幸福ですと録音されたテープというのも変態的である。そして、さらに罪悪を複雑にして、罪さえ正義にしてしまうような弁護士という仕事の人を陣内孝則が演ずるが、この弁護士はけっこう理論的に区別して考えているような気もした。そして小説家は被害者をこれ以上さらしたくないから、テープを公開しないでくれと頼むが、女検事は、性行為の喘ぎ声と死んでもいいくらい幸福という男女の録音の声を聴いていた。そして、女検事は自らの上司の検事との性愛シーンを思い出していた。
これも不倫関係だった。検事同士が。これも現実によくあるのかも知れない。こうした職業の人物たちへの皮肉も、医師の渡辺は書いたのか。女検事を事件に担当させたのはその不倫上司だというのはどういう意味だったか。裁判のシーンでは関係者が出て来るが、民事の離婚裁判などはほとんどいないのに、殺人事件になるとなのか、また人気小説家だからか、裁判を聴きにきている人が満員である。加害者の娘と、被害者の夫の顔を写す。裁判長を本田博太郎が演じている。
裁判を傍聴している中村トオルの顔の演技も難しいだろうと思った。弁護士は自殺の嘱託殺人だということで罪を軽減させようと計らう。渡辺淳一は精神障害を持つ女の話も書いていたように思う。
変態的エクスタシーが、生命をはぐくむはずの性行為に付随してしまうという人間の性とは一体
どういう経緯でこうしたあるのだろう。BGMも女が高い声でハミングするようなもので、変態性を添えている。当人たちにとっては死とエロスの至福感覚だったのだろうが、それを容認したら社会が成り立たないだろう。裁判で、加害者の娘がいたたまれず傍聴席から逃げ出して、加害者の元妻に支えられながら去るところに多勢の報道のフラッシュというのも悲劇が滑稽にさえ思える。二世タレントでもあり、独特な容貌で美人の範疇ではあろうが微妙にも思えるような寺島しのぶがヒロインというのもそれが本格映像に思える。幽玄的な雰囲気をみせる時がある。実の親の富司純子が親を演じている。『百円の恋』の安藤サクラだと俗が強くなる。良しあしではなくて、それが個性だろうと思う。被害者の夫であり、不倫された夫でさえ、検事や弁護士に質問され、「ここは被害者をさらけ出される場なんですか。」と震えながらわめく仲村トオルの演技も難しい役柄だっただろう。こういう様子でも、不倫女が悪女の性質を備えているのが不倫現象ではないのだろうか。加害者の子供も宿したという。夫とは3人の子供があるのに。小説家は表情が変わる。だがその子供というのが、小説家が新たに執筆した小説だというのが種明かしであった。男女の性愛としては本気の性愛であったが、夫や子供たちのことや社会性を疎んじてしまっていた。公開されてから10年ほど。阿藤快や津川雅彦など故人も出演している。医師であった渡辺淳一だが、文学と法律の混在が文学の場である。文学は複雑な構成である。それを映像化するのが映画である。そして現実の社会に対して、これを基にして、どう生きればいいかというモデルケースとしなければならないし、現実社会を良いものにするために存在させなければなんにもならない。裁判所で殺される寸前の女の喘ぎ声がテープで聴かされるというのも変態的な場面である。それを真剣な顔で聴く法廷内の人達。「どうして殺してくれなかったの。私は死んでもいいくらい幸福なの」というテープの声。裁判に有利になるだろうと思っている弁護士の後ろの顔がすごい顔をしている。陣内孝則の表情の演技である。「愛は法律なんかでさばけるわけがない。誰も本当の冬香(被害者)を知らない。彼女は喜びながら死んでいったんですよ。あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるんですか」と小説家はわめきたてる。「本当の冬香を知らないんだ・・・」、嘱託殺人で刑を軽くしようと思っていた弁護士は机をたたく。女検事は、上司の愛人だった検事に向かって、「あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるんですか」と小説家の言葉を上司に投げつける。「彼女のは愛した男を犯罪者にしてまでも手に入れたいものがあった。最初の女にはなれなかったが、最後の女にはなれるかも知れない」女検事が上司の検事(演:佐々木蔵之介)に言う。「本当に愛してるなら、あたしを殺して」次の裁判が開かれる。富司純子も熱演である。女は不倫を覚悟した段階で死ぬしかないのだと、夫や母親や子供3人に気持ちを示したのだろうか。心中しないで残されたほうが言い訳は出来ないのである。それだけの魅力や魔力はあったとしても翻弄しただけだったのだ。そして理解した小説家は法廷内で、被害者の母親に無言で土下座する。そして寝取られて悪いという映像にはしていない。仲村トオルも複雑なしっかりした人物に夫を示している。そして途中で夫は法廷を出ていく。これは何を意味するか。寝取られた男の意地かも知れない。だが、このシーンが不思議だが、またその後の加害者の陳述で仲村トオルが座っている。これは辻褄が合わないようで不可解なシーンだった。トイレか。いったん席をはずして気を休めたか。遺族は難しい役柄だ。
加害者親族もだ。貫地谷の泣いているシーンも辛いだろう。愛し合って殺してくれと頼まれるエクスタシーを、選ばれた殺人者であり、冬香のために私はどんな罰でも受けたいと思いますと締めくくる。結局、変態的に行動を起こすと思考もわけがわからなくなる。判決は懲役8年だった。109号と言われることになる。留置所で、郵便が届く。冬香が生前に書いた手紙だった。被害者が好きで、被害者の名前とサインを書いた小説家の本が入っていた。一瞬小説家は顔がほころぶが、小説家と家族に挟まれて片方だけ選べなくなった苦悩が書かれていた。やがて平井堅の『哀歌』が現実からフィクションに連れ戻すが、小説家の最後のセリフが「やっぱり俺は選ばれた殺人者だったんだ」と言う。これは危険な終え方ではなかっただろうか。
映画.com注目特集
3月19日更新
【衝撃の問題作】なぜ世界は「ガンニバル」に熱狂するのか? “絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ
【あまりにオススメされるので、シリーズ未見だけど観てみた】結果は…ハマるまでのリアルドキュメント
提供:ツインエンジン【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI注目作品ランキング
1
ウィキッド ふたりの魔女劇場公開日 2025年3月7日
2
35年目のラブレター劇場公開日 2025年3月7日
3
映画ドラえもん のび太の絵世界物語劇場公開日 2025年3月7日
4
お嬢と番犬くん劇場公開日 2025年3月14日
5
ロングレッグス劇場公開日 2025年3月14日
映画ニュースアクセスランキング
- 昨日
- 先週
1
養女に迎えた7歳の少女の“正体”は、本当に成人女性なのか? 全米を騒がせた実話を基にした衝撃作、配信開始2025年3月20日 09:00
2
実写「白雪姫」“7人のこびと”おとぼけ役は風間俊介「願いが叶いました」2025年3月20日 07:00
3
WEST.主演映画「裏社員。スパイやらせてもろてます」に恒松祐里が出演! 全編関西弁でヒロイン役に挑戦2025年3月20日 12:00
4
【インタビュー】柳楽優弥×笠松将「ガンニバル」完結編を“3つのキーワード”で語り尽くす2025年3月20日 11:00
5
高橋文哉&西野七瀬にもたらした、瀬々敬久監督からの大きな財産【「少年と犬」インタビュー】2025年3月20日 12:00
1
ニコラス・ケイジの変貌ぶりがヤバすぎて主演女優の心拍数が「76→170」に跳ね上がる「一生忘れない」2025年3月11日 18:00
2
櫻井翔×北川景子「映画 謎解きはディナーのあとで」3月29日に放送2025年3月14日 16:00
3
「日曜アニメ劇場」3月16、23日に「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場版2作を放送 30日は「ルパン三世VSキャッツ・アイ」2025年3月14日 18:00
4
【閲覧注意】台湾ホラー「ガラ」5月9日公開決定! 衝撃の日本版ビジュアル&予告編&場面写真を一挙公開2025年3月10日 08:00
5
【第48回日本アカデミー賞】最優秀作品賞は「侍タイムスリッパー」 安田淳一監督&山口馬木也が涙2025年3月14日 22:55