かめんのりだー
「やめろジョッカー!ぶっとばすぞぉ~」
仮面ノリダー・木梨猛は改造人間である。
彼を改造したジョッカーは、世界征服を狙う悪の秘密結社である。
世界平和を守るため、仮面ノリダーは戦うのだ!!
バラエティ番組・とんねるずのみなさんのおかげです内で放送されたコーナードラマ。
その名の通り、『仮面ライダー』のパロディコントである。子供達を中心に人気を博し、当時社会現象にまでなった。ライダーへのリスペクトや小ネタが随所にあり、その高いクオリティから今なお根強い人気を誇る。
言い換えると、仮面ライダーへの憧れと金と手間と人員を惜しみなくかけた大掛かりな大人の仮面ライダーごっこである。
ライダー直撃世代のとんねるずを含め、番組スタッフも仮面ライダーを見て育った世代がやはり多かったらしい。
本家仮面ライダーにおいて現在見ればツッコミ所ある部分を誇張してコメディに昇華させた、といった方が近いか。
実際に特撮形式のほぼ毎週かつ大掛かりのパロディであり、現在のバラエティ製作現場の台所事情を考えても毎週のようにやるのは現在ではほぼ困難といわれている。実際に特撮番組並の費用が(しかも費用をシステマティックに管理していた元ネタ側ではなく、職人がノリと勢いで金をブッ込んでいた時代の光の国のレベルで)かかっていたらしい。
しかもこの手のパロディコントとしては結構時間も長く、最低でも12~3分とAパート分はあり、話次第では20分超のほぼ本家1話分と同じ長さの回すらあったほど。
ノリダー役の木梨憲武に対して「日本一の着ぐるみ師」を自称した石橋貴明はノリダーV2の頃には既に毎週のように動きにくい着ぐるみを着て動き回るのは「重くて暑くて死にそう…」と非常に辛い状態だったという。
特撮によくある爆破シーンも至る所に仕掛けられ、本家顔負けの迫力であった。これについては、当番組のプロデューサー兼チーフディレクターであった港浩一が爆破シーン用の火薬を適当な目分量で仕掛けており、想像以上の大きな爆発が繰り返されていたことが、とんねるずの2人から後日談として暴露されている。
ノリダーV2の頃には木梨と石橋のモチベーション低下とマンネリ、スケジュールの関係もあった為、V2はノリダーに比べ短命に終わった(いわば打ち切り的オチで終了)。
仮面ライダーアマゾンのパロディである「仮面ノリダーガンジス」の制作計画もあったらしいがこちらも制作されることなくお蔵入りになった(但し、V2終了後もノリダーが生きていたことが判明したことで特別編である「恐怖ゴキブリ男」の回、真の最終回である「最後の決戦」が製作された)。
バラエティ番組におけるパロディ特撮の先駆けであったが、制作費用の関係でノリダー程の大掛かりなものは少ない。
「びぃ~や~おう!」
世界平和のためにジョッカーと戦う正義のヒーロー。28歳。動物&植物大好き。血の色は緑。
戦闘員相手には「ノリダーカーニバル&フェスティバル」という全体攻撃を使い、怪人相手には必殺のキックやヘッドバットを決めるのがお約束。
ちなみに、80年代or「完結編」は「旧2号」風、90年代は「新1号」風のコスチューム。
「すーパーNORIだー ぼんよよよ~ん」
放浪の旅で修行、その成果でパワーアップした姿。金色。5万馬力!
おやっさん。歴代仮面ライダー達を支援したおやっさんと同一人物。
「最後の聖戦」では既に小林はこの世を去っていた為に遺影と過去のアーカイブで出演していた。
ちなみに、1度だけ、『ウルトラマン』のムラマツキャップもやった(但し、初回では普通にパロディをやってくれた)。
木梨猛の恋人。喫茶アミーゴでバイトをしている女子大生で他にも孤児院である「ちびっ子ハウス」で先生をやっている。
行く先々でジョッカーやゲロジョッカーの作戦に巻き込まれる(特に初期は頻繁に攫われていた)。
孤児院ちびっこハウスにいる少年。猛の親友だが生意気。V2では一回のみゲスト出演した。
孤児院ちびっこハウスにいる双子の姉妹。カップラーメン男の回で多忙の父親がいることが明かされてる。「最後の決戦」では成長した姿で登場し、猛の経営するアミーゴのバイトをしていた。
何気に『ガオレンジャー』でも共演していたりする。
ノリダーをサポートする小さい仮面ノリダー。ウルトラセブンのカプセル怪獣に近い。
「おならじゃないのよ、おならじゃないのよ、空気が入っただけなのー。」
後述の完結編では、13歳の姿で登場するが成長しすぎてスーツのサイズが合っていなかった(ラッコ男演じる石橋から「ちょっとデカすぎねえか?」と言われ、憲武からも「サイズが合っていない」と言われてしまった。
ちなみに伊藤本人曰く、チビノリダーを演じていたころのことはあまり覚えていないらしいが顔面にバンとやられていたことは覚えていたらしく、「引っかからん」と対応して二人に成長を褒められていた。
ファンファン大佐指揮の下、世界征服を実行に移す悪の改造人間。
○○の中には改造のモチーフ名が入る(ラッコ男など)。
そのモチーフは動物・植物の有機物や無機物・果ては行事など多岐に渡る。
ジョッカー幹部。5番アイアンを愛用している。
最終回で実は洗脳されていたことが判明し、ジョッカー壊滅後は何処かへ姿を消した。
しかし、完結編では記憶が戻ったのか、復活したラッコ男を中心に再生怪人軍団を作ろうとするがノリダーに野望を阻止され、世界征服を諦めた(その際、アイアンも放棄している)。
ジョッカー総帥かつ、最強の恐怖○○男。続編『V2』では生き延びていたが、ノリダーも生きていた。
いわゆる戦闘員。
多彩なバリエーションで綺麗にやられてくれるが「ノリダー海」だけはやめてほしいと思っている(実際に溺れたらしい)。
実は若き日の坂本浩一監督もジョッカーのみなさんだった。
木梨猛がことあるごとに水をやるもんだから凄く育った。「植物よ、でっかくなーれ!」
ジョッカー秘密訓練基地で猛の同僚で親友だった男、石橋文字隼人が改造された怪人。
戦いの後は、修理されアミーゴに置かれる。
―仔馬
うま男(うま女)から生まれた仔馬。ノリダーに引き取られたのちにアミーゴで飼われる。
本名、アラシ・ダイスケ。台風の目男を作ったらしく、ノリダー打倒のために手を貸すがムラマツキャップとなったおやっさんの拳で目を覚ます。
本物。突如ノリダーの世界に現れた明らかに世界観の異なる雰囲気の怖いアゴ、いや男。
帝都破壊を目論んでいる様子。
こちらも本家ライダーと同じ、ツッコミを入れる場面もあった。実は本編にも一回出た(すぐに猛に突っ込まれたが)。
「ノリダーは本当に死んじゃったの?」(目黒区6才男子)
「もうノリダーは帰って来ないんですか?子供に聞かれて困っています」(横浜市31歳主婦)
全国からの熱いアンコールに応えて、愛のドラマがよみがえる…
キングジョッカーとの戦いの末に消息を絶ってしまった仮面ノリダー1号の代わりにゲロジョッカーの野望に立ち向かう正義のヒーロー。
V2コンパクトで「だーいじょーV!」と掛け声で仮面ノリダーV2に変身し、本家『仮面ライダーV3』と同様、26の秘密が存在するも、コント打ち切りにより最後まで26の秘密が全て明かされる事はなかった。背負っているギターにはノリダー刀が装備されている。愛用するバイクはノリダーV2サイクロン。
最終回では、帝京蜂男に対してお花畑爆弾を仕掛けるが脱出に失敗して爆死してしまった。
ジョッカー怪人よりも能力が高い怪人。
初期は本家、仮面ライダーV3と同様、機械合成怪人等がメインで占めていた。
終盤では旧ジョッカー怪人と同様の動物系の怪人のパターンに戻った。
キングジョッカーを救助したゲロジョッカーの最高司令官だったが、第7話で失敗続きのため戦闘員に降格された。最終話で誤ってゲロジョッカー基地の自爆を押してしまい、爆死した。
V2第1話に登場したゲロジョッカーの大佐で、猩猩右近をノックアウトさせた。デモンバズーカを開発し、ノリダーV2を倒そうとした。第2話以降では登場しておらず、その後の彼の消息は不明。
演者の関係上、普段は英語で会話をしている(そのため彼の会話シーンには対訳テロップが表示される)。但し一度だけ「何カ文句アルノカ?」と日本語で会話するシーンがあった。
V2第2話に登場。ゲロジョッカーが開発したマリナのロボットで、一文字マモルを毒薬入りのビールで抹殺させようとしたが、本物のマリナが現れた上に一文字マモルにニセモノだとバレてしまい、その後の消息は不明。本物と比べて横暴でおやっさんを呼び捨てした。
ジョッカーのみなさんと同様の戦闘員だが、ヘルメットと黄色いタイツを着用。掛け声は「ゲロゲーロ!」
1992年7月30日に放送された夏休み回。正式なサブタイトルは「仮面ノリダー IN マウイ「キング・ジョッカーの息子 恐怖ヤシの実男 〜ハワイだマウイだワーイワーイの巻〜」。時系列はV2最終回の一年後でゲロジョッカー残党であるヤシの実男が登場する他、猛がマリナさんとおやっさんに再会するエピソードとなっている。
1993年11月4日に放送された特別編。サブタイトルは「恐怖ゴキブリ男 〜女ノリダー登場〜」。小林昭二が生前立花藤兵衛として最後に登場した回でレギュラーであったマリナさんの代わりに紺野美沙子が演じる石橋美沙子/女ノリダーが登場する。
1997年3月27日に放送された完結編。サブタイトルは「恐怖ラッコ男 〜よみがえる怪人達 ノリダー最後の決戦〜」。この時、立花藤兵衛役の小林昭二が亡くなっていたが回想シーンとして生前のシーンが流用され、クレジットにも記載されている。
V2の後日談に当たるがアミーゴの中が初期の物に戻っている。
火星から飛んできた隕石の落下により復活を遂げたラッコ男。時を同じく、舞い戻ってきたファンファン大佐の手によりジョッカーは再び再結成される。
その頃、木梨猛こと仮面ノリダーは亡くなったおやっさんの後を継いでアミーゴを経営していた。そんなアミーゴで働いていたマリナの下に高校の同級生であり元恋人である石倉健が訪れる。
しかし、彼女にやけにアプローチする石倉の様子に不審を感じた猛は調べてみたところ石倉は既に死亡していたことが発覚、更に感づいた直後に倒したはずのプードル男がジョッカーの皆さんを連れて襲い掛かってきた。
猛は急いで石倉とデートをしているマリナの下へと急ぐ。
小豆の売り買いが成功して外国で活動する青年実業家。マリナとは高校の同級生で恋人でもあり、仕事途中でアミーゴへ立ち寄ったところでマリナと再会する。実は本物は既に死亡しており、その正体はかつてノリダーに敗北したラッコ男。新たに得た力で秘かにカルガモ男、ウサギ男、プードル男と着々に復活させ怪人軍団を再結成しようとしていた。小泉今日子(すっぴん顔)の声援でノリダーをピンチに追い込むが、天からのおやっさんの激によって奮起したノリダーの「おやっさん急所ダイナマイト」によって敗れ去った。着ぐるみは新調で、オリジナルより顔が大きい。
ラッコ男によって復活した怪人。しかしカルガモ男以外は実は倒されていない。初登場時は全員石橋が演じていたが集結の際はお面で代用。ノリダーとの戦いでは石橋が全て声を充てていた。
チビノリダーの後にノリダーが召喚した分身。しかし、身長差がありすぎてラッコ男に突っ込まれた(「チビノリダーじゃないのか?」と言われた際にはノリダーが「似ているけど違う!」と否定した)。再生怪人たちを倒した後はノリダーに帰ってもいいと言われていたが素人の時から出たかったと本音を言い最後まで戦おうとするが高い場所に移動した直後に滑り落ちて爆発して見事に死んでしまった。
因みに岡村は自身が着用したノリダーのスーツを宝物として大事にしており、Twitterでもノリダーのメットを被っているところを投稿していた。
仮面ノリダーは東映および毎日放送(仮面ライダーシリーズの放映局)に対しては非公認である。
そして企画自体が東映・石森プロそのものに対して「無断」で始まったものであった。
現在「仮面ノリダー」は、とんねるずでもフジテレビでもなく、東映の登録商標となっている(2013年登録)。これ自体は「東映がノリダーで何かする」という事を目的とした類のものではなく、逆にこの頃に有名人による「ノリダー談義」が持ち出されるようになり出したので「東映と離れたところでノリダーを持ち出されないようにする(事ある毎にノリダーがメディアに出てくる事を抑制させる)」ための予防措置の向きが強かった。実際商標登録されるまではフジテレビでも過去の名シーンの一環でノリダーの映像は普通に使われていた。
そのため現在において当時の映像を放送で使用する場合は「協力 東映・石森プロ」のテロップが表記される。
一世を風靡した人気作ゆえにソフト化を望まれることが多いものの、メディア化に関しては上述したように元々が非公認スタートで、公式に対しては無断で始まった企画であった問題や、とんねるず自身の版権管理が厳しい、など諸々の事情があることから、ソフト販売(DVD・Blu-ray・オンデマンド配信、もちろんかつて主流だったVHSでも発売されていない)や有料チャンネル等での再放送は極めて難しいと言われている。
2018年、『おかげです』の映像を収録したDVDが初めて発売されるが、「仮面ノリダー」は版権が東映に移っているためやはり収録されていない。
石ノ森章太郎は「うちの息子が好きなんだよ」と、笑って許したと言われ、1989年のTVガイドの取材に応じた際にフジテレビのプロデューサーに「(いち視聴者として)楽しく見ている」旨を伝えたとコメントした(もともと石ノ森は自身が面白いと思えばセルフパロディも容赦なくブッ込み、それをメインにした作品も描き、さらにはファンの「ごっこ遊び」にも寛容な姿勢を持っていた)。
また昭和初期ライダープロデューサー平山亨もノリダーを笑って観ていたようである。平山Pのもうひとつの代表作東映不思議コメディシリーズでは以前から特撮ヒーローパロディが恒例だった。
一方で当時のライバル番組(?)である仮面ライダーBLACKシリーズを「作る側」であった東映プロデューサー陣、特に吉川進(スーパー戦隊、メタルヒーローシリーズの生みの親。ライダーはBLACK~Jまでを担当)は関連書籍、BLACK・RX超全集のインタビュー(同書p.103)にてさりげなくノリダーについて触れ、パロディに対しての批判を以下に述べている。
Q.ヒーローの作劇で大切にしていることは何ですか?
A.強さ、やさしさ、正義を愛する心を真剣に描くことがヒーロー番組には不可欠です。
そしてヒーローは「必ずどこかに絶対にいるんだ」そう感じるような存在でなければいけないのではないかと思います。そういう意味においては昨今のスーパーヒーローのギャグ・パロディ化はヒーローの否定につながります。それにより数多くのヒーローが消滅していったことを銘記すべきです。高倉健やクリント・イーストウッドと、『とんねるず』は同居できないのです。
と、ギャグである仮面ノリダーとはそもそもが相容れないものとして名指しで非難している(仮面ライダー大百科では「とんねるずがくだらないパロディばかりやるから、真面目に制作するのが馬鹿馬鹿しくなった」というコメントもあるという情報がある)。
実際、後述もするように当時の子供達からの人気は本当に凄まじく、その上無許可で始まり、予算の厳しさをネタにする作風まであったとなっては上述した東映(特に撮影や制作の現場に携わる者たち)の怒りも仕方ないと言えるだろう。
これだけ聞くと「人気があるならいいじゃないか」「本家が好きな人達が作った作品なのに、あまりにかわいそうではないか」と感じる方もいるかもしれないが、当時においては「ライダーは知らないけどノリダーは知ってる」という子供達や、オリジナルのシリアスな描写や、その時代(特撮技術の向上したのは、ビデオ合成技術の成熟した1980年代以降である)から見ると、決して高いとは言えない撮影技術などから「本家」であるはずの仮面ライダーに対して「笑いどころがない=質の悪い&つまんない作品」「仮面ノリダーの劣化、パロディ」ととらえてしまう(さらに、その「誤解に基づく不満」を深く考える事もなく直接、東映側へとぶつけてしまった浅慮な)子ども達もけっこういたようである。また、昭和ライダーの世界観の継続が不可能に陥った(正式な改造人間としての仮面ライダーはネオライダーが最後であり、昭和ライダーの括りに現在は入れられているが、新作であった当時は世界観の繋がりは明言されていなかった)結果的にとはいえ、当時としては深刻な風評被害を被っていたようだ。
またかつて(平成初~中期あたり)は特撮マニアの間でも、新作であり尚且つ攻めた作風の『仮面ライダーBLACKシリーズ』より初代をなぞらえたノリダーの方が好きだったという層も少なからず存在したらしく、各方面からお株を取られていたことは確かと言える。
ただし後述の余談の通り、無印『BLACK』放送中実はノリダーのコントは2度しか放送されていない(第1話から半年を経て『BLACK』最終回直前のタイミングで第2話以降が放送)ため、ノリダーの割を食ってしまったのはむしろ放送再開とほぼ同時期に始まった『RX』の方である。
そもそも1980年代の終わり~1990年代初頭当時、特撮のような子供向け番組は「ジャリ番」(「ジャリ」は子供の隠語)と呼ばれており、他の番組と比べて格下に見られていた。
例えば現在でこそ特撮出身の俳優が活躍し、ニチアサは若手俳優の登竜門的な存在としての地位を確立しているが、当時は「ジャリ番は所詮ジャリ番、1年やろうが俳優としての実績には入らない」と思われていたのである。
一方、とんねるずと言えば押しも押されもせぬお笑い界のビッグスターであり、『とんねるずのみなさんのおかげです』もバラエティ年間視聴率において6年連続トップの怪物番組であった。
つまり「圧倒的強者が、弱者をイジって笑いものにしている」と取れる構図でもあったのだ(もちろん、ノリダーの側には一切そういうつもりはなかっただろうが)。
現在では考えられないことだが、過去作の仮面ライダーの作風自体がこの時期は陳腐・時代遅れという認識も強く、その負のイメージが後代ライダーの足を引っ張っていた風潮が少なからずあったのも否定出来ない。事実、同じく東映のプロデューサーである白倉伸一郎は「90年代、仮面ライダーは古臭いと思われていたコンテンツで、東映から毎日放送さんに、もう一度ライダーをやりましょう、と何度もアプローチするもいい返事は得られなかった」と語っている。
さらに初代のメインライターだった伊上勝が、1980年代は同じようなシナリオしか書けないスランプに陥り、脚本家としては事実上の引退、そして酒浸りの生活の末に1991年に60歳の若さで亡くなった事例も一つの時代の終わりを象徴していた。『BLACK』シリーズが今までにない作風に挑戦していたのもこういった風潮への脱却が理由で、皮肉にも実父の考えに懐疑的だった息子の作風の方が後の平成ライダーの延命に貢献している結果を証明しまっている。
おまけにかつて(昭和期)は古臭く陳腐化されたコンテンツと認識されないと大っぴらなパロディーなどされなかった中で水を差すように現れた仮面ノリダーの存在は、この白倉の言葉を肯定する傍証だと指摘されており、当時の本家ライダーのコンテンツの「限界」、予想だにしなかった方向での「話題性」の両方の面から昭和ライダーの世界観の継続性に完全にとどめをさしてしまったと言えよう。
髙寺成紀も「10人ライダー登場も、RX後にライダーは製作しないという決定を受けてのものであった」と話しており、東映側にも後番組を制作するような動きはなかったとも述べている。その一方で、小林良平に次期ライダーに内定の連絡が行くなど、東映内部で統制と意見の統一が取れておらず、ごく一部のスタッフは当たり前のように、RXの放映中に後番組の制作準備に(独断で)取りかかっていたとも取れる(小林に内定の連絡が行ってしまった事への詫びとして、地球戦隊ファイブマンのキャストに選ばれたのでは?という憶測もあるが、令和を迎え、当時のスタッフに鬼籍入りする者が増え、小林も芸能界を離れて久しいため、確かめる術はない)
ノリダーの放映当時に本家の『仮面ライダーBLACK』及び『BLACK RX』の主演を務めた倉田てつをは、『ノリダー』側のオファーに「大好きだから出たい」とプロデューサーにまで懇願したものの、OKが出ず断念した、と後年のインタビューで語っている(東映サイド、殊に吉川は、倉田だけでなくフジテレビのこの行動に激昂したという)。実際に撮影現場では「ノリダー」の言葉は禁句だったとのこと。
『BLACK RX』の後、仮面ライダーのTVシリーズは再び終了となる。
当初は3部作の構想として企画予定されていたが、結局実現には至らなかった(『RX』の続編に小林良平が主役で内定だったとの話が残されており、小林本人も『RXの放映中に、次代の仮面ライダーへの内定の連絡を受けて、その準備をしていた』と述べているが、キャスティングを担当していた髙寺は記憶にないと語っている)。本家仮面ライダーシリーズは漫画やゲーム、OVAや映画で続いたものの、TVシリーズとしての再開は2000年にテレビ朝日系列に局を移して放送される仮面ライダークウガまで待つ事となる。
前述の吉川の発言記事から、『RX』の続編(昭和ライダーの世界観を明確に引き継ぐ物語)が作られなかったのはノリダーが直接の原因なのでは?という憶測、または当時の宮崎事件の影響という憶測等も立つが、これらは正式な情報ではない(元ネタは2chに現れた自称東映関係者の発言なので要注意。詳細はこちら)。
※作中で流れるBGMには重戦機エルガイムやArt of Noise等の楽曲も使用されている。実はV2ではRXの楽曲まで使われた事もある。
とんねるずとんねるずのみなさんのおかげです仮面ライダーパロディデュクシ
ウルトラマンゼアス…こちらでもパロディ編を称して木梨演じるゼアスが登場する。
かまへんライダー: 同じフジテレビのオレたちひょうきん族のコーナー。既に終焉に向かっていたひょうきん族末期であった事とノリダー人気が高かったせいで現在では知名度は物凄く低い。しかし、ノリダーとは逆にこちらは東映と石森プロの許諾を得ている。こちらはある意味ゴライダーを予言してしまったものに…。
仮面レンアイダー:スマスマで放送されていた龍騎モチーフのパロディコント。
仮面ライダーG:こちらはコーナードラマという共通点はあるが公式(石森プロ・テレビ朝日)による正規作。平成から令和に切り替わるころ公式に映画にも客演した。
改造人間哀歌:仮面ライダー2号をモチーフにした映画。ノリダーと同じく仮面ライダーの出演経験者が出演している。
ふなっしー:非公認の人気キャラという意味で立ち位置は同じである。
| (※) 以下「公式からのプレゼント」にまつわるネタバレ |
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ライダーを見て育ったとんねるず達が一時代を築きあげたパロディだったが、あくまでも非公認であり、知名度は高いにもかかわらず、「最後の聖戦」を最後に、平成時代の流れに埋もれてしまった。
誰しもがそう思っていた・・・。
しかし、誰もが思いもしなかった展開で、令和の世に帰ってきた・・・!
「ぶっとばすぞぉ!」
(……誰?)
(……仮面ライダー?)
「いや、俺は仮面ライダーと認められなかった、だからずーっとここにいる」
(俺と、同じ)
「……お前と一緒にするな!!」
(え……いや、でも、俺はたまたま選ばれた普通の高校生で……)
「それでも、選ばれた…仮面ライダーに選ばれたんだよ!! お前は……!!」
「選ばれなかった…選ばれなかった奴はごちゃまんといる!!」
「選ばれた者には、その責任があるんじゃないのか!?」
「今平成ライダーを背負っているのは…!お前だろうッ!」
In memory of a Legendary Kamen Hero
誰が想像しただろうか。
『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』に、木梨猛がまさかの逆輸入として復活を果たしたのである。
しかも、モブ役やカメオ出演等ではなく、物語のとても重要な役割を担っている。
仮面ライダーではない、仮面ノリダーだからこその彼の活躍に注目しよう。
そして、2020年4月28日、世界の危機に彼が帰ってきた…!
仮面ライダーゾンジス:直接的な関係はないが没となった続編の「仮面ノリダーガンジス」と名前が似ている。
仮面ライダーバールクス:捕らえた張本人。目的は不明だが、ファンの間では元ネタのブラックRXでTVシリーズを終了させた(という噂話)から、ノリダーはバールクスに特効を持っているのではないかという憶測が生まれている。



















