ヒプノシスマイク Division Rap Battle
劇場公開日:2025年2月21日
解説・あらすじ
2017年9月に始動し、音声ドラマをはじめコミック、ゲームアプリ、舞台、アニメなどさまざまなメディアミックスで人気を集める音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」をアニメ映画化。「イケブクロ・ディビジョン」「ヨコハマ・ディビジョン」「シブヤ・ディビジョン」「シンジュク・ディビジョン」「オオサカ・ディビジョン」「ナゴヤ・ディビジョン」の6チームに所属する総勢18人のキャラクターが、熱いラップバトルを繰り広げる。
劇場用映画としては日本初となる観客参加型の「インタラクティブ映画」で、スクリーン上で描かれるディビジョン・ラップバトルの勝敗が映画館内の観客の投票によって決まる。投票はスマホアプリを通じてリアルタイムで行われ、投票数の多かった選択肢に従ってストーリーが進行するため、上映回ごとに物語の展開や結末が変わる。
監督は、特撮テレビドラマ「ウルトラマン」シリーズやCGアニメ映画「バイオハザード ヴェンデッタ」の辻本貴則。「シドニアの騎士」シリーズなどのポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作を担当。
2025年製作/100分/G/日本
配給:TOHO NEXT
劇場公開日:2025年2月21日
スタッフ・声優・キャスト
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映画レビュー
4.0中王区の勝利を見たぞ
試写で見た。試写でも投票システムによる上映だったのだが、この時は中王区の勝利が見られた。ここのレビューコーナーに書かれている方々は、別の結末を体験していることであろう。通常、映画の鑑賞体験は、あらゆる内容的には同じはずなのだけど、これに関しては個々でバラバラである。映画とインタラクティブな体験は相性悪いかもと思っていたけど、公式サイトで各劇場の勝利傾向が見られるなど、様々な工夫で、非常に上手く機能していると思う。実際に領土取りの戦いが繰り広げられているようで楽しい。
ちなみに、試写では、一回戦勝者はバスターブロス、マッドトリガークルー、摩天狼、2回戦の勝者は摩天狼だった。バスターブロスを応援していたので、2回戦で負けた時は自分でもちょっとびっくりするくらい悔しかった。池袋の劇場に行って彼らの勝利を見ないと気が済まない気分になっている。
でも中王区はカッコよかった。さすがに一回目の鑑賞では、6チームのどれかの優勝パターンから見るべきだろう、敵方の勝利は王道展開じゃないと思っていたのに、決勝ではつい中王区に投票してしまった。彼女たちの貫禄にやられてしまった。
5.0すごく楽しかった
映画というよりはライブの感覚に近いと思います 各曲体感あっという間で時間の長さは感じませんでした ヒプマイのかっこいい楽曲、かっこいい歌声を全身で浴びる体験ができました
個人的なお気に入りはヨコハマディビジョンの重低音です 映画館の音響設備ってすごいですね 身体の芯まで音が響いてました
映像も綺麗でした 表情が豊かに動いててみんな生き生きとしてました しみじみと思いましたがキャラクターみんな脚が長くて顔が綺麗で声がいいですね
誰にも負けてほしくなかったので投票は迷いました でも全員が清々しい雰囲気でエンディングを迎えていたのでよかったです
4.0投票で展開変わるシステム、他のコンテンツでもやって欲しい
これは結構面白かったですね。日本発という、投票によってストーリー展開が変わるというのがすごい面白かったですね。
これは色んなコンテンツでやって貰いたいぐらいです。必ずしも自分が選んだチームが勝つとは限らないんだけれども、それも面白くて。劇場とのシンクロというのも、最後に自分のスマホにて発表されるというところが面白い。
スマホつけていたら邪魔にならないかとかいうことに関しても、基本映像に集中はできて、投票は5回あるんだけれども、投票時間以外は画面暗くなる仕様。投票時間は10秒程度で、結果も30秒ぐらいですぐ出る。このインタラクティブの速さに、びっくりしました。
一応全体知識として、それぞれのディビジョン、チームが、どういうチームがあって、どういう人たちで、どういう人間関係であるかということをある程度把握できているとより面白いかもと思うところは、ある。
なので、アニメシリーズを見てるとより楽しめるというのはあるんだけれども、見てなくてもこの映画から入っても面白いのではないか。
基本はステージでラップバトルをしているだけでなので、難しくは無く複雑なストーリー展開ではない。
けれども一応ストーリーの骨子はある。そのラップバトルで勝ち上がって頂点に立つという、分かりやすいストーリーはある。で、勝敗結果によりそれぞれのキャラが違う反応見せる。
この、なかなか普通ではない髪型のキャラクターを違和感なく動かせるようになったという、CGの進化も素晴らしいし、何よりラップバトルのアニメコンテンツというのがそもそも無かったところによく作ってヒットさせたなというところもあり。
かつ今回は、視聴者の投票で勝敗が決まってストーリー展開も変わるという、見る映画館、見る時間帯によって展開が変わるというのは、これは本当今までなかったよなというところがある。
で、結構その勝敗、どっちが勝つっていうのが意外とドキドキする。これもちょっと意外なところではあった。
覚悟していたんだけれども、例えば、テニプリもそうだったし、黒バスもそうだったし、刀剣乱舞とかもそうだったんだけど、この手のイケメン集まってバトルする系のコンテンツは、ほぼほぼ観客が女性で、男女比1対9ぐらいの割合で、「男1人で来て申し訳ございません」みたいな雰囲気もあるんだけれども、試み自体が面白いので、男女問わず、年齢問わず、色んな人に体験してもらいたいなと思う。
今後、色んなコンテンツで観客投票をやって欲しいなと素直に思った。
例えばこういう音楽系コンテンツ、バンドバトル的なものだったり、アイドル同士のユニットバトルとか、そういう企画でもできるだろうし、推理小説のような展開の話で、色々怪しいなという要素を観客が選んでいって、トリックや犯人も最終的に変わっていくなんていうやり方もできるだろうし、何よりバトルもののコンテンツなんていくらでもある。
あれとあれが戦う、あいつとあいつが、この映画で戦うことになった。さあどっちが勝つ?勝敗の行方は観客の投票で決めよう!みたいな。
色々できるな、これ!と感じたぐらい、このシステム自体が面白かった。
基本的に携帯はずっと電源を付けないといけないから、80%ぐらい充電残ってたのが映画が終わる頃には40%ぐらいになっていた。
この公式の方も、全国の映画館でデータを取っていて、この映画館だとこのチームの優勝確率が高いです。例えば、池袋の映画館だと池袋のディビジョンが優勝しやすいよねとか、新宿の映画館だと新宿ディビジョンが勝ちやすいよねみたいな傾向も、公式が示してくれていたりもする。
だから色んな映画館に行くという楽しみもできるし、内容で何回も足を運べるというのは、すごい良いことだと思う。
特典商法とかもあるんだけれども、こういうその場投票のやり方なら本当に映画体験、その時の体験がもう一回だけしかないところはあるから。
今後こういうのは色んな企画でやって欲しい、作り手は大変だろうけど。こういう投票映画は今後増えていくと思う。
4.0友人に連れて行ってもらったためヒプマイは知らない
昨今のインタラクティブコンテンツにアニメ映画が参入する、と気になっていたところヒプノシスマイクに明るい友人が連れていってくれることになった。
鑑賞前に映画館のロビーで友人と私は約束を交わした。事前にアプリをインストールしておくこと。そして、ヨコハマの投票には必ず入れること。
着席すると友人は私に手を出すように言った。
素直に従うと、巾着の中身を私の手のひらに出した。
ダイヤモンドカット風の青いプラスチックがガラガラと落とされる。10個ほどだったが大ぶりであったため手のひらに小さな山を作っている。
よく見ると指輪型のライトのようで、これも素直にはめた。
週末の映画館に話題作ということもあってか、予告が始まる頃にはほとんど満席だった。
前の座席に座っている人も両手に20個くらい青い指輪型のライトをはめていた。少し暗くなるとより分かりやすいが、同じような青の光がざっと数えるだけでも30は見えた。
ふと、自由に投票してね、と友人が呟く。
そこで私の投票結果に左右されることなくヨコハマが優勝することを確信した。
なぜこんな話をするのか、俺には理由が2つある。
1つ、映画館を選んだ時点でエンディングが決まる場合があるから。
2つ、興味を持ったその瞬間からヒプノシスは始まっているからだ。
ヒプノシスマイクは政権争いラップ映画に見せかけた観客自身のあり方を映す鏡である。
この映画に登場する男性3人1組のラップチーム、通称ディビジョンはそれぞれに治めている都市がある。
それにプラス1組女性3人で構成される言の葉党というラップ政党があり、こちらは現在の与党である。
言の葉党対野党のトーナメント選挙(トーナメント選挙とはなんだ)を追う形でストーリーが進んでいく。
そんなことはどうでもいい。問題は俺たちがどのディビジョンにこの日本を任せるべきかということだけだ。
各ディビジョンは投票前に政権公約ラップを披露してくれる。ここから各ディビジョンの色を感じ取り、私たちはより良い未来に一票を投じることができる。
違う!そんなことが言いたいわけでもない。
映画公式サイトを見てほしい。映画館ごとに勝率データを見ることができる。これが、まさにこの部分がこの映画の本質である。
池袋、新宿、渋谷、横浜、愛知、大阪の映画館は9割がたその地域の名を冠したディビジョンが優勝している。
一方でそれらの地域外の野良ディビジョン映画館の勝率はかなり割れている。
映画館を選んだ時点でEDが決まる場合があるというのはこういうことだ。
前者の映画館では安定して特定のディビジョンの優勝を見ることができる。ただし、ここでは鑑賞者の意思は重要視されない。そこは彼らの統治する土地であり、アイデンティティであり、侵しがたい領域だからである。それでも鑑賞者は一縷の望みにかけて他のディビジョンに投票することができる。そうして勝ち得た1割の優勝たちはどれほど尊く、憎らしいものだろうか。
後者の映画館では常にひりついた一票の重さを感じることになる。鑑賞者が画面をタップするために与えられた時間はたったの10秒。その10秒の間に映像から得た様々な情報が脳内を駆け巡ることになる。もしもこちらが勝てば2曲目が聞ける、しかしあちらのディビジョンには勝ってほしい理由がある。そして映画が終わるとスマホに得票率が表示される。その数字が50に近ければ近いほど鑑賞者は自身の選択の有効性を実感することになる。
この非常にメタ的な面白さが本作の鑑賞を唯一無二の体験にしているではないだろうか。
本作の技術面にも少しだけ触れたい。
メタ的な面白さを除いた本作最大の魅力は非常に手の込んだ3DCGとそれを引き立てるための構図だろう。
昨今の3DCGは衣装替えが前提となっているものが多く、衣装と素体のアンバランスさが気になることがある。
しかし本作のラッパーたちは同じ衣装で日常からバトルまでこなしてしまうため、衣装込みでの細かい比率の調整がなされている。
関節部分に着目するとよりわかりやすい。腕を曲げた際の不自然なへこみや盛り上がり、それを布であるとした際に出るはずのない・あるはずの陰影への違和感が様々な角度の手法を持って排除されている。
2Dデザインからセルルック3DCGへの変換でいえばひとつの正解をたたき出しているかもしれない。つまり、イラストのイメージがそのまま3DCGになっている。これは非常に恐ろしい話である。
本当に欲を言えば、先鋒中堅のマイク起動演出も大将並みにしてほしかった。
さて冒頭の話に戻るが、私はより安定した勝利のために最終戦まで入れられる選択はヨコハマにいれた。
ほとんど予定調和のヨコハマ優勝であったが、会場全体が異様な一体感に包まれていて妙な迫力を感じた。
帰りの横浜駅で感想を交わしている時、友人は何でもないことのように今日は言の葉党に一票を投じたと言った。
盤石な勝利か、1割の希望か、はたまた全方位の闘争か。これを読むあなたは何を選ぶのだろうか。
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