元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。
前回の放送では、番組翌日に大注目のエヌビディアの決算発表を控えるなか、短期のノイズや混乱に惑わされないため、ポールさんが重視する長期投資の話を改めて詳しく教えてもらった。
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番組は、今回からしばらくアシスタントを担当することになった新宮志保さんが、このところテック株を中心に下げているマーケットをどう見ているのか、ポールさんに質問するところから始まった。
最近の株安は、トランプ大統領の方針を受けてマクロ経済が不安になっていることが背景にあるとポールさん。
市場は、トランプ政権は株式市場を気にすると思っていたけれど、関税の引き上げだったり、過渡期にある米経済のリセッションの可能性を否定しなかったことで、びっくりしたようだ(※その後、トランプ大統領はリセッションに陥ると予想しないとコメントした)。
すると、番組MCの渡部一実さんが、トランプ政権はバラマキばかりのバイデン政権の膿を出して経済を変えていくと言っているけれど、なにをどう変えていきそうなのか、ポールさんに意見を仰いだ。
「トランプ政権とバイデン政権で違うのは、イーロン・マスクやデービッド・サックスなどテクノロジーの大物たちが要人になっていること」とポールさん。
そして、その人たちが確信しているのは、人間と同じか、それ以上の知能を持つAIであるAGI(Artificial General Intelligence、人口汎用知能)が、トランプ大統領の任期内に誕生することだという。
ソフトバンクの孫さんもこれについてよく語っているそうで、詳しくは後述するが、AGIによって私たちの社会や世界は大きく変わるようだ。
メディアはよく、トランプやイーロン・マスクが戦略なしで政策を進めていると報じるけれど、1人は大統領に再任した人物、もう1人は世界一のお金持ちである以上、戦略がないということは考えづらく、AGIの登場に対応する社会に変える準備をしているとポールさんは推測した。
これを受けて渡部さんが「AGIの登場に向けてアメリカの産業構造を転換しようという話ですか?」と確認すると、トランプ政権が絶対にそう考えているとは言えないものの、その方向性が周りの状況から見えてくるのだという。
例えば、AIができたことで、マイクロソフトやメタなどのテック企業はすでに、低レベルのプログラマーをクビにしているそう。
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一部のハイレベルなプログラマーや、AIとの違いが作れるプログラマーは、高給取りとして生き残れるけれど、競争相手がAIになるため、いずれ負けてしまう可能性が高いようだ。
一方、資本にとってAIの発展はいいことずくめだそう。というのも、給料が20万ドルのプログラマーをAIに置き換えると、AIは文句を言わず、コストが1万ドルで済み、健康保険も休みもいらないから。AIより優れたプログラマーが1人いたとしても、その下に10人のプログラマーを働かせるより、AIと組ませれば11人分の仕事できるため、資本は膨大なお金をAIに流してさらに大きく稼ぎ、プログラマーが稼ぎづらくなるという流れは変わらないようだ。
もっとも、アメリカの現状は、製造業がアジアにほとんど移転し、サービス産業や知的産業でお金を稼いでいる人が多い状態。
それなのに、AIの登場によってサービス産業や知的産業が稼ぎづらくなったら困るから、トランプ政権は関税をかけたり、構造を変化させることによって、製造業をアメリカ国内に戻したいというのが、目玉政策の1つのようだ。
バイデン政権でも補助金を出したりして製造業を国内に戻そうとしていたものの、トランプ政権は痛みを伴ってでも製造業の国内回帰を急いでいるように見えるとポールさん。これが正しいかはわからないし、リスクも高いかもしれないため、マーケットは下落しているのだという。
ここまで話を聞いてきた渡部さん。「AIやAGIが来るのが確実なら、テック株がいま落ちているときに拾うのはありなんじゃないでしょうか」と提案すると、ポールさんも「今日買って明日上がるわけではないけれど、1つのチャンスかもしれない」と同意した。
AGIの登場はインターネットや産業革命より大きく、最近100年のなかで一番大きな出来事になるとポールさんは確信している。
だから、サービス業や知的産業で稼げている今のうちに、下がっているテック株を買うのはチャンスだということだった。
最後はウクライナの話題に。
渡部さんがポールさんにウクライナ問題について質問すると、アメリカが従来の考え方を変えてきており、ここにもAIが一部関連しているとのことだった。
アメリカはこれまで、必ずと言っていいほどヨーロッパや日本と組んでいたけれど、国連で先日採決されたウクライナ戦争はロシアのせいだという決議案に、ロシアや北朝鮮と組んで反対したのは、昔では考えられないことで、今までの戦後秩序を破壊しているそう。
アメリカは石油生産が世界一か2番目で、AIなどでも世界をリードしており、諸外国に頼らなくてもよくなっているため、世界全体に対する見直しが起こっているようだ。
これには色々な示唆があり、アメリカ以外が地政学的に危うくなる可能性があるため、一番安全なアメリカが一番いい投資先になるし、本物のAIの銘柄はアメリカにしかないと結論付けた。
ここまで、3月11日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。また、動画配信も予定しているので、こちらも注目だ。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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