がんだむ
ガンダムは1979年に富野由悠季が制作した『機動戦士ガンダム』から創出されたIP(知的財産)であり、それを題材にして多種多様な媒体で展開されるメディアミックス作品群である。
中核となるのは映像作品と「ガンプラ」に代表されるトイホビーで、他にも専門雑誌「月刊ガンダムエース」や書籍、ゲーム作品、アミューズメントなど幅広く展開している。
ガンダムはシリーズ作品の主役機に冠される名前でもあり、デザインや設定、「ガンダムの定義」も作品によって異なっている。
2024年度のグループ内のIP売上高は年1,535億円。
2021年にはガンダムを世界的IPに成長させる「ガンダムプロジェクト」が始動し、年間売上高1500億円の到達(2024年度に達成)、海外販路の拡大、「SP」(ソーシャルプロパティ=社会的アイコン)への進化が図られている。
1979年に機動戦士ガンダムが放送されるも、当初の評判は芳しくなく、中学生前後向けの作風に対して低年齢層向けの商品展開を行うというスポンサーとの足並みの悪さもあって、視聴率・玩具ともに売上不振に陥る。結果、当時ではよくあった打ち切り(当時の見解、現代目線では放送短縮)が決定してしまう。
再放送後から口コミで広がり、主にアニメファンの間で絶大な人気を博す。この影響で放送から約2年後にTV版を再編集・強化した劇場版三部作が制作された。
この好評を受けて、ファーストの本放送から6年後に機動戦士Ζガンダムがスタートする。前作とは一変して今度はガンプラの売上に寄与した。それでも原価高騰のためスポンサーの期待値には及ばない売上ではあったものの、本作でシリーズコンテンツとしての価値を見出されたガンダムは本格的にシリーズ化し、放送直後に直接的続編となる機動戦士ガンダムΖΖが放送された。この2年連続してガンダムを放送できた意義は大きく、本格的にガンダムはサンライズを代表するロボットアニメとして成長し、ΖΖの放送中に逆襲のシャアの制作が決定するにまで至る。ΖΖの放送から2年後に逆シャアが公開され、ガンダムシリーズのコンテンツ力の高さを見せつけた。
1980年代中盤にテレビでのリアルロボットアニメブームが終わり、テレビアニメは子供・ファミリー向けにシフトしてきていた。逆シャア公開前に低年齢層向けのコンテンツとしてSDガンダムの展開がスタートするも、ここにきて「ガンダムはマニアウケは盤石だが子供ウケに弱い」という問題点が徐々に露呈してくる。同作がSDガンダムとの同時上映になったのも低年齢層の取り込みを狙ったものだが、少なくとも低年齢層を宇宙世紀シリーズのファンに仕立てることはできなくなっていた。
翌年、初の富野由悠季以外の人間が手掛けたOVA作品機動戦士ガンダム0080が製作され、クオリティの高い作画と、人気の高い一年戦争の外伝を描いた悲しいストーリーが話題となり、人気を博した。
ここにきて「1st世代は宇宙世紀のリアルガンダム」、「子供世代はSDガンダム」という形で顧客層が分かれていくようになっていたが、両取りを目指そうとした結果シリーズに歪な形で少しずつ暗雲をもたらすようになる。
続いて劇場版ガンダム10周年を記念した作品にして、TVシリーズ化を前提とした作品機動戦士ガンダムF91が公開される。このときも逆襲のシャアと同じく子供の流入を狙ってSDガンダムとの同時上映となったが、やはり子供を取り込むことには失敗し、F91のTVシリーズ化は頓挫。この頃並行して展開された機動戦士ガンダム0083の存在もあって、一気に「ガンダムは古参マニア向けのコンテンツ」という空気感が加速していく。
F91に代わって、登場人物を一新した新作TVシリーズ機動戦士Vガンダムが制作。これまでの経験から主人公を視聴層に近い年齢層にするという思い切った施策に出るも、監督である富野由悠季の精神状態も関係して、低年齢層とはかけ離れた悲壮感の強い作風となり、前作と同じ客層の構図となってしまう。さらにこの頃はサンライズの身売りの画策によって、シリーズは会社のゴタゴタにも巻き込まれることとなる。
Vガンダムで狙っていた低年齢層の取り込みに失敗したことでポルカガンダムの企画が頓挫。代わりに世界観を一新した機動武闘伝Gガンダムの企画が持ち上がる。富野由悠季の弟子筋に当たる今川泰宏を起用して挑んだものの、当初の暗めな作風やガンダムに対するイメージ、そしてこれまでのマニア層から総スカンを受けたことで大不振に陥る。しかし中盤から作品が波に乗ったことで、これまでのファンとは異なるマニア層と、念願となる低年齢層の取り込みに成功。以降、世界観を別にした作品が並行製作されるようになり、後にオルタナティブシリーズと呼ばれるようになる。
次回作では当時完全に総スカンを食らっていたマニア層へもアプローチするため、世界観を宇宙世紀もの寄りに戻した新機動戦記ガンダムWが放送開始。既存のファンの回帰をある程度促しつつ前作で培った新世代のファンをさらに拡大新たに多くの女性ファンも獲得するに至る。その一方でVガンダム以降から常に取り沙汰されてきた視聴率的問題が徐々に牙を剥くようになり、その次回作となる機動新世紀ガンダムXではテレビ局のお家騒動に巻き込まれ、ファースト以来となる打ち切り(同じく現在では放送短縮扱い)という憂き目にあってしまう。
『X』をもってガンダムのTVシリーズは一時休眠状態となり、この間に前作のその後を描いた続編OVA「EndlessWaltz」が製作されることとなる。この頃にはさらに宇宙世紀ファン向けのOVA・08小隊も製作されるなど、映像コンテンツとしてはシリーズでも屈指の盛り上がりを見せることとなる。
ガンダムシリーズの休止期間を挟んで、精神的問題から復活した富野由悠季が新作∀ガンダムを製作、別世界線と分かれていったガンダムシリーズを全てガンダムであると認識を統合させたうえで、富野作品らしいアニメとなる。ただし商品の売上には結びつかず、この頃から徐々に商業的な成績は緩やかに落ち込み始め、コンテンツ側は新たな施策を盛り込むこととなる。
TVシリーズは毎日放送に移り、「21世紀のスタンダード」をキャッコピーとした新作TVアニメ、機動戦士ガンダムSEEDが製作。宇宙世紀に世界観を寄せつつ、これまでとは趣の異なるハードながらカジュアルな作風から新規ファンに受け入れやすい作風となった本作は、シリーズ久々となる大ヒットを起こす。一方で平成仮面ライダーや平成ウルトラマンと比べると旧来のファンからの拒絶が強いものとなり、インターネット上でガンダムファン同士の対立が激化してしまう。
この間、海外向けに作ったSDガンダムシリーズ初のTVアニメ用作品SDガンダムフォースが放送開始。作品自体は好評で、初のフル3Dアニメであるなど意欲的試みがあったものの、当の海外では失敗し、日本でも全く人気を得られず作品の高い評価とは裏腹に商業面では類を見ない大きな失敗に終わり、SDガンダムシリーズ最大の凋落を物語る結果となった。これと同時期に、先のSEEDの続編「機動戦士ガンダムSEEDDESTINY」が放送開始し、視聴率を守った一方で、映像にあらわれるレベルの現場のゴタゴタが仇となってかプラモの売上は激減。劇場版の企画も持ち上がるも長い間音沙汰がなくなる。
機動戦士ガンダム00では新規ファンからも旧来のファンからも一定の人気も得る堅実な作品となり、F91以来となる完全新作劇場版作品が公開される。この頃からTVシリーズはオルタナティブシリーズが担う流れが完全に定番化した。
2000年代後半以降はロボットアニメが激減してしまったこともあり、ロボットアニメ難民の支持も集めて定期的に新作が作られる伝統芸能的に安定したコンテンツとなっている。
ガンダムはバンダイナムコグループの「事業」でもある。同グループではチーフガンダムオフィサー(CGO)というガンダム事業全体を統括する役職が2003年に創設され、2025年時点では4代目が在任中。
ガンダムプロジェクトでは「SP」化を促進する為に「作品軸」「ワールドワイド戦略軸」「GUDA軸」の展開が発表された。
また、美少女風の試作1号AI「メロウ・ネージュ」(性別未設定)をガンダムメタバースに投入予定。メロウはバンダイナムコ研究所のAI開発計画「プロジェクトメロウ」で開発された対話型AIキャラクターで、今後開発されるガンダムメタバースのAIキャラクターのルーツとされる。
その世界観から、おおまかに
の4つに分類される。
以下、それぞれ発表年順。
派生作品の数は数百に上り、個人では把握しきれないほど多い。ここでも記載漏れが多数あるため、wikipediaのシリーズ一覧記事やガンダム○○大全など外部サイトも合わせて参照されたし。
いわゆる「アナザーガンダム」(及び「ポスト宇宙世紀」など)。公式名称は「オルタナティブ作品」となる。
各世界観ごとに、メインとなるテレビアニメシリーズを中心に列挙する。



























