
本書『ウンコノミクス』は、排泄物を単なる汚物ではなく、肥料・エネルギー・資源・安全保障を支える戦略物資として捉え直す一冊である。
循環を失った現代社会において、ウンコは日本がすでに大量に保有している“国産資源”だという視点が貫かれている。
日本人は1日あたり約200gのウンコを排出する。
これは米国(約150g)、英国(約100g)を大きく上回る。
本来なら「日本が世界に誇る資源量」であるにもかかわらず、現在は厄介なゴミとして扱われている。
肥料の三要素である窒素・リン酸・カリウムのうち、リンは特に偏在資源だ。
中国・ロシア・ベラルーシへの依存、そしてウクライナ危機により、リン不足は現実の脅威となった。
ウンコはこのリンを豊富に含む、極めて貴重な国内資源である。
世界はすでに肥料争奪戦に突入している。
リン鉱石は限られた国に集中しており、輸入依存の日本は極めて脆弱だ。
著者は、都市に集まるウンコを「都市鉱山」として再評価すべきだと警鐘を鳴らす。
羽田空港の隣には、日本最大級の下水処理場が存在する。
そこでは膨大な排泄物が焼却・埋立処分されている。
この“火葬モデル”は、肥料・エネルギー資源を自ら捨てているに等しい。
江戸時代、日本では人糞は「金肥」と呼ばれ売買されていた。
現代でも適切な処理を行えば、ウンコは高品質な有機肥料になる。
化学肥料依存からの脱却は、決して非現実的ではない。
大阪万博の会場・夢洲は、下水汚泥やゴミを含む埋立地だ。
著者はこの事実を象徴的に示し、
「循環させずに埋める発想そのものが時代遅れだ」と批判する。
下水に含まれる栄養塩は海苔養殖を支え、
汚泥からは金属資源も回収できる。
場合によっては金鉱山以上の含有量を示す例すらある。
下水熱は、ビル空調・融雪・温室農業・発電・燃料へと活用可能だ。
これらを組み合わせれば、エネルギー安全保障にも直結する。
高度経済成長と都市化により、ウンコは「遠ざけるべきもの」になった。
その結果、かつて存在した肥料循環は完全に断絶された。
本書は、この循環を再構築する必要性を訴える。
日本は食料と飼料を大量輸入し、その栄養分を下水として排出している。
栄養収支が破綻したこの構造を変えなければ、真の食料安全保障は成立しない。
ウンコは肥料・エネルギー・環境・地方創生をつなぐ鍵である。
心理的ハードルを超えた先にこそ、先行者利益がある。
ウンコノミクスは、日本経済の意外な切り札になり得る。
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本書で描かれるトランプ像は、単なるポピュリストではなく、
ウォール街・国際企業・グローバルエリートに挑戦した“異端の大統領”である。
この対立こそが、すべての政策衝突の中心にあった。
ウォール街や多国籍企業は、特定国家に属さない“地球国籍プレイヤー”。
安い労働力・税制優遇・規制の緩い国に自由に移動し、
国家主権としばしば衝突する。
トランプは巨大資本に奪われた国家主権を取り戻そうとした。
製造業回帰、移民制限、国境強化——
いずれもグローバル資本の利益とは真逆の方向だった。
主要メディアは巨大資本の影響下にあり、
トランプはその価値観に沿わない存在だった。
メディア vs国家主義という構図で、徹底攻撃が続いた。
巨大金融資本は中国市場で莫大な利益を得ていた。
そのため、
- 中国依存構造の崩壊
- トランプの関税政策
は彼らにとって“脅威”だった。
ウォール街の論理は「利益最大化」。
製造業は海外へ移り、中間層は職を失った。
この“置き去り層”がラストベルトのトランプ支持を形成した。
FRBは独立機関だが、巨大金融資本と深く結びつく。
利上げ・金融政策を巡ってトランプと度々衝突した背景には、
政治的攻防が隠れていたと本書は指摘する。
官僚・軍産複合体・諜報機関・金融資本。
これらの複合体がアメリカ政治を支配する“影の政府”。
トランプはここにも敵を作った。
今の世界政治はこの二項対立が中心。
移民、産業政策、金融規制などすべてがこの軸で説明できる。
トランプ現象はその象徴である。
関税・規制緩和・減税など、トランプ政策は一貫して
「国家の富を国民に戻す」方向で実行された。
自由貿易を好む金融資本とは完全に対立した。
WTO・IMF・世界銀行などの国際機関は中立ではない。
巨大資本の価値観と利益に沿ったルールを作る装置である。
トランプはこの構造そのものに反旗を翻した。
ブレグジット、黄色いベスト運動、保守政党の躍進。
いずれもエリート主導の金融資本への“民衆の反抗”。
アメリカだけの現象ではない。
ロシア疑惑、弾劾裁判、選挙戦での集中攻撃。
本書は、その背後に巨大金融資本の意向があったと論じる。
彼らはトランプのナショナリズムを脅威と見なしていた。
日本の政策・経済論調・メディアもグローバル金融資本の影響を強く受ける。
国家主権をどう守るかは、日本にとっても避けられないテーマ。
結局、両者の対立は
「国家を優先するか」「資本を優先するか」
という価値観の衝突だった。
世界はこの分岐点に立っている。
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大谷翔平・藤井聡太・井上尚弥。
彼らの共通点は「ストイック × 柔軟」という独自の姿勢。
厳しさとゆるさを同時に持つ——これが現代の最適解だと著者は説く。
格差拡大はもはや不可避。
先進国の中流が消える時代では、他者依存ではなく自己管理能力が必須となる。
古い価値観を抱えたままでは、新しい視点は入らない。
“忘却”こそがアップデートの第一歩である。
「努力は報われる」という時代は終わった。
産業革命以降の幻想に縛られず、現実を正しく捉える必要がある。
リスクゼロを待つ姿勢は機会損失になるだけ。
現代のリスク管理は、小さく分散しながら試行回数を増やすこと。
人間は不完全な情報で判断するしかない。
「自分とは環境との共同作品」という視点で、外部環境との相互作用を重視する。
成功者を分けるのは努力や才能ではなく、
“偶然を引き当てる機会の多さ”である。
独自性に集中し、それ以外は既存の基盤に“タダ乗り”する。
本当に伸ばすべき領域だけストイックに。
人はロジック以上にストーリーに惹かれる生き物。
物語が生まれればブランドに変わり、成果が成果を呼ぶ。
デジタル世界には時間・空間の制約がない。
「好き × 得意」を軸にニッチを掘り続けることが最強戦略。
自己理解 → 没頭 → 変化
この3軸の循環が、自分らしい方向性をつくる。
昭和のボーナスタイムが終わっただけで、
“今が本来の姿”。
わからないものはわからないと認める謙虚さが重要。
運がいい人は例外なく「試行回数が多い」。
分類すると以下の3タイプに分かれる。
複数コミュニティに属し、依存先を分散する。
柔軟に方向転換することが現代の勝ち筋。
35歳を境に新しいチャンスが減っていく。
意志よりも「習慣の力」を味方につける必要がある。
新しい挑戦や日々のルーティンは理性で、
一瞬の判断は直観で。
適材適所で思考を使い分ける。
ゆるさは怠惰ではなく“しなやかさ”。
硬直した姿勢こそ最大のリスク。
技術は社会構造を瞬時に変える。
新技術に触れ続けること自体が“生存戦略”になる。
他者の意見にはゆるく、自分の目標にはストイックに。
SNS時代ほど、このバランスが重要。
オールドメディアとSNSが拮抗する今、
正解/不正解の二元論ではなく、
「どう適応するか」という視点が求められる。
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国家債務、人口動態、地政学リスク、グローバル化の歪み。
これらが同時に動き、世界は「戦後最大の構造転換期」に突入している。
巨額の債務、社会分断、ドルの弱体化。
ロジャーズは「衰退は何十年も続く」と予測する。
人口・教育・製造・インフラの全領域で成長力が突出。
長期で見れば次の主役は中国だと断言。
債務と人口減の弱点がある一方、
技術力・治安・資本蓄積は依然世界トップクラス。
大暴落後に日本株は絶好の買い場になると読む。
米中対立、台湾問題、ロシア、中東不安。
覇権移行期には衝突が起きるという歴史法則が働いている。
ロジャーズの核心的主張。
人口増・気候変動・供給不安のなか、農業は最重要産業へ。
農地・肥料・水・農業テックが長期テーマになる。
大規模な金融緩和の結果、
世界の通貨は価値下落のトレンドへ。
ドルといえど永遠ではない。
歴史的大混乱期の王道ヘッジ。
特に銀は割安で伸びしろが大きい。
混乱は破壊ではなく「誕生の前兆」。
新産業・新技術・新富の流れが若い世代に大きなチャンスをもたらす。
金利上昇と信用収縮により、
過度なレバレッジ投資は危険に。
これからはキャッシュ・実物・生産資産の時代。
暗記中心の教育は時代遅れ。
必要なのは「投資・歴史・心理・言語・数字」という実践的教養。
「最強の教育は旅である」
世界を知れば、固定観念が壊れ、チャンスの見え方が変わる。
歴史の必然として、暴落は避けられない。
だが恐怖こそ最大の買い場である。
国家は税金・インフレ・政策失敗の負担を国民に転嫁する。
ゆえに“個が自衛する投資力”が必須。
結論:
「世界は変化する。その変化こそ最大のチャンスである」
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AIは中立ではなく、社会に残る偏見やバイアスを学習してしまう。
例:- 管理職は男性が多い
- 看護師は女性が多い
- 職業・地域・年齢に基づく偏見の再生産
AI社会実装の最大の課題は、こうした“偏見の継承”をどう抑えるかにある。
安全のための監視はどこまで許されるのか。
「パノプティコン」は、見えない監視者の存在によって人々の行動を制御する仕組み。
日本文化にある「お天道様が見ている」も同じ構造といえる。
監視は秩序と引き換えに自由を奪う。
現代社会で避けられない重要テーマである。
不正を行う可能性のある人間より、AIが政治を担うほうが良いのではないか。
・2022年:デンマークにAIが政策立案する政党が誕生
・日本でも政治団体が意思決定をAIに委ね始めている
AI政治は公平性をもたらすが、民主主義や責任の所在はどうなるのか。
AIに功利主義(最大多数の最大幸福)を組み込むと、合理的な政治が実現する可能性がある。
しかし課題は深い:- 8割の幸福のために2割を犠牲にする判断は許されるのか?- 「幸福の基準」を誰が決めるのか?
答えのない問いが、AI時代に再び突きつけられる。
AIが誤作動を起こした場合、誰が責任を負うのか?
正しい答えはまだ存在しない。
哲学・倫理・法律の三面から議論が続く最重要の社会課題である。
AIは膨大なデータに基づいて“最適解”を提示するが、それはあくまで統計的な答えにすぎない。
人間の生き方そのものを揺るがす深い問いである。
脳か?
心か?
記憶か?
それとも意識か?
「自分とは何か」という哲学的問いが、
BMI(脳×コンピュータ接続技術)によって現実の問題として迫りつつある。
脳から記憶を抽出できる未来が来たとき:
これらは全て、AI・脳科学の進化とともに避けて通れない倫理領域である。
Newtonでは、次の質問も深掘りされている。
正解のない問いを、社会全体で考え続ける必要がある。
Newton 2025年12月号は、AI倫理・哲学・政治・監視社会といった
“答えのない問題”に思考のきっかけを与えてくれる一冊。
現代のAI社会で最も重要なのは
「議論し続けること」「修正し続けること」
であると深く実感できる。
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デジタルコンピュータ誕生からわずか80年。
GPT-4を“アメーバ”とするなら、未来のAIは“ティラノサウルス”になるレベルの進化を遂げる。
著者は、今のAI時代はまだ“序章”だと強調する。
データバンクに膨大な情報を持つ企業は、銀行以上に強力になる。
価値は金銭からデータへ移行し、金銭課税しか知らない税制は近い将来に限界を迎える。
取引の多くは、すでに金ではなくデータで動いている。
ナイフは殺人にも手術にも料理にも使える。
テクノロジーも同じで、道具が善悪を決めるのではない。
選択するのは常に人間であるという重要な視点を提示する。
「脳にチップを埋める」より、
すでにスマホが最強の監視ツールであると指摘。
視聴履歴・時間・嗜好がすべてリアルタイムで把握されている。
人は監視社会に“すでに慣れさせられている”。
歴史上多くの争いは「内集団」と「外集団」の区別が根にある。
内集団の殺害だけが“殺人”となり、外集団に対しては正当化される。
争いの根は価値観よりアイデンティティにある。
AIは人類史上もっとも有益な機械になる可能性があるが、
反対派の懸念も歴史的には正当。
新技術は社会混乱を招きやすく、民主主義が揺らぐリスクを著者は警告する。
技術は本質的に悪ではないが、人間が賢く使えるようになるまで時間がかかる。
二つの世界大戦や零戦開発など、工業化社会の構築にも巨大な犠牲が伴った。
民主社会は「情報集中」を絶対に許してはならない。
警察・企業・上司などが市民のすべてを知る状態は危険であり、
自由を守る唯一の方法は分散化 だと著者は断言する。
もし国家や企業が市民を監視するなら、
市民もまた企業・政府の行動を監視できる仕組みが必要。
監視は常に「相互性」でなければならない。
2050年までに“すべての仕事がAIに奪われる”可能性は極めて低い。
歴史的にも農民→工場→サービス業→デジタル職へと、
仕事は常に増え続けている。
ブロガーやバーチャル空間デザイナーのような
“30年前に存在しなかった仕事”が大量に生まれる。
独裁政権は優れたAIをも恐れる。
なぜなら、独裁者自身より強く制御できない存在を生むからである。
一方アメリカのような分散型民主主義では、
アルゴリズムが権力を独占することは難しい。
私たちが“自然で恒久的だ”と思っているものは、
すべて人間の産物であり可変である。
著者は最後にこう述べる。
歴史で唯一不変なのは、変化し続けるという事実である。
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今年一番“学びが濃い”と感じた一冊。富裕層の思考と実装法を、構造から行動レベルまで一気通貫で解説。
オルカン/S&P500は中流の資産形成の最適解。だが新富裕層はより高いリターン×コントロール性を求め、能動運用と構造設計へ踏み込む。平均点では“強者のゲーム”に勝てないからだ。
積立・分散は形成期の土台。形成を終えたら、リスクを取りに行く運用期へモード切替。ここでは“待つ”より取りに行くが求められる。
価格当てではなく制度・資本政策・CF(キャッシュフロー)を読む。法人・SPC・優先劣後・担保・税制を設計し、資本の流れの上流に立つのが新富裕層の定石。
広すぎる分散=上位数%の超過リターンを取り逃す構造。新富裕層は集中×規律で“偏差値80”ゾーンを狙う。平均は安心だが、富は生まれにくい。
複利は強力だが元本が小さいと時間がかかる。
加速の鍵:
-レバレッジ(安全域を明確化)
-キャッシュフロー投資(回転数を上げる)
-事業(利益率と裁量の源泉)
待機ではなく機会資金。暴落・流動性危機で一括投入できるポジションを常備。現金管理はディールを獲るための前哨戦。
未上場株・不動産開発・プライベートディールなど非公開情報の世界で差がつく。情報に対価を払う姿勢が、超過リターンの始点。
節税は“悪”ではなく制度の理解。
-法人化/損益通算/繰越控除
-減価償却・金利控除
-国際分散と通貨建て
最適化は年率数%の上積みに匹敵。
基軸通貨は交代する(ダリオ的サイクル)。ドル一強の終焉可能性を前提に、外貨建て資産・実物資産・多国通貨のバランスを設計。
担保×融資×節税×賃料CFで多層利益を取りに行く。
留意点:金利上昇・DSCR・修繕Capex・空室感応度。金融機関を味方につける交渉力が勝敗を決める。
人(誰がやるか)と国(政策・通貨・人口動態)の両軸で当たり前を組む。トップの資本配分力・規制の追い風・移民政策・若年人口が長期勝者を決める。
海外PBなら有価証券担保でLTV 70–90%の与信が一般的(手数料は日系より低水準のことが多い)。EAM(独立系資産アドバイザー)は顧客利益優先で条件を取りに行く“交渉装置”。
資産保全視点/やらないことリスト/健康投資/8時間睡眠/CF重視/固定費刈込/ポモドーロ集中/小口過剰分散NG/環境を変える/誰かのために使う——など、行動習慣が設計を支える。
居住・拠点の選択は税制・通貨・機会を同時に動かす。若いうちから移動オプションを持つことで、選べる日本にできる。
株を発行する側(企業・ファンド・SPC)に回る。所有=富の本質。配当・利息・家賃・手数料——キャッシュフローが自動で流れる回路を設計する。
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SFが描く「脳の未来」は、どこまで現実になるのか。
科学とフィクションの間にある“脳のリアル”を、最新の神経科学から検証する。
SF脳=脳のコピー・意識の転写・身体なき思考といった未来像。
リアル脳=身体・感覚・神経系と不可分な生体機構。
著者は、SFが前提とする「脳だけで自立できる存在」への幻想を科学的に検証する。
「脳は身体なしでは、ただの沈黙する臓器である。」
義肢や機械補助技術は進歩しているが、
完全な「超人化」には至らない。
- 神経信号の遅延
- エネルギー供給の制約
- 生体との適応・拒絶反応
技術が可能でも、脳の制御体系が追いつかない現実を描く。
脳‐コンピュータ・インターフェース(BCI)は現実化しつつあるが、
ノイズ・劣化・長期安定性など課題は多い。
脳と電子回路の「言語」が根本的に違う。
完全な融合には構造と信号の両面を接続する新概念が必要。
意識は単なる情報処理ではなく、
身体・感覚・自己同一性の総合体。
データをコピーしても、“自分”は生まれない。
感情や主観は、身体との相互作用によって維持される。
冬眠=代謝抑制・神経保護・再覚醒の制御を要する複雑な状態。
現代科学では部分的成功に留まり、
長期安全冬眠は未解決の夢。
低温による細胞損傷や再覚醒時のリスクが課題。
記憶は脳内のシナプス結合と化学変化のネットワークで成り立つ。
断片的操作では人格の整合性を保てない。
「記憶編集」は一部の恐怖記憶抑制など限定的分野でのみ可能。
記憶を変えるとは、“自分を変える”ことに等しい。
時間は脳が構築する「知覚モデル」であり、
外的時間とは異なる。
SFのような時間逆行や停止は神経構造上成立しにくい。
脳は常に過去の記憶と未来予測を行い、
「今」という連続性を作り出している。
「脳の10%しか使っていない」は都市伝説。
実際にはほぼ全領域が常に活動中。
未知能力よりも、既知の限界を知ることが真の知性への道。
睡眠は記憶定着・代謝回復・神経リセットを担う。
睡眠を排除すれば脳は情報過負荷で自己崩壊する。
完全覚醒型の脳は理論的にも実現困難。
「眠ること」は生命システムの根幹である。
AIが人格や感情を持つには、
物理的身体・感覚入力・フィードバック系が必要。
「心」は単なる情報処理ではなく、身体性を前提とする現象。
人間とAIの差はここにある。
脳は孤立して存在しない。
感覚・運動・内臓・ホルモンなど全身ネットワークが
「意識」という現象を支えている。
「身体なき脳」はSFの産物であり、
「身体とともにある脳」こそ現実の奇跡。
『攻殻機動隊』『TENET』『LUCY』『2001年宇宙の旅』などを題材に、
物語の仮説を科学的に検証。
読者は“SFを現実の視点で読み直す”体験を得る。
SF的想像を否定するのではなく、
その制約を理解した上で現実的な未来像を描く力が重要。
「夢想」と「科学」のバランスが、
人類の技術進化を支えるエネルギーになる。
「不可能を夢見ること」と「現実を知ること」——
その両方を楽しむのが、真の“SF脳”である。
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政治=難しい話ではない。
- 生徒会=国会
- 部活の予算=税金
- 校則=法律
身近な学校生活に置き換えることで、政治を「自分ごと」として理解できる。
「ルールを作る人」と「従う人」を分けて考えることが政治の第一歩。
民主主義の本質は、暴力ではなく選挙によって国を変えられること。
選挙は「話し合いによる革命」であり、一票は自分の未来を変える道具だ。
無関心=「他人任せで不満だけ言う」状態だと著者は警鐘を鳴らす。
「1票で何も変わらない」と思うかもしれないが、
政治家にとって投票率の高い層こそ“無視できない存在”。
投票に行くだけで、政治家の行動を変える圧力になる。
インターネット投票が進まないのは、
「既得権を守りたい政治家」が無党派層の動員を恐れているため。
政治改革の最大の敵は「変化を嫌う構造」そのものである。
日本では国民が首相を直接選べない。
それは、国会議員が自らの権限を守るために作った制度設計だからだ。
“国民が選ぶ政治”を実現するには、制度自体の見直しが必要だと説く。
学校という縮図で政治を学ぶことができる。
校則=法律、生徒会予算=国家予算と考えれば、政治の仕組みが一気に身近になる。
「理不尽な校則を変える」力こそ、民主主義の訓練である。
高齢者の投票率が高く、若者が選挙に行かない構造は、
「将来世代が損をする政治」を生む。
著者は「若者の沈黙は最大の政治力の放棄」だと訴える。
政治家は公費で優遇され、報酬や特権を持つ。
だからこそ、政治家を監視するのは有権者の責任である。
「自分たちが払った税金がどう使われているか」を確認すべきだ。
特定政党に属さない「無党派層」の存在が、
政治のバランスを保つ。
無党派層が投票しないと、政治は一部の声に支配される。
選挙権は“行使して初めて意味を持つ権利”。
何もせずに不満を言うのは、未来を他人に預ける行為。
「政治はあなたの生活そのもの」だと著者は断言する。
組織にルールがあり、人が集まれば必ず政治が生まれる。
政治を理解することは、社会で生き抜く力を養うことでもある。
校則や組織の規則も、「理不尽なら変えていい」。
「気づく → 議論 → 提案」こそが民主主義の根幹。
著者は「行動する知性」を持てと呼びかける。
自分の住む地域、学校、会社の仕組みを観察せよ。
「なぜこの制度なのか?」と疑問を持つことが社会参画の第一歩になる。
ニュースやSNSの情報をただ信じるのではなく、
「誰が得をするのか」「なぜ今この政策か」と問い直す。
問いを立てる思考力が、民主主義の免疫力をつくる。
政治とは「ルールを自分たちで変えられる仕組み」。
13歳からでも、今すぐ始められる社会参画の教科書。
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今月号も圧巻の内容。人間の身体という“超高性能システム”を、臓器レベルから精密に分解して解説。読むだけで自分の身体が愛おしくなる一冊。
Newton2025年11月号は、
「人体=自然の縮図」を見事に描いた号。
心臓、骨、腎臓から土壌まで、
すべてが生命の連鎖として機能していることを体感できる。
科学がここまで“美しい”と感じられる一冊。
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