旧暦の頃の10月1日(令和7年は11月20日が旧暦10月1日)は「衣替え」だったため、かつての軌範には様々な「冬支度」のことが知られる。例えば、僧堂の前門・後門に下がっている「簾」が、涼簾から暖簾(「のれん」ではなくて、「なんれん」と読む)に換えられたり、着ているものが厚い布生地の法服になったり、そして僧堂にある「炉」に火が入る、というようなことがあって、それを「開炉の日」という。 朔日(=1日)粥後、僧堂礼賀の時、住持の入堂前に、維那、堂司行者に命じ、炉に火を活し、侍聖、聖僧前に三供を改め備ふ。住持入堂し、法語唱了て、焼香礼拝、礼賀巡堂、出堂の後、大衆方丈に再上て開炉の祝賀す。 面山瑞方禅師…