山田玲司さんと岡田斗司夫さんの対談動画で『葬送のフリーレン』について語っている箇所があって面白かった。「葬送のフリーレン」はさまざまに読み解きができる作品だが、ふたりが注目したのは舞台が〝魔王を倒した世界〟であること。 魔王を倒した世界 つまりRPG（ロール・プレイング・ゲーム）をクリアした世界だ。 通常RGPは魔物を倒し、武器アイテムを手に入れ、経験値を詰んで強くなり、魔王であるラスボスを倒す。 しかし、『フリーレン』は魔王を倒してしまっているので、それがない。 現在はまさにこれと同じ状況ではないか、と山田さんたちは語っている。 現在は何でも揃っている時代だ。 テレビ、洗濯機、冷蔵庫──これ…

岡田斗司夫氏が語る「享楽主義」の考え方とその背景 岡田斗司夫氏は、自身の生き方の軸に享楽主義を据えており、日常のあらゆる出来事を「どれだけ心地よく味わえるか」という視点から捉えています。享楽主義という言葉はしばしば誤解されがちですが、岡田氏にとってそれは怠惰や浪費を肯定する思想ではなく、自分に合う楽しみを理解し、無理なく継続可能な形で生活に組み込むための実践的な態度とされています。本章では、岡田氏が語る享楽主義の核心を整理し、その背景にある思考の流れを丁寧に引き出します。 自分は昔から享楽主義だと感じている。特別な才能がなくても、世の中には拾える楽しみがたくさんあって、それを見つければ日常は豊…

権限なき者の発表の場 何も私には権限がない。 評論家でもない。漫画家でもない。出版関係者でもない。ただの読者だ。それも、今ではほとんど漫画を読まない、元読者と言うべきか。 その権限とか、評価とかがない人間でも、発表する機会というか場が設けられているのがインターネットという世界の持ち味である。 昔なら、こうした意見は誰にも届かなかった。仲間内で話すか、ノートに書き留めるか、それだけだった。しかし今は違う。インターネットという場がある。 ならば何を発表、主張するのか。それも選べれるとは無秩序である。 本当に無秩序だと思う。誰でも何でも書ける。専門家も素人も、同じ土俵に立っている。玉石混交。いや、石…

読書離れと「ネットで十分」論の限界 岡田斗司夫氏は、現代社会で進行する読書離れの背景を「ネットの普及による情報の即時性」にあると指摘しています。書店数が年々減少し、本を読む人が減る一方で、インターネットがあらゆる知識の入り口となっている現状を分析しました。しかし岡田氏は、ネットが本の代わりになるという考え方には明確な限界があると述べ、その理由を多角的に検証しています。 ここ二十年ほどで書店は三分の一近くに減ってしまいました。小さな町の本屋が姿を消し、大型店だけが生き残る構造になっています。ネット通販の影響もありますが、根本的には「人が本を読まなくなった」という現実があると思います。読書には時間…

■■■質問■■■岡田斗司夫氏の海外の評価、識者の見解について教えてください。とくにアニメカルチャーのアイコンというばかりでなく、社会評論、経済評論など非アニメのレイヤーでの現状の評価が気になります。それらはどのように受け止められているのでしょうか？ ■■■回答■■■岡田斗司夫の海外評価と指揮者の見解 ▶アニメカルチャーにおける評価岡田斗司夫は「オタキング」として日本国内外でアニメカルチャーの象徴的存在とされています。特にアニメや漫画、オタク文化の分析者・評論家としての発言は、海外のアニメファンや識者にも一定の影響力を持っています。たとえば、彼が「今世紀NO.1アニメ」と絶賛した米国アニメ『アド…

ゴーストバスターズに見る「幽霊と科学」の関係 岡田斗司夫氏は、映画『ゴーストバスターズ』を例に挙げながら、フィクションの中で幽霊が「科学的に説明可能な存在」として扱われている点に注目しています。氏は、作中の装置や設定の背後に、19世紀の科学思想が色濃く反映されていると指摘します。 映画『ゴーストバスターズ』に登場するプロトンパックは、幽霊を捕まえるための装置です。銃口から放たれるのは「陽子ビーム」と呼ばれるエネルギーで、プラスの電荷を帯びています。作中では、幽霊がマイナスの電荷を持つ存在として描かれており、プラスとマイナスの電気的な引きつけによって捕獲できるという理屈になっています。 この設定…

youtu.be 本日１１月３日は「ゴジラの日」。 １９５４年１１月３日に映画『ゴジラ』が公開されてから７１年。今やゴジラは、日本映画を、いや、日本”文化”を代表するアイコンとなりましたね。 ずっとずっとゴジラを応援し続けてきた自分としては、非常に感慨深いものがあります。 以前にも書いたかと思いますが、映画『ゴジラ-1.0』を初めて観たとき、ちょっと戸惑ったんです。いや面白いんですよ、面白いんですけど、なにかが違う。 なんだろう？困ったぞ、これは。 でもすぐに気が付きました。 ああ、これはゴジラが中心の映画ではないんだ！映画の主体はあくまで人間ドラマで、その人間ドラマにゴジラが重要なファクター…