更新日:2025/4/1
天真爛漫な犬くんと、魔王のような存在感を発揮する猫さま。彼らとの愉快な日々を愛情たっぷりに描き、犬派、猫派、両方派を問わずみんなに幸せを与えてきたコミックエッセイ『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』(講談社)。2024年11月に発売された約3年ぶりの新刊では、著者である松本ひで吉さんの生活も一変して……。そんな松本さんに、この作品が生まれたきっかけ、さらに待望の8巻についてインタビューを実施しました。
――『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』は、松本さんが2017年に当時のTwitter(現X)に投稿したマンガから始まりました。松本さん宅では2009年から犬くんと猫さまを飼っていましたが、このタイミングでマンガの投稿を始めたのはなぜでしょうか。
:実は、まだ彼らが子猫と子犬だった時にもマンガを描こうかなと思った時期がありました。でも、家族になって日が浅いうちは、まだ犬も猫もそこまで味わい深くなくて。やっぱり長年寄り添ったあとのほうが、味のある面白さが生まれるんですよね。そこで、彼らが9歳くらい、中年から高齢に差し掛かるくらいのタイミングでマンガを描きはじめました。すでに私との関係も熟成され、愛玩動物から伴侶になりつつある過程だったので、本当にいい時期に描けたと思います。
――長く生活をともにすると、やっぱり人間と動物の関係も変化していくのでしょうか。
:変わってきますね。特に猫は、私より年上のような頼もしさを放つようになりました。それに、人間と同じように、犬や猫も年を取るとクセが強くなってきます(笑)。犬や猫のほうが、人間よりも成長が早いがゆえの面白さかもしれませんね。
――犬くんと猫さまの対照的な性格、それでも仲良く暮らす様子に、読んでいて何度も笑ってしまいました。彼らのエピソードはどのようにしてストックしていったのでしょうか。
:私は24時間家にいる人間だったので、犬と猫を見る時間も長くて。日々いろいろなネタが発生するので、その都度メモを取っていました。
また、マンガを描きはじめると、さらにしっかり観察するようになるんですよね。「犬がこうしている時、一方猫は……」みたいなことも気になるようになりました。うちの場合、すごく明るい犬としんねりした猫というとてもわかりやすいタイプだったので、より描きやすかったのだと思います。
――マンガを描くことで、犬くんと猫さまに対する感情に変化はありましたか?
:ありました。描くことは見ることと同じです。彼らを毎日じっくり眺めるようになり、感情の変化をもう一段深く掘り下げられるようになりました。犬と猫の気持ちについて「きっとこう思っているんだろうな」と人間が想像する内容は、その人の心の反映だと言われています。とはいえ、じっくり観察していると、やっぱり犬と猫の感情や思考が見える瞬間があるんですよね。マンガを描くようになり、犬や猫に関する文献も読むようになったこともあって、科学的な見方と感情的な見方、双方のバランスを取りつつ観察できるようになった気がします。
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