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劇場公開日:

解説・あらすじ

スティーブン・スピルバーグ監督がトム・クルーズを主演に迎え、SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説を映画化。西暦2054年。ワシントンDCでは予知能力者を利用して凶悪犯罪を予知する画期的なシステムが開発され、犯罪予防局が犯人を事前に逮捕することで、犯罪件数は激減していた。そんなある日、犯罪予防局の凄腕捜査官ジョン・アンダートンは、自分が36時間後に殺人事件を起こすと予知されたことを知る。しかもその被害者となるのは、ジョンとは全く面識のない見ず知らずの男だった。同僚たちから追われる身となった彼は、真相を解明して自らの容疑を晴らすべく奔走する。共演は「S.W.A.T.」のコリン・ファレル、「ギター弾きの恋」のサマンサ・モートン、「エクソシスト」のマックス・フォン・シドー。

2002年製作/145分/アメリカ
原題または英題:Minority Report
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2002年12月7日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第75回 アカデミー賞(2003年)

ノミネート

音響編集賞  
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特集

パート2:スピルバーグが「引用」を盛り込んだ?

この映画には、名作映画や小説の引用が多数登場、それらが映画の雰囲気作りに貢献している。その一部はスピルバーグの仕込みらしい。インタビューで、フィルム・ノワールとヒッチコックを意識したことを告白しているのだ。でも、それ以外はひょっとして...

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自宅で無愛想な男たちに何の前触れもなく取り囲まれ、あなたは逮捕される。犯罪予防局から来た連中の説明によれば、お前は数時間後に殺人を犯すから、その前に身柄を拘束する……という。納得できる? 実際に殺人を計画していない限り、無理だろう。計画していても、何割か...

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フォトギャラリー

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写真:Moviestore Collection/AFLO

映画レビュー

4.0Dates Well in some Ways, Not So Much in Others

2020年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

幸せ

The special effects in Minority Report hold up, and the plot ranks more imaginative than many of the sci-fi blockbusters that have come out in the previous decade. Tom Cruise's escape in a car factory is as comical as any Indiana Jones adventure sequence. The traffic jam sequence is as over-the-top as Ready Player One. As surveillance moves us to real-world pre-crime, this classic hits the mark.

Dan Knighton

4.0未来に悲観的な深い暗さを感じた、不気味さも潜むミステリー

2025年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

ネタバレ!クリックして本文を読む

スティーブン・スピルバーグ 監督による2002年製作(145分)アメリカ映画。
原題または英題:Minority Report、配給:20世紀フォックス映画、劇場公開日:2002年12月7日。

原作はフィリップ・K・ディックの短編小説『少数報告』。予知能力者3名を使って、殺人事件を未然に防ぐシステミが作られている未来社会が舞台となっていて、なんとも言えないような気持ち悪さが、映画全体のあちこちから感じさせられた。不気味さも潜むミステリー映画という、スピルバーグ監督の新たな挑戦ということなのか?

3名の超能力者たちが、羊水の様な液体の中でまるで飼われている様なのが不気味。人権も無く、ひたすら能力を社会に奉仕させられている構図で、本人たちが見たくない殺人映像を言わば強制的に見せられているのが何とも哀れ。

トムクルーズ演じる殺人予定犯を捕まえる主人公は、この世界のヒーローであるが、息子を失い、クスリ中毒者である設定が、原作を反映してなのか、未来に悲観的な深い暗さを感じさせる。

超能力者も解放されて、主人公は元妻とよりを戻してハッピーエンドの様であったが、息子が生きて無いことが暗示されたものの誘拐したものが何者か分からないままなのが、不満として残ってしまった。

監督スティーブン・スピルバーグ、製作ジェラルド・R・モーレン 、ボニー・カーティス 、ウォルター・F・パークス 、ヤン・デ・ボン、製作総指揮ゲイリー・ゴールドマン、 ロナルド・シャセット、原作フィリップ・K・ディック、脚本スコット・フランク 。ジョン・コーエン、撮影ヤヌス・カミンスキー、美術アレックス・マクドウェル、衣装デボラ・L・スコット、編集マイケル・カーン、音楽ジョン・ウィリアムズ。

出演
トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー、ロイス・スミス、ピーター・ストーメア、ティム・ブレイク・ネルソン、スティーブ・ハリス、キャスリン・モリス、マイク・バインダー。

Kazu Ann

5.0未来までもが監視される超管理社会。

2025年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

楽しい

興奮

知的

ネタバレ!クリックして本文を読む

プリコグと呼ばれる予知能力者たちによって未来に起きる殺人が予知できるようになった近未来。その犯罪予防システムの下で捜査官として働く主人公ジョンがある事実を知ってしまったことから罠にはめられ追い詰められていく様をスリリングに描いたSF超大作。
ジョージ・オーウエルの「1984」を連想させる超監視社会を風刺した作品としても高く評価されるが、さすがスピルバーグだけにハンバーグの焼き具合にも余念がない。娯楽作品としても大いに楽しめる作品に仕上がっている。

まず未来が舞台なだけに様々なSF的ガジェットで見る者の目を楽しませる。磁気により壁までも走行する自動運転車を筆頭に嘔吐誘発スティック、小型探索ドローンのスパイダー、虹彩スキャンニングにより直接話しかけてくる広告等々。特に中盤の一番の見せ場であるジェットパックを装着した捜査官たちによる地上から空中へと立体的に繰り広げられる追跡劇は見もので、旧市街での火気使用は厳禁だと思い知らされた。ハンバーグの焼き具合はちょうどいい塩梅だったが。それに続くオートメーション化された自動車組み立て工場での追跡劇も面白く、さすが世界のトヨタだけにそのまま完成車で逃走というオチまでついた。
その他にも眼球手術を受ける闇医者が昔自分が逮捕した人間だったり、その看護士が怪しさ全開で、冷蔵庫には新鮮な牛乳とサンドイッチが腐ったそれらのすぐそばに置かれていてことごとく腐った方を口にしたり、スパイダーによる虹彩スキャンの時だけ夫婦喧嘩を止めるとか数え上げたらきりがないくらいギャグも織り込まれていて長丁場でも一切飽きさせない。この辺もさすがスピルバーグといったところ。

しかし本作はあくまでもシリアスなSF作品。描かれている内容ももはや現実社会と地続きと思えるくらいリアリティある監視社会の恐怖が描かれている。

いまや街中には至る所に虹彩スキャナーが設置され、すべての市民がリアルタイムに行動を監視されている社会で今まさにその未来に起こすであろう行動さえもが監視されようとしていた。
この未来犯罪予防システムは犯罪行為がいまだなされていない、不確実な未来に起こすであろう犯罪のために処罰されるという。犯した結果に対して責任を問われる近代刑法の大原則に反する危ういシステムだった。しかしそれでもプリコグの予知能力への絶大なる信頼の上に成り立つ完璧なシステムとして運用されていた。現にこのシステムが導入されて以来首都ワシントンでは殺人事件はゼロに抑えられていた。

息子を失ったジョンは犯罪をなくすことが息子のような被害者をなくせると信じこのシステムの下で捜査に明け暮れていた。だがある時システムの脆弱性の一端に触れてしまったことから彼は追われる身となってしまう。
システムを守り犯罪を撲滅したいという理想を抱いたのは予防局局長ラマーも同じだった。しかし、彼はこのシステムを守るために皮肉にも彼自身が殺人に手を染めてしまう。プリコグの中でも突出した能力者であったアガサを取り返そうとする母親を殺害してしまうのだ。
そしてその犯行はシステムを知り尽くした彼だけがなしうるものだった。プリコグは犯罪予知をするとまれに同じ予知のイメージをデジャヴのように繰り返す。このエコーとも呼ばれる現象を利用して彼は完全犯罪を犯す。しかしそれが発覚するのを恐れた彼がジョンを陥れたのだった。

一見完璧なシステムもそれをつかさどる人間に欠陥があれば、たちまち危険な凶器にもなる。それを使用する権力者が意のままに操れば犯罪撲滅という大義の下で人権侵害も可能になるのだ。

9.11以降成立した愛国者法に基づきアメリカ政府は盗聴やSNSのデーターを収集し大規模監視していた事実が明らかになった。それはテロ防止の大義のもとに行われていたが、現実にはテロとは無関係な国民すべてを監視下に置くものであり、思想統制の恐れがあるとして当時世界的に大問題となった。
それは本作同様システムは完璧だが権力者が悪用すれば危険なシステムにもなりうるというまさに諸刃の剣だった。

ただ、本作の未来予知システムも完ぺきではなくプリコグ三人の予知イメージが一致しないことがまれにあり、一致しない少数者のイメージ(マイノリティリポート)は削除されていた。未来は不確実性を伴う、起きるはずの未来が起きない場合もありうる、冤罪の恐れも否定できない。その事実を無視して強行された不完全なシステムであった。
これも皮肉にも未来予知されたラマーによるジョン殺害をラマー自身が予知された未来と異なる行動を取ったことからシステムの不備が証明されてしまい、結局システムは廃止されることとなる。

本作冒頭でゲティスバーグ演説が引用される。自由と平等をうたうこの演説に始まり、道を踏み外した権力者が最後には南北戦争で贈られた銃で自ら命を絶つ結末は非情に皮肉が効いていた。

現実社会の大規模監視システムもスノーデンの暴露により裁判所の許可なしに使用は不可能となった。これでジョージ・オーウエルが描いたディストピアは一旦は回避されたかに見えた。

ところで本作で描かれた犯罪予防システム、果たしてこれは映画の中だけの荒唐無稽なものなのだろうか。お察しの方もいると思うがこれに似た法律が2017年に日本でも施行されている。テロ等準備罪という名に書き換えられたいわゆる共謀罪である。この法律は行動を伴わず犯罪の合意がなされれば処罰できるという点で未来に行われるであろう犯罪を取り締まる本作の犯罪予防システムと非常に酷似している。
行動なくとも犯罪意思の合意だけで取り締まれるということになればそれは人の内面にまで捜査が及ぶ思想捜査に限りなく近くなってしまう。これは憲法の保障する思想信条の自由にも反するものだ。
またこれらの合意や謀議を探知するには当然盗聴やメールの監視が常日頃から必要になってくる。そして2013年のスノーデンリークによりアメリカの国家安全保障局が大規模監視に使用していたエクスキースコアなる検索システムが日本に供与されたという文書の存在も明るみになっている。
これら共謀罪と大規模監視システムが今の日本に存在するとなれば、これは我々の住む社会が本作で描かれた超監視社会と何ら変わらないということになる。
もはや我々は知らず知らずのうちにこの映画と同じ世界にいるのかもしれない。

今、世界はアメリカをはじめポピュリズム独裁により民主主義が危機に瀕しようとしている。リンカーンの「人民の人民による人民のための政治」という言葉は忘れ去られ、「民は之に由らしむべし之を知らしむべからず」の世になりつつあるのだろうか。

この作品を当時劇場鑑賞した時の興奮は今も忘れられない。スピルバーグがトム・クルーズと初めてタッグを組んだディック原作の話題作と聞いて喜び勇んで劇場に観に行った。そして期待をはるかに上回るその作品の出来に満足して劇場を後にしたのを覚えている。この年末に配信で久々に見直したがやはりその面白さは色あせていなかった。と同時についに現実がこの映画の世界に追いついてしまったことに一抹の不安を覚えた。

レント

4.5【フィリップ・K・ディックの短編小説「少数報告」を基にした近未来ハードSF映画の逸品。今作を観ると、改めてスティーヴン・スピルバーグ監督って凄いなと思ってしまう作品である。】

2024年11月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

■2054年のアメリカ、ワシントンD.Cが舞台。
 犯罪を起こす人物を3人の予知能力者たち”プリコグ”に事前に割り出させ、犯行前に拘束する犯罪予防局。
 その為、6年間殺人事件は0件を維持している。
 その予知システムの全国展開を図るラマー・バージェス局長(マックス・フォン・シドー)だが、司法庁調査官のダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)が、システムの完全性を調査するために視察に来る。
 犯罪予防局のチーフを務めるジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は、自分が殺人を犯すと予知され、自分自身もその映像を見て、半信半疑ながら仲間たちから追われる。
 嫌疑を晴らそうとする中、彼は自分に仕掛けられた陰謀と黒幕の存在を感じ取っていく。
 実は、彼は6年前に一緒にプールに行った幼き息子ショーンを何者かに誘拐され、妻のララとは破局し、異常なほどに捜査に取り組んでいた。

◆感想<Caution!ネタバレしてません!!>

・今作の公開年は2002年であるが、今観ても2054年の様々なSFガジェットに違和感がない。というか凄いハイクオリティな映像に驚く。

・ストーリー展開も、ジョン・アンダートンが犯罪予防局捜査官達から逃れるために、眼球チェッククリアーをねらい、怪しい医者に両目を交換したり(ここ、凄い怖い。痛そう。)ハラハラドキドキのスピード感あふれる展開に、一気に引き込まれる。

・ジョン・アンダートンが”プリコグ”の中の一体、アガサを連れ出し真相究明する過程は更に凄い。そして、三体の”プリコグ”の予想が違う場合は、「少数報告」として廃棄されることを知ったジョンは、自分の殺人映像が「少数報告」であると信じ、奔走する。

・そこからの怒涛の展開も凄い。ジョンが殺したと予言された男リオ・クロウ(マイク・バインダー)の部屋に行くと、彼は”知らない男から頼まれて、行っただけだ。殺してくれ。出ないと家族に金が入らない。”と訴えて、自ら殺されることを希望するのである。
 その後、その現場に来たダニー・ウィットワーは”或る人物”に射殺されてしまうのである。

<イヤー、凄いですねえ。面白いですねえ。ストーリー展開の秀逸さも絶品の近未来ハードSFの逸品である。
 今作製作の意図が、9.11によりアメリカ政府が国民のデータを一元化して管理する話に対してのスティーヴン・スピルバーグ監督の”人間に頼らないシステムの脆弱性”を示唆した作品などと言う説を読んでしまうと、更にスティーヴン・スピルバーグ監督の凄さを感じてしまう逸品である。
 今作は、SF映画好き且つどんでん返し好きの貴方には、タマラナイ作品であると思います。>

NOBU

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