日経新聞を読んでいるときは宝探しと言うよりは、目的もなく街歩きや散歩をしているときに近い。特に探しているものがあるわけではないけど、どこかで聞いたことや見たことがある情報に再会できるときや、その情報に確からしさが付加されるときがある。その瞬間に、情報の深さや広さが広がるのだ。情報の街歩き、これもまた日経新聞を読むことの楽しみの1つだ。 5面：物価高、食品が中心に 生鮮・エネ除き3.8%上昇、転嫁進む3月 記事抜粋） はねいぬ思考・考察） 7面：スペースX、ロケット爆発 数カ月以内に再挑戦へ 記事抜粋） はねいぬ思考・考察） 13面：脱プラ、アルミ缶に商機 東洋製缶、製造技術を外販 記事抜粋） …

序章：そのロケットは、映画の制作費よりも安かった 2023年8月、インドの無人月探査機「チャンドラヤーン3号」が、世界で初めて月の南極付近への着陸に成功しました。 この歴史的快挙において、技術力以上に世界を驚愕させた「数字」があります。 それは、プロジェクトの総費用です。 映画『インターステラー』制作費：約230億円 インドの月面着陸プロジェクト：約110億円（61.5億ルピー） なんとインドは、SF映画を一本撮る費用の**「半額以下」**で、本物のロケットを月に到達させたのです。 なぜ、こんなことが可能なのか？ NASA（アメリカ）やJAXA（日本）が巨額の予算を投じる中、なぜインドだけが「…

私たちは日本の宇宙産業が輸送（ロケット）でも通信（衛星）でも、SpaceXに圧倒的な差をつけられ、海外への依存を深めています。 スターリンクの衝撃と日本の「依存」戦略—通信インフラの主権はどこへ - Into The FUTURE この敗北の最も皮肉な点は、SpaceXの競争力の源泉が、日本が世界に誇るTPS（トヨタ生産方式）の哲学を、イーロン・マスク氏が極限まで応用した「リーン生産システム」にあることです。 本記事の核心は、「なぜ、TPSという世界最強の『ものづくり哲学』を生み出した日本が、その哲学を自国の宇宙産業で活かせなかったのか？」という問いに答えることです。 TPSトヨタ生産方式の原…

株式会社ハマダ生産技術課の近藤です。弊社は今、社内ベンチャーの一環として「ハイブリッドロケットエンジンの教材開発」に取り組んでいます。 note.com このプロジェクトは、広島の伴走支援プログラム「PANORAMA」に採択され、外部メンターの方々に助言をいただきながら進めている挑戦です。 まずは小さなエンジンから ハイブリッドロケットとは、固体燃料と液体（または気体）の酸化剤を組み合わせて燃焼させるタイプのロケットです。 安全性が高く扱いやすいため、教育や実験用途に向いています。 まずは教材として扱えるよう、小型のエンジンを自分たちの手で作るところからスタートしました。 燃料には市販のパラフ…

みなさん、怖いものはありますか？筆者は昔から、宇宙を恐ろしく感じています。 まだ小学校に上がる前のある晩、ぼんやりと夜空を眺めていたときのこと。煌めく星々を指して、親戚が「今見えている光は、何百万光年も離れた場所から今日やっと届いた光だ」みたいなことをかみ砕いて説明してきました。さらには「今見ているあの星の光は、今から何百年も前のもので、それが今夜ここから見えているんだよ」とも。 併せてじっくり観察していると、天体が徐々に移動していることにも気が付き、理由を聞くと親戚は「地球がゆっくり動いているからだ」とまで言いはじめ、あまりにも自分の理解を超えた話なので、本当に混乱したものです。今となっては…

宇宙はもはや、国家だけのものではありません。衛星インターネット通信、地球観測、スペースデブリ（宇宙ゴミ）除去など、民間企業による宇宙ビジネスが爆発的な成長を遂げ、新たな経済圏を形成しつつあります。この潮流を支えているのが、従来の一点豪華主義の大型衛星ではなく、小型衛星を数多く打ち上げる「衛星コンステレーション」という考え方です。これにより、ロケットの打ち上げ需要は「より安く、より早く、より柔軟に」という新たな次元へとシフトしています。この巨大な市場に、日本の技術を結集して挑むスタートアップがあります。 今回は、日本初の民間ロケット射場「スペースポート紀伊」を拠点に、「契約から打上げまで世界最短…

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、岐阜県各務原市下切町にある博物館です。 同館は航空宇宙に関する資料（国産の航空機や実験機、航空関連資料及び宇宙開発関連資料など）の収集展示、将来の航空宇宙産業を担う人材の育成を図ることを目的とする博物館です。 同館の愛称として、『空宙博』（そらはく）で呼ばれています。 ＜沿革（一部抜粋）＞ 平成０８年（１９９６年）３月２３日、「かかみがはら航空宇宙博物館」として開館。 平成１７年（２００５年）４月、科学関連資料の展示を充実をはかり、「かかみがはら航空宇宙科学博物館」に改称。 平成３０年（２０１８年）３月２４日、全面的リニューアルを行い、『岐阜かかみがはら航空宇…