訓読 >>> 紀伊(き)の国の 牟婁(むろ)の江(え)の辺(へ)に 千年(ちとせ)に 障ることなく 万代(よろづよ)に かくしもあらむと 大船(おおふね)の 思ひ頼みて 出立(いでたち)の 清き渚(なぎさ)に 朝なぎに 来寄る深海松(ふかみる) 夕なぎに 来寄る縄海苔(なはのり) 深海松の 深めし児(こ)らを 縄海苔の 引けば絶(た)ゆとや 里人(さとびと)の 行きの集(つど)ひに 泣く子なす 靫(ゆき)取り探(さぐ)り 梓弓(あづさゆみ) 弓腹(ゆばら) 振り起こし しのぎ羽(は)を 二つ手挟(たばさ)み 放ちけむ 人し悔(くや)しも 恋ふらく思へば 要旨 >>> 紀の国の牟婁の入江のあたり…