老舗の文芸同人誌『朝』47号のご恵送に与った。発行人である村上玄一さんのご好意による。 村上さんによる連載『自慢風まかせ』も、はや十回となった。文芸編集者として数かずのお仕事をなさった半生の交友を懐かしく回想した、自伝風文章だ。目次区分としては「小説」としてある。固有名詞が次から次へと登場するため、差障りに配慮しなければならぬ場合も生じることだろう。作り噺を避けるとしても、承知のうえで伏せる配慮はなされたのだろう。想像たくましくといった箇所も、虚実皮膜のあわいといった箇所も、あるのかもしれない。私は毎号愉しく拝見してきた。 今回は疫病騒ぎが発生した二〇一九年前後を内容とする。大学教員としては、…