型破りな教室
劇場公開日:2024年12月20日
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解説・あらすじ
犯罪と貧困が日常化した地域の小学校に赴任した教師が、型破りな授業で子どもたちを全国トップの成績に導いていく姿を、2011年のメキシコであった実話を基に映画化したドラマ。
アメリカとの国境近くにあるメキシコ・マタモロスの小学校。子どもたちは麻薬や殺人といった犯罪と隣りあわせの環境で育ち、教育設備は不足し、教員は意欲のない者ばかりで、学力は国内最底辺だった。6年生の半数以上が卒業を危ぶまれるなか、出産のため辞職した6年生の担任の代役として、マタモロス出身の教師フアレスが赴任してくる。子どもたちはフアレスのユニークで型破りな授業を通して探究する喜びを知り、それぞれの興味や才能を開花させていく。しかし、思わぬ悲劇が彼らを襲い……。
「コーダ あいのうた」の音楽教師役で注目を集めたエウヘニオ・デルベスが教師フアレスを演じた。2023年サンダンス映画祭にてフェスティバル・フェイバリット賞(映画祭観客賞)を受賞。
2023年製作/125分/PG12/メキシコ
原題または英題:Radical
配給:アットエンタテインメント
劇場公開日:2024年12月20日
スタッフ・キャスト
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映画評論
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「型破りな教室」は、2011年に米国境近くのメキシコのマタモロスを舞台に、落ちこぼれ小学校に赴任した教師と6年生23人の1年を綴った作品だ。WIRED 2013年10月号に掲載された「天才の世代を解き放つラディカルな方法」を基にした実話である。名優エウヘ...
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映画レビュー
4.0教師と子供らのダイナミズムが感動を呼ぶ
いわゆる学園モノの映画で一人の教師と数十人の子供たちが本気のドラマを奏でる時、そこにはある種の作り物の演技を超えた、特殊な熱量が立ち込めていくものだ。ある時は指揮者に導かれたオーケストラのように見えたり、またある時は大海へ向けて漕ぎ出す船のようにも見える本作。従来の教え方を180度転換させる変わり者の教師役をメキシコの名優デルベスが演じ、対する生徒たちも真剣かつ純真な瞳を輝かせ知の探究へと足を踏み出していく。その姿を見るだけでワクワクするほどのダイナミズムを感じる。治安最悪エリアに暮らす子供らにとって、知識や学びは成績を上げる手段ではなく、むしろ彼らが現状を改善し、負の連鎖から抜け出す羽根となるもの。なおかつそれは義務ではなく彼らの権利であり、知の欲求を満たすことは究極の喜びにも等しい。これは単なる熱血映画ではなく、学びの意義が子供らの体内で脈々と根を張り、宿っていく様を尊く描いた力作だ。
4.0「子供を国の歯車にする教育」との指摘に考えさせられる
紹介されているように実話に基づくドラマで、主人公の教師フアレスと、廃品回収業の父親を持ち数学の才能を発揮するパロマ・ノヨラは実在の人物。雑誌「WIRED」に掲載されたフアレスとパロマを取り上げる記事がきっかけになり、映画化の企画が立ち上がったという。哲学に興味を持ち図書館を訪れた生徒を哲学書コーナーに案内するスタッフの役で、パロマ・ノヨラ本人が出演している。
映画中盤、フアレスは校長先生とビールを飲みながら対話する場面で、メキシコの教育についてこんな指摘をする。学校は100年前から変わっていない。ベルを鳴らし制服を着せて、「静かに」「整列しろ」「手を挙げろ」を命じる。子供たちを国という機械を動かすただの歯車にする教育だ、と。
これは少なからず日本の教育にもあてはまる批判だと痛感した。もちろん戦前、戦中に比べて改善された部分も大いにあるだろうが、個性や自主性を伸ばすことより、型にはめて社会や組織のルールに従順な“常識人”に育てることを重視する傾向が根強く残っているように思う。自分の小学生の頃を振り返っても、「整列しろ」「手を挙げろ」と言われて何の疑問もわかなかったが、言われてみればそれも軍隊のように上の命令に下の者が従うというルールの刷り込みだったのかと、今さらのように気づかされた思いがした。
フアレス先生の理念が、教育や子育てに携わる多くの人に届くといいなと願う。
4.0自発的な探求心を養うことが重要
2011年にメキシコの小学校で起きた奇跡の実話を基に製作されたヒューマンドラマ。アインシュタインの名言「学習を妨げるものは教育」を学ぶことが出来る貴重な作品であり、型に嵌めた教育ではなく自発的な探求心を養うことが最も重要であることを学ぶことが出来ます。学校教育だけに留まらずあらゆる指導者にもオススメできる作品です。
2025-33
4.0日本では
失われてしまったものがここにはある。
観賞しながら胸が痛んだ。
最後には高揚するはずと期待していたが、痛みは消えなかった。
単に心ある教師が底辺の生徒をトップにする、
ある意味ドラゴン桜のようなものを想定していた自分を恥いるばかり。
過酷な環境下を懸命に生きる子供達の姿には涙が滲む。
天才少女は最終的に脚光を浴びたが、
哲学者を志した少女は赤ん坊の世話で断念せざるを得なかった。
高校無償化、経済的に恵まれない子供達にも平等に機会を。
今の日本の生徒たちに本当にその価値はあるのか。
学べることが当たり前であることがどれだけ幸せでありがたいことなのか、
日本では学生の時はわからないよね。
私の勤務する大学では就活に明け暮れるばかりで、
この映画に出てくる子供達のようなパッションのある学生はほぼ見かけない。
最も優秀なのは中国の一流大学から漏れた留学生だ。
私は間もなく消えゆく身だが、
日本の未来に暗澹たる気分で映画館を後にした。
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