大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 今回は、共産主義運動にかかわる2冊の本を紹介する。 1.「六全協」の世界:日本共産党と一九五〇年代 河西英通 著 有志舎 刊行 2025年2月10日 発行 333頁 ¥8,800円 著者の河西英通〔かわにし ひでみち(1953年~)〕氏は、主として東北地方の近代史を専門とする歴史学者である。しかも本書が対象とする『六全協』は、1955年の出来事である。従って本書は、当事者の体験に基づく記録ではなく、戦後日本の政治史に大きな影響力を持ち続けてきた日本共産党の戦術・戦略と組織における重大な転換点となった『六全協』に、共産主義運動に強い関心を持つ歴史学者としての立場か…