米国株市場は、2021年まで好調でした。米国株に投資する投資信託(米国株投信)ももちろん好調で、「とりあえずインデックス型の米国株投信を買っておけばいい」という、米国株投資に対してかなり楽観的な雰囲気がありました。しかし2022年に入ってから米国株市場は停滞、下落しています。となると、「これから米国株投信に投資しても大丈夫?」と不安に感じるのも無理のない話です。
今回は、「つみたてNISA」でこれから米国株投信に投資するのはありなのか、一緒に考えていきましょう。
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米国株市場は、2022年に入って以降、急激に停滞しています。その様子を、株価指数の推移から確認してみましょう。以下のグラフは、
■NASDAQ100
ナスダック(NASDAQ)上場企業のうち、積極的に研究開発を行う革新企業100社の時価総額を元に算出する株価指数。
■S&P500
ニューヨーク証券取引所・ナスダック上場企業のうち、主に時価総額の大きい500社の株価をもとに算出される株価指数。
■CRSP USトータルマーケットインデックス
米国株式市場の大型株から小型株まで、約4000銘柄をもとに算出される株価指数。
の値動きをまとめたものです。
どの指標も、2021年まではおおむね右肩上がりに上昇しています。2020年のいわゆる「コロナ・ショック」で一度急落していますが、すぐに持ち直して、以後はコロナ前を超える値上がりを見せています。このグラフでは、わかりやすくするために過去約5年で表示していますが、実際にはもっと長い期間でみても、総じて右肩上がりの傾向が続いてきました。
しかし、2022年に入ると、資源価格や物価の高騰やロシアのウクライナ侵攻など、市場を大きく揺るがす出来事が相次いで発生。米国株市場も大きく値下がりしたため、当然米国株投信も低迷しています。
なかでも話題になったのがNASDAQ100にレバレッジをかけて投資できる「レバナス」と呼ばれる投資信託。具体的には、「iFreeレバレッジ NASDAQ100」や「楽天レバレッジNASDAQ-100」といった投資信託が該当します。これらの投資信託は、株価指数先物取引を行い、基準価額の値動きがNASDAQ100のおよそ2倍になるように運用されます。
レバナスのレバレッジ効果はハイリスク・ハイリターンです。ですから、2021年ごろに「レバナスを買っておけばOK」と軽い気持ちで購入していた「レバナス民」(レバナスに投資する人)は2022年のNASDAQ100の値下がりを受けて、大きな損失を抱えているでしょう。あまりの下落に耐えられず、市場から退場してしまった人も続出しているようです。こうした人による多数の売却が更なる下落を招いていることも考えられます。
NASDAQ100はもちろん、順調と見られていた米国株市場の下落から学べることは、「いつまでも値上がりを続ける商品はない」ということです。どんな投資先でも、値下がりするときは必ずあることを覚えておきましょう。
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また、レバナスのようなレバレッジを利かす投信の場合、基準価額の値動きが常に指標の「ちょうど2倍」などとなっているとは限らず、特に市場が乱高下しているときなどは、レバレッジが2倍以上になっていることもある点に注意が必要です。
レバナス民のようにレバレッジをかけずとも、「つみたてNISA」で米国株投信に投資している方はたくさんいるはずです。米国株市場が伸び悩むなか、はたしてつみたてNISAで米国株投信に投資し続けていてもいいのか、不安に思う方もいるでしょう。
しかし、筆者はこのまま米国株投信に投資し続けてもいいと考えます。なぜなら、米国株は一過性のブームではなく、長期的に見れば、今後も成長すると考えられるからです。米国株が成長を続ける要因を紹介します。
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米国のGDP(国内総生産)は世界トップ。まぎれもなく、米国は世界トップの経済大国です。しかも、主要先進国の中で唯一、人口が増加しています。日本の人口は2011年以降本格的な減少に転じていますが、およそ3.3億人いる米国の人口は増加を続け、2050年には3.8億人に達すると見込まれています。
人口が増えるということは、これからもモノやサービスの生産・消費といった経済活動が行われることを意味します。ですから、これからも米国は経済成長を続け、世界トップであり続けると考えられます。
日本も「世界第3位の経済大国」ではありますが、GDPでみると1位の米国、2位の中国に大きく水をあけられているのが現実。米国は、投資先としてまだまだ有望と考えられます。
米国の企業は、株主還元に積極的です。その最たる例は配当金です。米国株の中には、配当金の高い「高配当銘柄」や、配当金の金額を毎年増やしている「連続増配銘柄」がたくさんあります。連続増配に関しては50年以上も増配し続けている会社もあるほど。収益が安定しているからこそ、配当金を出し続けることができるという点でも、米国株は投資先として魅力的です。
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米国企業の商品やサービスは、私たちの身近にたくさんあります。GAFAM (グーグル・アマゾン・フェイスブック(※現メタ)・アップル・マイクロソフト)を筆頭に、コカコーラ、コストコ、ディズニー、スターバックス、ツイッター、ナイキ、ネットフリックス、VISA、P&Gなど、世界的な大企業がズラリ。しかも、いずれも大企業にもかかわらず高い成長力を誇っています。米国に投資することで、その成長の恩恵を受けられると考えられます。
米国には、優秀な経営者がたくさんいます。アマゾンのジェフ・ベソス氏、メタのマーク・ザッカーバーグ氏など、日本でも名前をよく聞く経営者も多くいます。さらに、世界中から優秀なプロの経営者がやってきてビジネスをしています。グーグルのCEO、サンダー・ピチャイ氏はインド出身ですし、テスラの創業者、イーロン・マスク氏は南アフリカ出身です。
米国の経営者は高い報酬を得ますが、高い成果をあげていることはいうまでもありません。実力がものをいう米国で、優秀な経営者が手腕を振るうことで、会社がますます成長していくのです。
岡三証券が2022年7月に発表したレポート「外国株式投資の魅力」によると、2022年5月時点の世界の株式時価総額は105.6兆ドル。そのうち45.2兆ドル、42.8%を占めるのが米国です。日本は5.6兆ドルで5.3%ですので、米国市場の規模は日本の約8倍ものスケールを誇っていることがわかります。世界中から投資マネーが集まることで米国企業が成長し、さらなる成長を期待してさらなる投資マネーが集まるという好循環が生まれているのです。
いくら米国株が有望だといっても、現に2022年は値下がりしていますし、値上がりし続けることはありえません。しかし、だからこそ、「つみたてNISA」で積立投資したほうがいい、と筆者は考えます。淡々と積立投資をすることで、「ドル・コスト平均法」の効果が生かせるからです。
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値動きのある投資信託のような商品を一定額ずつ積立購入すると、商品が安いときにはたくさん、高いときには少しだけ購入することになります。これを長期間続けると、徐々に商品の平均購入単価を下げることができます。平均購入単価が下がると、少しの値上がりでも利益を出せるようになります。これが、ドル・コスト平均法の効果です。
つみたてNISAは、そもそも長期間かけてじっくりと取り組む投資です。しかも、最長20年にわたって利益を非課税にできますし、20年が過ぎたあと、課税口座に移して運用を続けても、それまでの値上がり分に対しては税金がかかりません。長期にわたって税金を安くできるため、長期的に値上がりが期待できる米国株投信の購入に向いています。
ただし、個人的には米国株のみに投資する米国株投信よりも、全世界の株に投資する「全世界株式型」の投信をおすすめします。全世界に投資することで地球全体の経済成長率を享受できる上、欧州など、米国以外の国々にも投資することで、米国株だけに投資するよりもリスクを抑えられるからです。
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全世界株式型の投資信託の投資先も、半分程度は米国になっていますので、米国株の上昇の恩恵も受けることができます。
例えば、次のような投資信託を選べば、安価な手数料でかんたんに米国を含む全世界に投資ができます(以下、データは2022年7月20日時点)。
■SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)というETF(上場投資信託)に投資し、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」(世界の大中小型株約9000銘柄の値動きをもとにした指標)との連動を目指す投資信託です。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス | 10,305円 | 110.73億円 |
なし | 0.1338%(税込) | ― |
■SBI・全世界株式インデックス・ファンド[雪だるま(全世界株式)]
3本のETFへの投資を通じて、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」との連動を目指す投資信託です。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス | 15,822円 | 659.02億円 |
なし | 0.1102%(税込) | 52.01% |
■楽天・全世界株式インデックス・ファンド
「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」と同様に、VTに投資することを通じて「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」との連動を目指す投資信託です。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス | 16,271円 | 1934.12億円 |
なし | 0.202%(税込) | 52.83% |
■eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(世界の大中小型株約3000銘柄の値動きをもとにした指標)との連動を目指す投資信託です。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス | 16,714円 | 6002.39億円 |
なし | 0.1144%(税込) | 54.37% |
2022年に入り、株式市場は確かに混迷しています。しかし、上昇し続ける相場がないのと同様に、下落し続ける相場もありません。つみたてNISAはもちろん、積立投資では価額が下がっているときは、ドル・コスト平均法で多く買い付けできるチャンスだと考え、淡々と投資を続けることが、お金を増やす最善の方法です。
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■SBI証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
270本 | 無料 | 無料 | 1350本 | 0〜 3.0% |
■マネックス証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
245本 | 無料 | 実質無料 | 1217本 | 0.73〜 3.1% |
■松井証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
256本 | 無料 | 無料 | 1163本 | 0.5〜 1.0% |
■楽天証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
252本 | 無料 | 無料 | 1325本 | 0.5〜 2.0% |
(旧:auカブコム証券) | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
245本 | 無料 | 無料 | 1143本 | 0.5〜 2.0% |
■SMBC日興証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
142本 | 137〜2200円 (約定代金による) | − | 519本 | − |
■ | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
91本 | 実質無料 | − | 332本 | − |
■GMOクリック証券 | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
投資信託 | 株式売買手数料 | 投資信託 | ||
国内株 | 米国株 | |||
38本 | 無料 | − | 112本 | − |
■ウェルスナビ(WealthNavi) | ||||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレカ積立 還元率 | ||
ETF | ETF | |||
− | ||||
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